6-4-4、ムーテイ指揮ウイーンフイル、ウイーン楽友協会合唱団、ハンプソン、バルトリ、内田光子、06年1月27日(金)祝祭大劇場、ザルツブルグ、(生誕250年記念コンサート)

1)ピアノ協奏曲ハ長調K.503、2)ソプラノのコンサートアリアK.505、3)バリトンのコンサートアリアK.584、4)ハフナー交響曲K.385、5)モテット「踊れ、喜べ]K.165、6)「フィガロの結婚」よりレチタとアリアK.492/18、7)ツエルリーナとドンジョバンニの二重唱K.527/7、8)「魔笛」より終幕の合唱K.620/21

6-4-4、ムーテイ指揮ウイーンフイル、ウイーン合唱団、ハンプソン、バルトリ、内田光子、06年1月27日(金)祝祭大劇場、ザルツブルグ、(生誕250年記念コンサート)
第一部;1)ピアノ協奏曲ハ長調K.503、2)ソプラノのコンサートアリアK.505、3)バリトンのコンサートアリアK.584、
(プログラムで予告されていたコンサートの休憩中に誕生時刻(20時)に合わせ5)オリジナルヴァイオリンとオリジナルチェンバロによる室内楽は、中止された。しかし、当日放送したビデオには、含まれていた。)
第二部;4)ハフナー交響曲K.385、5)モテット「踊れ、喜べ]K.165、6)「フィガロの結婚」よりレチタとアリアK.492/18、7)ツエルリーナとドンジョバンニの二重唱K.527/7、8)「魔笛」より終幕の合唱K.620/21、
(06年01月27日、夜のオーストリア放送のライブ中継放送のビデオを入手し、それを日本でDVD-Rにしたもの)

  1月27日の誕生日の夜、ザルツブルグで行われた生誕250年を記念した祝賀コンサートは、トーマス・ハンプソン、チェチーリア・バルトリ(当初予定のルネ・フレミングが急病のため急遽変更)、内田光子、ギドン・クレーメル、ユーリ・バシュメットなど最高のソリストたちと、ムーテイ指揮のウイーンフイルとウイーン歌劇場合唱団などの出演者たちによる大規模なコンサートであった。ザルツブルグの祝祭大劇場で行われたこのコンサートは、満員の聴衆の熱気溢れる中で、第一部、第二部に分かれたデラックスなプログラムで実施された。聴衆が多かったため、前日の同時刻に行われたゲネプロにおいても、当日と変わらぬ内容で同じコンサートが実施されていた。



 第一部の第一曲は、内田光子によるピアノ協奏曲第25番ハ長調K.503であった。ウイーンフイルは、ベース5本のフルオーケストラで、ムーテイの動きはキビキビしており、まるでシンフォニーのように堂々と開始された。内田光子の独奏ピアノは長いパッセージ風の導入を美しく決めて、オーケストラとこの主題を堂々と力強く弾いていた。二階席であったが左側の座席であったので、望遠鏡では彼女の鍵盤上を見事に走る手の動きを捉えることが出来た。第二楽章のオーケストラと独奏ピアノとの対話はピアノがいつも主役を演じ、名手シュルツのフルートの美しさも印象に残った。軽快なロンド形式のフィナーレは、オーケストラとピアノが交代しながら目まぐるしく展開されるが、この曲の中間部において独奏ピアノが明るく弾き出す二つのエピソードが素晴らしく、独奏ピアノとフルートとオーボエの合奏がいつもながら強い印象を受けた。内田光子の堂々たるソリストぶりを安心しながら見つめることが出来た。



 第二曲は、数ある名曲の中でこういう場面のために作曲されたようなレチタテイーヴォとアリア「どうしてあなたを忘れられよう」K.505であった。バルトリが実に静かにレチタテイーヴォから入り、内田光子の絶妙なオブリガートピアノを得て、バルトリがアンダンテで別れの悲しみを歌ってムードを出し、後半のアレグレットで見事な絶唱となり、ムーテイ指揮するウイーンフイルの響きがとても良くかみ合って、素晴らしい盛り上がりを見せた。ストレースのために心を込めてこの曲を作曲したモーツアルトが聴いたら涙するような、最高の歌とピアノのための協奏曲であったと思われる。

