(最新収録の映像記録;ルイゾッテイ指揮ホール・オペラの「ドン・ジョバンニ」)
10-2-3、ニコラ・ルイゾッテイ指揮、G.ラヴィア演出、東京交響楽団によるサントリー・ホール・オペラの「ドン・ジョバンニ」K.527、 2009年4月5日、サントリーホール、

−指揮者のフォルテピアノが活躍し、即興的に弾かれた自在なフォルテピアノのセンスの良さが劇を面白くさせていた。また、全ての歌手陣が目の前で走り回るようなスピード感を持って舞台を活気づけ、映像では特に迫力ある動きが目についた。さらに、オーケストラと舞台との近さが幸いして、歌声とオーケストラとのアンサンブルの良さを感じさせた−

(最新収録の映像記録;ルイゾッテイ指揮ホール・オペラの「ドン・ジョバンニ」)
10-2-3、ニコラ・ルイゾッテイ指揮、G.ラヴィア演出、東京交響楽団によるサントリー・ホール・オペラの「ドン・ジョバンニ」K.527、 2009年4月5日、サントリーホール、
(配役)ドン・ジョバンニ;M.ウエルバ、ドンナ・アンナ;S.ファルノッキア、ドン・オッターヴィオ;B.ナコスキ、騎士長;E.カプアーノ、ドンナ・エルヴィラ;増田朋子、レポレロ;M.ヴィンコ、マゼット;D.ヴァチコフ、ツエルリーナ:D.ロドリゲス、その他、
(09年09月07日、NHKBS103ウイークエンド・シアターをBD-017にHEモードでデジタル録画)

  横長に作られた舞台に向かって指揮者が観客席を見ながら指揮をするサントリーホールのホールオペラは、前回の「フィガロの結婚(9-4-2)」に次いで2作目の「ドン・ジョバンニ」であり、前作同様にルイゾッテイが指揮をしながらフォルテピアノでレチタテイーボを自在に操って、オペラ・ブッファらしい動きと音作りに挑戦するものであった。
指揮者以外は殆ど知られていないイタリア人たちの歌手陣であるが、舞台は薄暗い廃墟のようなところで、衣裳だけは現代風であり、「フィガロの結婚」と同様に活気のある動きの速い舞台となっていたが、舞台が客席に近いため歌手の声や動きが眼前に広がって迫力があった。それがオーケストラとのアンサンブルの響きに微妙に影響を与えており、このホールオペラの特徴がオペラ全体にどういう効果を発揮するかがこのオペラの楽しみであった。



   映像では始めに歌手陣の紹介が始まっており、幕が開くと舞台とオーケストラの中心に指揮者がおり、コンサートミストレスににこやかに握手をしてから序曲が始まった。二つの重苦しい大きな和音の響きが長く残り、石像が登場する場面の音楽がうねるように進行してから、モルト・アレグロの弦が早いテンポで走り出した。指揮者一人にライトが当たり若く見えるルイゾッテイが、嬉しそうに笑みを浮かべながら軽快に両手を振っており、その早いテンポが小気味よい。この指揮者はある瞬間にふっとテンポを落とすクセがあり序曲でもその瞬間が見られたが、威勢よく終わりながら続けて第1曲のレポレロ登場の早い序奏に入って行った。レポレロは床に座り込んでブツブツ言っていたが、物音が聞こえると素速く身を隠していた。すると階段の上から黒装束のドンナ・アンナと黒帽子と色メガネのドン・ジョバンニが争いながら駈け下りてきた。誰か来ての悲鳴で大柄の老人が駆けつけて剣をつきつけた。ドン・ジョバンニもやむを得ず剣を抜くが剣を交わす前に老人が先に倒れてしまい、倒れたまま無抵抗でドン・ジョバンニに刀で刺されてしまっていた。これは正当防衛でなく、まさに罪深い殺人そのものであった。
     フォルテピアノが一頻り響いてから、大勢の従者とともにドンナ・アンナとオッターヴィオが駆けつけ、従者の明かりで騎士長が倒れているのが発見された。さあ大変。ドンナ・アンナが屈み込むが、父の死に気がついて気を失う。が気丈な彼女は気がつくとオッターヴィオとの二重唱となり、激しい勢いでこの血に賭けてと彼に復讐を誓わせていた。



