(最新のNHKHDD録画より;第61回NHK・NYオペラコンサートより)
18-4-3、第1部「モーツァルト・ファンタジー(愛の物語)」−7つのオペラから名曲名場面を再構成した「愛の物語」−
、沼尻竜典指揮東京フイルハーモニー交響楽団、2018/01/03、NHKホール、(配役)道化;黒田博、王女;砂川涼子、少年;林美智子、少女;嘉木真木子、王子;桜田亮、三人の童子ほか、

−この映像は恒例のNHK・NewYearオペラコンサートからの劇作品を取り上げたものであり、標題は「モーツァルト・ファンタジー(愛の物語)」とされ、内容は7つのオペラから名曲名場面を再構成した「愛の物語」というオリジナル・ステージの創作劇であった。お馴染みの日本を代表する歌手たちが、道化役を中心に、王子と王女、少年と少女、三人の天使たちに扮して登場して、聴けば直ぐ分るモーツァルトのオペラ名アリアを歌いながら、ファンタジー風にお話しが進められていた。とても面白かったので、ここに写真入でオペラ並みに丁寧に紹介してみることとした。「イドメネオ」から迫力ある劇的な合唱曲が含まれたり、有名な歌手たちが馴染み深い愛のアリアを何曲も歌って、音楽的には充実しており、王子と王女、道化役には可愛い少女の二組のカップルが誕生するという愛の物語になっていて、とても楽しむことが出来たー

(最新のNHKHDD録画より;第61回NHK・NYオペラコンサートより)
18-4-3、第1部「モーツァルト・ファンタジー(愛の物語)」−7つのオペラから名曲名場面を再構成した「愛の物語」−、
沼尻竜典指揮東京フイルハーモニー交響楽団、2018/01/03、NHKホール、(配役)道化;黒田博、王女;砂川涼子、少年;林美智子、少女;嘉木真木子、王子;桜田亮、三人の童子ほか、
(2018/01/03、NHK教育CHよりHDD-5に収録)

           四月号の第3曲目は、2018年1月3日に放送された恒例の第61回NHK・NewYearオペラコンサートからの劇作品であり、第1部「モーツァルト・ファンタジー(愛の物語)」−7つのオペラから名曲名場面を再構成した「愛の物語」−という借り物の創作劇(オリジナル・ステージ)であった。お馴染みの日本を代表する歌手たちが、道化役を中心に、王子と王女、少年と少女、三人の天使たちに扮して登場して、聴けば直ぐ分るモーツァルトのオペラ名アリアを歌いながら、お話しが進められていくファンタジーであった。有名な歌手たちが馴染み深いアリアを十数曲歌い続け、とても楽しむことが出来るので、ここに写真入でオペラ並みに丁寧に紹介してみることとした。
           出演は、沼尻竜典指揮東京フイルハーモニー交響楽団で、NHKホールからのライブ中継であり、配役は、道化役;黒田博、王女;砂川涼子、王子;桜田亮、少年;林美智子、少女;嘉木真木子、三人の童子ほか合唱団の皆さんであり、衣裳も凝っており、話し手の俳優の井上芳雄により巧みに進行されていた。パパゲーノあり、ドンジョヴァンニあり、王子と王女は誰?。少年はケルビーノだが少女は誰?などと、ファンタジーは限りなく楽しく、なるほどと思いつつ、名アリアに感心しながら進められ、フィナーレでは二組の愛が結ばれたが、残念だったものもいた物語であった。



         今年のNYオペラ・コンサートは、まるで序曲のように鳴り響く「タンホイザー」からの合唱大行進曲「歌の殿堂を讃えよう」が流れて歌手陣・合唱団が登場して一仕事していた。そして総合司会の高橋美鈴アナウンサーが、今年のコンサートのテーマはオペラのような「幻想と現実の間」であるという解説があり、この番組の第1部としてモーツァルトの名オペラからの愛に関する名アリアを集めた「モーツアルト・ファンタジー(愛の物語)」を始めるという解説がなされた。そして、そのドラマの進行役として、俳優の井上芳雄氏が登場して、これからモーツァルトが描いた愛の世界「モーツァルト・ファンタジー」にご案内すると語り、ドラマは、早速、開始された。



