仲谷 喬氏(大阪新音フロイデ合唱団)との音楽交信(第一話)


1、ミュンヘンキリエとレクイエムについて、

メル友との音楽交信、


 ホームページを開いていると、訪問客からありとあらゆる問い合わせがあるが、私は出来る限り真面目に回答をしてきた。通常はゲストブックに入ってくるが、それ以外のメールも絶えず入ってくる。その多くは、1〜2回の交信で一件落着となることが多いが、中にはごく自然体で、メル友として交信が続くこともある。その一例として、大阪新音フロイデ合唱団の自称「縁の下からの支援者」と名乗る仲谷 喬氏との交信がある。今年の5月頃から交信が続き、合唱団のヴェテランとレコード好きのモーツアルテイアンという立場が違うことから、お互いに自分に欠ける知識を補い合う形で、メールのやり取りが続いてきたが、私の回答文を合唱団の機関誌に掲載したいというご要望が出てきた。

 私は少しも構わないのでOKの返事をしたが、この際せっかくなので、この二人の交信記録を、小生のホームページに掲載したい旨お伝えしたところ、OKの快諾のご返事をいただいた。その結果、考えた末に「私のメル友との音楽交信」というタイトルのもとに、若干の体裁を整えて、「仲谷 喬氏(大阪新音フロイデ合唱団)との音楽交信」と題して掲載してみたので、ご覧いただきたいと思う。私自身もこれからどう進んでいくか良く分からないが、もっと内容の濃いものに発展していくことを期待している。京都の仲谷さん、これからもどうぞ宜しくお願い申し上げます。


仲谷 喬氏(大阪新音フロイデ合唱団)との音楽交信、


1、ミュンヘンキリエとレクイエムについて、

1-1、仲谷さんより突然のメール、


倉島 収 様

  モーツアルトのK341 ミュンヘン・キリエ について情報を 探していまして、このHPにたどり着きました。 実は私は 「大阪新音フロイデ合唱団」に所属していますが、 毎年12月には第九の公演をしますが、数年前から、第九 と一緒に歌う併演曲を演奏しています。
今まではベートーヴェンで「合唱幻想曲」,「静かな海と楽しき 航海」,「献堂式」などでしたが、今年は始めてモーツアルトの キリエをやろうかと検討しています。そこで今市販されているこの曲のCDをご紹介頂けないでしょうか。

 参考までに 合唱団のURLを下記します。
http://www.joy.hi-ho.ne.jp/shinon-freude/ 

よろしくお願いいたします。  仲谷 喬。 (2002/05/14)


1-2、倉島より回答、

仲谷 喬さま、

 mozartian449にたどり着いて頂き、恐縮しております。

 最近では、K341は、ミュンヘン・キリエと呼ばずに、ウイーンでの晩年のキリエと呼ばなければ怒られそうですが、私は、それならば、モーツアルトがなぜ自筆作品目録に、キリエとして完成しているこの曲を、アヴェベルムのお隣くらいに記入しなかったのかを説明してくれと、だだをこねている者です。
 いつモーツアルトが作曲しようとこの曲の価値は変わらず、素晴らしい演奏になりますよう、祈っております。

>そこで今市販されているの曲のCDをご紹介頂けないでしょうか。

 私個人の自作のデータベースでは、次のように6件アウトプットされました。二列に書き込まれ、凡例の順にデータが書き込まれています。少し分かりずらいですが、じっと見ていると少しずつ分かってきます。

年月日、区分、番号、作曲者名、曲種、OPUS、曲名、指揮者、オーケストラ、ソリスト、 録年月、ソース、
78000000 LP 157.2 MOZART SG 3 368a キリエ,d、341、 DAVIS LONDON-SO DONATH 7100
91100108 CD 332.2 MOZART SG 3 368a KYRIE.d,341 KEGEL LEIPZ-RSO 7104
78000000 LP 455.2 MOZART SG 3 368a KYRIE,d,341, KEGEL LEIPZIGRO REINEDKE 7412
98103101 VT 274.3 MOZART SG 3 368a キリエニ短調341 ABBADO VIENNA-POMATTILA 8600 736CH
94052702 CD 518.2 MOZART SG 3 368a KIRIE,d,341 NEUMANN COLLEG.CART 9000
93111103 CD 497.2 MOZART SG 3 368a KYRIE,d,341 RILLING STUT.B.CO 9112

