セレナード ト長調K.525「アイネ・クライネ・ナハト・ムジーク」のデータベース、

−全27組の演奏のうち映像は9組で、すべてのアップが完了している−


1、当初の頃の セレナード ト長調K.525「アイネ・クライネ・ナハト・ムジーク」のデータベース(2005年11月現在)、

−全21組の演奏のうちわずか6種類の映像しかないのはどうしたことか−



 この曲は自筆作品目録によれば、1787年8月10日の日付を持ち、丁度オペラ「ドン・ジョヴァンニ」の第2幕の作曲中に完成されたと言うことになる。通称で「アイネ・クライネ」と呼ばれるのもこの目録の記載によるもので、訳すれば「小夜曲」「小セレナード」ということになろうか。さらに、楽章構成も目録では「アレグロ、メヌエットとトリオ、ロマンツエ、メヌエットとトリオ、フィナーレからなる」とあるので、作曲時にはセレナードの原則通り、もう一つのメヌエットを持った5楽章であったことが分かる。これは8葉からなる自筆譜の3葉目が抜けていたというから、間違いがないと言われている。また、目録では楽器編成は、ヴァイオリン2、ヴィオラ、チェロ、コントラバスとなっており、弦楽合奏という編成、親しみやすい書法などからみて小室内オーケストラのための作品であることは明らかである。

 この曲の親しみの易さ、開放的で明快な曲調は、子供でも楽しめる音楽となっているが、私に取っては、私が初めて買ったレコードがこの曲であったので、親しみを込めてモーツァルトと言えるのもこの曲のお陰であろうか。時期は札幌北高の2年生の時であり、演奏はブルーノ・ワルターがウイーンフイルを振った戦前の録音のSP盤2枚組(1937)であった。当時から友人に恵まれてレコードを買い出したのであるが、このころ買ったものにビーチャムの未完成2枚組、スターンのチャイコフスキーのヴァイオリン協奏曲4枚組などがある。

 私のこの曲のデータベースでは、2005年11月現在で、以下のように全21組揃っているが、残念ながらそのうち映像は6種類しかない。これらの映像のうち、ソフト紹介で既にご報告しているのは、ベーム・ウイーンフイル(1974)の歴史的映像(3-9-3) とツアグロゼが来日時(2003)にN響を振った映像(4-1-1)しかなく、未掲載のものとしてセル・ウイーンフイル(1968)の白黒の映像、プレヴィンが来日時にN響を振ったもの(1995)、デユトア・N響のBS放送のもの(2000)、今回アップするデーヴィス・バイエルン・ゾリステン(1991)があるだけである。有名曲の割には、寂しい限りである。 



セレナード ト長調K.525「アイネ・クライネ・ナハト・ムジーク」のデータベース(2017年6月現在)
番号入手日付メデイア指揮者オーケストラ録年月メモ
60LPIMusici
2890520CDWalter1New York-PO5312Sony
31041105SDSzellWiener-PO6800CS736CH
473LPBoskovskyWien-MOZ-En7100セレナード全集
5940415CDGiuliniWien-SO7306
6990314VTBohm1Wiener-PO7400CS736CH
6'1030809SDBohm1Wiener-PO7400CS736CH(3-9-3)
7871010CDBohm2Berlin-PO7600
876LPRistenpartSaare-CO7611
9840209CDCarmirelliIMusici8300
10860301CDHogwoodAcad-ANCM8310古楽器風5楽章5重奏
11910410CDMarrinerAcad-STMT8401セレナード全集
12971011CDHarnoncourtWien-concentus8504
13102CDOrphus-CO8512
14101CD2OrganNieuwkoop8808
151000205VTDavisBayernRSO-Solisten9100BS736CH
16951022VTPrevinNHK-SO9510BS11(13-3-2)
17102CD9800Bril.classicsVol5
181010415DTDutoitNHK-SO10011BS103(15-12-1)
19102SACDMoriNagaokakyou-CO10101
20103CDHeyerickManheimKurpf-CO10207Bril.M全集
211031129SDZagrosekNHK-SO10311BS103(4-1-1)
15’1051016SDDavisBayernRSO-Solisten9100BS736CH(5-11-2)
3'1051113SDSzellWiener-PO6800CS736CH(5-12-2)
以上2005年11月現在
221060812SD(Suske)Gevanthaus-Q五重奏10505BS102CH(7-11-1)
231110107BD36(堀正文)N響の仲間たち11011NHK芸術劇場(11-2-1)
12’106CDHarnoncourtWien-concentus850416CDset
24111CDKlemperer Philh-O5403Mo8CDSet
251121003HD-4Cesky-KamO11107NHKクラクHD-4(15-11-1)
2620170317CD(Dusinberre) Takacs-Q97025重奏M225CD33
2720170317CDDantoneAcademia Bizantina11603古楽器風Orch版M225CD68
281171114CDWalter2Columbia-SO580010CDBox盤

