モーツアルトのオブリガート曲のさまざま


素晴らしい曲の宝庫です。

モーツアルトのオブリガート曲のさまざま 

           <もくじ>
1、まえがき、
2、オブリガートの意味、
3、スコアチェックからの分類、
4、オブリガートを伴う曲(楽器別)のリスト、
5、オブリガート作品の諸形態--若干の分析--、
6、モーツアルトの協奏曲とオブリガート曲、
7、おわりに、
参考資料ー1、オブリガートの意味の再確認、
参考資料ー2、オブリガート曲の時系列的検討、
参考資料ー3、講演時に準備したCD,LD,ビデオなど、
参考資料ー4、講演後の質疑応答など、


1、 まえがき、

モーツアルトのオブリガートを伴ったアリアには、とても美しい印象に残る曲が多い。いつかよく調べてみたいと思っていたところに、「モーツアルトばかクラブ」の第74号に、安木邦昌氏によるモーツアルトの代表的なオブリガートを伴った曲のリストが10曲ほど掲載されていた。それによると、オブリガートの助奏楽器がさまざまで面白いと思うと同時に、直感的に、調べればまだまだありそうだと言う気がして、それ以来、オブリガート的な曲に遭遇するたびにメモをし、先輩に習ってチェックしてきた。本稿は、前回のピッチカートに引き続き、オブリガートを伴った曲の洗い出しを行い、これぞモーツアルトとも言うべきリストを作って、例会でモーツアルト好きの皆さんと一緒に聴いてみようと考えたものである。

2、 オブリガートの意味、

 ここで取り上げるオブリガートの意味を確かめるために、いくつかの音楽辞典を参照してみた(参考資料-1)。オブリガートの原義には、「欠くことの出来ない」という意味合いがあり、直ちに「助奏」の意味につながらないと感じたからである。調べた結果、ここでは、一般に古典派以降の音楽に関して用いられる【「助奏」の意で、特にひとつの歌声と協奏する声部。たとえばアリアを歌うとき、ある伴奏楽器のほかに、ヴァイオリン、オーボエ、フルートなどが助奏すること。】と考えるものとする。
 作業をしながら気がついたことは、協奏する声部、すなわち、オブリガート楽器は、ソロに限らず、2・3重奏や合奏もあること、また、中心となる歌声はソロが一般的であるが、例外的に2つの歌声がそれぞれに固有の楽器により助奏されるもの(テイト第7曲)や、歌声部のソロが、バス、テノール、アルト、ソプラノと順に交代して移行するもの(チューバミルム、K.626)などがあった。これらは、上記の定義を超えるモーツアルトの発明とでも言うべき新しい試みであると言えよう。

3、 スコアチェックからの分類、

 作業は、CDを聴きながら、オブリガート的な曲に出合うたびに新全集のスコアで確認する方法をとったが、スコア上からは次の2つに分類できる。
1) 新全集でオブリガート楽器用にスコアを分離しているか又はソロの指定がしてあるもの、あるいはオーボエ/兇覆匹閥菠未気譴討い襪發痢(リスト上には、OKと表してある。)
2) スコア上、1)のようにオブリガートの指定がないが、聴感上オブリガートと考えてよい もの。オーケストラの常連である複数の管楽器(オーボエ、フルート、ファゴット、クラリネット、ホルン)がからむものが多い。(リスト上は、なしと記載している。)
問題は、2であり、聴感上の恣意性のそしりを受けるかもしれないし、また、リスト漏れの恐れも考えられるが、本稿は取りあえずの成果と認識していただきたい。

4、オブリガートを伴う曲(オブリガート楽器別)のリスト、

(第1部、管楽器以外のもの)13曲、
 
A、ピアノ、

1) コンサートアリアK.505「どうしてあなたが忘れられよう」10/637、OK.★
 解説;フィガロ初演時のスザンナ役だったNancy Storeceストレースがロンドンに帰国するに際して催された演奏会で歌われた曲で、モーツアルト自身がピアノソロを弾いたとされる。ピアノのオブリガート付きのコンサートアリアというよりも、ソプラノとクラヴィーアの協奏曲と表現する方が適切と言う人もいる。歌詞は次の曲のイドメネオの第10曲と同じであり、その歌詞の選定とその内容から、モーツアルトのストレースへの想いが現れているとされる。

B、ヴァイオリン、

1) コンサートアリアK.490、イドメネオ第10曲bイダマンテのロンド「心配しないで愛しい人よ」6/404、OK★
 解説;イドメネオのウイーン再演時に、イダマンテの役が、カストラートのソプラノからテノールに変更されたため、書き換えられた曲の一つで、第2幕の第1場でアルバーチェのアリアと差し替えられた。ヴァイオリンのオブリガート声部は、華やかさが目立つ曲で、モーツアルトと親しかったハッツフェルト伯爵が演奏したとされる。前半のアンダンテ、後半のロンド形式のアレグレットにおいても、ヴァイオリンが活躍する。K.505はピアノ助奏付きソプラノ用、K.490はヴァイオリン助奏付きテノール用で、同工異曲の対をなす優れたアリアとされる。

