7-7-5、コンサートアリアによる愛の物語(オンブラ・フェリーチェ)、ヘルマン演出ラングレ指揮オーケストル・ドウ・ピカルデイ、
−(2)第ニ集 K.23、K.217、K.441、K.419、K.255、K.432(421a)、K.369−

制作;国際モーツアルト財団、2000年、(モンペリアOP、シャンゼリゼ劇場、リーユOPの共同製作)
出演者;ジーテン(S)、スッミッカ(S)、カンジェミ(S)、シュトウツマン(A)、ヤン・ブロン(T)、ドラホヴィッツ(Br)、(オペラ・コメデイ・ドウ・モンペリエ収録、CS736CH、

7-7-5、コンサートアリアによる愛の物語(オンブラ・フェリーチェ)、ヘルマン演出ラングレ指揮オーケストル・ドウ・ピカルデイ、 

制作;国際モーツアルト財団、2000年、(モンペリアOP、シャンゼリゼ劇場、リーユOPの共同製作)
出演者;ジーテン(S)、スッミッカ(S)、カンジェミ(S)、シュトウツマン(A)、ヤン・ブロン(T)、ドラホヴィッツ(Br)、
(オペラ・コメデイ・ドウ・モンペリエ収録、CS736CH、S-VHSテープでデジタル録画)



 本ソフトは、02年3月にクラシカジャパンで収録した「コンサートアリアによる世にも不思議な愛の物語(オンブラ・フェリーチェ)」と題する面白いモーツアルトのコンサートアリアのライブ演奏集であり、全17曲が収録されている。当初に2-4-1として02年にアップしたときには、全17曲のうち、有名曲を4曲(K.272、K.316、K.513、K.612)のみを取り上げ、取りあえず第一集としてご報告してきたが、そのまま放置されてきた。  しかし、コンサートアリアのソフトが非常に少ないため、今回、このソフトを再視聴して、2回に分けて、アップしようと考えた。このソフトは、ソプラノ3人、アルト1人、テノール1人、バリトン1人の6人により、交互に歌われていたが、ソプラノ3人の顔写真が撮れても、残念ながら顔と名前が特定できないという問題があった。  第二集では、標題の7曲を紹介することとしている。後日に歌手名を記載することが出来るように、各曲に写真を添付することにした。なお、曲名などは、属 啓成著「モーツアルト」歌曲編のコンサートアリアを参考にした。 


 

 この映像は、パリのメトロの電車からの風景が映し出され、次いでこのオペラ演奏を収録したシャンゼリゼ劇場が写される。そして各アリアの繋ぎ役として活躍するお婆ちゃんの道化役が写される。彼女はパリの舞台ではよく見かける役者であったが、舞台では現役として繋ぎ役の少年役の二役を演じており、少年役の出来映えを心配そうに見守っていた。舞台では何かがもう既に始まっており、少年が「恋の物語をやろう」と大声で叫んでいた。舞台の袖には、6人の歌手が3組のアヴェックのペアに別れて何かを囁いており、舞台上には二人の恋人たちが登場し音楽が始まっていた。

1、K.23、ソプラノアリア「いつでも忠実に」、

  弦五部の柔らかな音の前奏が開始され、女役のマンダーネが恋人に対しアンダンテで「いつまでも忠実であり、私がここに残って、心配していることを忘れないで、」と別れの言葉を囁いており、「せめて時々は、私のことを思い出してくれ、」と切なそうに繰り返し歌っていた。やがて、中間部に入り短調になり場面が変わってから、「私は自分の愛の力で、自分の心の中で、お前とはいつも語り合っているだろうから」とリズムとトーンを早めに変えて歌い、再び前奏と共にアンダンテに戻って、同じ言葉がダ・カーポされて歌われていた。
  歌詞は、メタスタージオのオペラ「アルタセルセ」から取られたもので、舞台の場面はアルタセルセの妹マンダーネが、恋人のアルヴァーチェに対して別れのつらさを切々と歌う場面であった。1766年の大旅行の帰路ハーグで作曲されたという。ここでは、ソプラノの替わりにアルトのシュトウツマンが歌っており、辛い別れに際して苦しげな表情を見せながらしっかりと歌っていた。



