(懐かしい映像記録;エストマン・ドロットニングホルムの「フィガロの結婚」)
9-12-2、アーノルド・エストマン指揮ドロットニングホルム宮廷劇場管弦楽団&合唱団、イエルヴェフェルト演出による「フィガロの結婚」K.492、1981年収録のライブ公演

−このフィガロの映像はアリアに省略がなかった初めてのものであり、リブレットに忠実で、舞台を含めて全てが18世紀の時代を模倣しており、ピリオド楽器による初めての古楽演奏で、歌い方も装飾が自由につけられていた。このような古楽趣味に徹底した映像のフィガロはこの映像しか見当らない貴重なものと言えよう−

(懐かしい映像記録;エストマン・ドロットニングホルムの「フィガロの結婚」)
9-12-2、アーノルド・エストマン指揮ドロットニングホルム宮廷劇場管弦楽団&合唱団、イエルヴェフェルト演出による「フィガロの結婚」K.492、1981年収録のライブ公演、
(配役)フィガロ;M.サミュエルソン、スザンナ;G.レジック、伯爵;バールグレン、伯爵夫人;S.リンデンストランド、ケルビーノ;A.C.ビール、マルチェリーナ;K.M.ハブシ、バルトロ;E.サエデン、ドン・バジリオ;T.リリクイスト、バルバリナ;B.ラルソン、
(1991年10月11日レーザー・デイスクより、S-VHSアナログテープに3倍速で収録)

  この映像は、エストマン指揮ドロットニングホルムによる8組のモーツアルトオペラのうちの最初の演奏(1981)であった。この映像を初めて見て古い木造の劇場と言い、18世紀風のカツラと衣裳を着けたオーケストラ団員による古楽器演奏と言い、凝ったスタイルに驚かされた映像であった。そして狭いが奥行きのある舞台を活用した独特の演出や舞台造りが、18世紀風の鄙びた古さを感じさせ、またエストマンの緩急・強弱のメリハリを付けた古楽器らしい指揮振りもこの劇場に合っていた。しかし、エストマンの指揮振りで気になるところは、時々、演奏が早すぎてついて行けない部分があることであり、そのくせが目立たなければといつも感じつつ舞台を見ていた。これらの傾向は8組の全オペラに概ね共通しているが、一人の指揮者が8組のオペラ演奏を残したのはエストマンだけの功績であり、モーツアルトのオペラ評価において欠かせない映像となっている。
  今回の映像の「フィガロの結婚」は、全てが宮廷劇場専属の歌手陣であり、演出はイエルヴェフェルトによる古風な演出であるが、この劇場独特の雰囲気を持った映像であり、当時を偲びつつ見る映像として欠かせないものと私は考えていた。



  古くからの習慣か開始を告げる木槌の音がしてエストマンが入場し、カツラスタイルのオーケストラが指揮者の一振りで序曲を開始した。レーザー・デイスクをコピーした映像であるので、鮮明度がワンランク低いがやむを得ない。音声はまずまずであるが、早めのテンポで古楽器的な音がしており、時々、音が外れることがあったが、終始軽快に序曲が進み、期待を持って終了していた。
  幕が開くとフィガロが忙しげに動き回っており、スザンナが髪飾りを気にしながら登場し、二重唱となって忙しいフィガロに「見てよ」と盛んに催促し、二人は直ぐに仲良くなっていた。しかしベッドの話になって、スザンナが立ち上がり、ドンドンと大きな声で悪魔が飛んでくると歌い出し、やっと鈍いフィガロは伯爵の企みに気がついた。スザンナが立ち去ると、フォルテピアノの音がして、フィガロは「さすがご主人様」と怒りに満ちたレチタテイーボが始まり、カヴァテイーナを歌い出したが、持っていた定規をナイフ代わりにして「もし、踊りを踊るなら」と元気よく歌っていた。