2) 羊飼いの王様K.208第10曲アミンタのロンド「彼女を愛しよう」5/1404、OK★
 解説;全曲の中で最も美しいアリアで、ヴァイオリンと協奏曲のような掛け合いが特に美しくカデンツアまでついている。羊飼いのアミンタは、王位を犠牲にしても、恋人のエリーザの方が大事であると歌う。「彼女を愛しよう、彼女に尽くそう。忠実な夫として、忠実な恋人として。ため息もすべて彼女のため……」という熱烈な愛の歌である。この時期にモーツアルトは、コンサートマスターでヴァイオリン協奏曲を多作しており、このオペラの第三曲は、第3番のヴァイオリン協奏曲の第1楽章の冒頭部とそっくりである。

C、チェロ、

1) ドンジョバンニK.527第12曲ツエルリーナのアリア「ぶってよ」8/196、OK
 解説;「ぶってよ、ぶってよ、マゼットさん、あなたの哀れなツエルリーナを。子羊のように私は、ぶたれるのを待っているわ……」と自分の潔白を主張しながらマゼットの機嫌を取りながら歌う。チェロの連続的なオブリガートは、色仕掛けで甘く誘うツエルリーナの官能性を音で表しているように思われる。

D、コントラバス、

1) コンサートアリアK.612「この美しい手に」10/819、バスオブリガートOK
解説;自作の作品目録に、「バスアリア、コントラバスのオブリガート付き、ゲール氏及びピシュルベルガー氏のために」と書かれている。ゲールは「魔笛」の上演でザラストロを演じたバス歌手で、「賢者の石」でも作曲しているモーツアルトの仲間である。ピシュルベルガーは、コントラバスの名手で、シカネーダのフライハウス劇場に所属していた。歌詞の内容は、恋の告白で、オペラブッファの挿入曲である。アインシュタインは、「テノールにふさわしいアリアをバスが歌い、カバのような助奏までついているから、パロデイの感じになった」と評している。

E、マンドリン、

1) ドンジョバンニK.527第16曲カンツオネッタ、8/318、OK
解説;ドンジョバンニが第2幕第3場のエルヴィーラの家の窓辺で、エルヴィーラの若い召使いに対して、マンドリンを鳴らしながら、ピッチカートの伴奏で、この「カンツオネッタ」なるセレナーデを歌う。「窓辺によっておいで、かわいい娘よ。この泣きの涙を慰めておくれ……」

F、グロッケンシュピール、

1) 魔笛K.620、第20曲パパゲーノのアリア、9/290、OK、★
 解説;「おいらは、奥さんか恋人が欲しい、……」とグロッケンシュピール(チェレスタ)を鳴らしながら歌われるパパゲーノの特に有名なアリアである。このLDでは、パパゲーノ役のフインレイが、実際にチェレスタを叩いている。

G、トロンボーン、

1) 第一戒律の責務K.35第5曲キリスト教信者のアリア、3/598、OK、
 解説;モーツアルト10歳の最初のオペラ(教会劇)作品で、アリアには早くもオブリガートが現れるが、その構成は単純である。敬虔な信者のアリアで、このアリアには、審判者の声としてトロンボーンのオブリガート(カデンツア付き)がついている。

2) レクイエムK.626テユーバミルム「ラッパは驚くべき音を」、2/392、OK★
解説;最後の審判が述べられる場面で、それを告げる審判ラッパを象徴するように、厳かにトロンボーンが前奏する。この曲は、前半の主声部をトロンボーンが受け持ち、歌声部のソロが、バス、テノール、アルト、ソプラノの順に交代して移行していき、最後に四重奏で終わるという面白い構造になっている。

H、オルガン、

1) オルガン・ソロ・ミサK.259、ベネデイクトス1/977、OK、  解説;オルガンをオブリガート・ソロとして扱った最初の曲。ベネデイクトスにおいて、オルガンが独立したオブリガート・パートと記譜されているので、この曲は、通称、オルガン・ソロ・ミサと呼ばれている。

2) ベスペレK.321、ラウダテ・ドミヌム、3/104、OK
 解説;普通のオペラのアリアのようなソプラノソロにオルガンとヴァイオリンのオブリガートがついており、ソロと応えあうのが眞に印象的に響く。パリから戻って1778年1月17日に年俸450フロリンで宮廷オルガニストの任用の命令が出ている。

3)荘厳ミサ曲K.337アニュスデイ、1/1324、(Fg&Ob+Pizz.)OK★
 解説;オルガンとオーボエ・ファゴットによるオブリガートを背景に、弦のピッチカート伴奏に支えられながら、ソプラノのソロがアニュスデイを歌うが、それはフィガロの第二幕の伯爵夫人のアリアで再び歌われるものである。モーツアルトが完成させた最後のアニュスデイであり、極めて印象度の高い作品である。

I、合奏(ヴァイオリン、チェロ、フルート、オーボエ)

1) 後宮K.384第11曲、コンスタンツエのアリア「どんな苦難が待ち受けていても」6/1064、OK、★
   解説;コンスタンツエが、死を覚悟して決然たる固い意志をドラマテイックに歌う長大なアリアで、オーケストラの長い前奏が、ヴァイオリン、チェロ、フルート、オーボエによって奏せられ、その後、高音域のコロラチュアとヴァイオリン及び木管とのコンチェルタントな交錯がまことに印象的である。


