(BDCHのアーカイブより;バレンボイムの二つの弾き振り、K.466&K.382)
18-5-1、ダニエル・バレンボイムの弾き振りとベルリン・シュターツ・カペレによるピアノ協奏曲第20番ニ短調K.466、フィルハーモニア・ホール、ベルリン、2016年3月1日、難民とボランテイアのためのコンサート、およびダニエル・バレンボイムの指揮とピアノによるピアノと管弦楽のためのロンドニ長調K.382、ベルリンフイル、
2001年12月31日、2012ジルベスター・コンサートより、

−ダニエル・バレンボイムの久し振りのライブ演奏のニ短調協奏曲であったが、BDCHのアーカイブに残されていた古い演奏であったが、余り馴染みのないオーケストラを相手にしても、彼はいつもながらの破綻のないオーソドックスな感じのしっかりしたピアノであり、指揮振りもまずまずで、まるで一人舞台のような演奏であった。一方のコンチェルト・ロンドK.382は、珍しい曲なので飛び付いたが、彼が指揮とピアノを兼ねている所から、ベルリンフイルとピアノとがとても息が合っており、オーケストラとピアノとが、緩急自在に絡み合っている上に、バレンボイムのピアノの音が粒立ちよくキラキラと輝いているように弾かれており、この一体感がこの曲の良さを浮き彫りにしていたように思われた−

(BDCHのアーカイブより;バレンボイムの二つの弾き振り、K.466&K.382)
18-5-1、ダニエル・バレンボイムの弾き振りとベルリン・シュターツ・カペレによるピアノ協奏曲第20番ニ短調K.466、フィルハーモニア・ホール、ベルリン、2016年3月1日、難民とボランテイアのためのコンサート、およびダニエル・バレンボイムの指揮とピアノによるピアノと管弦楽のためのロンドニ長調K.382、ベルリンフイル、
2001年12月31日、2012ジルベスター・コンサートより、
(2018/04/07BDCHのアーカイブより、および、2018/04/04BDCHのアーカイブより収録)

         この5月分の第一曲目の映像は、BDCHの無料映像であるが、アーカイブに収録されていた「難民とボランテイアのためのコンサート」と称されており、2016年3月1日にいつものフィルハーモニア・ホールで、まずバレンボイムとベルリン・シュターツ・カペレによるこのピアノ協奏曲ニ短調K.466が行なわれていた。第二曲目がイヴァン・フィッシャーとベルリン・コンツエルトハウス管弦楽団、第三曲目がサイモン・ラトルとベルリンフイルによるコンサートと、三つのオーケストラがサービスするという珍しいコンサートのようであった。映像が始まると、中央にピアノが客席に背を向けるように置かれ、ベルリン・シュターツ・カペレのオーケストラの面々が既に着席して、開演を待っていた。バレンボイムが登場して来て、ピアノの前に立ち、おそらくアラビア語によってこのコンサートの開演の挨拶を行なって、セレモニーを行なってから、オーケストラの方を向いて、両手で指揮を開始していた。



            最初の曲はダニエル・バレンボイムの弾き振りとベルリン・シュターツ・カペレによるピアノ協奏曲第20番ニ短調K.466であり、早速、弦の喘ぐような低いシンコペーションのリズムを持った第一主題が開始されており、バレンボイムがピアノの前に立って両手を上げてやや遅めのテンポでオーケストラを進めていた。続いて第二主題のように聞こえる副主題で顔を出し、オーボエやフルートが実に美しく響き出して、これに弦が答えてゆっくりと堂々と進行し、オーケストラの提示部が続けられていた。



           バレンボイムの独奏ピアノは、新しい独自の愛らしい導入主題で 静かにくっきりと始まり、次第にはっきりした輪郭のピアノの音を響かせてから、オーケストラも加わって力強く第一主題がピアノとともに喘ぐように進み出した。続く副主題でもオーボエが声を掛けバレンボイムのピアノが答えて進み、落ち着いたピアノがオーケストラとも良く馴染んで素晴らしい。続いて独奏ピアノが初めて提示する第二主題も実に美しく明確に開始され、続いて軽やかな技巧的なパッセージを繰り返し、ピアノが縦横に活躍し始めた。バレンボイムのピアノの響きはオーソドックスに弾かれ、音がクリアで確かめるように丁寧に弾いているのが印象に残り、やがてオーケストラによる堂々とした呈示部のエピローグで静かに終息していた。



