7-2-3、クラシカジャパン「モーツアルトのある毎日」第4回、
(曲目)ヴァイオリン協奏曲変ロ長調(第1番)K.207、カヴァコスのヴァイオリン、ヤニチェック指揮のザルツブルグ・カメラータ・アカデミカ(9901)、およびデイヴェルテイメントヘ長調(第10番)K.247+行進曲K.248、ウイーン室内合奏団(9701)、

−カヴァスコのヴァイオリンによる一人舞台のような生き生きとしたヴァイオリン協奏曲、およびウイーン室内合奏団による典雅で充実した響きのデイヴェルテイメント−

7-2-3、クラシカジャパン「モーツアルトのある毎日」第4回、
(曲目)ヴァイオリン協奏曲変ロ長調(第1番)K.207、カヴァコスのヴァイオリン、ヤニチェック指揮のザルツブルグ・カメラータ・アカデミカ(9901)、およびデイヴェルテイメントヘ長調(第10番)K.247+行進曲K.248、ウイーン室内合奏団(9701)、

(06年07月21日、クラシカジャパンCS736の放送を、D-VHSレコーダーのLS-3モードで、S-VHSテープにデジタル録画。)


 2月号の第3番目のクラシカジャパン「モーツアルトのある毎日」からの第4回目の映像は、いずれもザルツブルグのグロッサーザールにおけるモーツアルト週間の演奏である。1曲目は、ヴァイオリン協奏曲変ロ長調(第1番)K.207であり、カヴァコスがヴァイオリンを担当したザルツブルグ・カメラータ・アカデミカの演奏(9901)である。2曲目は、ウイーン室内合奏団によるデイヴェルテイメントヘ長調(第10番)K.247の演奏(9701)であり、いずれもこのホームページ初出であり、両曲とも映像に恵まれない貴重なものであると思われる。なお、後者には行進曲K.248が含まれていた。


 ヴァイオリン協奏曲変ロ長調(第1番)K.207は、1773年の3度目のイタリア旅行から帰って直ぐに書かれた、モーツアルトの最初の協奏曲作品である。これは新全集で明らかにされたことであり、このことを意識して、改めてしっかりと聴き直してみた。第一・第三楽章ともに協奏風の型にはまったソナタ形式で作られており、いかにも教科書通りの枠組みのスタイルに組み立てられている印象を持った。第二楽章はこれを簡略化した展開部のないソナタ形式のようである。しかし、独奏ヴァイオリンの技術については、従来からセレナードやデイヴェルテイメントで挿入され試みられてきた協奏曲風の自由なスタイルで洗練されており、そのためか、長い間、彼の最初のオリジナルな協奏曲とは考えられなかったのであろうと思われる。

 第一楽章はアレグロでトウッテイで始まるが、ソリストのカヴァコスもオーケストラの一員として参加しており、型どおり第一・第二主題が提示された後に、独奏ヴァイオリンとして改めて登場する。カヴァコスの元気の良いヴァイオリンと、セレナードなどでは独奏者となるコンサートマスターのヤニチェックが率いるカメラータのメンバーとが互いに競争するように曲が進行し、オーボエやホルンがそれに答えるように時々相づちを打つのが面白く感じた。展開部では新しい主題が提示され繰り返して展開されていくが、ここでも独奏者と伴奏者の競い合いが目立っていた。カデンツアはカヴァスコのオリジナルで第一・第二主題から取られたものを上手に組み合わせていた。大柄であるが生真面目そうな風貌に似たきめ細かなヴァイオリンの弾き方をする独奏者に対しオーケストラがとても良く応え、映像で小編成の演奏を見る面白さや楽しさが味わえる演奏であった。




 第二楽章のアダージョでは、カヴァコスは主題提示部にも参加し、独奏ヴァイオリンとしてもカンタービレの旋律の美しさを示し、終わりのカデンツアでも技巧的な冴えを示して、まるで一人舞台のように弾きまくり存在感があった。フィナーレ楽章でも生き生きとしたプレストの主題提示から活躍し、独奏ヴァイオリンの華やかな疾走ぶりによって、演奏に目まぐるしい変化と展開があり、見事な独奏ぶりの協奏曲であった。