         ドラマは、まず、パパゲーノそっくりの女性が大好きな道化役と、愛の悩みに苦しむ王女と、そしてケルビーノにそっくりの女性が大好きな少年が登場して来るという。その三者三様の愛の悩みを聞いてくれと語っていた。始めに登場した道化役は、黒田博によるパパゲーノ役であり、笛を鳴らしながら「魔笛」の第2番のアリアを歌いながら登場し、鳥よりも女性を探しながら歌っていた。続いてあの美しい前奏とともに登場したのは、王女姿の砂川涼子であり、彼女は「フィガロの結婚」から第二幕冒頭の伯爵夫人のアリアを歌っていた。彼女は「愛の神様」と呼びかけて、恋人との仲が良くないのか、愛のもつれに悩み、嘆きながら歌う姿があった。





         続いて第3曲目には、ケルビーノ姿の林美智子であり、ボーイッシュなスタイルで「フィガロも結婚」から第6番のアリアを元気よく歌っていた。彼女の姿と歌はケルビーノそっくりであり「自分が自分で分らない」と歌い、「山に、花に、風に愛を語るが、誰も聞いてくれない」と嘆きながら美声を発していた。三人が登場した後、進行役が顔を出し、ケルビーノに相応しい少女が現われるのでしようかと心配し、続いて王女を探し求めてそれ一筋の王子を紹介していた。王子役は桜田亮であり、「後宮」から第1番のベルモンテのアリアを高らかに歌っていた。「ここでやっと君に会える」と歌う姿は、マイペースの王子そのものであり、「魔笛」の「絵姿のアリア」よりも、ここでは似合いそうであった。





進行役が登場し、この王子は果たして王女と再会出来るのかどうか心配していた。そしてあの少年が可愛い少女に巡り会えたようだと語っていた。舞台には少年ケルビーノと少女役の嘉目真木子が登場して、少年が「軽率な言葉を許してくれ」と歌い出し、少女は「ああ、あなたは最初のお方でした」と答えて、素晴らしい耳に優しい二重奏が歌われていたが、この曲は「テイト」の第7番のアンニオとセルヴィリアの二重唱であり、二人は最後には燃え上がっていたように見えていた。そこへ進行役が登場し、色男ドン・ファンの登場を紹介していた。そこへ色男ドン・ファンに変じた黒田博が登場し、「ドン・ジョヴァンニ」から第11番の「シャンペンのアリア」を元気よく歌い出した。このアリアは、実に威勢の良いアリアで「リストに10名ほど増やさなければ」とドン・ジョヴァンニの思いを精一杯歌っていた。





そこへ進行役が登場して、少年が少女と結ばれるためには、色男ドン・ファンの許しを得なければならないが、果たしてどうなるでしょうかと心配していた。そこで音楽は華やかな前奏とともに「フィガロの結婚」の第8番の合唱曲「花から花へ」が歌われて、少年と少女が合唱団の皆さんと一緒に登場してドン・ファンに挨拶をしようとしていたが、ドン・ファンは少女を一目見るなり二人に近づいて、少年が手出しする暇を与えずに、あっという間に少年の手から少女を奪ってしまい、少女を残して全員が追い払われてしまっていた。何というドン・ファンの巧妙な手口。可愛そうな少年。




そこで音楽は、「ドン・ジョヴァンニ」の第7番の二重唱「手に手を取って」が始まって、少女が困っているのに、色男は少女を口説きだしていた。始めは困ったような様子であったが、音楽が進むにつれてドン・ファンの口車に乗せられて、最後には一緒に行こうと二人は仲良く口を揃えて歌っていた。二人が仲良く行こうとすると、そこへ突然大勢の人たちが現われ、画面も暗くなり、不気味な音楽とともにイドメネオの第17番と第18番の大合唱曲が始まって、舞台は大騒ぎとなった。ドン・ファンが無垢な少女をさらったので、愛の神の怒りにふれて、二人は引き裂かれたのだろうと進行役は言い、ドン・ファンは、果たして、助かるのだろうかと心配していた。



場面が変わって、そこへパパゲーノに似た道化役と王女様が登場して、そこで二人は男性と女性の愛の崇高さについて語り合う「魔笛」の第7番の二重唱を歌っていた。道化はまだ自分に相応しい彼女を見つけられないでいたし、王女もまだ王子に巡り会っていない状態で歌われるこの二重唱は、実に素晴らしかった。続いて、王子が登場して、いきなり「コシ・ファン・トゥッテ」より第17番のフェランドのアリアを歌い出した。このアリアは「ウラウラのアリア」で、純粋一筋の典型的な愛のアリアであり、王子が王女への愛を得ようと願いを込めて高らかに歌われていた。しかし、王女の方の愛は深刻で、三人の愛の天使の助けが、どうやら必要そうに見えていた。



