(2018年のベストソフトはどれか?)

−2018年の1年間にアップロードしたソフトにおけるベストソフトの選定−

金賞;18-1-3、マルク・ミンコフスキ指揮、ピンコスキ演出、ミラノスカラ座O&CHO&Balletによるオペラ・セリア「ルチオ・シッラ」、2015年3月、Teatro Alla Scala、

銀賞;18-3-2、サイモン・ラトル指揮ベルリンフイルと内田光子によるピアノ協奏曲(第27番)変ロ長調K.595、2017年10月7日、フイルハーモニアホール、および 18-6-2、ピアノ協奏曲ニ短調K.466、2006/12/31、06ジルベスター・コンサートより、

銅賞;18-6-3、ダニエル・ハーデイング指揮によるオール・M・コンサート;交響曲(第32番)ト長調K.318、コンサートアリア(テノール)K.431及びコンサートアリア(バス)K.612、およびミサ曲ハ短調K.427、2018/04/21、BDCHのライブより、フイルハーモニアホール、ベルリン、

銅賞;18-5-3、エーノッホ・ツー・グッテンベルク(指揮・監督・演出)による歌劇「魔笛」K.620、クラング・フェルヴァルトゥング・オーケストラ、ノイボイエルン合唱団、2013/11、ブリンツレゲンテン劇場、ミュンヘン、


(当HPの2018年のベストソフトはどれか?>

−2018年の1年間にアップロードしたソフトにおけるベストソフトの選定−

1、はじめに、

   毎年の 暮れに発売されるレコード芸術12月号には、その年の1年間にリリースされたCDなどのソフトに対して「レコード・アカデミー賞」というレコード大賞の特集がある。クラシックが9部門に分かれていて、各部門の優勝者から金・銀・銅の三賞が選ばれる。昨年の2017年のレコード大賞では、「クルレンツイス旋風吹き荒れる」とされ、何と金賞と銀賞の二つをクルレンツイスのCDが選ばれるという前代未聞の快挙とされていたが、今年もその影響が残っていたのか、何と金賞は、交響曲部門のクルレンツイスのマーラーの交響曲第6番「悲劇的」が選定されていた。また銀賞には、室内楽曲部門からイザベル・ファウストたちのドビュッシーの「最後の3つのソナタ集」が選定されていた。さらに銅賞には、オペラ部門からサイモンラトル指揮ロンドン交響楽団 ドビュッシーの「ペレアスとメリザンド」が選定されていた。

金賞の「悲劇的」交響曲には、「妖艶に歌い、快刀乱麻を断つ最強のインパクトを誇る「悲劇的」という言葉で推薦されており、「自分はこう読んだ」という指揮者の意図が徹底的に再現しつくされていると結ばれていた。
   銀賞のドビュッシーの「最後の3つのソナタ集」では、「ドビュッシー・イヤー」を象徴する贅沢かつ至純の「魂の贈り物」とされ、イザベル・ファウストのヴァイオリンソナタ、フルート・ヴィオラとハープのためのソナタ、チェロソナタなどが選ばれていた。
   銅賞には、これもドビュッシーのオペラ「ペリアスとメリサンド」では、ラトルの「溺愛」が音楽にあふれ出る新時代の「ペレアス」が誕生という表現で選定されていた。いずれにせよこの三者は、交響曲部門、室内楽曲部門、オペラ部門の優勝CDで、全9部門の中から選ばれる激戦の勝者であり、各部門で専門の選者により数候補がノミネートされ、各選者がノミネートCDを聴いて評点により順位づけ、最優秀のCDを選定していた。

    このレコード芸術のやり方を見習って、私のホームページにおいても、ささやかではあるが、この1年間にアップロードしたソフトの中から「モーツァルトの映像ソフト」の金賞・銀賞・銅賞を選ぶことにしているが、2013年より回を重ねて、過去に5回の実績を重ねてきた。毎年、私なりに毎年工夫を重ねて、良く考えて実施してきた積りであり、昨年はオペラに「演出賞」を設けたり、このHPでは初出のソリストや曲に対して、「新人賞」や「新規ソフト賞」などを考えてみた。
6回目の今年の2018年においては、下記に示す通り、金賞がミンコフスキのミラノ・スカラ座のオペラ「ルチオ・シッラ」、銀賞が内田光子とサイモン・ラトルのピアノ協奏曲第27番K.595と第20番K.466、銅賞がハーデイング指揮のオール・モーツァルト・コンサートのハ短調ミサ曲K.427などとなっている。