(第2部、管楽器の部、オーボエ、クラリネット、フルート、ファゴット、ホルン、合奏、3重奏、2重奏、ソロ)18曲

J、オーボエ、

1) コンサートアリアK.418「貴方に明かしたい、お、神よ」10/485、OK.★
 解説;アンフォッシのオペラからの代替アリアで、前半がアダージョ、後半がアレグロの見事な対照をもつアロイジアのために書かれた曲。ひとりで愛の苦悶を嘆くアダージョでは、終始哀調を帯びたオーボエのオブリガートが悲愴感を高め、コロラチューラとオーボエと低弦のピッチカートとが類い希な素晴らしい調和を見せる。ピッチカートの時は、バトルのCDを聴いたので、今回は録音が古いが、フアンの多いマリア・シュターダのCDを聴くことにした。

K、クラリネット、

1) テイトの慈悲K.621第9曲セストのアリア「では行きましょう」9/532、クラリネットソロ、OK.★
 解説;ヴィテリアは、セルヴィリアが皇帝の后になることに、再び嫉妬の念を起こし、自分を愛しているセストに対して、テイトへの復讐を要求する。アダージオとアレグロの二つの部分からなるイタリア的なコロラチュアを多く用いたアリアで、それがクラリネットのオブリガードと絡み合った華やかさを持っている。名手シュタートラーがこの戴冠式オペラのためプラハに出張してきたからとされている。

2) テイトの慈悲K.621第23曲ヴィッテリアのアリア「望みは空しい」9/695、バセットホルンソロ、OK.★
 解説;ロンド形式のラルゲットとアレグロの二つの部分からなる最も長大なオペラ・セリア的な説得力をもったヴィテリアのアリアである。彼女の苦しみと告白のアリアに対して、バセット・ホルンのオブリガートが、悲しみを一層深めているようである。

L、ホルン、

1) ミトリダーテ、K.87、第13曲シーファレのアリア「遠くに別れよう」4/875、OK。
 解説;シーファレとアスパージャは、互いに愛し合っていることが分かったが、これ以上別れて合わないようにしようとシーファレが歌うロンド風のアリアである。ホルンが、前奏から活躍し、オブリガートとしてアリアを飾る。

2) コシファントッテK.588、第25曲フィオルデリージのアリア「お願い、許して、恋人よ」8/1004、なし。★
 解説;フィオルデリージの前の愛人に対する道徳的な悩みと、新しい恋人フェランドへ心引かれていく罪を告白するかなり長大な苦悩のアリアで、前半のアダージョでホルンのオブリガートが活躍し、後半には木管楽器がコンチェルタント風にからむロンド形式のアリアである。

M、合奏(フルート、クラリネット、ファゴット、ホルン)

1) 後宮K.384第17曲デルモンテ(テノール)のアリア「愛よ、その威力を信頼し」6/1218、なし。
   解説;第三幕の冒頭のベルモンテが、コンスタンツエの愛情を讃えてうたうイタリア風のアリアで、初演者のアダムベルガーを考慮に入れて、技巧的なコロラチュアを用い、木管のオブリガートがついている。

 合奏(フルート、オーボエ、ファゴット、チェロ、テインパニ)

2) 女庭師K.196第3曲、長官のアリア「フルートよ、オーボエよ」5/534、後半OK。
   解説;長官アンキーゼが、女庭師に偽装したサンドリーナに対する愛の喜びと苦しみを音楽にたとえて歌うアリア。「わが耳に響く快い音楽、フルートよ、オーボエよ、喜びに満ちて、……、(プレストに変わり)太鼓とラッパの恐ろしい騒音、バストファゴットが狂わしい」これらの楽器の名をあげるたびに、オーケストラでは、それぞれの楽器がコンチェルタントな助奏をする。

N、フルート、オーボエ、ファゴット、

1) ハ短調ミサ曲K.427、エト・インカルナタス・エスト、2/154、なし。★
 解説;6/8拍子で書かれたシチリアーナ風のソプラノのアリアで、木管楽器のオブリガートが素晴らしく美しい。奏楽の天使と聖母の見守るうちに、眠りたまう主の御子を描く至福の音楽の情景とされる。聖俗混交、オペラまがいといった批判を18世紀の聖職者から受けてきた。

2)テイトの慈悲K.621第7曲アンニオFgとセルヴィアFl&Obの二重唱、なし。9/532、
 解説;アンニオ役のメゾソプラノにはファゴットの、王妃に決まったセルヴィリアにはフルートとオーボエのオブリガートがつき、男女の役割が伴奏で強調されている。二人の悲しみに溢れた愛の二重唱で、美しい三部形式のアリアである。

3) フィガロの結婚K.492第27曲スザンナのアリア「おお、早く来い」7/934、なし
 解説;暗い夜の庭、伯爵夫人の着物を着たスザンナは、自分を疑うフィガロが陰で見ていることを知りつつ、密会を待っているかに見せて、長いレチタチーボの後に「おお、早く来い、待ちかねた喜び、私はここで待っています。……」と歌い出す。美しいフルート・オーボエとピッチカートの前奏に始まり、合いの手を入れるようにオブリガートが入る、甘美を極めた叙情的なアリアである。