 上記の6件のうち、ケーゲルのものは、同じものがLPとCDになっているので、実質5種類しか持っていません。このうち、アバードのものはクラシカジャパンの放映を録画 したもので、ウイーンフイルの86年万聖節コンサートのライブで、035aや339よりソプラノの曲をマッテイラが歌ったコンサートの1曲です。

 今入手しやすいのは、リリングのもの(レクイエムの付録、COCO-75129)です。リリ ングのレクイエムは、レヴィン版でこれしかありませんので重要です。ノイマンのものはEMIの輸入盤しかないですが、これはハ短調ミサ曲の付録です。古楽器演奏の格調高い演奏ですので一聴すべきで、モーツアルトのミサ曲全集(全8枚)の1枚です。最近、アーノンクールがモーツアルトのミサ曲全集をまとめて出していた筈ですので、全集に含まれていると信じて、お調べ下さい。

 市販の曲を全て集めているわけではありませんし、聴いたものしかお勧めできませんので、これで、私の取りあえずの回答と致します。     (2002/05/18) 倉島 収生。


1-3、仲谷さんより回答、

倉島 収 様

早速の御返事、有り難く拝読いたしました。
明日にでも大手CDショップへ出かけて探してきます。大変参考になりました。
   私達合唱団はこの曲を今年の年末の第九演奏会の併演曲に選ぼうかどうかを検討しています。そこでもう一つお教え願いたい事があります。

この曲(キリエ K341)のオケ構成を調べるとオルガンが入っています。しかし、知人によるとオルガンなしの演奏もあると思う。とのことです。演奏会でホールの借り賃にオルガンが加わると+20万円となるらしく貧乏合唱団ではこれを調べておく必要があります。
 実際の演奏ではどうなっているか、お分かりでしたらお教え願いたいのですが、よろしくお願いいたします。

 それとモーツアルトに非常にお詳しい方と存じ上げますので、第九の併演曲として果たして相応しい曲なのかどうか、忌憚のないご意見をお伺いしたいのですが、如何でしょうか。 私個人の意見としては、一寸合わないのではと気になっています。第九の内容と、「主よ、憐れみたまえ」とでは少し違和感を感じます。是非ご意見をお願いいたします。

             お教え頂いたキリエのCDを探す上で、「レクイエム」の付録があるようで、来年の夏の演奏会では多分モーツアルト「レクイエム」をやる事になりそうですので、この曲の入ったものを選びたいと思います。
 私の曲では、ジュリーニ・ フィルハーモニア の演奏と 古いのですが ワルター ニューヨーク・フィル の2枚を持っています。 合唱団としても過去に小林研一郎・大阪フィルで2日続けての演奏をしたことがあり、私は大好きです。お近くにおれれたら、是非ご招待したいところです。
 しかしまだ確定ではありません。 候補にはヘンデル「メサイア」も上がっています。            5/18、  仲  谷    喬


1-4、倉島より回答、

       仲谷さま、

 良いレコードが見つかったでしょうか。第九と合うかどうか、やはり曲を聴いて、皆さんで確認なさるべきでしょうね。
 私は第九の前座やレハーサルの積もりでキリエを歌うのでしたら、キリエがかわいそうだと思います。第九を聴きに来る人が大半なら、キリエは別の機会に演奏すべきなのではないでしょうか。