 第三曲は、トーマス・ハンプソンが歌う「コシ・ファン・トッテ」のグリエルモのための追加曲、バスアリア「あの人を見よ」K.584であった。男性用のコンサートアリアはなかなか聴く機会は少ないが、幸いハンプソンが03年5月に収録した新しいアリア集のCD(Warner Classics WPCS-11871)の第1曲目に入っており彼が得意な曲のようであった。指揮台の上のムーテイと変わらぬ位の長身で堂々と歌うハンプソンの声は、この広い祝祭大劇場でも十分な声量であり、オーケストラと対等に歌う姿にはほれぼれとする迫力があった。彼の新しいCDで健在ぶりを確かめていただきたいと思う。



 

(当初のプログラムで予告されていたコンサートの休憩中に誕生時刻ころ(20時)に合わせて、少年時のオリジナルヴァイオリンとオリジナルチェンバロを使った室内楽演奏は、有名人の息抜きの余興として期待していたににも拘わらず、どういう経緯からか、残念ながら中止された。しかし、後日入手した中継ライブのビデオでは、この休憩時間に、モーツアルトの生家で、ザルツ出身のキルヒシュラーガーの司会により、オリジナルピアノによる12歳の少年のチェンバロ演奏と三台のオリジナル楽器を用いた三人の若手によるクラヴィーア・トリオ(三重奏)K.548の第二楽章が演奏されていた。)




 休憩後の第二部の第一曲は、交響曲第35番ニ長調「ハフナー」K.385であった。この曲は05年8月ムーテイとウイーンフイルが来日公演した際に演奏しており、 このHPではソフト紹介の今年のトップ(6-1-1)としてご報告していた。コンサートマスターと会場が変わったくらいで、演奏内容はほぼ一緒である。有名曲でもあり演奏内容は省略するが、このホールの二階席で聴いた響きでは、[5.1CHで部屋中に広がる重厚な響きを持った情報量の多い壮大な「ハフナー」]とHPに書いたような凄い迫力はなかったように思われた。

 第二部の第二曲はバルトリをソリストとしたソプラノのための協奏曲、モテット「踊れ、喜べ」K.165であった。メゾソプラノなのでこの広い会場でこの曲はどうかと心配していたが、やはり第一楽章では声が伸びず心配が当たったかに見えた。しかし、レチタテイーヴォで落ち着いてから急に調子を取り戻し、第二楽章アンダンテや最後の「ハレルヤ」では、朗々と歌われ彼女のベストに近い最高の出来と思われた。彼女の歌の上手さは特別であり、大変な歓声と拍手で一杯となって、やはり凄い人気があると感心をした。






 第二部の第三曲は、ハンプソンの「フイガロの結婚」からの第三幕の伯爵のレチタテイーヴォとアリア「裁判は勝った!と、」K.492/18であった。05年のシュターツOPで彼はこの役をやっており、前述のCDにも含まれていた最も得意な曲。伯爵の悩みを吐露するこのアリアを、しっかりと歌い上げてこれも大変な喝采であった。 そして第四曲目は二人が一緒に登場して、オペラ「ドン・ジョバンニ」から、ご存じのツエルリーナとドン・ジョバンニの二重唱「手に手を取って」K.527/7を歌い出し、二人の歌も良く表情もとても豊かであって、第二部で最高の拍手と喝采を浴びていた。

 第二部のフィナーレは、ウイーン国立歌劇場合唱団の歌劇「魔笛」より終幕の「僧侶たちの合唱」K.620/21であった。100人近い合唱団がオペラの合唱曲をコンサートでご披露するのは私には初めてで、その迫力のある盛大な盛り上がりにはその場の全員が深い感動を覚えたに違いないと思われた。




 このように役者が揃い、聴衆が興奮状態に陥ると、舞台の上からも会場の席からも熱気が飛び交って、何をしても凄い状態になるライブの素晴らしさをこの目で確かめ、カーテンコールの熱気が衰えぬ会場を後にしたのであった。
(後日入手した、当日中継されたビデオでは収録時間(126分)の関係か、クレーメルとバシュメットによる協奏交響曲K.364は、残念ながらカットされていた。上記の演奏写真は、このビデオの映像を使用した。)

(以上)(06/04/17)


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