4)魔笛K.620、第17曲パミーナのアリア「失われてしまった」9/273、なし。
 解説;女性に口をきいてはならないと言う教えを守り、タミーノがパミーナを無視するので、パミーナが「失われてしまった、わが愛の幸せは永遠に、……」と歌い出し、死ぬほど辛いと訴える。ト短調のアリアで、フルートとオーボエのオブリガートが合いの手を入れるように、ソプラノ声部を補っている。

O、オーボエ、ヴァイオリン、

1) リタニアK.243、甘味の聖餐Dulcissimum convivium、2/990、なし。
 解説;ソプラノのソロでアンダンテイーノで歌われる華やかなアリアである。ソロには美しいオーボエとヴァイオリンのオブリガートがついている。初演では、モーツアルト一家とも親しかったカストラート歌手チェッカレッリが受け持ったとされる。歌詞の内容は、この聖餐には天使が助け、また仕えている、という意味である。

P、オーボエ、フルート、

1) 羊飼いの王様K.208第9曲アレッサンドロ王のアリア「何と幸せなるか」5/1380,なし。
 解説;テノールのアレッサンドロ王は、羊飼いの王子と身分あるカドモ家のエリーザとを結婚させて、王位を与えることが敗者を幸せにすることだという自身の徳政を称えるアリアを歌う。これはオブリガートのフルートとオーボエを相手にしたテノールの明るく伸びやかなアリアで、甘く軽いテノールの聴かせどころである。
Q、オーボエ、ファゴット、

1) ツアイーデK.344第3曲ツアイーデのアリア「お休みなさい」6/30、OK.
 解説;ツアイーデは、愛している貴族のゴーマッツが庭の隅でまどろんでいるのを見て、「お休みなさい、愛しいお方よ安らかに。……」とうたう。メヌエットのテンポで歌われる叙情的な感動に満ちたアリアで、オーボエのソロで演奏されるオブリガートが美しい。

2)コンサートアリア、「テッサリアの民よ」K.316、10/335、なし。
 解説;アロイジアの声と音楽的能力を発揮させるために書いた、派手なコロラチュアが活躍する最高技巧の恋の歌である。長いレチタの後のアリアで、オーボエとファゴットのオブリガートが、随所でコロラチュアと美しく競いあっている。終結部に第3線「ト」音が2回現れる。

3)テイトの慈悲K.621第14曲三重唱セストのアリア、9/532、なし。
 解説;第二幕の2曲目、カンピドーリオの丘に火をつけたセストが、逃げるか止まるか迷っているところへヴィテリアが登場し、さらに親衛隊長のププリオがセストを捕らえに来て、三人三様の心情を歌うアリアである。三重唱を開始するセストの歌には、オーボエのオブリガートがついており、捕らえられるセストの悲しみや絶望的な気持ちを表しているように聞こえる。

R、オーボエ・ホルン、

1) 第一戒の責務K.35第4曲、世俗精神のアリア、3/581、なし。
 解説;世俗精神が敬虔なキリスト教信者を「おまえのような幸福ものが、……」と信仰を惑わすように歌うアリアで、ここでは、オーボエとホルンのオブリガートがついている。

S、フルート・ホルン、

1) 第一戒の責務K.35第6曲、世俗精神のアリア、3/510、なし。
 解説;世俗精神が敬虔なキリスト教信者をののしってうたうアリアで、ここではフルートとホルンのオブリガートがついている。


(注)1、曲名の最後にある数字の意味は、新全集赤本の巻数/ページ数を表す。
  2、OKは、ソロ楽器がスコア上明確なもの、「なし」はソロ楽器の指定が特にないものである。
  3、★印は、私が選んだオブリガート曲ベスト10である。


5、 オブリガート作品の諸形態、―― 若干の分析―― 

 以上に掲げたリストは、オブリガートに使われた楽器別に分類整理したものである。これを見て第一に感ずることは、モーツアルトの作曲の多様性である。オブリガート楽器の種類の多さと、それらのさまざまな組み合わせが多いことにまず驚かされる。31曲中似たような作品は殆どななく、いずれもオリジナリテイの高い素晴らしい曲の集まりであるとしみじみ感じた。楽器の種類と組み合わせは、リストの通りAからSまで約20種類にも及んでいる。

第二に、モーツアルトがオブリガートの曲を作曲しようとした動機や作曲者としての意図などを類推して整理してみた。これは特に、作曲者がスコア上で、オブリガートとかソロ楽器としてスコアに指定した場合に、その曲の作曲上の背景を考えることによって、概ね次のようなことが言えるのではないかと考えられる。解説において、このためのキーワードに下線を付してあるので、参考にしていただきたい。

1) 作曲者自身が、演奏者として活躍しようとしたもの、
これらには、例えば、ピアノ伴奏者としてのK.505、コンサートマスターとしてのK.208の10、宮廷オルガニストとしてのK.321およびK.337などが揚げられる。実際の演奏会では、自身が指揮をしながら助奏を試みたかもしれない。