2、K.217、ソプラノアリア「あなたは誠実な心の持ち主」、

   ここで再び少年がひとしきり活躍してから、第二曲が、主役のソプラノ娘がテノール君をからかっているような仕草で始まっていた。アリアは二つの主題を三度繰り返していくロンド形式のような形であり、始めにアンダンテイーノ・グラチオーソのメヌエット風の3拍子で、主役の女性ドリーナが、余り好きでない求婚者をからかうように「あなたは誠実な人、熱心な求愛者、私の夫になる人、でも心が変わらないかしら、本当を言って」と語りかけるように歌っていた。そしてアレグロで次の主題が「忠実を守るとは思えない、きっと私を騙すのよ、今からとは言わないけれど、信用はできないの」と手厳しく、コロラチュアで華やかに歌う。そして、この二つの主題は交互に繰り返して歌われるが、その都度長さも形も変形されて、劇的な様相を深めながら進行し、ソプラノ娘が終わりには勝利するように歌うブッファ的な明るいアリアであった。
  歌詞は、ガルッピ作曲のオペラ「ドリーナの結婚」への挿入曲であり、ゴルドーニの台詞から取られている。1775年のザルツブルグでの作とされ、主人公ドリーナが、召使いと庭師の両方から求婚され、自分の揺れ動く気持ちを歌ったものである。

3、K.441、三重唱「ねえあなた、リボンはどこ?」、

 舞台ではリボンの三重唱の前奏がオーケストラで始まっており、三人の女性が登場し歌いながら何かを探していた。そこへソプラノ(コンスタンツエ)、テノール(モーツアルト)、バリトン(ジャカン)の三人が歌いながら、ふざけ合いながら、リボンを探し始めた。本来ならこれが三重唱で終わりまで続くのであるが、この舞台では大勢の人が仮面を付けて登場し、歌いながらぐるぐると這いずり回りながら、リボンを探し出している。やがて「リボンが見つかった」という声と共に、全員が仮面のまま立ち上がり、喜び合って歓声を上げていた。三重唱がここではいつの間にか合唱曲になって賑やかに楽しく歌われていた。 

 新婚後間もない1783年頃の作と考えられており、モーツアルト夫妻と親友ジャカンとの愉快な日常生活の一コマを映し出した、自作の歌詞に作曲した即興的な冗談音楽の一種であるとされる。

 


4、K.419、ソプラノアリア「いえ、いえ、あなたには無理なこと」、

 舞台では直ちに第4曲目のアリアが「いえ、いえ、いえ」と開始されていた。ソプラノ嬢がバリトン氏を相手にヒステリックにアレグロで歌っている。そして「あなたには無理なこと。あなたには礼儀や尊敬は望めません」と続けてハイソプラノで激しく怒りながら、相手を非難していた。
 やがて後半に入ると、アレグロ・アッサイに変わり、「帰ってください。そんないやな人は嫌いです。あなたのためにため息をしていたのに」と怒りに燃えながら、コロラチューラを生かしながら、連続して強いトーンで相手を攻撃していた。

 この曲は、1783年6月に、K.418とともにアロイジアのために作曲された曲で、テキストは両曲ともアンフォッシのオペラ「あつかましい好奇」から取られ、ランゲ婦人用に書き換えたものとされる。場面は侯爵の忠実な新妻のクロリンダが、伯爵に誘惑されそうになって激しく伯爵を非難するアリアである。初演ではこの曲はアンコールされており、アロイジアの声にピッタリであったとされ、高い音は第3線のホ音を示している。


