6-1-3、マクネアーとスチューダーによるソプラノ・アリア選集、 第一部;ソプラノ;シルヴィア・マクネアー、ハイテインク指揮ベルリンフイル、および第二部;ソプラノ;シェリル・スチューダー、アバド指揮ベルリンウイル


−マクネアーとスチューダーによる非常に珍しいコンサートアリア、K.505&K.577−


6-1-3、マクネアーとスチューダーによるソプラノ・アリア選集、
第一部;ソプラノ;シルヴィア・マクネアー、ハイテインク指揮ベルリンフイル、
(曲目)「フィガロの結婚」序曲、伯爵夫人のアリア(第10曲)「愛の神よ、」、スザンナのアリア(ロンド)「とうとうその時が来た。。。恋人よ早くここへ」K.577、
第二部;ソプラノ;シェリル・スチューダー、アバド指揮ベルリンウイル、(曲目)「ドン・ジョバンニ」序曲、ドンナ・アンナのアリア(第10番)「ひどい人ですって?いいえ違います」、レチタテイーヴォとアリア「どうしてあなたを忘れられよう」K.505、ピアノ;ブルーノ・カニーノ、スメタナホール、プラーハ、1991年5月1日、
(05年11月05日、クラシカジャパンの放送を、D-VHSレコーダーのLS-3モードで、S-VHSテープにデジタル録画。)


 新年の三曲目は、二つのベルリンフイルのヨーロッパコンサートから女性歌手によりモーツアルトのアリアを歌ったものだけを取り上げて、1時間番組の「モーツアルトアリア選集」に編集したものである。 第一部はハイテインクがベルリンフイルを振っており、オペラ「フィガロの結婚」の序曲に始まり、2曲目はソプラノのシルヴィア・マクネアーが、第2幕の伯爵夫人のアリア(第10曲)「愛の神よ、」を歌う。そして3曲目として第4幕のスザンナのアリア「とうとうその時が来た。。。恋人よ早くここへ」を作り直したアリア(ロンド)K.577を歌っている。

   第二部はアバド指揮ベルリンフイルの演奏で、初めに「ドン・ジョバンニ」序曲を演奏し、次にソプラノのシェリル・スチューダーがドンナ・アンナのアリア(第10番)「ひどい人ですって?いいえ違います」を歌う。そして最後にピアノのオブリガートがついたレチタテイーヴォとアリア「どうしてあなたを忘れられよう」K.505を、ピアニストのカニーノの伴奏で歌う。このコンサートは、調べてみると91年5月1日のプラーハのスメタナホールで行われた91年ヨーロッパコンサートであり、この他に交響曲第29番と最後に「ハフナー」交響曲が演奏されていた。91年の没後200年を記念したオールモーツアルトのプログラムであった。



 初めのハイテインク指揮の「フィガロの結婚」序曲は、コンサートの始めを飾るに相応しく心地よいテンポと軽快な響きに満ちており、オペラの開始を待つようなわくわくした気持ちに高ぶらせてくれた。ドレッシイに着飾ったシルヴィア・マクネアーが登場し、第2幕の伯爵夫人のアリアを歌い出したが、実にゆっくりしたテンポで思いを込めた歌い方をしており、改めて美しいアリアであると感じさせた。調べてみると、マクネアーはアバード・ウイーンフイルの94年のCD録音(グラモフォン)ではスザンナを演じており、伯爵夫人はスチューダーが歌っていた。しかし、91年のアバード・ウイーンフイルの映像では、伯爵夫人はスチューダーであったが、スザンナはマックローリンが歌っていたので、映像ではこのソフトでなければ見ることは出来ない。



 次のコンサートアリアK.577は、「フィガロの結婚」第4幕のスザンナのアリア「とうとうその時が来た。。。恋人よ早くここへ」を作り直したアリアであり、テキストもオーケストラの前奏もレチタテイーヴォの部分はオペラと同じであるが、アリアの部分が新しく技巧的に作り変えられている。この曲は1789年8月のフィガロの再演時に、スザンナ役が後に「コシ」のフィオルデリージを歌うことになるF.デル・ベーネ夫人になったため、恐らく歌い手の声と力量に合わせた技巧的な曲に変更したものとされている。伴奏にもホルンやファゴットが活躍し、バセット・ホルンが伴奏するなど、ウイーン後期の本格的なアリアとしての工夫が凝らされている。マクネアーはここでもゆっくりと余裕を残しながら悠々と歌っており、最後のカデンツアの部分などは素晴らしいと思った。


   第二部では、アバードの指揮で、始めに「ドン・ジョバンニ」序曲が演奏された。このオペラには彼による録音が既に何組かあるが、同じような感じの重々しい響きを強調する序曲であった。終了後アバードと明るく派手な衣装を身につけたシェリル・スチューダーが登場し、始めにドンナ・アンナのアリア(第10番)「ひどい人ですって?いいえ違います」を歌い出す。前半は淑やかに歌っていたが、後半になると体全体で声を出すような逞しさを感じさせる朗々とした歌い方になり、最後のコロラチューラの部分でも楽々と歌いこなす力量を見せていた。


 次いで、スチューダ、ピアニストのカニーノ、アバードの順に登場し、レチタテイーヴォとアリア「どうしてあなたを忘れられよう」K.505が歌われる。この曲のテキストは、自作のオペラ「イドメネオ」から取られたイダマンテ(男性)のテキストを、彼と彼女を入れ替えて女性用の歌に差し替えたものである。モーツアルトのストレースへの思いを最も良く伝えるテキストとして選んだものと思われ、愛情のこもった情熱的な詩である。



 短い前奏のあとレチタテイーヴォが静かに始まり、オーケストラの高まりとともに次第に盛り上がってから、「どうして私に出来るでしょう」とレチタテーヴォを優しく終える。ピアノのソロが静かに弾かれて、アリアのアンダンテが「いとしい人よ」と美しく歌われる。優雅な歌が次第に高まりを見せて始めの主題が戻ると、ピアノのキラキラと輝くような変奏を伴奏にして、ウットリさせるような甘さでアリアが繰り返される。ロンドのアレグレットの部分に入ると、ピアノは独唱のフレーズごとに相づちを打つように掛け合い、名手カール・ライスターのクラリネットも重なり合って、素晴らしい展開を見せた。スチューダーは声にゆとりがあるせいか、表情豊かに堂々とこのロンドを絶唱し、最高の盛り上がりを見せていた。



 この番組は、映像が非常に少ないモーツアルトのコンサートアリアを取り上げている。オーケストラの曲や交響曲の間に、オーケストラの伴奏で歌手がオペラのアリアを歌うことは、西欧のコンサートでは現在でも良く行われている。このホームページのモーツアルト週間のコンサートでもしばしば取り上げられ、私はシェーファーのソプラノでこのK.505を堪能したことがある。モーツアルト時代のコンサートは、歌手が主役でコンサートアリアを歌うことが当たり前であった。
 今回、再放送であったが珍しくコンサートアリアの映像をアップすることが出来たので、改めて「映像のコレクション」にK.505とK.577を掲載しようと考えている。

(以上)(06/01/14)


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