2) 作曲者と親しい演奏者の腕を披露しようとしたもの、
これらには、カストラート歌手を際立たせるK.243、アロイジアの声をサポートするK.316、ヴァイオリンの上手なハッツフェルト伯爵用のK.490、クラリネットの名手シュタートラー用のK.621テイトの慈悲の2曲のアリア、コントラバスの名手ピシュルベルガー用のコンサートアリアK.612などが揚げられよう。
1)および2)は、まさに協奏曲といっても過言でない演奏上の技巧が要求されており、後述する石井先生の協奏曲の名手としてのモーツアルトの力量を十分発揮していると考えられよう。

 3)オペラなどの登場人物と関係の深いもの、
これらには、たとえば、パパゲーノの象徴であるグロッケンシュピールK.620の20、宗教曲の聖者を象徴するトロンボーンK.35の5やK.626の3などが揚げられよう。

 4)オペラなどのその情景から、特有の楽器が想定されるもの、
これらには、オペラの台詞に登場する各楽器を模倣したK.196の3、セレナードにおける伴奏楽器のマンドリンK.527の16、官能性を強調するチェロK.527の12、悲壮感を高めるオーボエK.418、眠る天使を描くような木管合奏のK.417の11曲、男女の役割を暗に示すK.621の7などが例として揚げられようか。

5)その他、
約30曲に及ぶオブリガート曲のうち半数以上が、上記1)から4)に分類されている。想像を働かせて無理に類推することを避けたので、その他扱いの曲が多いが、どうしてこの様なオブリガートにしたのか、作曲者自身に聞いてみたいものである。

第三にピッチカートのオーケストラ伴奏を伴うものが、5曲も含まれていることである。そのうち4曲が、ソプラノ、木管楽器、ピッチカートの三つ巴であり、いずれもモーツアルトの聴かせどころといえる素晴らしい曲である。

 終わりにオブリガート曲を時系列的に整理して考察してみた。そのリストは、参考資料−2にまとめた通りである。一見して、印象的なのはオブリガート曲はK.35のトロンボーンに始まり、K.626の3のトロンボーンに終わっていることである。これはモーツアルトの伝記のどこかにふれられても良さそうな、神がかった象徴的なできごとと言えそうである。また、アリアの作曲数が生涯にわたって作曲されているので、オブリガート曲も全生涯にわたってまんべんなく作曲されたと言えるであろう。ウイーン時代を前、中、後期に三区分して考えてみると、ウイーン時代の後期に集中しているのが印象的であるが、オペラのテイトに4曲が集中しているので、むしろ偶発的なものと考えるべきであろう。


6、 モーツアルトの協奏曲とオブリガート曲、

 バーネット・ジェームスは「モーツアルトはオペラの巨匠であると同時に協奏曲の名人でもあり、彼においてはこの二つの分野は密接につながっている。事実、彼のオペラにおける優れた作品と協奏曲のそれとの裏には、同一のドラマチックな才能が働いていると思われる。特に古典協奏曲という形式が、ヘンデル式のオペラアリアとその伴奏というものから派生したものであることを考え合わせるとき、以上の特性はさらに明かになる。」とのべている。深い洞察に満ちた見識ある言葉である。

 石井宏先生は、「クラシック音楽意外史(90年、東京書籍)」のなかの「“人の声”から“デーモン”へ-----モーツアルトのピアノ協奏曲K.482,488,491をめぐって-----」という文章の中で、モーツアルトにおいては、オペラ、ピアノ協奏曲、木管合奏は、一つの糸で繋がっているものとして、これら3曲の協奏曲は、クラリネットを含む最大の管楽器編成を持ち、「そこではピアノと管楽器群が互いに歌いあって、歌手こそいないもののまるでオペラの世界に遊ぶような陶然たる世界を作り出している」と述べている。そして、その部分の感覚的な官能的な美しさにおいては、彼のピアノ協奏曲の中でも白眉のものであり、つまりは古典協奏曲のバックグラウンドであるオペラの世界を、最もよく反映させた作品であると、最高の言葉でその素晴らしさを形容している。

 ここでいう古典協奏曲というのは、オペラのアリアを楽器でやってのけようという着想から始まったものであり、18世紀前半までは、器楽は声楽の伴奏と考えられていたし、音楽会といえば、オペラ歌手達のアリアが中心であった。協奏曲の“急─緩─急”という形式も18世紀前半のイタリアオペラのアリアの作り方から始まっている。また、当時のオペラは、王侯貴族は歌手で聞き、一般の人は木管バンドで聞くのが通常であった。モーツアルトの時代の音楽会も歌手中心であり、コンサートアリアの出番が多かった。その中でピアニストとしてのモーツアルトの協奏曲活動が、音楽会で重要な地位を築くようになり、器楽を中心とする後世の音楽会へのあり方に影響を与えたものと思われる。

   モーツアルトの諸作品の中に、これらの説を裏付ける多くの作品群がある。その中で、モーツアルトのオブリガート作品は、歌声と器楽とオーケストラの三つ巴的な作品であり、歌声とオーケストラから始まった古典協奏曲から、純粋な器楽のための古典協奏曲が生まれるための過渡的存在または中間的存在と考えられよう。モーツアルトは、常日頃、器楽の特徴を発揮させるためにオブリガートなどで工夫をこらす機会が多かったため、それをベースとして、さまざまな器楽の協奏曲を生み出し、ひいては名人といわれるようになったものと考えられる。この様な説を支持する作品群とは次の様なものがあろう。

