6-1-1、ムーテイ・ウイーンフイルの「ハフナー」交響曲ニ長調K.385−来日記念公演コンサート−5.1CHのHV収録−


−5.1CHで部屋中に広がる重厚な響きを持った情報量の多い壮大な「ハフナー」−

6-1-1、ムーテイ・ウイーンフイルの「ハフナー」交響曲ニ長調K.385−来日記念公演コンサート−5.1CHのHV収録−05年08月31日、サントリーホール、
(曲目)シューベルト;「ロザムンデ」序曲D.797、モーツアルト;交響曲第35番ニ長調「ハフナー」、ラヴェル;スペイン狂詩曲、ファリャ;「三角帽子」第二組曲、
−5.1CHで部屋中に広がる重厚な響きを持った情報量の多い壮大な「ハフナー」−
(05年11月05日、NHKHVクラシック館BS103CHをD-VHSレコーダーのHSモードでS-VHSテープに5.1CHデジタル録画)

 06年生誕250年記念のモーツアルトイヤーの開始早々の最初の曲は、リッカルド・ムーテイ(1941〜)とウイーンフイルの来日記念公演コンサートの中から「ハフナー」交響曲ニ長調K.385を、最新の5.1CHのハイビジョンで収録したものをお届けする。このコンサートは、05年08月31日のサントリーホールで開催され、曲目はシューベルトの「ロザムンデ」序曲D.797で始まり、二曲目が「ハフナー」交響曲第35番ニ長調であった。休憩後はラヴェルのスペイン狂詩曲が、引き続きファリャの「三角帽子」第二組曲というオーケストラが賑やかなポピュラーな曲目となっていた。

 NHKのBS103CHでは、映像の開始の部分で簡単なムーテイへのインタビューが行われていた。ムーテイは1975年にウインフイルと初来日しており、それから丁度30年を迎えたためムーテイ・ウイーンフイルの来日30周年記念特集のコンサートと名付けられている。インタビューでは、「1971年にカラヤンに初めて呼ばれてザルツブルグでウイーンフイルの指揮をして以来、ウイーンフイルとは長い付き合いが続いており、日本への演奏旅行も30年の歴史がある。私はウイーンフイルの個性ある音や響きを愛しており、誰もが認める世界で最高のオーケストラで、この楽団と特別な体験ができることを最高の喜びとしている。」と述べていた。30年とは一つの人生であり、初来日の時にはまだ生まれていなかった子を含めて3人の子が育ってくれ、長男は建築家、長女は女優、次男は法学部を卒業したと家族のことを嬉しそうに目を細めて語っていたのが印象的だった。この世界一忙しい超人指揮者も人の子であることを示す一面を垣間見た感じであった。



 シューベルトの「ロザムンデ」序曲に続いて演奏された「ハフナー」交響曲は、ベースが5本の重量級のオーケストラで演奏され、重厚な響きを持った骨太の堂々たる演奏であった。5.1チャンネルのせいか分厚い弦の響きが雄大であり、テインパニーやトランペットなども良く響き、ハイビジョンのきめ細かな映像が各楽器の動きや奏者の表情を良く捉えるので、実に情報量の多い豊かで壮大な「ハフナー」の映像であると感じさせた。

 ムーテイは指揮台に上がると未だざわめきがある中でいきなりタクトを振り、第一楽章の激しくアクセントのついた跳躍の部分と行進曲風のリズムの部分を持った第一主題が開始された。ムーテイの動きは細やかで素早くとてもキビキビした指揮ぶりで、オーケストラを激しく揺するような仕草で早めのテンポで全体をぐいぐいと引っ張っていた。この第一楽章は気のせいか息をつく閑もないほど一気呵成に進行し、トランペットやテインパニーの燦めくような音と力強い分厚い弦楽器の音が重なって、全体として雄大な音像を作り上げていた。



 第二楽章はウイーン風の明るい華やかなアンダンテで、弦の音がこんなにきめ細かく流れる楽章は珍しい。弦のスタッカートで刻まれた伴奏に乗って第一ヴァイオリンが伸びやかに歌う第一主題は、さすがウイーンフイルと思わせる柔らかな弦で、ムーテイは非常にゆっくりしたテンポで歌わせていた。また、チッチッチッチッという第一ヴァイオリンの伴奏で第二ヴァイオリンやヴィオラがざわめくように第二主題を歌い出し、実に優雅な美しい響きで進行する。第一楽章と対照的な美しい静かな音の響きが、聴くものを陶然とさせてしまう素晴らしい楽章であった。

 第三楽章は踊るように明るい典型的なメヌエット楽章で、力強く堂々と演奏される。第一ヴァイオリン、オーボエとファゴットが合奏するリート風のトリオは、対照的に穏やかで流れるように進み、再びメヌエット主題にバトンタッチされる。フィナーレはモーツアルト特有のロンドソナタ形式の疾走するプレストで、「後宮」のオスミンのアリアに似たヴァイオリンのユニゾンで旋律で始まる。ムーテイは力強くしかもスムーズに流れるように采配を取り、この早い楽章を一気に駆け抜けた。実に気持ちの良い清々しく感ずるすっきりした演奏であり、ムーテイの明るい屈託のなさが、この快い響きを生み出したに違いないと思われた。


 コンサートでは、この曲で休憩となり一休みしてからラベルのスペイン狂詩曲が演奏され、続いてファリャのバレエ組曲「三角帽子」の第二組曲が演奏された。イタリア人のムーテイがウイーンフイルを振ると、ドイツ語圏以外の音楽も十分こなせることを示したくなるのであろうか。終了すると、例によってアンコール期待のもの凄い拍手がわき起こり、ムーテイは何度か舞台に呼び出された挙げ句に、アンコール曲としてヴェルデイのオペラ「運命の力」序曲を取り上げた。さすがお得意の序曲で力強く迫力十分に聴かせたので、聴衆はムーテイのウイーンフイルを十分に堪能したと思われる。どのコンサートでも、いくら料金が高くても客席は満員で、拍手で大歓迎してくれる日本は素晴らしいそして気前の良い音楽大国であると彼らは考えているに違いない。

(以上)(06/01/12)


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