選定方法は、レコード大賞のように、初めにノミネート候補作品としてこの一年間で特に注目に値する作品を10曲ほどを目安に自由に素晴らしいものを選んでみて、1カ月くらい考えてみて、その中から約半数を選び出し、最後に三つを選び出して金・銀・銅の順位をつけるという、手順を踏んで厳選した結果となっている。 毎月、1)交響曲・管弦楽曲部門、2)協奏曲・器楽曲部門、3)オペラ・宗教曲部門の三部門を標準にして、3*12=36ソフトをアップしてきているが、その中から10のノミネート候補に絞り、さらに佳作を含めて半数ぐらいに厳選してから、最後に順位を定めるプロセスで金・銀・銅の三章を選定することになる。

以下は、私なりに厳選した結果のノミネート候補10作品をリストアップしてみたが、今年はどうしても12作品になってしまったことをお詫びしたい。それは、今回から、ノミネートするに当たって、オペラなどでは「演出賞」があってもよいかなと思ったり、このHPに初めて出てくる演奏家や作品に対しては、「新人賞」や「新規アップ賞」などと名付けてプラス賞を加えるのも面白いかなと考えたからである。ノミネート作品の掲載順は、アップロードした日付の順である。


2、選定されたノミネート候補作品のリスト、

   選定されたノミネート候補作品は、日付順に以下の通りであるが、クリックすれば概要が分るようになっているので、ご参照いただきたい。いずれも、自信を持って推奨に値するコンサートの映像であると考えている。

1) (最新のHDD録画より;鈴木秀美とリベラ・クラシカによるK.271&K.550、)
18-1-1、鈴木秀美指揮とリベラ・クラシカによるピアノ協奏曲変ホ長調K.271および交響曲第40番ト短調K.550、タンゲンテン・フリューゲル;上尾直毅、
2017年10月21日、上野学園石橋メモリアルホール、
 (2017/11/26放送のNHKクラシック館をHDD-5に収録、)

2)(最新のHDD録画より;バボラークのホルン協奏曲などK.407、495、447、)
18-1-2、ラデク・バボラークの指揮とホルン、バボラーク・アンサンブルによるホルン五重奏曲変ホ長調K.407、ホルン協奏曲第4番変ホ長調495、および第3番変ホ長調K.447、
2016年11月26日、第一生命ホール、
(2017/11/9、NHKクラシック倶楽部の放送をHDD-5に収録、)

3)(最新のBD新盤の映像より;ミンコフスキー・スカラ座の「ルチオ・シッラ」)
18-1-3、マルク・ミンコフスキ指揮、ピンコスキ演出、ミラノスカラ座O&CHO&Balletによるオペラ・セリア「ルチオ・シッラ」K.135、
2015年3月、Teatro Alla Scala、 (出演者)ルチオ・シッラ;Kresmir Spicer、ジューニア;Lenneke Ruiten、チェチーリオ;Marianne Crebassa、ルチオ・チンナ;Inga Kaina、チェーリア;Giulla Semenzato、
(2017/12/07、新宿タワーレコードにてBD盤日本語字幕付きを購入、)

4)(最新のDVD新盤の映像より;メストとスカラ座の「フィガロ」)
18-2-3、フランツ・ウエザー=メストとミラノスカラ座の「フィガロの結婚」、ウエイク・ウオーカー演出、ミラノスカラ座O&CHO、
2016年収録、Teatro Alla Scala、 (出演者)伯爵;Carlos Alvares、伯爵夫人;Diana Damrau、スザンナ;Golda Schultz、フィガロ;Markus Werba、ケルビーノ;Marianne Crebassa、マルチェリーナ;Anna Maria Chiuri、バルトロ;Andrea Concetti、バルバリーナ;Theresa Zisser、
(2017/12/30、新宿タワーレコードにてDVD盤日本語字幕付きを購入、)