1、 1、20曲を超えるオペラ作品の中のアリアの他、80曲を超えるコンサートアリアがあり、声とオーケストラのための作品が多い。

2、 初期の作品にモテットなどの教会音楽の形で、演奏会用のアリアのようなソプラノとオーケストラのための協奏曲と言うべきものが残されている。(例;モテット「踊れ、喜べ」K.165(158a)、レジナ・チェリK.108(74d)、レジナ・チェリK.127、レチタテイーフとトアリア「故の問題は」K.143(73a)など)

3、 器楽のための協奏曲の種類がモーツアルトほど多い作曲家はいない。(ピアノ(1,2,3台を含む)、ヴァイオリン、フルート、オーボエ、ファゴット、ホルンなど(トランペットは紛失、チェロは断片)。また、複数の器楽独奏による協奏交響曲的なものは、未完成曲を含めると実に多様であることに気がつく。

4、 管楽器のセレナードやデイヴェルテイメントなどのハルモニー音楽用の作品が多く、木管バンドの効果的利用技術に卓越している。管楽器のオブリガートが多く、同時に協奏曲の種類が多いのは、このためであろうか。

5、 声と器楽のソロとオーケストラの三つ巴とも言うべきオブリガート作品が多い。声のアリア(声とオーケストラ)から器楽の協奏曲(器楽とオーケストラ)へと移行していく過渡的存在が、オブリガート作品であると言えないだろうか。協奏曲名人説を裏付ける重要な作品群が、一連のオブリガート曲にあると言うのは言い過ぎであろうか。


  7、 おわりに、

 前回のピッチカートに引き続き、オペラ、宗教曲、コンサートアリアの中からオブリガート作品を抽出し、モーツアルトの作品の多様性と素晴らしさについて述べてきた。これらはアマチュアでなければ困難な時間と手間がかかる仕事であったが、同時にモーツアルトの細部における珠玉のような部分に、スコアを見ながら直接触れることが出来、自分自身の貴重な財産になったと考えている。もし時間に余裕のある方は、今回作成したオブリガートリストを一曲づつ確認していただき、モーツアルトの一つの宇宙を訪問していただければ、真に幸いである。最後に、モーツアルトのアリアの数は膨大であり、ここで抽出したオブリガート曲が全てであるとは、とても言い難い。もし、新たな作品に気づかれたら、ご連絡頂ければ幸甚である。このリストは、あくまでも出発点であると理解している。


参考文献、
1、 属 啓成;モーツアルト、<声楽編>、音楽之友社、1975、
2、 海老沢 敏;モーツアルトアーカイブ、小学館、1999、
3、 モーツアルト事典、東京書籍、1991、
4、 石井 宏;クラシック音楽意外史、東京書籍、1990、
5、 柴田南雄;器楽協奏曲について、名曲解説全集8巻協奏曲1音楽之友社、1979、
6、礒山 雅;「モーツアルト 二つの顔」 講談社、2000、4、
                        (2000年10月22日)



(参考資料ー1)

オブリガートの意味の再確認、

1、音友社の新音楽辞典;
(1)楽曲の価値を損なうことなしに省くことの出来ない声部。アド・リビトウム(自由に)に対する語である。
(2)助奏。特にひとつの歌声と協奏する声部、例えばアリアを歌うとき、ある伴奏楽器の他に、ヴァイオリン、オーボエ、フルートなどが助奏することである。助奏は良く省かれるが、正しくない。

2、音友社のオペラ辞典;
<助奏>の意で、特にひとつの歌声と協奏する声部。アリアが歌われるとき、ある伴奏楽器の他に、ヴァイオリン、オーボエ、フルートなどが助奏すること。オペラセリアで多く書かれ、モーツアルトの<テイートの慈悲>のヴィッテリアのロンド(第23曲)におけるバセットホルンによるもの、<ランメルモールのルチアの狂乱の場におけるフルートによるものなどが有名。

 ここでは、全く抵抗なく、オペラ辞典の定義で、歌曲の声部への助奏の意味で、それに該当する曲を選定しようとしていたが、よく考えると、新辞典の定義にある本来の原義(1)の意味が、「助奏」の意味とは反対の意味のように受け取られる。例えば、モーツアルトの最初期のヴァイオリンソナタは、「ヴァイオリンのオブリガート(助奏)がついたクラヴィーアソナタ」であり、本来はピアノソナタで、ヴァイオリンは省略しても良いと教えられてきた。しかし、(1)によると省くことの出来ない声部はクラヴィーアであるので、オブリガートは、クラヴィーアになって、誤解が生ずる。そのため、音楽の友社以外の辞書で、念のため、オブリガートの意味を再確認した。