  フォルテピアノが良く響いてバルトロとマルチェリーナの会話が始まり、バルトロが借金の証文を見て「仇討ちだ」とばかりに自慢げに威勢よくアリアを歌っていた。そこへスザンナが顔を出したので「どうぞお先に」の口論の二重唱が始まった。スザンナに「老いぼれさん」と言われて悔しがるマルチェリーナの激しさに、バルトロがあきれて一部始終を見ていたのが面白かった。そこへ金髪のカツラの可愛いケルビーノが現れたが、彼女アン・クリステイーノ・ビールはこの劇場のソプラノのエース。いきなりスザンナに抱きついて、「自分が自分で分からない」と早いテンポで歌っていたが、メゾの声が出るか心配であった。そこへ突然伯爵が入ってきたのでさあ大変。ケルビーノが隠れているのを知らずに伯爵は、早速、スザンナを口説き出すが、バジリオが現れたので伯爵も姿を隠していた。バジリオが伯爵夫人の噂話をするので、伯爵が怒って立ち上がり三重唱が始まった。スザンナが気を失いかけたり、隠れていたケルビーノが見つかったり、バジリオに「コシ・ファン・トッテ」と歌われたりして、大変な三重唱であったが、追いつめられたスザンナは、フィガロが連れてきた村人たちの合唱で何とか救われた。
  初夜権の撤廃に感謝して村人たちは万歳をするが、フィガロは伯爵にスザンナとの結婚式を認めさせ、純白のヴェールをスザンナに飾らさせようとしたが、伯爵は結婚式はよいがヴェールはまだ早いと断ってしまい、フィガロや村人たちを怒らせていた。伯爵はケルビーノに罰として連隊の士官に任命したが、フィガロは彼も運命を変える時期だと賛同し、少し手荒い激励のアリア歌ってケルビーノを励まし、後半では軍帽に軍服を着せられたケルビーノが行進曲に合わせて威勢よく行進しながら退場して第一幕は終了した。


  再び木槌の音で第二幕が始まり、実にゆっくりした美しい序奏に乗って白無垢の伯爵夫人がベッドにすがるようにして「愛の神よ」としんみりと歌っていたが、拍手がなくややガッカリ。フィガロが来て作戦会議はケルビーノを女装させることで一致して、フィガロが上機嫌でカヴァテイーナを歌いながら退場した。早速、軍服姿のケルビーノが登場し、カンツオーネを歌い出し、歌は上手いのであるがテンポが早すぎてガッカリ。しかし、ケルビーノは奥方に誉められて満足していた。
  はしゃぎすぎるケルビーノを押さえつけて軍服を脱がされ、スザンナが着せ替えのアリアを歌いながら、ケルビーノは帽子を被せられ前掛けをさせられて何とか女装の姿となった。奥方にリボンを見つけられ取り上げられたので、ケルビーノがリボンが欲しいと奥方にすがっていると、ドアがノックされ伯爵の声がした。さあ大変。ケルビーノは大慌てで衣裳部屋へ逃げ込んだ。


  伯爵はそわそわしている夫人を責め、フィガロの手紙を見せていると衣裳部屋で大きな物音が。スザンナだとシラを切る夫人を前に伯爵が「スザンナ、出て来なさい」と夫人を責める三重唱が始まった。体でドアを開けさせまいとする夫人をますます怪しみ、鍵がなくてもと道具を取りに外へ出た。その一瞬の隙に「早く、早く」の小二重唱で、ケルビーノは窓から飛び降りて一目散。戻ってきた伯爵は、夫人の態度をみてスザンナではないなと気がつき、夫人を責めると彼女はケルビーノだと白状してしまう。伯爵は「またもあいつか」と怒りだし、「出てこい、無礼な小僧め」と勢いよくフィナーレが始まった。