5)(最新のベルリンフイルのDCHアーカイブ;内田光子のK.595とピリスのK.488)
18-3-2、サイモン・ラトル指揮ベルリンフイルと内田光子によるピアノ協奏曲(第27番)変ロ長調K.595、2017年10月7日、
およびブロムシュテッド指揮ベルリンフイルとマリア・ピリスによるピアノ協奏曲(第23番)イ長調K.488、2017/12/9、フィルハーモニーホール、ベルリン、
(グラモフォンのBDCHによる配信映像を見て、アップロード)

6)(最新のBD「王様の魔笛」より;指揮者グッテンベルクの「魔笛」K.620、)
18-5-3、エーノッホ・ツー・グッテンベルク(指揮・監督・演出)による歌劇「魔笛」K.620、
クラング・フェルヴァルトゥング・オーケストラ、ノイボイエルン合唱団、2013/11、ブリンツレゲンテン劇場、ミュンヘン、 (配役)本当のパパゲーノ(俳優);ゲルト・アントホフ、ザラストロ(ルードヴィッヒ2世);タレク・ナズミ、タミーノ(フランツ・ヨーゼフ1世);イエルク・デュルミューラー、夜の女王(ゾフィー大公妃);アンテイエ・ピッターリヒ、パミーナ(皇妃エリーザベト);スザンネ・ベルンハルト、パパゲーノ(バイエルン大公マックス・エマヌエル);ヨッヘン・クプファー、モノスタトス(プロイセン宰相ビスマルク);マルティン・ベツォールトほか、
(2018/04/25、ファラオ・クラッシックス、KKC9287、5000円、)

7) (BDCHのアーカイブより;内田光子のピアノ協奏曲ニ短調K.466ほか)
18-6-2、内田光子のピアノとサイモン・ラトル指揮ベルリンフイルによるピアノ協奏曲ニ短調K.466、2006/12/31、06ジルベスター・コンサートより、
およびボニタチブスのソプラノとミンコフスキーの指揮でコンサートアリアK.505「どうして貴女が忘れられようか」ほか、2014年7月、
(2018/05/20、BDCHのアーカイブよりアップ、およびY-TubeよりK.505を検索して)

8)(最新のBDCHより;ハーデイング指揮のハ短調ミサ曲K.427ほか、)
18-6-3、ダニエル・ハーデイング指揮によるオール・M・コンサート;交響曲(第32番)ト長調K.318、コンサートアリア(テノール)K.431及びコンサートアリア(バス)K.612、およびミサ曲ハ短調K.427、
2018/04/21、BDCHのライブより、フイルハーモニアホール、ベルリン、
(Solist) S;Lucy Crowe、Ms;Olivia Vermeulen、T;Andrew Staples、B;Georg Zeppenfeld、
(BDCHのアーカイブより2018/05/19アップ)

9)(最新のBDより、グートとティチアーティの素晴らしい「ティト」、)
18-8-3、クラウス・グート演出とロビン・ティチアーティ指揮による2017グラインドボーン歌劇場による「ティト帝の慈悲」K.621、エイジ・オブ・インライトメント管弦楽団とグラインドボーン合唱団、オラフ・ヴィンターの照明・プロジェクション、
2017年8月、グラインドボーン歌劇場、日本語字幕付き、
(2018/07/24、銀座の山野楽器店で購入、Opus Arte OABD7232D、)

10)(最新のHDD録画;ベザイデンホウトのフォルテピアノ、K.332、K.281、K.457)
18-9-1、クリスティアン・ベザイデンホウトのフォルテピアノによるピアノソナタヘ長調K.332、ピアノソナタ変ロ長調K.281、およびピアノソナタハ短調K.457、
2018/03/19、来日記念コンサート、東京文化会館小ホール、
(2018/04/27のNHKクラシック倶楽部よりHDD-2に収録、)

