8-7-2、幸田浩子とN響篠崎アンサンブルによるアリア集、08年04月18日、紀尾井ホール、
(曲目)モテット「エクスルターテ・ユビラーテ」K.165、オペラアリア2曲、コンサートアリアK.418、アヴェ・ヴェルム・コルプスK.618、R.シュトラウス歌曲集、

−モーツアルトの美しいアリアを、良く歌いこんだ素晴らしいテンポで軽やかに歌う幸田浩子のコロラトウーラ満載の輝かしい映像−

8-7-2、幸田浩子とN響篠崎アンサンブルによるアリア集、08年04月18日、紀尾井ホール、
(曲目)モテット「エクスルターテ・ユビラーテ」K.165、オペラアリア2曲、コンサートアリアK.418、アヴェ・ヴェルム・コルプスK.618、R.シュトラウス歌曲集、

(08年05月27日、BS103クラシッククラブの放送を、ブルーレイデイスクにHEモードでデジタル録画(ブルーレイデイスクに初録画)

 7月号の第二曲目は、幸田浩子とN響メンバーの篠崎アンサンブルによるアリア集であり、今年08年04月18日の紀尾井ホールにおける最新のNHKBS103のクラシック倶楽部からの映像である。実は、彼女は今年08年2月にデンオンレーベルでプラハフイルとSACDでモーツアルトアリア集(DENON-COGQ-30)をリリースしており、彼女がこれまで歌ってきたコロラトウーラの技巧的なアリアを中心にしたオール・モーツアルトのCDであった。
 今回の新しい映像は、モテットの「踊れ、喜べ」K.165、オペラアリア2曲(「ドン」より「恋人よ、さあこの薬で」および「劇場支配人」より「若いあなた!」)、コンサートアリア「神よ、あなたにお伝えできれば」K.418、および「アヴェ・ヴェルム・コルプス」K.618が含まれており、CDよりも曲数は少ないが共通で、新たにR.シュトラウスの歌曲などが数曲歌われてるのが特徴であった。

 初めにCDでは、上記のモーツアルト・ナンバーの他に、オペラアリアより3曲(「フィガロ」より「とうとうこの時がきた〜恋人よ早くここへ」、「後宮」より「あらゆる苦しみが」および「魔笛」より「復讐の心は地獄のように」)が追加され、ハ短調ミサ曲より「エト・インカルナタス・エスト」が含まれていた。いずれもモーツアルトの珠玉のナンバーを揃えたアリア集となっていた。
 これらのうち彼女の演奏で初めて聴いたのは、コンサートアリア「神よ、あなたにお伝えできれば」K.418であり、アロイジアのために作曲したとされるハイソプラノの美声に溢れた実に期待通りの素晴らしい歌い振りであった。また、「後宮」からの長大なアリア「あらゆる苦しみがあろうとも」では、前回の映像でピアノ伴奏のものに比較すると依然として低音は大変なようであるが、この難曲に対しても歌い方に余裕が感じられ、最後のアレグロなどは素晴らしく声が伸びており、まずまずの出来映えと思われた。さらに、夜の女王の2曲目の復讐のアリアにおいても前半での最高音が見事に歌われており最高の出来映えと思われた。



 彼女の最新の映像では、初めのモテット「踊れ、喜べ」K.165はこのホームページでは、前回のピアノ伴奏に続いて2度目の登場である。この映像のオーケストラはこの映像用の臨時編成的なものであり、N響メンバーから、弦5部にハープ、フルート、オーボエ、ピアノによる9人の構成であった。K.165の第一楽章冒頭のオーケストレーションでは、彼女の新しいCDの通常のオーケストラ演奏などと較べると、弦楽器が軽すぎてやや異質に聞こえていた。しかし、この音に慣れてくると、ピアノ伴奏よりは遙かに増しなので、余り不自然さは感じなくなる。
 美しいアンサンブルのアレグロでコンチェルト風の第一主題が軽快に走り出すと、直ぐ続いてオーボエの踊るように響く第二主題が顔を出してから、にこやかな表情を浮かべながら幸田浩子が朗々と歌い出す。何と軽々と楽しそうに歌っていることか。これは何回も何回もこの曲を歌ってきた成果なのであろう。第二主題に続く新しい旋律を歌い出して直ぐに華やかなコロラトウーラのフレーズが繰り返され、弦もオーボエもよく伴奏しており実に楽しい。彼女の声は細い声であるが、つやつやしており、カデンツアでも軽々とハイエンドの高音を歌いこなしていた。