3、平凡社の音楽辞典;
オブリガート obbligato[伊]; 原義は 「欠くべからず」「義務づけられた」など。
(1) 17〜18世紀の 楽語として、ある声部 またはある楽器が欠くべからざること、変更を 加えては ならないことを示す。崩れた形 ながら obligatoと いうつづりも、各国で通用している。 採否自由の 意味での アド・リビトゥムに 対する語である。 ハープシコード等では、数字つき 低音の 形でなしに、奏すべき音を 詳細に 指定する際に オブリガートと 付記した例が 少なくない。 すなわち、ある楽器と オブリガート・チェンバロのための ソナタは、トリオ・ソナタの 上声のうちの 1声部を鍵盤楽器の右手が、通奏低音を左手が 受け持つ 形であって、古典派の2重奏ソナタへと 発展していった。

(2) 古典派以後の音楽に 関して この語が用いられる 場合には、伴奏の1形式を指す場合が 多い。すなわち 主旋律に対して 相競う ような 形をとる 旋律的伴奏    accompagnamento obbligato のことで、助奏とも 呼ばれる。
                             以上。



(参考資料−2)

オブリガート曲の時系列的検討、

(ザルツブルグ時代;13曲、)(   ―1781年)
1966、 K.35   トロンボーンなど3曲 
1770、 K.87   ホルン
  1774、 K.196   合奏
1775、 K.208   ヴァイオリンなど2曲
1776、 K.243   オーボエとヴァイオリン
1776、 K.259   オルガン
1778、 K.316   オーボエとファゴット
1779、 K.321   オルガン
1780、 K.337   オルガン
1780、 K.344   オーボエとファゴット

(ウイーン時代前期;4曲、)(1781―1785年)
1781、 K.384   合奏など2曲
          1782、 K.427   フルート、オーボエ、ファゴット
1782、 K.418   オーボエ

(ウイーン時代中期;5曲、)(1786―1790年)
1786、 K.490   ヴァイオリン 
1786、 K.492   フルート、オーボエ、ファゴット 
1786、 K.505   ピアノ
1787、 K.527   チェロなど2曲

(ウイーン時代後期;9曲、)(1790―1791年)
1790、 K.588   ホルン
1791、 K.612   コントラバス
1791、 K.620   フルート、オーボエ、ファゴットなど2曲
1791、 K.621   クラリネットなど4曲
1791、 K.626   トロンボーン


(注)ウイーン時代の時代区分は、磯山氏(文献6)による。



(参考資料−3)講演時に準備したCD、LD、ビデオなど一覧、

1、コンサートアリアK.505「どうしてあなたが忘れられよう」
ビデオ;イダマンテ;スチューダー、Pカニーノ、アバード指揮ベルリンPO、91年
 CD;イダマンテ;ベルガンサ、プリッチャード指揮ロンドンSO、62年12月、

2、コンサートアリアK.490、イドメネオ第10曲bイダマンテのロンド
 LD;イダマンテ;キューブラー、エストマン指揮ドロットニングHO、91年

3、羊飼いの王様K.208第10曲アミンタのロンド「彼女を愛しよう」
LD;アミンタ;ブラーシ、マリナー指揮アカデミー89年1月ザルツ州立劇場、

4、ドンジョバンニK.527第12曲ツエルリーナのアリア「ぶってよ」
 LD;ツエルリーナ;メンツア、ムーテイ指揮ミラノ、88年

5、コンサートアリアK.612「この美しい手に」
 CD;バス;ハーゲン・ウイリアム,プルースト指揮Sinfonia D’anvers、88年、

6、ドンジョバンニK.527第16曲カンツオネッタ、
 LD;ドンジョバンニ;トマス・アレン、ムーテイ指揮ミラノ、88年、

7、魔笛K.620、第20曲パパゲーノのアリア、
 LD;パパゲーノ;G.フインレイ、ガーデイナー指揮イングリシュBE95年、

8、第一戒律の責務K.35第5曲キリスト教信者のアリア、
 CD;キリスト;A.ボールデイン、マリナー指揮シュトットガルトRSO88年)

9、レクイエムK.626テユーバミルム「ラッパは驚くべき音を」、
 LD;Bハウプトマン、Tハドレー、Aユーイング、Sマクローリン、バーンスタイン指揮バイエルンRSO、88年、

10、オルガン・ソロ・ミサK.259、ベネデイクトス、
 CD;ノイマン指揮、ケルン・コレギウムO&CHO、

11、ベスペレK.321、ラウダテ・ドミヌム、
CD;ソプラノ;白井光子、ケーゲル指揮ライプチヒRSO、81年、

12、荘厳ミサ曲K.337アニュスデイ、
ビデオ;ソプラノ;ハイ・チェレ、ホリガー指揮オーストリアRSO、98年、

13、後宮K.384第11曲コンスタンツエのアリア「どんな苦難が待ち受けていても」
 LD;コンスタンツエ;ヴィンスカ、エストマン指揮ドロットニングホルム宮廷劇場90年、

14、コンサートアリアK.418「貴方に明かしたい、お、神よ」、
CD;ソプラノ;マリア・シュターダ、パウムガルトナ指揮モーツアルテウム61年、

15、テイトの慈悲K.621第9曲セストのアリア「では行きましょう」
 LD;セスト;トロヤノス、レヴァイン指揮ウイーンPO、88年ポネル演出、

16、テイトの慈悲K.621第23曲ヴィッテリアのアリア「望みは空しい」
 LD;セスト;トロヤノス、レヴァイン指揮ウイーンPO、88年ポネル演出)

