7-3-2、クラシカジャパン「モーツアルトのある毎日」第5回、
セレナードニ長調(第7番)「ハフナー・セレナード」K.250+行進曲K.249スダーン指揮モーツアルテウム管弦楽団(9901)、及びフルート四重奏曲ト長調(第二番)K285aウイーンフイル・アンサンブル(2000)、

−指揮者スダーンの情熱的な指揮ぶりとコンサートマスター・トマージの好演により、会場を沸かせたハフナー・セレナード−

7-3-2、クラシカジャパン「モーツアルトのある毎日」第5回、
セレナードニ長調(第7番)「ハフナー・セレナード」K.250+行進曲K.249スダーン指揮モーツアルテウム管弦楽団(9901)、及びフルート四重奏曲ト長調(第二番)K285aウイーンフイル・アンサンブル(2000)、

(06年07月21日、クラシカジャパンCS736の放送を、D-VHSレコーダーのLS-3モードで、S-VHSテープにデジタル録画。)


 7-3-2は、しばらく続いたドキュメンタリー映像が一段落したので、「モーツアルトのある毎日」第5回目の映像から、ハフナー・セレナードニ長調K.250+行進曲K.249及びフルート四重奏曲ト長調(第二番)K285aとをお届けする。前者は、スダーン指揮モーツアルテウム管弦楽団の1999年のモーツアルト週間の映像であり、ヴァイオリンは来日してお馴染みになっているコンサートマスターのマーカス・トマージが弾いている。後者は、ウイーンフイルのメンバーたちによる演奏で2000年のモーツアルト週間の映像であり、フルートをフィンリイが、第一ヴァイオリンをキュッヘルが弾いていた。



 第1曲のハフナー・セレナードニ長調K.250は、初めに行進曲ニ長調K.249から始まる。厳かな出だしに次いで楽しいリズミカルな行進曲となるが、トマージの生き生きとした表情と元気な姿が見え一安心。スダーンは指揮台に乗らず両手で踊るように体を動かしながら指揮をし、テインパニーがよく響くが、よく見るとトランペット・オーボエ・フルートが2人ずつおり、ベースが2台のフルサイズの規模のオーケストラであった。  第一楽章のトウッテイで始まる華やかなお馴染みの序奏は、お祝いの曲に相応しく、続くアレグロで、第一主題が軽快に堂々と立ち上がり、それから第二主題が弦の弱奏で流れるように軽やかに、まさにスダーンのペースで生き生きと進行する。展開部では序奏の動機が、いろいろと変化しながら力強く繰り返し展開され、軽快に再現部に移行して行き、華やかなセレナードの幕開けの楽章となった。



 第二楽章はアンダンテの協奏曲楽章で、トマージが立ち上がってトウッテイで一緒に主題を提示していくが、やがて独奏ヴァイオリンとして短いアインガングの後に第一主題を優雅に歌い出す。この主題をひと通り経過した後に、トウッテイの導入部と独奏ヴァイオリンのソロによる装飾部からなる第二主題に移行し、華やかに両者の応答により進行する。オーボエがいつの間にかフルートに変わって、この楽章からは独奏ヴァイオリンを中心にして叙情的なムードを保ちながら、終わりには短いながらもカデンツアで飾られた協奏楽章になっていた。第三楽章は聞き覚えのあるメロデイで堂々としたメヌエットがトウッテイで力強く進行する。トリオでは独奏ヴァイオリンがホルンの明るい伴奏で美しく歌い出し、独奏ヴァイオリンとフルート・ファゴット・ホルンの6重奏との優雅なトリオで、メヌエットと調和した協奏楽章であった。第四楽章は、クライスラーのヴァイオリンとピアノに編曲したロンドで名高い楽章である。独奏ヴァイオリンが高らかにロンド主題を弾き始め、新しい主題が次から次へとヴァイオリンで提示されて走り抜けていく目まぐるしいロンド楽章であった。トマージの独奏ヴァイオリンが花を咲かせ、終わると一曲終了の拍手が始まって、珍しく中断して一休みという和やかな演奏風景であった。