           展開部に入ると独奏ピアノにより導入部の独奏主題が繰り返され、続いて第一主題の冒頭動機が繰返し展開され、独奏ピアノが次第にうねるように逞しく主題を繰り返し、技巧的なパッセージがトゥッテイともみ合いながら進行していた。再現部に入ると、途中から参加した独奏ピアノがいつの間にか先頭に立って堂々と第一主題を再現しており、続いて第二主題と型通りに進んでいたが、カデンツアはベートーヴェンの聞き慣れたものを弾いており、ピアノの音が輝やいて聞こえていた。バレンボイムの指揮に合わせて、このHPでは初めてかも知れないベルリン・シュターツ・カペレのオーケストラも堂々としたテンポで生き生きとして進行していたが、バレンボイムの独奏ピアノに付いて行くのが精一杯というやや頼りない面もみせたオーケストラに見えていた。楽章が終結すると、突然、拍手が沸き上がり、一瞬、舞台は戸惑ったように見えたが、直ぐに落ち着きを取り戻していた。この日は観客のレベルがいつもとは異なるコンサートであることに、改めて気付かされていた。



            第二楽章はロマンスと名付けられており、美しく優雅な主題が独奏ピアノで開始され、バレンボイムは、ゆっくりとしたテンポであるが芯のある音でしっかりと弾きはじめていた。主題は直ぐにオーケストラに渡されるが、いつの間にか再びピアノに戻されており、続く弦の単純な伴奏で始まりソロピアノで提示される第二主題は、歌うように進み実に美しい。バレンボイムはここでもピアノの音を際立たせて丁寧に慈しむように弾いていた。美しい独奏ピアノがひとしきり続いて、再び第一主題がピアノからオーケストラに移されていた。続くフルオーケストラで始まる爆発的な中間部では、独奏ピアノが息つくひまもないように力強く鍵盤上を駆けめぐり、映像では技巧の見せ場になっていたが、バレンボイムは落ち着いた表情で弾きまくり、繰り返されていた。嵐が過ぎ去ると再び静かにロマンスの第一主題が再現されるが、バレンボイムは丁寧に淡々として自分のペースでロマンスを弾いていた。この楽章は、聴くたびに、いつも陶然とした気分にさせられ、何か自分に免疫力が付加されるような美しい楽章であった。



          直ぐ続いて始まったフィナーレでは独奏ピアノによるロンド風の主題で軽快に始まるが、直ぐに激しくテンポが速いフルオーケストラに渡され、躍動するように急速に発展してから新しい主題がピアノに現れるが、直ぐにロンド風の主題に戻っていた。そこで独奏ピアノが、第二主題と思われる歯切れの良い活発な主題を提示し、ピアノ・オーケストラ・ピアノ・木管・ピアノと言った具合に絶えず主役が変わり、目まぐるしく変化しながら疾走してフェルマータとなっていたが、バレンボイムはアインガングなしで、オーケストラが直ちに冒頭の主題を提示して再現部に突入していた。再現部では、独奏ピアノが主導権を取り戻すと、第一・第二主題が、ピアノ・オケ・ピアノ・木管と言うように、疾走して一気に駆け抜けていた。終わりのカデンツアは、バレンボイムは聞き慣れた短いカデンツアとは少し違うものを弾いていた。





             この演奏は、いつも見聞きしているフイルハーモニア・ホールのコンサートであったが、この日は「難民とボランテイアのためのコンサート」のせいか、楽章の途中で拍手があったり、終りの拍手もいつもとは異なっており、口笛なども盛んに吹かれた激しい勢いのものであり、バレンボイムもやや戸惑ったような感じに見えていた。しかし、次のコンサートのためのオーケストラの入れ替えのせいか、この盛大な拍手には早めに切り上げられていたが、兎に角、バレンボイムの一人舞台という印象の強いコンサートであった。

             バレンボイムのこの曲の映像は、DVDやBDで名高い後期8曲の協奏曲を収録したベルリンフイルとの弾き振りの映像(3-12-3)に続く久し振りのライブであったが、余り馴染みのないオーケストラであっても、彼はいつもながらの破綻のないオーソドックスな感じのしっかりした演奏であった。ごく最近、バレンボイムによるシューベルトのピアノソナタ全集(全11曲)をクラシカ・ジャパンより収録したばかりであるが、全て暗譜でミスのない完璧な演奏をライブで行なっており、いつもながら、驚かされるばかりであった。現在、この人とアルゲリッチによる4手のためのピアノソナタヘ長調K.497の映像収録を予定しており、新規の曲なので楽しみにしている。

