私のハ短調ミサ曲


ハ短調ミサ特集への投稿

       私のハ短調ミサ曲 

 私のハ短調ミサ曲の最初のLPレコードは、デービス指揮のフイリップス盤であった。私の場合には、最初のレコードが、思い入れ盤となり、その曲の評価の標準になるのが普通であったが、この曲は違っていた。どこかで聴いたエト・インカルナトス・エストのしびれるような強い印象があったり、キリエやグロリアの一部のロマン派を思わせるような部分に惹かれたりして、やはり好きなソプラノ歌手と納得できる指揮者の組み合わせが、自分のベストを決めるものとかなり前から思っていた。

 CD時代になって最初のレコードは、カラヤンとヘンドリックスのものであった。その後、LP時代に入手できなかったフリチャイとシュターダのものを含め、好みの組み合わせをあれこれと求めるうちに、データベースでは13組が登録されるようになってしまった。その中で、現在、好みの盤はと問われると、3組のLDを揚げておきたい。第一は、クーベリックとポップのもの、第二は、バーンスタインとオジェーのもの、第三は、ガーデイナーとボニーのもの(入手順)であり、どれを取ってもハ短調ミサ曲のすばらしさを堪能できる。エト・インカルナトス・エストのお好きな方は、どの盤も良いが、特にポップがお好きな方には、どのオペラの映像よりもこのLDのポップが、見応えがあると思われる。

 このミサ曲の大きさ、宗教的な深い感動などを求める方は、バーンスタイン盤が良いと思われる。また、この盤のオジェーとシュターデの二重唱は、モーツアルト好きへの最高の贈り物である。バーンスタインが亡くなる半年前の映像であるが、そういう予感を全く感じさせないしっかりした指揮ぶりであり、合唱の力強い深い響きと、教会の見事な造りとその残響が、極めて感動的である。若々しい明るい演奏を求める方には、オリジナル楽器によるガーデイナー盤がおすすめである。このLDの若さで瑞々しいボニーとオッターのコンビは素晴らしく、また小編成のモンテヴェルデイ合唱団の透明感あふれる合唱は実に見事である。

 久しぶりに、この3種類の映像を聴きくらべて、モーツアルトはすごい曲を残したと改めて思った。この曲の作曲の動機が、久しぶりの故郷での新妻コンスタンツエのご披露にあったようなので、一番この事情に合っている演奏は、若さあふれるガーデイナー盤かと思われる。しかし、バーンスタインのように、ベートーヴェンの曲を思わせる思い入れをこめた演奏をしても、初めからそうして演奏するよう作曲された曲のように聞こえてしまう不思議な曲である。ソリストが活躍する宗教曲は、オペラと同様に、映像の方が効果的であり、特に日本にはない古い残響の豊富な教会での演奏は、宗教的感動をより高めるものと思われ、バーンスタイン盤はこの意味で極めて成功している。


      (1996/5/5)

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