私のケッヒエル番号


K.449(ピアノ協奏曲第14番変ホ長調)


フェラインでは、会員の要望により、各会員が好みに合ったケッヒエル番号を自由に選定し活用する方式を定め、年会費の納入と同時に好きな番号の提出を求めている。しかし、私のケッヒエル番号は、ただ単純に大好きだというだけでは決められないと思った。それは、多分、自分の背番号や代名詞のようなものになってしまうので、他の人と重複してはいけないし、自分と深く関わりがあるべきであろうと考えた。過去に、好きな曲のアンケートをいただいたことがあるが、大好きな曲をひとつに絞るのは至難であったし、その時の気分次第で変化する恐れがあったからである。色々と熟慮したあげく、自分の番号は一番聴いている機会が多く、好きな曲が多いピアノ協奏曲の中から選ぼうと考えた。その中で一番思い入れが多く、レコードの枚数も多いのは、実はK.466なのであるが、自分との関わりということから、K.449(第14番変ホ長調)を自分の番号にしようと考えた。

 もう大分昔の話になるが、沢山あるピアノ協奏曲を1曲1曲、丹念に聴いていった時のことである。私の誕生日は2月9日なのであるが、実はモーツアルトが作曲年月日、タイトル、楽器編成、冒頭主題を書き入れた自作品目録を作り始めたのが1784年2月9日からであることに気がついた。そしてその目録の最初の記入曲がK.449なのである。私の生まれる丁度152年前に、モーツアルトはK.449を完成させ、これを第1曲とする作品目録を記載し始めた。そして、その最終ぺージは、死の床につく1791年11月15日に完成したK.623で終わるまで、続けられたのである。

 自筆の自作品目録がどういう動機や意図から始められたのかは推測の域を出ないのであるが、私はモーツアルトがプロの音楽家として、死ぬまで一番大事にしていたのはこの目録ではないかと思う。ケッヒエルもK.449以降の番号付けは、この目録のおかげで大助かりだった筈である。私がK.449を、心密かに自分の曲であるかのように思ったり,K番号について他の方々よりも多くの興味や関心を持っているのは、以上のような理由によるものである。
 私がK.449を含む初期の一連のピアノ協奏曲を聞き込んだレコードは、ゲザ・アンダがモーツアルテウムを指揮したLPであり、K.449はK.491と一緒になったとても明るくさわやかな演奏であった。その後、ブレンデル・マリナー盤やアシュケナージ盤が出て、それらが私の定盤になっていった。しかし、最近偶然手にしたヤニグロ指揮、ザグレブ室内楽団によるブレンデルの62年の旧録音のCD復刻盤(Vanguard Classics)が発売され、丁寧で生き生きした好演なので、とても気に入っている。また、映像では、最近、バレンボイムがベルリンフイルと定期で演奏しているBSライブ録画のものが、彼の多才さを良く示す見所のある演奏であると思われる。

  なお、この曲には、オーボエとホルンをはずした弦だけの伴奏による演奏があるのをご存じだろうか。これはこの作品目録の楽器編成の欄に、「2オーボエと2ホルンは使用任意に」と記載されていることによる。これが、かって、下注によるファクシミリで自筆目録をチェックしている最中に、自身の手で書かれているのを自分で偶然に発見した。そのときの喜びは、まさに例えようもないものであった。モーツアルトが意図したように、ピアノ5重奏曲の形で室内楽風に演奏したものには、フランスで活躍するコラールがピアノを弾いているすてきなレコード(EMI盤)がある。このレコードは2枚組で初期のオーケストラの編成規模が小さいピアノ協奏曲を6曲取り上げており、さらに彼らは2曲のピアノ4重奏曲も別盤で録音しているので、比較検討しながらお聞きすることをお薦めしたい。

(1997・08・15)
                          (注)
      Mozart's Thematic Catalogue-A facsimile-,A.Rosenthal and A. Tyson,Cornell University Press,New York ,1990,
     

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