11)  (最新のHDD録画;管楽のための協奏交響曲K.297bほか、)
18-10-1、レ・ヴァン・フランセ管楽アンサンブルによるオーボエ・クラリネットなど管楽のための協奏交響曲変ホ長調K.297b、2018/04/24、東京オペラシテイ・ホール、
およびヴァイオリンとヴィオラのための二重奏曲第1番ト長調K.423、2015/11/08、愛知県立芸術大学・弦楽アンサンブル、Vn;桐山建志、Vla;百武由紀、竹田嘉兵衛商店内「蔵」、名古屋市有松、
(2018/06/29および2018/07/23のNHKクラシック倶楽部よりHDD-2に収録、)



3、ベストソフトの選定結果とその理由、

     以上により初めに選定されたノミネートソフトは、結果的に11本のソフトとなった。その内訳をみると、オペラ系が4本、オール・モーツァルトのフルコンサートが3本、協奏曲系が3本、ソロ・コンサートが1本となっていた。また、ソース別には、さすが新ソフトが多い中で、古いVHSのものはなく、新規購入のDVDまたはBDのオペラが4本、NHKのクラシック倶楽部のものが4本、ベルリンフイルのデジタル・コンサートホールのアーカイブ(BDCH)が4本という内訳になっていた。

   これらの中から金銀銅に当たる3本と佳作に相当する3本の枠を定めて、まず6本を消去法で選び、これら6本のソフトの中から、独断と偏見で上位3本を選び出そうと熟慮の末に、BDCHの内田光子の協奏曲のK.595とK.466の2曲が、別々のソフトに含まれているものを1本のソフトに勘定することとし、個性的なオペラを慎重に3本に絞り、オール・モーツァルト・コンで気に入っているハーデイングのハ短調ミサ曲K.427とベザイデンホウトのフォルテピアノのソロ・コンサートの特徴ある6本を、まず、選び出してみた。特に、オペラが激戦であったが、個性的でありながら総合的にみても優れているミンコフスキの「ルチオ・シッラ」K.135をトップに据えてみると、全くの独断と偏見なのであるが、内田光子の2本の協奏曲、ハーデイングのハ短調ミサ曲の3本が、するすると金・銀・銅に選ばれることとなってしまった。

内田光子のラトルとの最新の映像である第27番の協奏曲K.595は、実に精細な素晴らしい映像であったが、BDCHのアーカイブから出てきたこの二人の最初のK.466の優れた映像(2006)が偶発的に出てきたので、ひとまとめにして「銀賞」とするのは、今回の最高のアイデアであったと思う。また、ハーデイングの交響曲(第32番)ト長調K.318、コンサートアリア(テノール)K.431及び(バス)K.612およびミサ曲ハ短調K.427のオール・モーツァルトコンサートは、最高の珍しい曲目が選択されており、最近少なくなったモーツァルテイアンのための選曲と演奏という意味合いを込めて「銅賞」にさせていただいた。



佳作の第1は、グッテンベルクの指揮・監督・演出による歌劇「魔笛」K.620であり、この凝りようは私の好みとかなり合致しており、私としては問題ない佳作であると考えているが、このようなリブレットを変える演出などを好まない識者も多いと考えて佳作に留めている。また、オペラ「テイト」K.622のクラウス・グートは、モダン過ぎて必ずしも好きな演出者ではないが、今回の映像は、いつもながら見事な指揮をしているテイチアーティと見事にピタリと合っており、他の「テイト」の映像を上回る説得力を持っていたと思われ、佳作に取り上げてみた。割を食ったのは、メスト・ミラノの「フィガロ」の映像であるが、メストの穏やかさや、ダムロウやクレバッサの健闘もありながら金賞もスカラ座であり、今回は競争相手が個性的で特徴がありすぎて、損をしたと考えざるを得なかった。三本目の佳作は、ベザイデンホウトのフォルテピアノのコンサートであったが、この映像の彼の語りに注目されるものがあり、これも選出の背景になっている。