 

 私のこの曲の第一号は、ワルター・ウイーンフイルのSPレコードであったことは紹介したが、LP時代になって最初のものはイ・ムジチによる弦楽合奏であった。ワルターがコロムビア交響楽団を振った「ミラベルの庭園にて」というLPもよく聴いたレコードであった。表には後日求めたCD化されたものが記載されている。LPの後期にボスコフスキーのセレナード全集が出たが、この曲は残念ながら好きになれなかった。 

 CD時代になって、ベームがベルリンフイルを振ったCDが、私の決定版的な存在になったが、その後マリナーのセレナード全集が出され、選択肢が増えてきた。イ・ムジチの再録音も素晴らしい出来であったし、ホグウッドの5楽章のものにも驚かされた。この演奏は弦楽5重奏で演奏されており、勝手につけ加えた第2楽章を除いて聴くと、弦楽5重奏の素晴らしいアンサンブルを楽しみことが出来る。

 映像でこの曲を楽しむようになって、40〜50人規模の大編成の演奏、20人以下の室内楽団的演奏、弦楽5重奏のものなどが、直接、気になるようになってきた。古楽器の演奏もあるので、多くの種類の演奏を聞き分けていく時代に変わってきた。
 現在、アップしているベームの演奏は大編成の演奏であり、当時の標準的な演奏スタイルであるといえる。同じ大編成でも、最近デユトアやツアグロゼのN響を振ったものは、テンポが速く現代的な演奏スタイルになっている。
 今回アップしたデーヴィスのバイエルンRSOの演奏は、室内オーケストラの演奏であり映像的に古さが目立つが、演奏は小編成のきめ細かさを現した素晴らしいものになっている。  (以上)(05/11/21)                     



2、2017年現在の セレナード ト長調K.525「アイネ・クライネ・ナハト・ムジーク」のデータベース(2017年06月現在)、

  全27組のコレクションに対し、映像は9組であるが、すべての映像のアップが完了しているので、各映像について、一言だけ触れて、この曲の「総括」としておきたい。

  ベームとツアクロゼクの映像については、すでに述べてきたので、続いて第3番目にアップした映像は、 コリン・デーヴィスとバイエルン放送SOゾリステンによる「セレナード集」からの「アイネ・クライネ」(5-11-2)であり、1991年6月にレーゲンスブルグの春の音楽祭で演奏されたものであった。私の一口メモでは、「デーヴィスの丁寧で上品な指揮により、心地よいテンポで輝きを増した珠玉の作品たち」と称して、同時に演奏された管楽セレナードと一括して総括していた。しかし、「アイネ・クライネ」では、同じホールで演奏者が弦楽合奏団に入れ替わり、コントラバス1台を含む20人ぐらいの室内合奏団となって演奏され、「柔らかな弦楽合奏の伸び伸びした音で有名な主題が始まるが、快いテンポと厚みのある響きがあり、最上の室内合奏の味わいであった。デーヴィスの指揮ぶりは、とても爽やかであり、音を大切にした正統的な落ち着いた演奏である。」と述べている。