>この曲(キリエ K341)のオケ構成を調べるとオルガンが入っています。

 私はオルガンよりも大勢の管楽器が大事だと思っておりますが、第九をやるのであれば大丈夫ですね。レコードでは、オルガンは余り強調されたものがないように思います。

余り参考にならないと思いますが、取りあえずの回答とします。 倉島生。


1-5、仲谷さんよりお尋ね、

倉島 収 様

 以前、第九との併演曲として「キリエ」のことでご意見をお聞かせ頂いた京都の仲谷です。ますますご発展のこととお喜び申し上げます。

 第九との併演曲は結局 ベートーウ゛ェンの カンタータ「静かな海と楽しき航海」に決まりました。有り難うございました。

 さてまたお聞きしたいのですが、我が合唱団では来年の夏期演奏会では モーツアルト「レクイエム」に決まりましたが、以前6年ほど前には、もっとも良く演奏されるジェスマイヤー版でした。今度は違った版にしたいと思うのですが、倉島さんのご意見をお聞きしたいと思います。  大阪フィルで指揮は下野竜也( 朝比奈さんの後任)で勿論指揮者の意向もお聞きしなければならないのですが、こちらの案として考えておきたいと思います。楽譜の入手のしやすさ等もありまして、何が良いか迷っています。

 宜しくお願いします。        8/22 仲  谷    喬


1-6、倉島の回答、

仲谷さま、

 とても難しいお尋ねを頂きました。
考えてみますと、レクイエムの版の問題が真剣に議論されたのは、10年頃前の、91年のモーツアルトイヤーの頃であったと思います。

 80年以前はジュスマイヤー版だけでしたが、80年代にバイヤー版がかなりの指揮者によって取り上げられました。これが大勢かなと思っていたときに、ショルテイが91年の追悼式典でランドン版を使ったことに衝撃を覚えたことを記憶しています。

 ホグウッドのモンダー版(83)は大幅な変更がありますが、その後のノリントン(ドルース版)、リリング(レヴィン版)などは、バイヤー版との違いが聴いて分からない程度のもののようです。

 私は、レクイエムで感動を覚えるのは、版の違いでなく、演奏全体から受ける音楽性にあると感じています。個人的には、ラクリモサまでの音楽に圧倒され、版の問題で重要な後半部は、いわば惰性的・付け足し的なものと考えているせいもあります。変更はオケの部分が大半だと思っていましたが、合唱の部分も、問題にするほど変更があるのでしょうか。版の問題は今では一段落して、再びジュスマイヤー版が復活していると思っていますが、それでは治まらないのでしょうか。

 ついこの間読んだピーター・ゲイが彼の著書「モーツアルト」(1998)に、「レクイエムに対するジュスマイヤーの貢献をめぐって今も議論があること自体が、彼の仕事に対する賛辞とも言えるであろう」と総括していることが、記憶に新しいところです(これは小生のHPの書評の部門参照)。

 逆にどの版を用いようとも、演奏全体が感動を呼ばなければ成功とは言えないでしょうから、版の問題はジュスマイヤー版かバイヤー版と割り切り、演奏の方に準備の力を注いだ方が良いと思います。

 モーツアルトが好きなだけの素人が生意気なことを申し上げました。近ければ聴きに行きますのに、残念ですね。今後とも、宜しくお願い申し上げます。倉島 収生。(8/25)


1-7、仲谷さんからの回答、

 倉島 収 様

早速、ご丁寧なご返事をいただき、まことに有り難うございます。
 モールアルトにお詳しい倉島様が「この判断は難しい」と言われることが一つのこの曲に対するご見解とも受け取れました。非常に参考になります。

  さらに各版についての背景をご説明頂いて、この曲の歴史的な全体像も判ってきました。 そして要は聴衆を感動させることが出来るかどうかが重要なことで、極論すれば、どの版でも良いと言うことでしょうか。
 後は自分たちで、取り上げた版についてその音楽性を表現することが最も重要な問題であると理解致しました。

 非常に厚かましいお願いですが、この倉島さんの版についてのこの解説を私たちの機関誌「フロイデ・ニュース」(ワープロでの文章をB4版 表裏にコピーしたものです)に掲載させていただけないでしょうか。 掲載時期はまだ先にさると思いますが、「この文章は千葉県在住のモーツアルト研究家 倉島 収 様からお聞きしたものです」 という説明を付けさせて頂きたいと思います。