今回の映像の中から特別な賞を選ぼうとすれば、「魔笛」のグッテンベルグに与えたい「総合監督賞」であろうか。指揮・演出・監督などのほかに脚本にも間違いなく彼の意志が反映されている筈であり、これは彼独自の作品と言っても過言でなかろう。今年はこのHP初登場的な、「新人賞」「New Upload 賞」的な目新しいものは、見当たらなかった。そして、今年はアバドとかアーノンクールとかのように急逝された大家はいないと喜んでいたが、今回の佳作に内定していた個性的な「魔笛」の指揮者・演出者・監督のエノッホ・ツー・グッテンベルクが6月に亡くなったことを音友社の「レコード・イヤーブック2019」で、このベストソフトの作文中の12月23日に初めて知った。これは既に内定後の話であったが、銅賞にでもという内輪の声もあり、全体から見ると「贔屓の引き倒し」になると考えたが、最終的には、銅賞を二つにさせていただいて、内定の佳作から銅賞に格上げさせていただき、ささやかな追悼記念とさせていただくことにした。このようなことは、以前にアバドが亡くなった2013年に、佳作でノミネートされていた「レクイエム」(2012)を、後日に「金賞」に加えたことがあったが、今回は正式な発表前の修正なので、少し情緒的に弱いと批判されそうであるが、お許しいただけると考えている。

   最終的に選ばれた3本の金・銀・銅の三賞ソフトは以下の通りであり、今年度も素晴らしい作品が並んでいると考えている。
(以上)(2018/12/23)


金賞;18-1-3、マルク・ミンコフスキ指揮、ピンコスキ演出、ミラノスカラ座O&CHO&Balletによるオペラ・セリア「ルチオ・シッラ」、2015年3月、Teatro Alla Scala、

銀賞;18-3-2、サイモン・ラトル指揮ベルリンフイルと内田光子によるピアノ協奏曲(第27番)変ロ長調K.595、2017年10月7日、フイルハーモニアホール、および 18-6-2、ピアノ協奏曲ニ短調K.466、2006/12/31、06ジルベスター・コンサートより、

銅賞;18-6-3、ダニエル・ハーデイング指揮によるオール・M・コンサート;交響曲(第32番)ト長調K.318、コンサートアリア(テノール)K.431及びコンサートアリア(バス)K.612、およびミサ曲ハ短調K.427、2018/04/21、BDCHのライブより、フイルハーモニアホール、ベルリン、

銅賞;18-5-3、エーノッホ・ツー・グッテンベルク(指揮・監督・演出)による歌劇「魔笛」K.620、クラング・フェルヴァルトゥング・オーケストラ、ノイボイエルン合唱団、2013/11、ブリンツレゲンテン劇場、ミュンヘン、


   なお、以上にご説明した通り、結果的に佳作とされた3ソフトは、以下の通りである。最初の佳作には、クラウス・グート演出、テイチアーテイ指揮のオペラ「テイト」K.622が、第3番目のオペラとして選定された。また、第2の佳作には、先に述べた唯一のフォルテピアノのソロ・コンサートであるベザイデンホウトの映像が選ばれた。

   佳作には毎年3作の枠があるので、「魔笛」の銅賞格上げに伴う第3の佳作については、優れた4つのオペラのうち唯一落選になりかかったメスト・ミラノの「フィガロ」を選択することとした。やや厳しさが不足しているとか、甘いと指摘されそうであるが、楽しい趣味の世界の話であるので、独断と偏見で小生の勝手気ままをお許しいただきたいと思う。

また、今回は新たに「総合監督賞」を設けているが、これについては既に記述しているので、リンクは省略したい。

佳作;18-8-3、クラウス・グート演出とロビン・ティチアーティ指揮による2017グラインドボーン歌劇場による「ティト帝の慈悲」K.621、エイジ・オブ・インライトメント管弦楽団とグラインドボーン合唱団、オラフ・ヴィンターの照明・プロジェクション、2017年8月、グラインドボーン歌劇場、日本語字幕付き、

佳作;18-9-1、クリスティアン・ベザイデンホウトのフォルテピアノによるピアノソナタヘ長調K.332、ピアノソナタ変ロ長調K.281、およびピアノソナタハ短調K.457、2018/03/19、来日記念コンサート、東京文化会館小ホール、