続く第4番目の映像は、ジョージ・セルとウイーンフイルによる「アイネ・クライネ」K.525(5-12-2)およびオーマンデイとウイーンフイルとルドルフ・ゼルキンのピアノによるピアノ協奏曲ハ長調(第21番)K.467の白黒の古い記念すべき映像であり、私の一口メモでは、両演奏を一括して「セル・オーマンデイ・ゼルキンとウイーンフイルとの懐かしい捨てがたい映像記録」としか表現されていなかった。しかし、本文では、この演奏は、楽友協会ホールでのウイーンフイルとのコンサートの一部を取り上げたものであり、弦楽器奏者の規模はコントラバスは5本でフルサイズに近い演奏であった。彼は亡くなる2年前の71歳であり、小柄で印象通りの姿であったと記されており、演奏については、「セルはこの有名な軽い曲にも真剣に立ち向かっており、リズムが明快で、やや早めのテンポでテキパキとした感じで曲が流れるのは彼の持ち味であろう。生真面目なリズムの取り方と音の強弱の付け方を大事にする指揮ぶりと見た。」と印象を記述していた。

   続く第5番目の演奏は、06年08月12日、NHKクラシック・ロイヤルシートのBS102の放送を収録したものであり、 コンラート・ズスケと彼のゲヴァントハウス弦楽四重奏団の、ランメナウ城での弦楽四重奏曲集からの演奏(7-11-1)であった。私の一口メモでは、残念ながらコンサート全体を評して「ゲヴァントハウス四重奏団のランメナウ宮殿でのモーツアルト室内楽特集−実力者によるお清ましの演奏か」と書いていた。しかし、「アイネ・クライネ」の演奏については、コントラバスを加えた弦楽五重奏で演奏しており、「コントラバスが加わって低域に重心が置かれたアイネ・クライネになったが、終始、速いテンポで第一ヴァイオリンを中心に進められ、まことに軽快で颯爽としていた。」と書かれていた。

    続く6番目の映像は、 アンドレ・プレヴィンとN響の仲間たちという2011年1月のNHK芸術劇場の映像で、浜離宮朝日ホールで演奏されたもの(11-2-1)であった。内容はプレヴィンと堀正文ほかのN響トップ奏者たちで、私の一口メモには、「堀さんと息のあったN響の仲間たちの格調高いアイネクライネを、久し振りで豊かな気分で書斎で味わうことができた。プレヴィンの二つのピアノ四重奏曲は、始めのト短調はピアノの調子が悪かったが、第二番の変ホ長調はいつものアンサンブルを楽しめるピアノの調子に戻り、信頼を回復した立派な演奏だった。プレヴィンの年齢を感じさせたコンサートであった」と書かれていた。

    続く7番目の映像も    プレヴィン指揮のものであったが、これはNHK交響楽団によるN響定期公演のセレナードト長調K.525(13-3-2)であり、N響はコントラバスが三台で総人員30人くらいの中規模なオーケストラ編成であった。最近のプレヴィンは椅子に座って指揮をしているが、彼はこの時はまだ66歳であり、腰もピンとして大股で入場していた。私のこのオール・モーツァルト・コンの一口メモには、「名曲揃いのプレヴィンとN響のオールモーツァルト・コンサートが、いかに親しみやすいかを如実に示すような反響があった。第一曲の「アイネ・クライネ」は、弾むような爽やかな弦楽合奏がとても心地よく響き、全体のテンポ感やリズム感がともに良く、軽快で淀みのない明快な演奏であった。第二曲のコンチェルトも、コラールの独奏ピアノとプレヴィンのスタイルがぴったりと合い、アンサンブルの優れた豊かな協奏曲であった。また、最後のト短調交響曲も、プレヴィンの持つ穏やかな演奏スタイルにより、ゆっくりとしたテンポでじっくりと優雅に歌わせる指揮振りが、モーツァルト好きには快く響いたものと思われる」と高く評価していた。