   やがてドン・ジョバンニとレポレロが路上でフォルテピアノの多彩な伴奏で言い争いをしているうちに、「女の匂いがする」とドン・ジョバンニが立ち上がり、様子を探り出した。舞台にはオーケストラの前奏とともに黒帽子黒メガネのズボン姿の男装のエルヴィーラが登場し、あの悪人を見つけて復讐しようと元気よく歌っていた。しかし、ドン・ジョバンニが近づくと直ぐに探していた彼だと分かり、エルヴィーラが激しく攻め寄るので閉口し、レポレロに話してやれと言って任せて逃げ出してしまった。レポレロが貴女ばかりではないと軽快なテンポで歌い出し、カタログを見せると彼女は驚いてしまい、スペインでは1003人と歌われて呆然としていた。途中で拍手が入ってしまったが、これはご愛敬。後半のアンダンテでもレポレロは調子よく歌い万雷の拍手を受けていた。座り込んでいたエルヴィーラは復讐を誓っていた。



   大勢の若者たちが登場し、花嫁姿のツエルリーナと正装したマゼットが机の上に上がり、二人で歌いながら踊ってキスをしていた。その騒ぎの中に男二人が登場し、ドン・ジョバンニがツエルリーナに目をつけ名乗らせて機嫌を取り、皆をコーヒーやワインで屋敷で歓待しようとレポレロに命令した。邪魔なマゼットを脅して立ち退かせ、二人になったドン・ジョバンニは、ツエルリーナを口説きだすが、フォルテピアノが微妙な音を出し、妻にしたいなどと言って手を取ってアリアを歌い出して、直ぐに二重唱になっていた。二人で歌っているうちにツエルリーナは行こうと言われて逆らえなくなり、行こうとなって合唱していた。そこへ待ちなさいとエルヴィーラが現れて、「この悪者からお逃げなさい」とアリアを歌い出した。そして二人の間に入りツエルリーナを連れていってしまった。


   ドンジョバンニが今日はついていないとぼやいていると、そこへドンナ・アンナとオッターヴィオが現れて声を掛けてきた。ドンナ・アンナの泣いて助けてくれと言う願いにドン・ジョバンニが耳を傾けようとすると、再びエルヴィーラが登場し、「この男を信用するな」と歌い出した。それを信用しかねる二人と、エルヴィーラを気違い扱いにするドン・ジョバンニとにより四重唱に発展し、エルヴィーラを黙らせるためドン・ジョバンニは、ドンナ・アンナに「アデイーオ」と声を掛けて立ち去った。     その声を聞いてドンナ・アンナは「あの男よ」と悲鳴を上げた。あの声と仕草で、襲った男がドン・ジョバンニであることを確信したドンナ・アンナは、オッターヴィオに今朝からの出来事を激しいレチタテイーボ・アッコンパニアートで説明し、「誰が父を奪ったか」と大アリアを歌い出し、刀を抜いて復讐を誓わせていた。オッターヴィオは騎士がすることか?と疑問を持ちながらも「彼女の願いはわが願い」とウイーン再演で追加された素晴らしいアリアを歌ってお返しして、それぞれ大拍手となっていた。    その後ドン・ジョバンニがレポレロのお屋敷での報告を聞いてブラボーと有頂天になって歌った元気の良い「シャンペンのアリア」が続き、ツエルリーナがマゼットに対して仲直りのために甘えて歌う「ぶってよマゼット」と歌う有名なアリアが続いて第一幕の長大なフィナーレに入っていった。