佳作;18-2-3、フランツ・ウエザー=メストとミラノスカラ座の「フィガロの結婚」、ウエイク・ウオーカー演出、ミラノスカラ座O&CHO、2016年収録、Teatro Alla Scala、 (出演者)伯爵;Carlos Alvares、伯爵夫人;Diana Damrau、スザンナ;Golda Schultz、フィガロ;Markus Werba、ケルビーノ;Marianne Crebassa、マルチェリーナ;Anna Maria Chiuri、バルトロ;Andrea Concetti、バルバリーナ;Theresa Zisser、



4、金・銀・銅各賞の映像の概要と代表的な写真、

(2018年金賞;最新のBD新盤の映像より;ミンコフスキー・スカラ座の「ルチオ・シッラ」K.135、)
18-1-3、マルク・ミンコフスキ指揮、ピンコスキ演出、ミラノスカラ座O&CHO&Balletによるオペラ・セリア「ルチオ・シッラ」、
2015年3月、Teatro Alla Scala、 (出演者)ルチオ・シッラ;Kresmir Spicer、ジューニア;Lenneke Ruiten、チェチーリオ;Marianne Crebassa、ルチオ・チンナ;Inga Kaina、チェーリア;Giulla Semenzato、

  このオペラの二作目の映像であるミンコフスキー指揮、スカラ座の「ルチオ・シッラ」は、序曲を初めオーケストラが実に生き生きとして好感が持てたし、演出のピンコスキは、4人の女性歌手たちには豪華な貴族の衣裳を着けさせて、彼女らの声も動きも抜群であり、成功の基になっていた。しかも合唱が出る大勢の場面には豪華なバレーの演出となってセンスの良いところ見せていた。初期のオペラにはフィナーレの前後に弱点があるが、この演奏ではフィナーレの前に新全集にない三重奏の伴奏付きのシッラのレチタティーヴォとアリアが追加・補作されており、これがシッラの最後の素晴らしい決断を促す良い場面となって説得性を増していた。しかし、残念ながら、その解説が見当たらず、分らず仕舞いに終わっており、説明不足であった。この映像を見ると、モーツァルトの初期のオペラ・セリアの見事さが良く分るし、スカラ座のレベルの高さも、充分に理解出来るものと思われる−      






(2018銀賞;最新のベルリンフイルのDCHアーカイブ;内田光子のK.595とK.466)
18-3-2、サイモン・ラトル指揮ベルリンフイルと内田光子によるピアノ協奏曲(第27番)変ロ長調K.595、2017年10月7日、およびピアノ協奏曲ニ短調K.466、2006/12/31、06ジルベスター・コンサートより、

−内田光子によるピアノ協奏曲(第27番)変ロ長調K.595は、終始、彼女のしっかりした独奏ピアノが中心で進行しており、ラトルも負けずにオーケストラを動かす役割で、二人の息遣いがピッタリとしたアンサンブルと合性の良さが目立った演奏であった。特に、第二楽章の内田光子の装飾の巧みさがこの映像では実に良く捉えられており、彼女の表情の細やかさと弾かれる音楽の美しさには独自のものがあると思われた。一方の今回のピアノ協奏曲ニ短調K.466の内田光子の演奏は、三つの楽章を通じて、独奏ピアノが実にクリアで、充分にその役割を果たすとともに、オーケストラや特にフルートやオーボエなどとも息が良く合って見事なアンサンブルを示しており、この曲の最高の名演奏の一つではないかと思わせるほど、極めて充実した響きを聴かせてくれた。この演奏は今から12年ほど前の映像記録であったが、少しも古さを感じさせず、年代的に彼女のベルリンフイルとのデビューを飾る快心の好演であったと思われる。





(2018銅賞;最新のBDCHより;ハーデイング指揮のハ短調ミサ曲K.427ほか、)
18-6-3、ダニエル・ハーデイング指揮によるオール・M・コンサート;交響曲(第32番)ト長調K.318、コンサートアリア(テノール)K.431及びコンサートアリア(バス)K.612、およびミサ曲ハ短調K.427、
2018/04/21、BDCHのライブより、フイルハーモニアホール、ベルリン、

