神谷郁代のベートーヴェンの第4とグリーグのピアノ協奏曲、


「これぞ高規格CDというべきSACDだ!」
(ピアノ;神谷郁代、小松長生指揮、モスクワ放送交響楽団、SACD Hybrid Disc NF60501、2000年10月、モスクワ音楽院大ホール)

高規格CDレポート(1)
 神谷郁代のベートーヴェンの第4とグリーグのピアノ協奏曲、

「これぞ高規格CDというべきSACDだ!」

(ピアノ;神谷郁代、小松長生指揮、モスクワ放送交響楽団、SACD Hybrid Disc NF60501、2000年10月、モスクワ音楽院大ホール)



 高規格CDと称するCDはこれで4枚目になるが、やっと「これぞ高規格CDというべきSACDだ。」と言えるような凄い高音質のSACDがでた。神谷郁代のデビュー35周年を記念するベートーヴェンの第4とグリーグのピアノ協奏曲である。お値段は何やら良く分からぬオープン価格というCDであり、消費税を入れて5000円弱であった。「高すぎる!値段も高規格だ」と言わざるを得ない。値段の高い理由は、ハイブリッドデイスクだからだそうで、何と通常のCD録音、SACDの高規格CD録音とSACDの5.1CHサラウンド録音の3種類が入っており、収録時間は63*3分である。特徴はSACDプレイヤーばかりでなく、どんなCDプレイヤ−でも聴けますと言うことのようである。確かに自宅の古いCDプレイヤ−でも聴けるのは比較の意味で便利であったが、一度SACDの凄い音を聞いてしまうと、単なるCDで聴くことはまずなくなるので、余り意味のないような気がする。

 ところが、この演奏はどうやら過去に一度普通のCDで発売されていたようだ。このSACDのカバーにアップグレードサービスの案内がついており、既発売のCDについているタスキに所要事項を記載し、この券に1500円をプラスして郵送すると、このハイブリッドのSACDを送ってくれるようだ。そうすると消費税を加えると5000円弱ということになり、3種類全てが聴けるハイブリッドと同じ値段になり、販売価格を高くしたい売り手の言うことは整合性があり、オープン価格などと称してとぼけている。

   しかし、買い手の立場では、私は高規格CDが少なくとも3000円台でなければ、高音質だけというメリットでは、過去にCDがLPを駆逐したように、既存CDに取って代わることはないと思うからである。なぜなら、従来のCDでも音楽的には十分に楽しめる水準を持っているからであり、この点が高度な再生をしようとすると非常に技術的にも難しく高価だったLPの再生と決定的に異なっている。私があえて高価なSACDを求めているのは、個人的に高音質の再生の限界はどの辺にあるかをもう少し追求してみたいという特別な興味からである。私の周囲にはCDマニアが沢山おられるが、DVD-ビデオについてはLDなどとの比較において話題になるものの、オーデイオの高規格CDについては議論されることは殆どないからである。

 このSACDは、音の質感が高く、音の広がりが実に自然であり、素晴らしい音がスピーカーの前面いっぱいに広がる。大音量時でも音がうるさくなく、自然に音量を上げて聴いている事が多い。また、小音量時でも実に静澄であり、音の分離が細やかで明確である。ヴァイオリンの音の硬質感がなく自然である一方、ピアノの音の明快さ、音の広がり、音の重厚さなども十分である。フルオーケストラの中で聞こえるピッチカートのふわりとした音の広がりは見事で、さすが高規格CDというべき風格のある音が聞こえてくる。このSACDの素晴らしい音の部分は、恐らく既存のCDやLPでは得られないと言う実感がする。

 私が求めた数枚のDVDオーデイオでは、確かに大音量でもうるさく感じなく、小音量時の静けさや音の質感が良く素晴らしいとは思うが、通常のCDでも録音が良くて装置に合ったCDなら、この程度の音を出してくれると感じていた。従って、このSACDは、私の装置で聴く限り、明らかに今までの水準のものより高音質であると言えそうだ。そして、このSACDを5.1chのサラウンドで聴くとどうなるか試してみたいと思っているし、さらにスーパートウイータをつければ全体の音がどう変化するか気になってきた。私の装置全体がいずれも10年以上立った古い代物なので、やはり限界が来たなと感じざるを得なかった。長年気に入ってきたシステムであるが、新しいものにすればもっと良い再生音が得られるという実感を持っようになったからである。このSACDは、神谷郁代のピアノが実にきめ細かく、素晴らしい演奏に加えて、高音質の面でも私にこれだけの衝撃を与えてくれた凄い高規格CDであると、感心せざるを得ない。このような優れた高規格CDがこれから続々出るのであれば、新たなシステムを考えるなどの抜本的な対策が必要であるとの思いがしている。

(以上)(2002/04/21)


目次2にもどる
目次1にもどる
私のホームページへ


このページは GeoCitiesです 無料ホームページをどうぞ