7-1-3、クラシカジャパン「モーツアルトのある毎日」第3回、
(曲目)交響曲ニ長調(第30番)K.202、ホグウッド指揮エンシェント室内管弦楽団(9702)、デイヴェルテイメントニ長調(第7番)K.167A(205)、ヤニチェック指揮ザルツブルグ・カメラータ・アカデミカ(9801)、

−交響曲全集のCDにあった古楽器風の澄みきった音を再現してくれるホグウッドとエインシャント室内楽団の演奏と、機会の少ない初期のデイヴェルテイメントを爽やかに響かせるヤニチェクとカメラータ・ザルツブルグの楽しい演奏−

7-1-3、クラシカジャパン「モーツアルトのある毎日」第3回、
(曲目)交響曲ニ長調(第30番)K.202、ホグウッド指揮エンシェント室内管弦楽団(9702)、デイヴェルテイメントニ長調(第7番)K.167A(205)、ヤニチェック指揮ザルツブルグ・カメラータ・アカデミカ(9801)、

(06年07月18日、クラシカジャパンCS336の放送を、D-VHSレコーダーのLS-3モードで、S-VHSテープにデジタル録画。)

 このホグウッドとエンシェント室内管弦楽団の交響曲第30番K.202(186b)は、1997年2月のザルツブルグのモーツアルト週間の演奏であり、私は奇しくもこの音楽祭に初めて参加し、グロッサーザールでこの演奏を楽しんでいた。この日の演奏は、レヴィンのピアノ協奏曲第5番ニ長調K.175とコンサートロンドK.382であったが、K.382が2000年にCS736CHで一度放送されたことがあったので、実はこの曲もいずれ放送されるのではないかと期待していた。エンシェント室内管弦楽団は、同じ古楽器集団でもコープマンの率いるアムステルダム・バロック楽団よりも2倍ほどの規模で、グロッサーザールの舞台が狭いくらいであった。コントラバスは2台であり、CDの交響曲全集の澄みきったような軽やかな音が聞こえるか耳を澄まして聴いていたことを思い出す。


 黒ずくめのホグウッドは、それなりに似合っていて指揮棒を軽やかに振る姿は格好がよい。第一楽章の第一主題は、付点とスタッカートによるキビキビしたリズムを持った3拍子の軽快なアレグロで、典型的なファンファーレ型のシンフォニー。トランペットにテインパニーを加えた古楽器特有の弦のサウンドと切れが目立つ。第二主題も弦が主体で伸びやかに移行するが、その後の新しい主題が何となくもたついて、再び第一主題の軽快さが始まるとホッとする。このテンポの良いリズムが、ホグウッドの特徴だと改めて聴き直す。 第二楽章は弦楽器だけのセレナーデ風のアンダンテイーノ。第一ヴァイオリンが奏でる音に第二ヴァイオリンがカノン風に重なり、ヴィオラも繋がって、モーツアルトらしい雰囲気となるが、ホグウッドはゆっくりしたテンポで明るく進行させる。弦楽だけの短いこの曲の最も美しい楽章に聞こえる。



 第三楽章は、トランペットやテインパニイーが勢いよく参加した堂々たるフルオケのメヌエット。この中に第一楽章の第二主題の旋律が聞こえる。弦楽のみのトリオが対照的であった。フィナーレは軽快な小気味よい行進曲風のプレストで、第一楽章の第一主題の付点付きのモチーブが聞こえる。解説書によると、循環主題とも呼ばれる関連主題のようである。軽やかさの中で、途中でふと立ち止まったり、面白い終わり方をしたり、ハイドン風の意外性のあるおどけが見え隠れする。ホグウッドの上手さが光るフィナーレであった。





 ホグウッドとこの楽団はやはり人気が高く、万雷の拍手の後で遂にアンコールに入り、ホグウッドがハイドンの交響曲79番ヘ長調のメヌエットで、ハイドンらしい明るいワルツ風の曲ですと一言説明する。フルートが加わって、先のモーツアルト同様におどけが見え隠れするメヌエットであり、お客を楽しませていた。彼らの演奏はCDの全集で実に良く馴染んでおり、その古楽器風の音色がライブでも十分に楽しめた好演であった。


   第2曲目のデイヴェルテイメントニ長調(第7番)K.167A(205)は、基本的には弦楽三重奏プラス2ホルンの小編成の曲であるが、このヤニチェック指揮のよるザルツブルグ・カメラータ・アカデミカの演奏では、コントラバス2台、チェロ4本、ホルン2の弦三部の20人くらいの低音に厚みを持たせた構成であった。この曲にはセレナーデ同様に行進曲二長調K.290(167AB)が付属しているが、この演奏では残念ながら含まれていなかった。二つのメヌエットを含む5楽章のザルツブルグ風の簡素なデイヴェルテイメントであるが、このような愛らしい曲を、自宅のソファーで映像を見ながらじっくり味わって聴けるのは、実に優雅で楽しいものである。




 第一楽章は、弦楽器だけによる荘重なラルゴでいきなり始まり、静かにゆっくりと高まりを見せた後に、一転して爽やで軽快なアレグロが始まる。リーダーのヤニチェックは、鬚なしの若いスタイルで、座りながら体全体の動きと顔つきで指揮をとっていた。このアレグロのソナタ楽章は、弦楽器が厚く時々響くホルンのアクセントも心地よく聞こえる。
 第二楽章はいつもどこかで聴いているような馴染み深いメヌエットで、ゆっくりしたとても踊りやすそうなテンポであり、ホルンが良く支えていた。トリオは第一ヴァイオリン中心の弦楽合奏である。ヤニチェックはテンポが良く安心して聴けるリーダーであり、この福よかなメヌエットをじっくり楽しませて貰った。




 第三楽章は、第一ヴァイオリンがリードするセレナード風の静かなアダージョであり、ヴァイオリンとヴィオラとが互いに掛け合うカンタービレが美しく楽しい。続く第二メヌエットは、元気溌剌とした思わず体を動かしたくなるメヌエットの第四楽章。トリオのホルンの二重奏が豊かに響き、実に楽しい気分である。フィナーレは、聞き覚えのある軽快なロンド主題が飛び出し、早い弦の動きの新しい主題とロンド主題が目まぐるしく交錯する。ヤニチェックは、終始着席のまま体を大きく揺らせながら、顔の表情や目の動きで全体を小気味よくリードしていた。




 ザルツブルグ時代の颯爽とした若さ溢れるシンフォニー、28番K.200(スダーン)、29番K.201(ベーム)、30番K.202(ホグウッド)、セレナード第4番K.203(カヴァコス)、デイヴェルテイメントニ長調K.205(ヤニチェック)などを、「モーツアルトのある毎日」の放送順に立て続けに聴いていると、どれもが爽やかで伸び伸びとした味わいがあり、素晴らしい特集を組んでくれたものと感謝に堪えない。今回はこれらのうちK.202とK.203とを新たにアップするものである。

(以上)(07/01/06)



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