  夫人が余興でケルビーノを女装させていたと弁解の二重唱となり、怒った伯爵がドアを開けようとすると、スザンナが出て来て、ビックリ仰天の二人を前に「シニョーレ」と挨拶した。伯爵が疑って部屋の中を調べている隙に、ケルビーノが逃げたことを奥方に告げたので、女二人は急に強くなり、謝る伯爵を二人掛かりで許さない。しかし粘る伯爵が膝まずいて謝るので、遂に許したところにフィガロが登場した。伯爵はしめたとばかりに、手紙のことをフィガロに質したが、フィガロは知らぬ存ぜぬを繰り返し、女二人も加わった四重唱になっていたが、伯爵とフィガロは険悪な状態になっていた。そこへアントニオがバルコニーから男が飛び降りたと伯爵に抗議して、珍妙な五重唱になった。スザンナからケルビーノが飛び降りたと聞いたフィガロが、俺がやったと罪を被ったのはよかったが、アントニオが拾った辞令を伯爵に渡したため、フィガロは再び大ピンチ。幸い女二人の機転の入れ知恵で、何とかフィガロは救われたが伯爵は収まらない。そこへ伯爵が待ちかねていたマルチェリーナが、バルトロとバジリオを連れて登場し、三人が口を揃えてフィガロとの契約の履行を伯爵に訴えた。フィガロ側三人もこれに大声で反対するので、伯爵が静まれと大声を出す大変な七重唱となって、大混乱の中で賑やかに第二幕が終了していた。


       再び木槌で始まった第三幕は伯爵が一人、第二幕で起こった不思議な出来事をあれこれ詮索していると、スザンナが登場し伯爵の機嫌が悪いことを知り、奥さまの薬を口実に近づいた。持参金の話から「わしの頼みを聞いてくれたらな」と言う伯爵に、それが私の務めですというと色よいスザンナの返事に、伯爵はすっかり気をよくした。早速、今宵の逢い引きの話をすると、スザンナのじらし戦術の二重唱となり、その挙げ句に何とか約束が出来た。しかし、スザンナが別れてから、フィガロに耳打ちした言葉が聞こえて、伯爵は「訴訟に勝ったわだと」と声を荒げて怒りのアリアを歌い出した。伯爵の唯一のアリアで堂々と歌って欲しかったが、ここでも後半はテンポが少し早過ぎてやや不満であった。


  ここで通常のリブレットと異なり、バルバリーナとケルビーノの逢い引きのレチタテイーボが入り、続いて伯爵夫人が登場し、長い苦悶のレチタテイーボのあとに「あの幸せなときは何処に」とアリアを歌い出した。そして後半にはアレグロになって「私の思いがあの人に伝わってくれたなら」と精一杯の気持ちを声を張り上げて歌っていたが、このように本日最高の良いところでも拍手がなく残念であった。   場面が変わって裁判から引きあげてきた面々が登場し、「金を払うか、結婚するか」の判決に、フィガロ一人が反対して控訴するぞと息巻いていた。フィガロは貴族の息子だから両親の承諾が要ると頑張っていた。その証拠はと問われていろいろ説明した挙げ句に、腕に痣があると言ってマルチェリーナに見せたところ、彼女は顔色を変えしゃがみ込んで、私のラファエロだと言うことになって事態は一変した。バルトロが父だと言うことも分かって三人が喜び合って三重唱が始まったところへ、スザンナがお金を持って登場し伯爵に渡すが、伯爵はあの三人を見ろと素っ気なく六重唱が始まった。抱き合っている三人を見てスザンナはフィガロに平手打ちを食わせるが、事情が分かってマードレ・パードレの六重唱になっていた。スザンナもやっと納得し、息子が見つかったので、最後には二組の結婚式を挙げようと四人は喜び合っていた。