続いて8番目の映像は、 チェコフイルハーモニー室内合奏団によるセレナーデト長調K.525であり、2011年7月1日の来日公演記録で、東京のフィリアホールで収録(15-11-1)されていた。このチェコ・フイルハーモニー室内合奏団のアイネ・クライネは、「総勢一二人の合奏団であったが、全体としてテンポ感・リズム感ともにセンス良く進み、第一ヴァイオリンのよく目立つトリルの装飾なども明確であり、瑞々しい弦楽合奏が聞こえる非常に気持ちの良い颯爽とした演奏であった」と記録されていた。二台のチェロが中央に椅子に座り、半円を描くように左から第一ヴァイオリン4・第二ヴァイオリン3・コントラバス・ヴィオラ2の順に並んで立って演奏する指揮者なしの演奏が特徴であろうか。今回の演奏は心地の良い弦楽合奏を楽しむことができ、とても優れた演奏であったと思う。こういう演奏なら、書斎で聴いていても音量を上げると、豊かな弦楽合奏が部屋中に広がり、コンサートホールの良い席のような臨場感を得ることが出来て、手軽なハードデイスク録画の性能の良さを実感せざるを得なかった。

     続いて最も新しい演奏は、デユトワ指揮のNHK交響楽団によるセレナーデト長調K.525であり、N響定期公演から2000年の11月にNHKホールで収録(15-12-1)されたものである。私はその印象を「デユトワとN響の「アイネ・クライネ」は、2001年4月のN響定期の収録であり、コントラバスは4本の弦楽合奏としては大規模なものであったが、デユトワの早めのすっきりしたテンポが快く、譜面通りに丁寧に繰り返しを行なったまさに現代の標準的なすっきりした演奏であると思った」と簡単に感想を書いている。今回の演奏はしっかりした多人数の弦楽合奏であり、重量感のある合奏であった。デユトワは最近の古楽器演奏スタイルを、モダン楽器の弦楽合奏に取り入れており、繰り返しもスコア通りに丁寧に行なっていて、現代風な新鮮な感覚を持った迫力のある演奏であった。 私には、ワルター・ウイーンフイルのSP盤のこの曲が、レコード集めの原点であったので、手元にあるCDのコロンビア交響楽団のワルターの演奏と聴き比べてみたが、デユトアとN響のこの演奏は音が良いだけに迫力があり、しかも映像を見ながら音楽を楽しむというこの現在の環境の変化に驚かざるを得なかった。

     以上がこれまで集めてきた映像9種類の私なりの寸評であるが、終わりに最近仕入れたM225のCD大全集の録音の寸評を載せておきたい。これらは表−1の末尾にある2つの演奏で、第一はタカ−チェ四重奏団による弦楽五重奏のアイネ・クライネ(1997)であり、やや早めのテンポでコントラバスが入って締まった感じの室内楽的五重奏であった。第二はダントーネ指揮アカデミア・ビザンティーナによる小規模なオーケストラによる弦楽合奏版(2016)であったが、早いテンポのピリオド奏法の演奏で、ソナタ形式の繰返しは全て行い、メヌエットの早さとリズム、またトリオの優雅さに特徴があり、フィナーレでは疾走する弦楽合奏のモダンさを浮き彫りにした現代風の演奏であった。
       これらは、前者が映像のゲヴァントハウス四重奏団や堀正文のN響五重奏団に共通するコントラバスの入った五重奏の標準的なモダン楽器による室内楽的な演奏と考えられるのに対し、後者はチェコフイルの室内楽団と共通する小規模なオーケストラによる弦楽合奏であるが、古楽器による対照的な現代風の新しい演奏として、全集の編集者たちが、現代を代表する標準的な2演奏として選定したに違いないと考えた。私はアイネ・クライネのような有名曲の演奏にしては、9種類の映像は少なすぎると考えていたが、数は少ないが、まずまずの種類の演奏が集められていると総括したいと考えている。しかし、CDを含めて表−1の演奏全体を振り返ると、ホグウッドの古楽器五重奏団の驚くべき透明感あふれる簡素な5楽章の演奏や、マリナー・アカデミー室内楽団の弦楽合奏を聴いたあの新鮮な感覚が、映像ではまだまだ登場していないという思いがしている。