17、ミトリダーテ、K.87、第13曲シーファレのアリア「遠くに別れよう」
 LD;シーファレ;アン・マレイ、アーノンクール指揮、ポネル演出86年、

18、コシファントッテK.588第25曲フィオルデリージのアリア「お願い、許して、」
  LD;フィオルデリージ;ルークロフト、ガーデイナー指揮イングリシュBE95年、

19、後宮K.384第17曲デルモンテ(テノール)のアリア「愛よ、その威力を信頼し」
  LD;デルモンテ;クロフト、エストマン指揮ドロットニングRPO90年、

20、女庭師、K.196、第3曲、長官のアリア「フルートよ、オーボエよ」
  LD;長官;ベネーリ、カンブルラン指揮モネRPO、89年ヘルマン演出、

21、ハ短調ミサ曲K.427、エト・インカルナタス・エスト、
  テープ;ソプラノ;ポップ、クーベリック指揮バイエルンSO、81年、

22、テイトの慈悲K.621第7曲アンニオFgとセルヴィアFl&Obの二重唱、
 LD;アンニオ;ハウウエル、セルヴィア;マルフィターノ、レヴァイン指揮ウイーンPO、88年ポネル演出、

23、フィガロの結婚K.492第27曲スザンナのアリア「おお、早く来い」
 LD;スザンナ;フレーニ、ベーム指揮ウイーンPO、ポネル演出75年)

24、魔笛K.620、第17曲パミーナのアリア「失われてしまった」
  LD;パミーナ;C.エルツエ、ガーデイナー指揮イングリシュBE95年)

25、リタニアK.243、甘味の聖餐Dulcissimum convivium、
  CD;ソプラノ;白井光子、ケーゲル指揮ライプチヒRSO、74年)

26、羊飼いの王様K.208第9曲アレッサンドロ王のアリア「何と幸せなるか」
  LD;アレッサンドロ王ハドリー、マリナー指揮アカデミー89年1月ザルツ州立劇場、

27、ツアイーデK.344第3曲ツアイーデのアリア「お休みなさい」
 CD;ツアイーデ;マテイス、クレー指揮ベルリン国立オペラ、73年、

28、コンサートアリア、「テッサリアの民よ」K.316、
  CD;ソプラノ;グルベロヴァ、ハーガー指揮モーツアルテウム、79年、

29、テイトの慈悲K.621第14曲三重唱セストのアリア、
LD;セスト;トロヤノス、レヴァイン指揮ウイーンPO、88年ポネル演出、

30、第一戒の責務K.35第4曲、世俗精神のアリア、
  CD;世俗;I.ニールソン、マリナー指揮シュトットガルトRSO88年、

31、第一戒の責務K.35第6曲、世俗精神のアリア、
  CD;世俗;I.ニールソン、マリナー指揮シュトットガルトRSO88年、

(以上)



参考資料―4、講演結果の質疑応答など、

1、 オペラ作品が、非常に多かったので、分りやすさも考慮して、画像があるものは出来るだけ映像で紹介するよう配慮したが、結果的に、極めて好評であった。

2、 オブリガート曲をどうして見つけ出すのかというご質問があった。ピッチカートにも通ずることなので、私のやり方をご紹介すると、やはり普段オペラなどを聞いていて、「らしい」と感じたときにメモを残しておき、時間のあるときにスコアでチェックするというやり方の蓄積である。この点で、属先生のご本は、一番参考になり、先生は全て、スコアを参照しながら記述したものと思われる。お陰で、私の属先生の本は、線を引いたり、私のメモの書きこみで一杯になっている。

3、 「後宮」のコンスタンツエのアリアに関して、かなり長い管楽器の前奏の後にアリアが出てきて、その管楽器がソプラノをオブリガートしているが、オーケストラが長いこのような曲をオブリガートとすれば、例えば「コシ」などにも同じような曲が出てくるので、オーケストラ伴奏はみなオブリガートとみなされるのではないか、という趣旨のご質問があった。

 このように長い前奏を持ったオブリガート曲は、31曲中これだけであり、スコアでは、前奏部の始めから、ソロ楽器として他のオケ楽器と譜線を別に記述しており、アリアにおいても同じなので、この場合は明らかにオブリガートと言えると思われる。しかし、傾聴すべきご意見であり、「コシ」や「魔笛」などにもありそうなので、後日、スコアでチェックしながら確認したいと考えている。

4、 参考資料―1で配布した定義のところで、平凡社の定義に、「崩れた形 ながら obligatoと いうつづりも、各国で通用している。」という記述があるが、モーツアルトはどういう書き方をしているかというご質問があった。スコアを見れば直ぐ分るであろうという趣旨であった。しかし、新全集では校訂されているので、ご本人がどういう綴りを書いたかは、スコアでは分らないし、通常はsoloと書きこむ場合が多いと思われる。しかし、K.612のコントラバスのオブリガードがついたバスのためのコンサートアリアにおける自筆作品目録の自身の筆跡では、obligato(Eine Bass Aria mit obligatem Contra Bass) と略称している。

                           (以上)



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