7-9-3、クラシカジャパン「モーツアルトのある毎日」第17回、小品ソフト集5曲
(曲目)1、リート「夕べの想い」K.523、(T)シュライヤー、(P)ブッフビンダー/2、コントルダンスハ長調K.535、スダーン指揮モーツアルテウム管弦楽団/3、ピアノ三重奏曲K.542、ウイーン・ピアノトリオ/4、幻想曲ヘ短調(弦六重奏編曲版)K.608、ウイーン弦楽六重奏団/5、アヴェ・ヴェルムK.618、クイケン指揮、ラ・プテイット・バンド、

−クラシカジャパンの「モーツアルトのある毎日」の最終回として、「珠玉の小品集」としてまとめたものである−


7-9-3、クラシカジャパン「モーツアルトのある毎日」第17回、小品ソフト集5曲
(曲目)1、リート「夕べの想い」K.523、(T)シュライヤー、(P)ブッフビンダー/2、コントルダンスハ長調K.535、スダーン指揮モーツアルテウム管弦楽団/3、ピアノ三重奏曲K.542、ウイーン・ピアノトリオ/4、幻想曲ヘ短調(弦六重奏編曲版)K.608、ウイーン弦楽六重奏団/5、アヴェ・ヴェルムK.618、クイケン指揮、ラ・プテイット・バンド、


(06年09月12日、クラシカジャパンCS736の放送を、D-VHSレコーダーのLS-3モードで、S-VHSテープにデジタル録画。) 

 9月号の第三曲目は、クラシカジャパンの「モーツアルトのある毎日」の最終回として、ややバラバラな感じがするが、ウイーン時代後期に作曲された小曲5曲をまとめてアップしたいと思う。5曲とも演奏者が異なり、リートから室内楽やオーケストラ曲までを含んでいるが、いずれも人によっては「珠玉の一曲」になりうる名曲が揃っている。いずれもそれぞれのコンサートから、ここにあるモーツアルトの小品1曲だけを抜き出して放送されたものである。私のデータベースでは、その元のコンサートも恐らくS-VHSで収録してあると考えられるので、その様子も含めてご報告できると考えていた。しかし、そのチェックの最中に、 4、の幻想曲ヘ短調K.608については、その元のコンサートが既に詳細に演奏者などを含めてご報告(3-10-2)されていたので、ここでは割愛させて頂きたいと思う。





 第一曲目は、有名なアイネクライネK.525と同じ頃に書かれたリート「夕べの想い」K.523であり、歌はピーター・シュライヤーが、ピアノはルドルフ・ブッフビンダーが伴奏しており、シュライヤーが最盛期の若い頃の演奏であるが、残念ながら本体の映像に当たっても収録年は記載されていなかったので、写真で我慢をしていただきたいと思う。この曲の本体のコンサートは、「P.シュライヤー 歌曲の夕べ」というORFとUNITELによる映像であり、シェーンブルン宮殿の中で収録されていた。曲目は第一部と第二部に別れており、第一部はモーツアルトのこの曲で穏やかに始まり、ベートーヴェン1曲、シューベルト3曲、ブラームス5曲の愛好小品集であり、第二部はシューマン・ブラームスのリート集で、1時間20分の番組に編集されていた。
 リート「夕べの想い」K.523は、有名な「クローエに」K.524とともに1787年6月24日ウイーンで作曲されており、1789年に「二つのドイツアリア」として出版されている。 この曲はカンペ(1746〜1818)の詩に作曲したもので、「日が暮れて、月が輝く頃、死を予感して、過ぎた日の思いにふける。」で始まる短い感傷的な厭世的な気分の詩である。
 曲は短いピアノの分散和音による前奏で開始されるが、この美しい分散和音は曲全体を支配する印象的なものであった。シュライヤーの甘い声によるゆっくりしたテンポで歌われて、歌詞の内容に応じた哀愁の情が濃い曲であり、モーツアルトの代表的なリートの1曲とされる。リートの映像が少ないので、この映像は極めて貴重なものとなっている。





 第二曲目のコントルダンスハ長調K.535「戦闘」は、スダーン指揮モーツアルテウム管弦楽団による1999年のモーツアルト週間で収録されたもので、コンサートの第一曲目として演奏されていた。このコンサートでは、第二曲がピアノ協奏曲ニ長調K.537「戴冠式」であり、ピアニストはジャンルカ・カシオーリであった。この2曲がクラシカジャパン2000年9月15日に放送されたので、S-VHSに収録してあった。
 この曲は、1788年1月23日にこの冬における宮廷舞踏会のために作曲されたものである。因みに「戴冠式」協奏曲は1月24日の日付をもつ同時期の曲なので、このコンサートの始まりの序曲的な扱いで取り上げられたものと思われる。標題の通り、勇ましい行進曲で構成されたコントルダンスであり、弦楽器の他、ピッコロ、クラリネット、トランペット、テインパニーなどが含まれているが、トランペットとテインパニーは協奏曲でも使われていた。
 曲は86小節からなる1分半ほどの曲であるが、16小節ずつの4つの行進曲の部分と、最後が「トルコ行進曲」で出来ており、この軍楽調は当時大流行した世相を反映したものである。スダーンの指揮はテインパニーのトレモロを響かせて進軍を彷彿させる勇ましいもので、トランペットの響きも加わって、見事なトルコ行進曲で結ばれていた。