5、K.255、アルト、レチタテイーフとアリア「幸せな亡霊よ」、「別れの時が来た」、

 子供の道化が再び舞台で活躍してから、前奏とともに「幸せな亡霊よ」と、アルトのシュトウツマンの長いレチタテイーボが始まる。曲は、ロンド形式のアリアで、アンダンテのロンド主題「別れの時が来た。これが最後の別れかも、お、愛しい人よ」とゆったりと美しく歌われる。次いでアレグロ・アッサイの副主題が「正義の神よ、誰がこの過酷な苦痛を予期したであろう」とせき込んで歌われ、この二つの主題が交互に変化を加えながら反復され循環していく。別れの辛い気持ちを歌った厳しいアリアである。

 この曲は、1776年9月にイタリアのアルトのカストラート、フォルテイーニのために作曲されたとされる。テキストはモルテラーリのオペラ「アルサーチェ」から取られたもので、曲の内容は、アルサーチェ将軍が国王によって捉えられた許婚の美女セレーナとの別れの辛さを歌う悲惨なアリアである。モーツアルトの唯一のアルトのための曲である。




  7、K.432(421a)、バス、レチタテイーフとアリア「あなたはかくも裏切った」、「激しい後悔が」、

 舞台ではバリトンのドラホヴィッツがアレグロで独り言のレチタテーボを「あなたはかくも裏切った。何と愚かなことか」と歌い始める。
 場面は陰謀の首謀者である王の腹心のセバステが、愛する王女ロッサーネの裏切りを怒って歌うもので、計画の失敗を嘆き、逃れる術もない不運を嘆くレチタテーボである。続くアリアはアレグロで、「激しい後悔が、私の過失がもとで溢れてくる。おお神よ、なぜ今になって私の心をこれほど苦しめるのですか」と後悔と怒りに満ちた激情のアリアで、三連音符による弦の伴奏音形が、セバステの不安な心理を表しており、アレグロの早口で激しく歌われていた。


8、K.369、ソプラノ、レチタテイーフとアリア「あわれな私、ここは何処!」、「あ、これを語るのは、私でない」、

 前曲が終わると直ちにオーケストラの悲しげな伴奏が始まり、続けてレチタテーボが「あわれな私、ここは何処!」と歌われていた。

 場面は、メタスタジオの「エチオ」から取られたフルヴィアのアリアであり、彼女は愛人のエチオの死を悲しみ、父にあるその罪をかわすため、最後の解決策として自分の命を絶とうとする追いつめられた絶望の気持ちを歌うものである。アリアは、アンダンテ・ソステヌートで、フルヴィアが全ての望みを失った心境で、「あ、これを語るのは、私でない」と切々と歌われる。そして後半からテンポがアレグロになり、「過酷にも天は、私の苦悩に思いやりがない。」と自分の不幸を早口で嘆いていた。 

 このアリアは、1781年3月にイドメネオ作曲のためにミュンヘン滞在中に書かれており、イドメネオ上演のため世話になった選帝侯の愛妾バウムガルテン伯夫人のために作られた。彼女がアマチュアのソプラノ歌手であったため、その能力に合わせて、かなり易しく書かれていると言われる。





 上記の右側の写真は、第1集で紹介した[10、K.316(300b)、ソプラノ、レチタテイーフとアリア「テッサリアの民よ」、「私は求めない永遠の神々よ」]の一場面であるが、このアリア集で歌う歌手6人全員が写っている。後列の左からアルトのシュトウツマン(A)、ついでバリトンのドラホヴィッツ(Br)、テノールのヤン・ブロン(T)、は明解であるが、前列のソプラノの三人の顔と名前(ジーテン(S)、スッミッカ(S)、カンジェミ(S))が特定できないのが残念であった。前列の右側の人がK.369を歌い、中央がアロイジアのアリアK.419・K.316を歌っていた。まことに恐縮であるが、この報告をご覧になった方で、これらのソプラノ歌手を知っている方がおられたら、ご連絡いただければ、非常に有り難いと思う。 

(以上)(07/07/04) 


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