       (以上)(2018/04/09)

        5月分の第二曲目のコンサート・ロンドニ長調K.382は、BDCHのアーカイブから収録したバレンボイムの指揮とピアノによるベルリンフイルの演奏であるが、この演奏は彼の2001ジルベスター・コンサートからこの曲だけをアーカイブされたものであった。この曲の映像が少ないと思っていたが、この演奏を聴いてとてもテンポと言い、緩急のバランスと言いセンスが良く自分にピッタリなので、この演奏を記録しておきたいと考えた。この曲は、1782年3月にウイーンで作曲されたピアノ協奏曲のジャンルでは最初の作品であるが、主題が調子が良く直ぐに馴染まれることから、モーツァルトはピアノ協奏曲K.175のフィナーレの代用楽章として取り上げて大成功を果たした記録があるばかりでなく、アンコールの曲などとして単独でも演奏された人気曲であった。この曲はK.175と同様の楽器構成を持ち、2トランペットとテインパニーが加わった大編成であり、曲の構成は変奏曲形式であり、ロンド風な性格を示す陽気な愛らしい主題が‖:8小節:‖:8小節:‖の二部形式で提示された後、7つの変奏が行われてから、カデンツアを挟んでコーダで終結する変奏曲となっている。





           映像はバレンボイムがピアノに向かって観客に背を向けるように座っているところから始まっており、バレンボイムが座ったまま両手を大きく広げて指揮を開始しておどけたようなスタッカートとトリルの合奏で始まっていた。この曲の主題提示は、まずオーケストラにより軽快なロンド風に開始されていたが、アレグレット・グラツィオーソの指示通りに、テンポは落ち着いた余り速くない感じで大らかに進み、前半も後半も繰り返しは丁寧に行われていた。コントラバスが4台の大型の編成であったが、軽快に進められていた。続いて第一変奏は、早速のバレンボイムの独奏ピアノの単独演奏であって、全体的にスタッカートが良く響く軽やかな変奏であり、キラキラと輝くように響くバレンボイムのピアノが印象的であった。






           第二変奏は、オーケストラがロンド主題を提示した後、独奏ピアノが前半も後半も三連符を用いて変奏し、主題はフルート・オーボエ・ホルンで演奏されていた。第三変奏は弦楽器が伴奏をし、前半も後半も独奏ピアノが早い分散和音を弾いていたが、お仕舞にロンド主題の後半をオーケストラが演奏して、この曲のロンドとしての性格を明確にしているようだった。続く第四変奏はニ短調に変わり、オーケストラは休んでピアノ独奏で装飾的に変奏されて始まり、原主題とかなり変わった展開がなされていたが、この思い切った異色的な変化が面白かった。第五変奏は独奏ピアノの細かなトリルが右手と左手に現れるもので、フルートとオーボエが主題を奏したり伴奏をしたり変化をつけていた。



           第六変奏は一転してアダージョとなり、独奏ピアノが装飾音を目立たせながら巧みにゆっくりと変奏をするもので、後半はさらに腕の見せ所のように細かな装飾が施されていた。最後の第七変奏は、拍子も速度もアレグロに変わり前半はオーケストラが軽快なテンポで変奏し、後半は主題を木管が、独奏ピアノが分散和音を弾いて展開されていき、最後にはフルオーケストラのコーダとなってカデンツアとなっていた。カデンツアは新全集に掲載されている自作のものを弾いており、ピアノによる技巧がひとしきり示されて速いテンポで曲は終息していた。



         バレンボイムのこの演奏は、彼が指揮とピアノを兼ねている所から、オーケストラとピアノとがとても息が合っており、オーケストラとピアノとが、緩急自在に絡み合っている上に、バレンボイムのピアノの音が粒立ちよくキラキラと輝いているように弾かれており、この一体感がこの曲の良さを浮き彫りにしていたように思われた。演奏終了後には、拍手ばかりでなく歓声も上がって、バレンボイムのジルベスター・コンサートはこれ一曲でも充分に盛り上がったように感じられた。

( 以上)(2018/04/04)


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