−ハーデイングは最初の交響曲の軽快感を実に良く現わして、テインパニーやトランペットなどの鋭い響きや4ホルンの重厚な響きを引き出し、この序曲風の交響曲を優雅にまとめて、いつものように格好の良い指揮振りを見せていた。続いてテノールとバスの珍しいコンサートアリアの充実した歌唱力十分のアリアが続いてから、待望のハ短調ミサ曲が始まったが、ハーデイングの生き生きした新鮮な指揮振りがとても印象的であり、ベルリンフイルも合唱団も4人のソリストたちも、それぞれ素晴らしい演奏をしてくれたので、とても満足出来る楽しいコンサートになっていた






(2018銅賞;最新のBD「王様の魔笛」より;指揮者グッテンベルクの「魔笛」K.620)
18-5-3、エーノッホ・ツー・グッテンベルク(指揮・監督・演出)による歌劇「魔笛」K.620、クラング・フェルヴァルトゥング・オーケストラ、ノイボイエルン合唱団、
2013/11、ブリンツレゲンテン劇場、ミュンヘン、
(配役)本当のパパゲーノ(俳優);ゲルト・アントホフ、ザラストロ(ルードヴィッヒ2世);タレク・ナズミ、タミーノ(フランツ・ヨーゼフ1世);イエルク・デュルミューラー、夜の女王(ゾフィー大公妃);アンテイエ・ピッターリヒ、パミーナ(皇妃エリーザベト);スザンネ・ベルンハルト、パパゲーノ(バイエルン大公マックス・エマヌエル);ヨッヘン・クプファー、モノスタトス(プロイセン宰相ビスマルク);マルティン・ベツォールト、ほか、

− 私はルードヴィヒ2世の三つのお城の現地に行っており、またウイーンのシシー博物館などにも行って、それぞれの写真集などが手元にあり、このHPにもこれらの旅行記を残しているので、このオペラの時代背景にはとても興味があり、老パパゲーノの市民的批判の呟きも面白く聞えていた。そのため、このような1880年代後期の時代設定をした、当時の宮廷オペラのスタイルによる王様方に愛された古くさい「魔笛」の舞台は、この時代背景に馴染んだり関心のある方には滅法面白いと思われ、素晴らしい記録を残してくれたと思う。しかし、そうでない方や興味のない方には、現代的な「魔笛」の方が面白いし、楽しいものと思われる−






4、あとがき、

   この毎年の1年間のベストソフトを選定する作業は、謂わば1年間のソフト紹介の総仕上げの作業であり、最近では、年末の極めて重要な仕事となって来た。12*3=36ソフトから3ソフトを選び出す作業であるが、今年はこの報告記を作文中に、ミュンヘンの重鎮指揮者グッテンベルグが亡くなったことに気が付き、 何とか修正することが出来てとても助かった。ノミネートされた11本は、1ヶ月も前から考え抜いており、今回は時間をかけている。オペラは競合するソフトが4本もあり激戦であったが、そのすべてが格好良く何とか収まって、ホッとしている。

   今年は、9月6日のあの北海道の大地震と大停電に、札幌駅前のホテルで遭い、貴重な体験をするとともに、いろいろな防災上の教訓を得た。また、10月1日には、 ヤフーからサーバー事業の撤退の発表があり、このHPを他のサーバーに自力で移転する必要が生じて、一時はこのHPを断念せざるを得ないとまで追い込まれ、精神的に大打撃を受けた。また、自分の健康上の源泉となっているゴルフについても、 永年の四街道ゴルフクラブが倒産するということになり、11月よりアコーデイアに移行することとなり、ゴルフ環境の激変にショックを受けている。
    このように今年は、小生にとって災害を3つも受けたような大変な年であったが、心配だったHPが、ヤフー時代と同様にロリポップで新たに継続できそうなのでホットしている。明くる年は、年号も変わるようであるが、よい年になるように心から願っている。


(参考−1:2013年のベストソフトはどれか?)
(参考−2:2014年のベストソフトはどれか?)
(参考−3:2015年のベストソフトはどれか?)
(参考−4:2016年のベストソフトはどれか?)
(参考−5:2017年のベストソフトはどれか?)


(以上、2018/12/24記)



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