3、9種類の弦楽セレナードト長調K.525「アイネ・クライネ・ナハト・ムジーク」のデータの整理と感想、

     以上の9種類の映像は、入手順に、ほぼアップロードした順番に掲載してきたが、最後にこれらの映像をまとめて私なりに「総括」して結びにしたいと考えて、表−2のとおり、録音年順に並び替えて、時代とともに変化する演奏の姿を考えて見ようと思いついた。私には,アイネ・クライネの映像は9種類と少ないが、それぞれが、時代を代表するような演奏ではないかと思われたからである。

表−2、「アイネ・クライネ」の映像の比較表、(2017年6月現在)、
No指揮者オーケストラCB数録年総人数規模(番号)
セルウイーンフイル6812大人数大(5-12-2)
ベームウイーンフイル7400中人数中(3-9-3)
デイヴィスバイエルン放送響9106約20人小(5-11-2)
プレヴィンN響951030人位中(13-3-2)
デュトワN響1001140〜50人大(15-12-1)
ツアクロゼクN響1031140〜50人大(4-1-1)
(ズスケ)ゲヴァントハウスQ105055重奏最小(7-4-1)
(堀正文)N響Q110115重奏最小(11-2-1)
チェコフイルCO1110712人小(15-11-1)


       初めに表−2の上から3つまでの最初の3演奏は、今となっては20世紀を代表していたいわゆるオーケストラ版の伝統的な弦楽合奏であり、コントラバス数をしるべに判断したオーケストラ規模の大・中・小別を代表する演奏ではないかと考えられる。
       第二に、続くN響の3演奏は、プレヴィンとツアクロゼクの演奏が、いずれもオール・モーツァルト・コンサートの中の1演奏であり、このオーケストラらしいバランスの取れた中・大規模のいわば標準的な弦楽合奏のスタイルを聴かせていたが、デュトワの演奏は、現代風な曲とが入りまじったコンサートの中の曲であり、最近のピリオド奏法的な新鮮な感覚を持ったスピード感のある現代風の大規模な弦楽合奏に聞えていた。
       第三に、ヨーロッパを代表するゲヴァントハウス四重奏団と、堀さん中心のN響のトップたちによる弦楽5重奏による演奏は、最小の規模のこの曲を代表する演奏スタイルであるが、各楽器のきめ細かなアンサンブルの姿が現われており、この曲の演奏の21世紀型の新しい1つの方向性を明確にしていたと思われる。
       第四に、チェコフイルによる12人の室内楽団によるチェロ以外は立って演奏する現代風なスタイルの弦楽合奏であり、これは現代を代表する室内楽風の弦楽合奏の壮快さを示す代表的な演奏であると思われた。
       このようにこれら9演奏が、それぞれの時代や、演奏スタイルを代表する事例であると考えれば、この9映像には古楽器系のピリオド奏法の演奏が欠落していることが良く理解できる。これは、このアイネ・クライネK.525に限らず、このHP全体の問題であろうと考えられる。


4、あとがきー私の最初のSPレコード・ワルターのレコードから−

         私がワルター・ウイーンフイル(1937)のアイネ・クライネK.525のSPレコードを買って手回しの蓄音機の前で夢中になっていたころ(1952)から、65年も経過して、いまやチェコフイルのHDDに収録した素晴らしい映像を見ながら、豊かな弦楽合奏の響きが部屋中に広がるのを聴いて、まさに隔世の感を覚えるものがある。その原点となるこの曲を聴きながら、モーツァルトが残した譜面は変わらなくても、自分の環境や演奏そのものがすっかり変わったことに気がついてはいるが、たとえ貧しい音でも受けた驚きや感動が大きかったことを思い出すと、われわれのこれまでの努力や蓄積は本当に間違いないものだったかどうか、心配になる。沢山の演奏家によるこの曲を聴いてきて、好きな時に好きな演奏を選択して聴ける今の時代は、まだ不足はあるものの、やはり、贅沢な時代になったものと考えるべきなのであろう。


(以上)(2017/07/01)


            
目次3にもどる
目次2にもどる
目次1にもどる
私の新ホームページへ

名称未設定