6-9-1、生誕250周年記念「モーツアルト・ウイーン・コンサート」06年01月27日、ウイーン・シュテファン寺院、デ・ビリー指揮、オーストリア放送交響楽団、

−シュテファン寺院で輝かしい宗教曲の名曲を歌った生誕記念コンサート−残響が長く音が籠もりがちであったが、教会でしか味わえない深くて厚い響きが印象的−


6-9-1、生誕250周年記念「モーツアルト・ウイーン・コンサート」06年01月27日、ウイーン・シュテファン寺院、デ・ビリー指揮、オーストリア放送交響楽団、

−シュテファン寺院で輝かしい宗教曲の名曲を歌った生誕記念コンサート−残響が長く音が籠もりがちであったが、教会でしか味わえない深くて厚い響きが印象的−


(配役)ウイーン少年合唱団、コルス・ヴィエネンシス合唱団、サンドリーヌ・ピオー(S)、T.ケルシュバウム(T)、W.バンクル(B)、
(曲目)教会ソナタK.278、戴冠ミサ曲K.317、グラドアーレK.273、アヴェ・ヴェルムK.618、教会ソナタK.329、ほか、
(06年06月07日、NHKBS-2の放送を、D-VHSレコーダーのLS-3モードで、S-VHSテープにデジタル録画し、DVD化した。)


 9月分の第1番目は、今年の06年01月27日に、ウイーンのシュテファン寺院において、生誕250周年記念「モーツアルト・ウイーン・コンサート」と称して行われた記念コンサートである。シュテファン寺院内のコンサート風景は、なかなか見られないので楽しみであるし、ウイーン少年合唱団が参加している宗教曲特集であることも見逃せない。ベルトランド・デ・ビリー指揮、オーストリア放送交響楽団の演奏となっており、ソプラノのサンドリーヌ・ピオーが歌っているが、戴冠ミサ曲K.317では少年二人がソプラノを歌っていた。曲目は下記の通りであるが、宗教曲特集はこのHPでは初めてであり、新しい曲が増えて「映像のコレクション」が充実されることになる。このコンサートは、去る6月6日BS-2で収録したものを、自分でDVD化したものである。


(曲目詳細)
1、教会ソナタ ハ長調K.278、
2、ミサ曲ハ短調K.427から、クレドおよびエト・インカルナタス・エスト(聖霊によって宿り)、ソプラノ;サンドリーヌ・ピオー、
3、グラドアーレ「サンクタ・マリア」K.273、
4、ベスペレK.339から、主をたたえよ。ソプラノ;サンドリーヌ・ピオー、
5、「戴冠」ミサ曲 ハ長調K.317、(全曲)、ウイーン少年合唱団、T.ケルシュバウム(T)、W.バンクル(B)、
6、アヴェ・ヴェルム・コプス、K.618、
7、リタニアK.195からアニュス・デイ(神の子羊)ソプラノ;サンドリーヌ・ピオー、
8、教会ソナタ ハ長調K.329、

 2曲の教会ソナタは、広いシュテファン寺院で演奏されるためか、オーボエ、トランペット、テインパニが加わった最もオーケストラの規模が大きな曲(2曲しかない)が選ばれていた。最初の第一曲のK.278は1777年4月の復活祭大祭日のために作曲され、そのため楽器編成が大きく、規模や構成も祭典にふさわしく拡大されている。堂々と開始される主題の力強さにもお祝いの気分が溢れているようであるが、提示部の反復がない上に、再現部でもコーダとして現れるだけの短い曲であった。オーケストラが建物に深く共鳴し、残響が長く音に厚みがあり、コンサートホールとは異なる特別なこもった響きであった。


 第二曲目はソプラノのサンドリーヌ・ピオーが登場し着席してから、ミサ曲ハ短調K.427から、始めにクレドが合唱団により力強く歌われた。続いてエト・インカルナタス・エスト(聖霊によって宿り)が、ゆっくりしたシチリアーナのリズムに乗って始まり、オーボエ、フルート、ファゴットによる美しい前奏のあとソプラノが格調高く歌い出した。木管とソプラノが織りなす対話が素晴らしく、とりわけ終わりのカデンツアが見事に決まって、最高の拍手が送られていた。何と美しい曲であろうか。