 第五楽章はメヌエット・ガランテと名ずけられた華やかで充実したメヌエットであり、踊りのリズムで進行するが、トリオは一転して第一ヴァイオリンによる暗い表情の風変わりな曲調となり、荘重さと明暗とを持った楽章であった。第六楽章はアンダンテ楽章であるが、ロンド形式のような面白い構成。リート風の第一主題のあと流麗で軽やかな第二主題が流れるが、第一主題が絶えず変奏されるのに対し第二主題はいつも原型を保つ形で、三回ほど繰り返される長い楽章。第七楽章は三度目のメヌエット楽章であるが、二つもトリオを持つ大型のもの。何かユーモラスな感じの明確な主題のメヌエットに対し、第一トリオはフルートの滑らかな旋律に対し弦とファゴットが柔らかな響きで支えていた。また第二トリオではトランペットが珍しくリズムを刻みフルートとヴァイオリンが交互に旋律を受け持つ風変わりなものだった。第八楽章は豊かな表情を持つゆったりした序奏に始まって、アレグロのロンド・ソナタ形式の疾走するようなフィナーレで、全ての楽器が華やかに激しく動き回って、セレナードの終わりを盛り上げていた。終わると大きな掛け声が上がり大変な拍手がわき起こった。最後には冒頭の行進曲K.249をアンコールとして再演するという珍しい幕切れとなり、参加した聴衆の大喜びの様子が記録されていた。これがライブ映像の面白さである。



 このハフナー・セレナードは、第一・第八楽章にそれぞれ序奏を持ち、前後に行進曲を加えると一時間を超す大曲である。スダーンは両手で踊るように体を動かしながら大汗をかきながら情熱的に指揮をしており、トマージのヴァイオリンの熱演も加わって大変な演奏となり、観衆も巻き添えになって盛り上がりをみせた熱狂的なコンサートでおわった。これがモーツアルト週間でよく見かける、ほのぼのとした舞台と聴衆とが一体となって盛り上がる至上の光景であると言えよう。

 フルート四重奏曲ト長調(第二番)K285aを取り出して単独で聴いたという記憶は殆どない。このフルート四重奏曲はLP時代から4曲一組であり、いつも一緒に聴いていたような気がする。今回この曲を収録した放送は、クイケン兄弟のニ長調(第一番)K.285とこの曲であり、異なったコンサートから引き抜かれたものであった。前者は既にこのホームページで第四番イ長調K.298とともにアップ済み(3-8-3)であったので、今回はこの曲だけを単独で取り上ざるを得ないこととなった。
 単独で取り上げて聴いてみると、この曲はソナタ形式のアンダンテの第一楽章と二部形式のテンポデイ・メヌエットの第二楽章だけであり、第一番のフルート四重奏曲と比べると、緩急の対比のないこの作品は、何とも不完全な形で構成感を欠き、むしろセレナード風の作品とでも言えそうである。



 第一楽章はフルートが吹き始める温和な第一主題により開始されるが、チェロ、ヴァイオリン、フルートと順番に模倣していく経過部に移り、ヴァイオリンが弾き始める主題をフルートが遅れて模倣し、追い掛け合う第二主題が洗練されており面白い。展開部はこれもヴァイオリンとフルートが追い掛け合う新しい主題で変化の激しいこの曲唯一の部分となる。再現部では第二主題のあとに第一主題が登場し力強く結ばれる。ウイーンフイル・アンサンブルの演奏は皆が優等生といった温和しい演奏で、フルートとヴァイオリンのどちらが主役か曖昧な感じの演奏であった。
 第二楽章は、メヌエットのテンポによるフルートが提示する明るい主題が終始する楽章で、ここではフルートが主役で時折浮かび上がるフルートのパッセージが美しいが、余り主張のないまま穏やかに終結する。



 フルートのフインリイは、ウイーンフイルの演奏でいつもシュルツの右隣に座っているフルーテイストであるが、技術力はあってもシュルツほど強引に全体を牽引するようなタイプでない温和しい方であると感じた。このHPでシュルツが主役のフルート四重奏曲を見ることが出来る()が、フルートが主役の元気の良い演奏であった。終わりに、この演奏を行った4人のメンバーのお名前を、感謝の意を込めて記録しておこう。

Fl;Dieter Finry、Vn;Rainer Kuchl、Va;Gunter Seifert、Ce;Franz Bartolomey、

(以上)(07/03/04)



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