    舞台はドン・ジョバンニ邸となりマゼットとツエルリーナのいさかいからフィナーレが始まり、大勢が入場しドン・ジョバンニの挨拶により、合唱で賑やかに始めようとなった。隠れていたツエルリーナが直ぐにドン・ジョバンニに捕まりマゼットに監視されていた。そこへ音楽が変わり、三人のマスクの人が登場し、中へ入って良いか迷っていたが、メヌエットになってレポレロが声を掛け三人の入場が許された。そこで三人は復讐を願う三重唱を歌い出し「神様、ご加護を」と祈っていたが、これはこの場面では不釣り合いなほど美しい三重唱となって歌われていた。続いてコーヒーだ、ココアだと大勢の人々の賑やかな場面となり、ドン・ジョバンニにより仮面の三人が歓迎されて「どうぞご自由に」から「自由万歳」の合唱に発展して、みんなで盛大に歌われていた。そこで改めてメヌエットが始まりマスクの三人が優雅に踊り始めたが、何となくぎくしゃく。ツエルリーナがドン・ジョバンニと踊り始め、マゼットが踊りたくないとレポレロを突き飛ばし、舞台には楽員が楽器を弾いていろいろな音楽が聞こえ始めていた。しかし、そのうちにツエルリーナの悲鳴が聞こえ、舞台に逃げ戻ってくると満場騒然となり、仮面の皆さんも身構えていた。そこへドン・ジョバンニがレポレロを突き飛ばすようにして、犯人はこいつだと刃を向けていた。しかし、ドン・オッターヴィオがピストルを片手にして、もう全部分かっていると三人はマスクを取りドン・ジョバンニを責めだした。そこでさすがの大悪人も頭が混乱し降参していたが、しかし強がりを言いながら足早に逃げ出して、長いフィナーレが終了していた。



   第二幕ではドン・ジョバンニとレポレロとの言い争いで始まるが、レチタテイーボになりフォルテピアノが活躍し出すと、レポレロが4ドブロンのお金を受け取って抵抗しなくなり、挙げ句の果てにお望みはと聞いて、エルヴィーラの従女を口説くため洋服を交換させられてしまった。そこでエルヴィーラが現れたので、レポレロがドン・ジョバンニの演技をしながら三重唱が始まって、信じやすいエルヴィーラを黙らせてしまった。暗がりでレポレロとエルヴィーラの二人を大声で追い払ってから、ドン・ジョバンニは、マンドリンを手にして、カンツオネッタを歌い出した。実にゆっくりとご機嫌で繰り返して歌っているうちに人影が見えたようだったが、その代わりにマゼット一行の姿が現れて、ドン・ジョバンニを探して殺そうとしていた。レポレロに化けたドン・ジョバンニは、アリアを歌いながら一行を二手に分けて上手く分散させ、マゼットと二人だけになって、隙を見て幼稚なマゼットを鉄砲で半殺しの目に遭わせてしまった。マゼットの悲鳴を聞いて駆けつけたツエルリーナが、怪我の様子を調べて大したことないと言って、甘いアリアを歌いドキドキする伴奏とともに動悸の音を聞かせて痛みを和らげてしまっていた。



   暗闇でエルヴィーラとレポレロが登場し、レポレロが逃げようとしているが出口が見えない。そこへドンナ・アンナとオッターヴィオが従者を連れて現れ、四重唱になったところへツエルリーナとマゼットが現れて六重唱となった。そこでレポレロが捕まってしまい、エルヴィーラが私の主人ですと頭を下げても「駄目だ、死ぬのだ」と許されない。そこでレポレロは、皆さんお許し下さいと変装を解いて皆をビックリさせ、必死になって六重唱で謝っていた。さらにマゼットとツエルリーナおよびオッターヴィオに責められたのでレポレロが主人の命令だとアリアを歌いながら一人一人に事情を説明し、言い訳しながら皆の隙を見て逃亡してしまった。
   そこでオッターヴィオがドンナ・アンナの父を殺したのはドン・ジョバンニだと皆に説明し、これから当局に訴えて来るから留守中に大事な人を慰めてくれと格好をつけながら、ピッチカートの伴奏で美しいアリアを歌い出した。私が仇討ちに出掛けたとあの人に告げてくれと高らかに歌い、満場の拍手となっていた。一人残されたエルヴィーラは、あの人は裁かれ罰を受けて稲妻に殺されると心配し、優しい彼女は私を裏切ったが彼のために神の慈悲を祈りたいと、ウイーン再演で追加された大アリアを堂々と歌っていた。