 第5曲目としたモテット「アヴェ・ヴェルム・コルプス」K.618は、クイケン指揮、ラ・プテイット・バンドによる演奏であるが、私のデータベースでは、99年8月に「サンクタ・マリア」ヘ長調K.273と共に、クラシカジャパンより収録していたが、放送では大きな教会で演奏され、シギスヴァルト・クイケン指揮のライニッシュ・カントライ合唱団によるものであった。このクイケンの指揮では、ハ短調ミサ曲K.417(4-5-1)が別にあり、会場や演奏者が共通しているので、同じコンサートである可能性が高い。
 クイケンのこの「アヴェ・ヴェルム」K.618の演奏は、非常に水準の高いものであり、すこぶる感動的であった。合唱団の質が高く素晴らしく透明な合唱を聴かせており、クイケンは、ゆっくりしたテンポでじっくりと進めていた。コンサートマスターは、寺神戸氏が務めていたのも、また、演奏終了後の満足したような指揮者クイケンの表情などが、とりわけ印象に残った。

 終わりにウイーン・ピアノトリオによるピアノ三重奏曲ホ長調(第4番)K.542をお届けしよう。この演奏は、私のデータベースでは、00年9月8日にクラシカジャパンの放送で、この曲とベートーヴェンの「大公トリオ」変ロ長調作品97とが演奏されており、ピアノが非常に雄弁であるという記憶が残っていた。99年のモーツアルト週間におけるグロッサー・ザールでの演奏であった。このクラヴィーア・トリオのホ長調(第4番)K.542は、1788年6月22日に完成されているが、この次の変ホ長調交響曲K.543は、6月26日の日付になっており、当然この交響曲と並行して作曲されたものと考えられる。




   第一楽章はピアノで始まるいかにも親しみやすいふくよかな旋律の第一主題が素晴らしく、また経過句を置いてヴァイオリンがドルチェで提示する穏やかな明るい第二主題が非常に印象的で、いかにもトリオと言った感じの室内楽的な雰囲気の曲であり、この楽章は両主題が織り成して進行するソナタ形式である。ピアノのメンドルは始めから終始このトリオのリーダー役をこなし、ヴァイオリンのレデイックは第二主題提示などでしっかりと存在感を示していたし、時々顔を出すチェロのトレフニイは明るい響きで仲間に加わっていた。




 第二楽章は、アンダンテ・グラツイオーソの穏やかな変奏曲的な楽章であり、始めにピアノにより人なつっこい感じのする第一主題が静かに優雅に提示される。そしてピアノに弦を交えて三重奏になったり、ヴァイオリンにピアノが加わったりして二度ほど変奏されていく。続いて新しいエピソードが重々しくピアノにより示されヴァイオリンによって繰り返されていくが、いつの間にか始めの穏やかな主題に戻り、これからは本格的な変奏で、二度・三度と変奏を重ねていた。ピアノが終始リードする穏やかな楽章であった。
 フィナーレは素敵なロンド主題が勢いよく飛び出すいかにもモーツアルトらしいロンド楽章であり、ピアノで示される親しみやすい旋律が繰り返し登場してとても印象的である。やがて新しいエピソードが顔を出すが、再びロンド主題が明るく登場してこの主題を中心にして、賑やかに進行する。歯切れの良い楽章で、伸びやかで明るくいかにも室内楽の楽しさを味わさせる曲である。
 ウイーン・トリオは、ピアノを中心にして良くまとまった団体であり、つい最近聴いたムター・プレヴィン・トリオよりも明るく元気の良い若々しい演奏を示してくれた。 終わりに、三人に敬意を表して、お名前を記載しておこう。(ピアノ;Stefun Mendl、ヴァイオリン;Wolfgang Redik、チェロ;Marcus Trefny、)

 7-9-3は、クラシカジャパン「モーツアルトのある毎日」の第17回目の最終回として、雑多な小品ソフト集となったが、以上に示すとおりそれなりに面白い曲集となった。このシリーズが一応終了したので、最新ソフトの紹介とオペラはM22が終わっても必ず続けるとして、今後しばらくレーザーデイスクのストックを活用して、アップしたコレクションの充実を図っていきたいと考えている。

(以上)(07/09/07)


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