 第三曲目は、グラドアーレ(昇階曲)K.273、で、ウイーン少年合唱団の4部合唱と弦楽とオルガンで演奏されていた。やや早めのテンポで「サンクタ・マリア(主の母、聖マリア)」という出だしで厳かに歌われ、一気に合唱で進められるが、残響が大きくて合唱の声がぼけて聞こえた。アヴェ・ヴェルムK.618と同じ編成であり、民謡調のリート的性格は共通している。1777年9月9日の日付を持っており、恐らく9月12日のマリアの聖名祝日のためと9月23日に出発したパリ旅行のために、先だって奉納した曲と考えられている。

   第四曲は、ベスペレ(荘厳晩課)K.339から、特にソプラノソロで有名な「ラウダテ・ドミヌム(主をたたえよ)」であり、ソプラノのサンドリーヌ・ピオーにより歌われた。モーツアルトの最も敬虔な感情のこもった祈りの曲の一つである。オーケストラの前奏のあと、ソプラノソロが静かに低く現れ、途中から盛大な合唱で繰り返すように歌われた。

 第五曲は、「戴冠」ミサ曲 ハ長調K.317の全曲演奏であり、ウイーン少年合唱団、二人の少年ソプラノと、テノールのT.ケルシュバウムとバスのW.バンクルが歌っている。  キリエでは大編成のオーケストラが重々しく教会全体に響き渡り、ソプラノとテノールが交互に歌うキリエの二重唱が明るく歌われていた。グロリアでは盛大な合唱による祝祭賛歌が高らかに歌われ、最後に盛り上がるアーメンの四重唱と合唱が印象的だった。

 クレドでは速いテンポでオーケストラと合唱による激しい部分と四人のソロによって静かに歌われるエト・インカルナタスの部分とが対照的で面白かった。短いサンクトスとベネデイクトスに続いてアニュス・デイでは、「フィガロ」の祈りのアリアが少年ソプラノで歌われたが、良い声ではあったがこの会場ではやはりひ弱な感じであった。アレグロに入ると、ソプラノに続き四重奏となり、最後に大合唱になって輝かしい盛大な響きとなり、喜びに満ちたミサ曲が終演した。凄い拍手でソリストたちは大歓迎されていた。

 第六曲は、ウイーン少年合唱団によるアヴェ・ヴェルム・コプスK.618であり、少年たちの澄んだ歌声が聞きものである。この曲には沢山の録音があるが、シュテファン寺院でしみじみと歌われたアヴェ・ヴェルムは、当寺院の売店で買ったドーム合唱団のCDに次ぐ珍しいものである。ゆっくりした前奏に続いて、合唱団が静かに厳かに歌い出す。残響が多すぎ声が聞き取れず全体がもやっとしているが、これが教会内の自然な響きであろう。



 第七曲は、リタニア(聖母連祷)K.195から、ソプラノのアリア風のアニュス・デイ(神の子羊)であり、再びソプラノのピオーにより歌われた。この曲もソプラノの祈りを込めた旋律が素晴らしく、合唱も加わって壮大に盛り上がるが、終わりのソプラノによるカデンツアも存在感があり、「哀れみ給え」の合唱で終息する。

 最後の教会ソナタK.329(317a)は、「戴冠」ミサK.317に合わせて作曲されたものであり、聖母マリアの祝日のためのお祝いの曲として明るい気分に満ちた曲である。ユニゾンの力強い開始はまるでオペラの序曲のようでもあり、旋律的な後半部ではオルガン協奏曲を思わせるような部分もあり、多彩ではあるが短く終わっている。さすがシュテファン寺院では、残響の響きが厚く聞こえ、いかにも堂々とした雰囲気に満たされていた。



 全曲が完了し、ソリストたちが熱心な拍手を浴びていた。曲の合間に写される寺院内部のステンドグラスや古くからの彫刻や装飾品がクローズアップで写されていたが、これらは現地に行っても暗くて見ることが出来ないので、映像のお陰で見ることが出来るものが多いと思った。広い教会内に全員が整然と着席して行われたコンサートであり、暖かい拍手に溢れ全員が心からモーツアルトの誕生日を祝福しているように思われた。

(以上)(06/09/03)


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