   舞台が片付けられるといきなりピアノ協奏曲第23番第二楽章冒頭の独奏ピアノの音が聞こえてきた。シチリアーノの美しい音楽であり、良く見ると指揮者が弾いており、舞台には音楽に合わせて十字架と石像が静かに現れ、舞台は墓場の風景に一変していた。そこへドン・ジョバンニが大きな声を出して登場し昼間より明るいとフォルテピアノを相手におしゃべりしていた。そこへレポレロが遅れて到着し、ドン・ジョバンニがピアノ伴奏に乗ってからかって大笑いをしていると、「その声も夜明けまでだ」という大声が聞こえてきた。震え上がり驚いた二人は、また大声を聞き石像があるのに気がついた。ドン・ジョバンニはレポレロに食事に招待したいと言えと命令をしてレポレロのお願いの二重唱が始まった。そして石像が頷いたと言って驚き、ドン・ジョバンニが口をきけるなら返事をせよと迫ると、「行くぞ」と言う返事が返って、二人は驚き恐れて逃げ出してしまった。そのお墓の前に従者を連れたドンナ・アンナとオッターヴィオが登場し、涙にくれるドンナ・アンナに対し「つれない人だ」とオッターヴィオが漏らしたのを聞いて、ドンナ・アンナが「私だって辛いのよ」とレチタテイーボに続いてロンドを歌い出した。このアリアは後半には彼女の苦悩をコロラチューラの技巧で歌われて、彼女の最高のアリアとなり歓声を含んだ大拍手となっていた。



      一休みの間に大勢の従者が準備をして、場所はドン・ジョバンニ邸の食堂に変わり、第二幕のフィナーレが明るく始まっった。ドン・ジョバンニが歌いながら登場して食事のテーブルに着いた。楽士たちに音楽を頼み食事を運ばせて、コザ・ラーラの音楽がまず始まって食事が開始されたが、旺盛な食欲にはレポレロもあきれ顔。音楽が「漁夫の利」に変わり、最高のワインのマルツイミーノ酒が注がれて、ドン・ジョバンニは上機嫌。雉肉を隠れ食いしたレポレロを見て見ぬふりをしていると、楽団員が舞台に登場してきた。ドン・ジョバンニが喜んで指揮をすると「もう飛ぶまいぞ」がクラリネットで始まって、最高の上機嫌となって、レポレロには口笛を吹けと命令していた。そこへ部屋の入口から「考え直して」と叫びながら、エルイヴィーラが突然飛び込んできてドン・ジョバンニの前に座り込み、「生き方を変えてくれ」と頼み込んだ。しかし、ドン・ジョバンニは一笑して食事をさせてくれと言い、必死の彼女に対し「女よ万歳、酒よ万歳」と歌ってしまった。侮辱されたエルヴィーラは悪党と叫びながら部屋を立ち去ると、突然に大きな悲鳴を上げていた。







   何事かと驚いたドン・ジョバンニは、レポレロに見に行かせるとドアに向かって大きな石像が近づいており、レポレロも悲鳴を上げて「だんな」と呼び掛け倒れながらドアを押さえつけていた。ドアを叩く音が聞こえるのでドン・ジョバンニが近づいてドアを開けると、何と石像が立っていた。序曲の冒頭の二つの和音がここで炸裂し、ドン・ジョバンニと呼び掛けながらやって来たぞと言い石像が近づいてきた。石像は机の上を歩いてドン・ジョバンニを見下ろしながら、私も頼みがあると言っていた。序曲の中のうねるようなオーケストラの響きの中で、石像は今度はお前を食事に招待したいと言い、早く返事をせよとドン・ジョバンニに迫って来た。催促されてドン・ジョバンニは「俺は恐れない、行くぞ」と返事をして、その約束にと言われて握手をするとドン・ジョバンニは「冷たい、氷のようだ」と悲鳴を上げた。しかし石像はその姿勢で「悔い改めよ」と迫り、ドン・ジョバンニは「いやだ」と拒絶し、堂々と何回か繰り返されていた。最後に「嫌だ」と叫ぶドン・ジョバンニの手をついに離して、石像は立ち去っても、ドン・ジョバンニはそこにそのまま倒れ込み、最後には煙とともに大きな悲鳴と大音響の中で、舞台の底に深く沈み込んで見えなくなってしまった。