  続いて伯爵夫人がスザンナから伯爵とのお庭での約束を聞いて、場所を決めようと言うことになり、伯爵夫人が口述でスザンナに手紙を書かせる手紙の二重唱になった。このアリアも伴奏が早すぎて素っ気なく、美しい場面なのにあっさり歌われて残念であった。
  村の娘たちの合唱が始まり、その中に女装したケルビーノが混じっており、夫人があの子は誰と聞いているうちに、アントニオと伯爵が現れて、ケルビーノが捕まってしまう。バルバリーナが体を張ってケルビーノを伯爵から助けようとしたが、ケルビーノが窓から飛び降りたことを白状したため伯爵はカンカンになり、そこに現れたフィガロと顔を付き合わせ、あわやという状態になったが、折から聞こえてきた行進曲に救われていた。
  二人の娘たちを先頭に行進曲にのって全員が案内され、二組の着飾ったペアが登場し着席した。そして二人の娘たちの二重唱で二組のペアが伯爵夫妻から白のヴェールを被せてもらった。やがて全員の踊りの場になって、スザンナがコッソリ殿様に手紙を渡していた。手紙を見て殿様はご機嫌になり、今宵は盛大に宴をやろうと挨拶をして大合唱のうちに盛り上がりながら第三幕は終幕になっていた。


   木槌の音で開幕するとバルバリーナのカヴァテイーナで始まっていたが、ここではまるで学芸会のように仮面を付けた5人の歌手によるアリアが続いていた。仮面を付けたバルバリーナは暗闇の中でピンが見つからず歌いながら泣き出していたが、そこへフィガロとマルチェリーナが現れ、フィガロがピンを見つけた振りをして、スザンナとの待ち合わせ場所が松の木の下であることをバルバリーナから聞き出してしまった。スザンナの逢い引きと聞いてフィガロは逆上したが、マルチェリーナに何か訳があると宥められるがフィガロは納まらない。そこで仮面を付けたマルチェリーナは、いつもは省略される彼女のアリア「牡ヤギと牝ヤギは仲がよい」を歌い出した。このアリアはこの映像で初めて耳にしたアリアであったが、メヌエット調で本来は面白いアリアなのに、このマルチェリーナの歌は前半は良かったが後半の声を必要とする場面で余りパッとせず残念であった。


  フィガロが騒ぐので仲間たちが出て来てフィガロを諫めて、バジリオがバルトロを相手に「私も若いころは」とふざけながらアリアを歌い出した。このアリアもこの映像で初めて耳にしたアリアであった。アリアはアンダンテで始まり、メヌエットになってアレグロで終息する大きなアリアなのに、余り意味が判然としない「ロバの皮」のアリアであって、ここではやや冗長な感じがした。続いて暗闇でスザンナを見張っていたフィガロが登場し、スザンナを怨みながら「目を見開け、男たちよ」と女性に騙されるなと声を張り上げて歌っていた。この学芸会の最後に真打ちのスザンナが登場し、「やっとその時がきた」と長いレチタテーボを早いテンポで歌ってから、「素晴らしい喜びよ」と歌い出したが、ここでもこの美しいアリアが早めにあっさりと歌われてしまい、これがエストマン流なのであろうが、このアリアの良さが残念ながら歌われていなかった。


  いよいよフィナーレとなって仮面でスザンナに化けた伯爵夫人が暗い庭先に登場すると、ケルビーノがいち早くスザンナだと思い込み、近づいて悪戯を始めた。伯爵も現れるが、ケルビーノが邪魔でスザンナに近づけない。ケルビーノがしつこいので伯爵は腹を立てケルビーノに殴りかかるとそれが隠れていたフィガロに当たりとんだ鉢合わせとなった。伯爵はやっとスザンナに巡り会い、手を取って口説きだし、しなやかな手だと誉めながらご機嫌となり、逢い引きは成功して気前よく大事なダイヤの指輪まで贈ってしまった。
  一方の隠れていたフィガロは伯爵夫人を見つけ、恋人の逢い引きを夫人に訴えるが、それがスザンナであることに気がつき、伯爵を懲らしめようと、伯爵の前で二人でラブシーンを展開して見せた。驚いた伯爵は、夫人の不倫を暴くために大声を出して皆を集めてしまう。そして皆の前で、盛んに許しを乞う二人に「絶対に許さない」と声を張り上げてしまった。しかし、伯爵の陰から伯爵夫人が指輪を見せながら静かに現れたので、伯爵は大いに驚いたが後の祭り。始めて自分の間違いに気が付いて、皆の前で「奥方よ、許しくれ」と膝まずいて心から神妙に謝った。それを見て、心の優しい夫人は「私は素直にお受けします」と皆の前で伯爵を許したので一同は大喜び。どうなるかと全員が皆心配して見守っていたが、伯爵夫人の許す優しい姿を見て一同は満足し、登場人物の11人が全員集合して、重唱しながら二人の和解を祝う喜びの歌を歌って終幕となっていた。