 静かなレチタテイーボがピアノ伴奏で歌われてから、ゆっくりしたアンダンテの第二楽章が始まる。弦楽器だけの前奏のあとのソプラノの歌は美しく心に浸み、セリフ通りに聴く人に慰めを与えてくれる。弦の伴奏が細やかなので、このタイプの室内楽伴奏もなかなか良いと思った。実に良いテンポでじっくりと歌い上げ、短いカデンツアの後に、続けてハレルヤのフィナーレに入った。何と軽やかな声のアレグロであろうか。彼女は声を張り上げて、お得意中の得意のナンバーとばかりに歌い出し、可愛い笑顔を見せながら、ハレルヤの言葉だけを繰り返すこの曲を最高の仕上がりで楽しく歌い終えていた。

 続いてアリアを二曲、「ドン」より「恋人よ、さあこの薬で」では、ツエルリーナのマゼットをたぶらかす薬の歌で、歌う表情が可愛く、後半では心臓のドキドキするようなアレグロが弾むように歌われ、オペラの1曲のように上出来であった。また、「劇場支配人」よりジルバークランク嬢の「若いあなた!」も素敵な恋の歌で、後半の繰り返しでは彼女らしい装飾音を付けながら、素敵なコロラトウーラのアレグレットを歌っていた。



 また、コンサートアリア「神よ、あなたにお伝えできれば」K.418では、このHP初出であるが、輝くようなオーボエのオブリガートと弦のピッチカートとハイソプラノが見事に調和する素晴らしいアダージョを持っており、CDでも最高であったが、映像でもまずまずの伴奏を得て、私の一番のお気に入りの良い曲がうまく収録できたと思っている。私はこの曲のピッチカートの伴奏が始まると直ぐメロメロになってしまうのであるが、ソプラノがゆっくりとこの伴奏に乗って歌い出し、やがてオーボエと互いに競い合うように声を張り上げる。この曲はアロイジアに合ったように彼女にもピッタリであり、テンポが実によくコロコロの部分はとても優雅に歌われ、カデンツア風のソロの後の最高音も見事に乗り切って素晴らしい効果を上げていた。曲は終わりにアレグロに入り、次第に激しさを増して高揚し、急速に盛り上がって、素晴らしい幕切れで収束した。  この曲で第一部というかモーツアルトのナンバーは問題なく終わり、彼女は嬉しそうな満面の笑顔で観衆の拍手に答えていた。

 続いて映像では第二部に入り、R.シュトラウスの歌曲を数曲歌っていたが、私は初めて聴くものが多く、まるでオペラ「薔薇の騎士」を聴いているような感じの曲が多く親しみが持てた。きらめくようなピアノ伴奏の曲が多く新鮮に聴こえた。彼女がもっと広い世界へと、羽ばたいて行くための第一歩なのかもしれないと思った。とても楽しかったので、曲名を以下に紹介しておきたい。
1、セレナード、作品17第2、(山田武彦編曲)、2、ツエチーリエ、作品27第2、(山田武彦編曲)、3、あすの朝、作品27第4、(山田武彦編曲)、4、愛、作品68第5、(山田武彦編曲)、



 最後に、黄色の美しいドレスに着替えて、ドンキア作曲の「新しい色の祝祭にて カリヨン」(山田武彦編曲)が歌われた。カリヨンの響きに似た美しいピアノの前奏に乗って、語るようなソプラノの声が実に明るく調和し、暖かな安らぎを与える感じの綺麗な曲で、その響きの美しさには素直に感動した。そして、最後にはソプラノ・ソロで「アヴェ・ヴェルム・コルプス」K.618が歌われた。オリジナルの混声合唱、弦楽合奏、オルガンによるものと比べて、透明なソプラノ・ソロと弦5部とハープによる室内アンサンブルの響きには絶妙なものがあった。特に彼女の歌うテンポがよく、じっくりと祈るように歌うフレーズの美しさには、誰でも深い感動を覚えるものと思われた。

 新しいCDのリリースとハイビジョンによるポピュラー曲のテレビ放送(クラシック倶楽部)によって、幸田浩子はモーツアルト歌手から一つの区切りを得て、これからはもっと広いレパートリーの世界へと進むことになるであろう。しかし、このCDや映像でお分かりのとおり、彼女のモーツアルトは絶品なので、いつでもまたモーツアルトの世界に戻って、歌い続けて欲しいと思っている。
 なお、この映像で、伴奏オーケストラを「N響篠崎アンサンブル」と私が勝手に名づけたのであるが、N響の方々の顔と名前を一致させるためこれからのこともあり、お名前を紹介しておこう。
Vn;篠崎史記、白井篤、Va;佐々木亮、Ce;木越洋、Cb;吉田秀、Fl;甲斐雅之、Ob;青山聖樹、Hp;早川りさこ、

(以上)(07/07/04)


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