三人の愛の天使が登場して、いきなり「魔笛」の第2幕のフィナーレの冒頭の第26場の三人の童子の三重唱が前奏とともに始まった。可愛い天使の衣裳を着けた三人が、「朝が来た」と元気に歌い出し、そこへ王女が登場して来たが、何か悲しげで様子が変であった。第27場になって、パミーナ姫は自分の愛が終わったと感じて自殺をしようと歌っていたが、三人の天使が姫の手にするナイフを取り上げて「王子はあなたを待っている」と機嫌を取り、一緒に会いに行こうと誘われたので、やっと王女は元気を取り戻していた。「魔笛」の場面そっくりな巧みな演出が微笑ましかった。






そこで進行役が登場し、姫と王子は無事に再会することに成功したと語り、もう一方の道化役はどうしたかと心配していた。王子と王女の崇高な愛の成就の一方で、「魔笛」のフィナーレの「パ・パ・パ」の前奏とともに、あの道化とドン・ファンに誘われた少女が笑みを満面にして、パパゲーノとパパゲーナの姿で舞台に登場してきた。そして二人は元気よく手を繋いで「パ・パ・パ」の二重唱を歌っているではないか。三人の天使の機転で二人は沢山の子供たちにも恵まれて、見事なハッピー・エンドとなっていた。
愛を巡るモーツァルト・ファンタジーもいよいよフィナーレとなり、「イドメネオ」のフィナーレを飾ったあのファンファーレとともにセリフは変えられていたが「来て下さい、愛の神様」という喜びの大合唱が始まって、王子と王女が祝福されていた。大合唱の1番が終わって2番になると、あのパパゲーノとパパゲーナも登場して祝福され、フィナーレを飾るように三人の天使も、それからあのケルビーノ少年もひとりぼっちで登場してきて大団円になっており、このファンタジーは目出度く終了したかに見えた。



         しかし、舞台をよく見ると、あの道化と可愛い少女が、何とパパゲーノとパパゲーナになって楽しそうにしている姿を、あのケルビーノ少年が見つけてしまった。 少年は目玉が飛び出すほどビックリして飛び付こうとしたが、舞台の上で転がってしまい、ここで「残念でした」という幕切れで、舞台は真っ暗になって終了していた。
         NYコンサートらしく、合唱団を先頭にして全員が舞台に登場して、カーテンコールのご挨拶が始まっていたが、続いて2部、3部もあるので、ここでも残念ながら、歌手たちの一人ひとりの挨拶は省略されて、舞台は次のプログラムに移行していた。


今回は、7大オペラの有名アリアを中心にしてストリーを組み立てた「モーツァルト・ファンタジー」であったが、全体が良くまとまっており、歌手たちも熱意に溢れとても楽しく拝見できたので、大成功であったと思われる。この音楽劇は、アリア6曲、二重唱4曲、三・四重唱2曲、合唱曲3曲など15曲で構成され、7オペラからの引用があり、普段聞くことが少ない「イドメネオ」からの劇的な合唱曲が2曲も含まれ、「テイト」や「コシ」からの引用も1曲づつあって、音楽的には充実していた。主役の5人も2曲以上に関わってユーモアに溢れており、中でもパパゲーノとドン・ジョヴァンニの二役をこなした黒田博が中心となって舞台全体を盛り上げて、水準以上のまずまずの劇作品となっていたように思う。歌手陣がみな日本人歌手であり、字幕があったので、とても親しみやすく理解し易かったと思う。

これに類する音楽劇として、私は2017年モーツァルト週間のモーツァルテウムのグロッサー・ザールで、ドウブロフスキー指揮バッハ・コンソート・ウイーンによる音楽劇「ザロモンの旅」という、「オペラのアリアとコンサートアリアなど13曲による創作音楽劇」を見ており、これはこのHPの旅行記に報告している(第7項目参照)ので、ご覧いただきたいと思う。この時は、言葉が良く分らず、コンサートアリアも有名曲ではなかったので、理解することがかなり困難であった。しかし、私の好きなミヒャエル・シャーデやクリステイーネ・カルクなどが出演しており、私の日本M協会のK.番号であるK.513(バスのコンサートアリア)を歌ってくれた(ライブでは初めて)ので、多少の勉強をし、熱心に聴いたライブの舞台であった。
また、映像として残されているコンサートアリアによる音楽劇には、「コンサートアリアによる愛の物語(オンブラ・フェリーチェ)」があり、ヘルマン演出、ラングレ指揮オーケストル・ドウ・ピカルデイ(7-9-6)があった。これは、国際モーツアルト財団の名により制作し、モンペリアOP、シャンゼリゼ劇場、リーユOPが共同製作(2000)したもので、古いものであるが創作劇としては、非常に珍しい貴重な記録となっている。


(以上)(2018/04/18)



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