 カヴァスコはこのオーケストラとはよく馴染んでいるように見受けられ、終わっても多くの楽員から歓迎の拍手を貰っていた。一見して大柄で生真面目そうな個性的な感じのする風貌であるが、トウッテイにも楽団の一員として参加する親しみやすさがあり、独奏者としてもアンサンブルを大事にするソリストなのであろう。この穏やかで生き生きとした演奏を聴いて、カヴァスコに他の協奏曲やセレナードも演奏して欲しいと思った。




 第2曲目は、デイヴェルテイメントヘ長調(第10番)K.247の演奏であり、弦5部と2ホルンの小編成の典型的なデイヴェルテイメントである。この曲には、同じ編成の行進曲ヘ長調K.247があり、2メヌエットをもつ6楽章の構成で、1776年ザルツブルグのロドロン伯爵夫人の霊名の祝日のために作曲された。モーツアルトは翌1777年にも同じ目的のためにデイヴェルテイメントK.287を作曲しているので、このK.247は「第一ロドロン・セレナード」と呼ばれている。演奏は、ウイーンフイルのメンバーで組織されたウイーン室内合奏団による7人のメンバーであり、97年のモーツアルト週間においてグロッサーザールで演奏(9701)されたものである。

 演奏は行進曲ヘ長調K.247から軽快に始まった。チェロとベースの低弦とホルンの合奏に乗って、弦三部による軽やかな行進曲が、明るく穏やかなトーンで進行した。心持ち大きな音量で再生すると低減が厚く豊かに聞こえとても快い。
 第一楽章は、ああこの曲かと思い出させる軽快なアレグロであった。その昔、イ・ムジチなどのLPレコードで聴いた懐かしく想いで深い出だしである。第一主題を終結するようにユニゾンで弾かれるテーマが歯切れ良く、続く第一ヴァイオリンで流麗に弾かれる第二主題が美しい。この楽章はこの二つの主題を中心にソナタ形式で作られているが、ウイーン室内合奏団の演奏は第一ヴァイオリンを中心に弾むように軽やかに弾かれ、ホルンの安定した吹奏が豊かに響き心地よい。




 第二楽章は第一ヴァイオリンで始まる穏やかなゆったりした主題のアンダンテで、この主題が何回も繰り返されるロマンス風の楽章であった。続く第一メヌエットは、弦とホルンの合奏による力強い堂々たるメヌエットで、ホルンの合奏に導かれて弦がひとしきり歌うトリオが珍しい。第四楽章は弦5部による穏やかなアダージョで、第一ヴァイオリン中心のセレナード楽章。第二ヴァイオリンとヴィオラの主題を第一ヴァイオリンが受け取って完成させる第二主題がとても美しい。
 第二メヌエットは何度も聞いた軽快でリズミックに進行するメヌエットで、ピッチカートによるポンポンという結びが実に快い。トリオは弦の合奏による美しいもので歯切れ良いリズムが心地よい。フィナーレは合奏による重々しい序奏で充実した響きで始まる。続いてトウッテイにより軽快なロンド主題が飛び出し、新しい陽気な主題とともに繰り返しロンド主題が現れて、この楽しいデイヴェルテイメントを終結する。




 ウイーン室内合奏団は、ザルツブルグ時代の典雅なデイヴェルテイメントK.247を、実にゆっくりとのどかに演奏してくれた。このような7重奏による小規模なデイヴェルテイメントには、第二ロドロンのK.287のほか、有名なK.334があり、さらにオーボエを加えたナンネルのためのK.251などがあるが、オーケストラによるセレナードよりも演奏機会が少ないようなので、ウイーンフイルなどによるこの合奏団にもっと多くの演奏を期待したい。なお、参考のために、演奏者の氏名を列記しておく。

ヴァイオリン;ヨーゼフ・ヘルおよびピーター・ヴェヒター、ヴィオラ;ハット・ベヴァーレ、チェロ;アダルバート・スコシク、ベース;ヘルベルト・マイヤー、ホルン;エリー・テイルヴィルガーおよびフランツ・ゼルナー、

(以上)(07/02/11)


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