    音楽が急に変わり明るい響きとともに六重唱が始まり、震えて倒れているレポレロの近くに5人が集まってきた。レポレロは主人は遠くへ行ってしまったとぼやきながらあやふやな調子で、石像が煙と炎の中でどこかへ連れて行ってしまったと繰り返していた。
オッターヴィオが苦しめないでとドンナ・アンナに告げると、もう1年待ってと言う返事が戻り、それぞれが身の振り方を考え出した様子であった。そして、テンポががらりと変わって、大団円の六重唱が早いテンポで始まって明るい調子でこの長いオペラの終わりを告げていた。
  主役の8人が勢揃いして挨拶をした後、サントリーホールオペラ・アカデミーの合唱団の皆さんが男女別に勢揃いして挨拶を交わしていた。そして主役の面々が一人づつ顔を出し、大拍手の中で人気のレポレロ、拍手の多いドンナ・アンナに続いて、最後にドン・ジョバンニが登場し、万雷の拍手のあとルイゾッテイが舞台に現れて改めて盛大な拍手を受けていた。演出者も関係者が4人ほど顔を出し、この舞台の公演は大成功という嵐のような拍手で迎えられていた。



   改めてこのオペラの成功と人気の高さを考えてみると、このホールオペラでは舞台とオーケストラが中央にあって四方から見えるオペラになっており、その中心に指揮者が居り、上演全体が指揮者中心に行われていた。これは前回の「フィガロ」も同様であり、指揮者のフォルテピアノが活躍し、即興的に弾かれてレチタテイーボが面白くなり、中にはコンチェルトの第二楽章の独奏ピアノが現れたりして、自在なフォルテピアノのセンスの良さが劇を面白くさせていた。
   ドン・ジョバンニのウエルバも活力に満ちており、全ての歌手陣が目の前で走り回るようなスピード感を持って舞台を活気づけ、映像では特に迫力ある動きが目についた。さらに、オーケストラと舞台との近さが幸いして、歌声とオーケストラとのアンサンブルの良さを感じさせ、歌声だけでない全体の響きを向上させていた。

   演出面では廃墟のような薄暗い横長の狭い舞台で、よくこの複雑な物語の演出が出来たものと感心した。そこでは机や椅子などの小道具がよく利用されて、演出の難しい場面を改善したり、特に、墓場の場面の石像の工夫、第二幕のフィナーレで通路にドアを設けたことなどは最高のアイデアで、これまで矛盾の多かった舞台を分かり易くしていた。また、帽子とメガネとガウンなどで特徴づけた現代的な派手な衣裳も良く目を惹き、歌手たちのスピード溢れる動きとともに新鮮な舞台を作り上げていた。

 前回の「フィガロの結婚」と比較してみると、歌手陣ではドン・ジョバンニのウエルバが伯爵であったが、今回の方が遙かに行動力があり、主題役をこなすに十分なだけの存在感をみせていた。また、伯爵夫人を歌っていたS.ファルノッキアが、今回はドンナ・アンナであったが、彼女は出番が多いだけ目につく存在で連れのドン・オッターヴィオを圧倒していた。唯一人の日本人であるエルヴィーラの増田朋子は歌唱力では健闘していたが、優しすぎて逞しさが不足がちに見えた。オーケストラの東京交響楽団は二つのフィナーレでは舞台にも登場しており、牽引力のある指揮者のお陰か、終始堅実な響きを見せて、臨時のオペラ演奏とは思えぬ立派な出来であった。

 このホールオペラの「フィガロの結婚」とこの「ドン・ジョバンニ」を見て、今年のダ・ポンテ三部作の最後の「コシ・ファン・トッテ」をぜひ見たいと思い、3月20日の切符を運良く購入できた。これまで映像で見てきたものを、ホールオペラの生の舞台をこの目で確かめたいと考えており、今回特にこの映像のアップロードを早めたものである。なお3月5日(金)にこの「コシ」に関するコラボレーションとして礒山先生の講演が国立音大で予定されているので、出来れば参加してみたいと考えている。

    (以上)(10/02/22)


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