 8年ほど前に大阪シンフォニーホールで土曜日と次週月曜日の2回演奏したことがありました。 小林研一郎氏の指揮でしたが、二日とも満席で私自身は初めて経験する合唱でした。この曲は何度か聞いていて、また映画アマデウスでも非常に効果的に使われていて、大好きな曲でしたが、自分で歌って更に好きになった曲でした。来年再びこの曲に取り組めることになり、非常に楽しみにしています。そのためにも、この曲に纏わる話の一つとして、倉島様のお話を十分に知識に加えて練習に臨みたいと思います。

  本当に参考になるお話をお知らせいただき、心から感謝致します。今後とも色々お教え下さいますよう宜しくお願いいたします。
8/25 仲  谷    喬


                               

1-8、倉島の回答、

仲谷 喬さま、

 小生の勝手な意見が、 少しでも、お役に立てば有り難いと思っております。私のコメントを掲載する件については全く依存はありません。ただ、小生の紹介はモーツアルト研究家ではなく、あくまでアマチュアの愛好家ですので、「熱心なモーツアルト愛好家」という風に、ご修正頂きたいと思います。

 私の方でも、HPを少しでも賑やかにするために、思いつきで恐縮ですが、「大阪新音フロイデ合唱団の仲谷さまとの音楽交信」と言うようなタイトルで、HPに掲載してもよろしいでしょうか。ゲストブックでは、内容が固すぎますので、新たにコラムを作りたいと考えています。その際、仲谷さまの肩書きを、「合唱団の主催者?」とでもしたいのですが、適当なネーミングをお教え下さい。

 書いているうちに、つい最近「カラヤンのレクイエム」を2-7-3としてアップしたのを思い出しました。私個人のレクイエムの好みは、CDではベーム、LD(DVD)ではバーンスタインのものが好きですが、いずれも古いタイプの演奏で今は流行らないと思います。
 新しいものでは、ブリュッヘン、コープマン、ガーデイナーなどの古楽器系の指揮者になります。しかし最近聴いたアンダンテというレーベルで、クリップス・ウイーンフイル・ルチア・ポップのレクイエムも古いものですが、なかなか感動的でした。

 9月8日のMフェラインの例会でザルツの合唱団の指揮をしている牧野成史氏の講演を予定(フェラインのHPに載せています)しておりますが、仲間にも合唱団のグループがおりますし、本場のプロの話を直接聞けるのは、とても楽しみです。

 フェラインのHPは、http://www.geocities.co.jp/MusicHall/4498/ です。 長くなりましたが、HPの件、宜しくお願い申し上げます。 倉島収生。(8/27)


1-9、仲谷さんからの回答、

倉島 収 様

早速のご返事有り難うございました。
合唱団の機関誌に掲載させていただきます時には、仰せの通り「熱心なモーツアルト愛好家」として掲載させて頂きます。

そして「大阪新音フロイデ合唱団の仲谷さまとの音楽交信」の件はいっこうに差し支えはございません。但し 小生の立場は「主催者」でもなく、「団長」でもなく 「縁の下からの支援者」とでもしていただければ結構です。 昭和8年生まれですので、合唱団の中では高齢の方で、団の役に立つことを志しています。

細かいことですが、小生の所属合唱団の名称は、大阪新音フロイデ合唱団 です。
元の労音が母胎です。しかし思想的な偏向は全くありません。
以上 宜しくお願い致します。   8/28 仲  谷    喬


1-10、倉島からのお願い、

仲谷 喬さま、

 早速の快諾のご返事、誠に有り難うございました。

ホームページに掲載する趣旨と内容をご理解頂くために、これまでの交信記録を整理し、ファイルにまとめてみました。これをそのままホームページにアップすれば良いようにしたつもりで、これがたたき台の原案です。

 しかし、最初の試みで、もし不都合があれば大変ですので、念のためご校正頂き、宜しいものを掲載したいと存じます。お忙しいところ恐縮ですが、ご検討頂き、適当にご修正お願いしたいと存じます。

 ホームページを継続するためには、いつも新しい内容を加えることに精力を使っておりますが、これもその一つの試みとご理解頂き、宜しくご協力のほどをお願い申し上げます。 以上、倉島 収生。(2002/08/28)



  

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