  このエストマンの最初の映像を改めて見直して、約20年前にこの映像を始めて見た時と印象が異なっていることを自覚した。最初に見た当時は、古楽器演奏としての最初のオペラ映像であったし、ドロットニングホルム宮廷劇場の18世紀風のスタイルに驚かされて、このようなオペラもあって良いものと思っていたが、今回これらの装飾的なフィガロの部分を洗い落としてみると、オーケストラに不揃いなどがあったり、全体として歌手陣の魅力のなさが目立つなど、ライブ演奏特有の基本的な部分に物足りなさを感じていた。これは現時点で20本を超える新旧さまざまなフィガロの映像をこなしてきた私の目が、当時よりかなりレベルアップしたせいであろう。
  それに加えて、終始エストマンらしさに溢れた颯爽とした古楽器風の演奏であったが、私には彼固有のテンポが早すぎて歌ってくれない部分がこの映像には特に多く、馴染めなくて違和感を生ずることが多かった。モーツアルトらしいアンダンテの美しいアリア、例えば第二幕のケルビーノのカンツオーネや、第三幕の手紙の二重唱、第四幕のスザンナのアリアなどの聴きどころにおいて、軒並みにテンポが早すぎて、充分に歌ってくれなかったのが残念であり、これらの聴きどころで満足できなければ、多くの方には不満の多いフィガロになってしまうであろう。これらの見ていて不満な部分は、各幕のそれぞれの場所において指摘しておいた。



  私はこのエストマンとドロットニングホルム宮廷劇場のコンビの「フィガロの結婚」は、CD録音(1987)でも入手しているが、この映像よりも8年後のスタジオ録音であり、A.オジェーの伯爵夫人とB.ボニーのスザンナが外部から加わった演奏であった。私がエストマン固有の私と相性の悪い部分を知りつつこのCDを敢えて入手したのは、モーツアルトが1789年8月にウイーンで再上演された際に、代替曲としてモーツアルトが追加作曲したとされる6曲が付録として録音されており、代替曲として続けて聴けるように収録されていたことにあった。これらには、K.577(第4幕のスザンナのアリア)およびK.579(第2幕のスザンナのアリア)のコンサートアリアのほか、4カ所の代替曲が網羅されていたが、これは極めて貴重な試みであったと考えており、エストマンの原典を確かめる生真面目な取り組みを評価したいと思ったからであった。

  今回見たエストマンのライブ映像は、やはりライブ特有の問題が目について、余り感心できないことが多かった。このような欠点は同じコンビの映像でも、例えば前回アップした「イドメネオ(1991)」K.366のライブ(8-12-3)では問題が余りなかったので、矢張りライブ映像の録画処理などの良いとこ取りの下手な技術的問題に帰するものが多いかもしれない。いずれにせよ、今回は市販レーザーデイスクのコピー版を使っているので、画像の質も悪く、これはアップしている一連の写真の写りの悪さでご理解いただけると考えている。
  しかし、このフィガロの映像は、アリアに省略がなかった初めての映像であり、リブレットに忠実で、舞台を含めて18世紀の時代を模倣しており、ピリオド楽器による初めての古楽演奏で、歌い方も装飾が自由につけられていた。このような古楽趣味に徹底した映像のフィガロはこの映像しか見当たらず、また、エストマン固有の早いテンポにしても、18世紀はこうであったと主張されれば、後は好き嫌いの好みの問題になってしまう。これまでこの映像のライブ特有の問題を指摘してきたが、この演奏は18世紀の古い時代の「フィガロの結婚」を見たいと考えると、最も見どころが多い映像であろうと思われる。

(以上)(09/12/14)


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