(古いVHSの録画より;協奏交響曲K.297bとHDDのK.581)
18-2-2、外山雄三指揮NHK交響楽団による管楽器のための協奏交響曲変ホ長調K.297b、1995年4月1日、N響定期第1258回生中継、NHKホール、およびラファエル・セヴェールのクラリネットとプラジャーク弦楽四重奏団によるクラリネット五重奏曲イ長調K.581、
2014/5/4、ラ・フォル・ジュルネ・ジャパン2014、東京国際フォーラム、

−この外山雄三とN響による管楽器のための協奏交響曲変ホ長調K.297bは、20年も昔の演奏であるが、N響の4人の名手たちが実に良く揃って落ち着いて演奏しており、N響もこの雄大な曲想を充分に豊かに表現していて、最近になって改めて聴いても、この当時の大らかな演奏がこの曲にマッチしており、この曲の豊かな持ち味を見事に再現した素晴らしい演奏に聞えていた。一方のラファエル・セヴェールの独奏によるクラリネット五重奏曲イ長調K.581は、若いソリストでありながら技術力は充分に持ち合わせており、お相手のプラハのプラジャーク弦楽四重奏団のヴェテラン集団をたじろがせるほどの勢いであり、若い元気なセヴェールに合わせて演奏しているように見えていたこの音楽祭らしいコンサートであったー

(古いVHSの録画より;協奏交響曲K.297bとHDDのK.581)
18-2-2、外山雄三指揮NHK交響楽団による管楽器のための協奏交響曲変ホ長調K.297b、1995年4月1日、N響定期第1258回生中継、NHKホール、およびラファエル・セヴェールのクラリネットとプラジャーク弦楽四重奏団によるクラリネット五重奏曲イ長調K.581、
2014/5/4、ラ・フォル・ジュルネ・ジャパン2014、東京国際フォーラム、
(1995/04/01、NHKBモード生中継をVHS158に収録、及び2014/08/18、クラシック倶楽部の放送をHDD-2に収録、)

        2月号の第2曲目は、早くからテープを探してアップの準備をしていた外山雄三指揮NHK交響楽団による管楽器のための協奏交響曲変ホ長調K.297bであり、1995年4月1日、N響定期第1258回のNHKホールからの生中継であった。ソリストたちは、当時のN響の首席たちで、因みにクラリネットは横川晴児氏が吹いていた。これで、この曲の映像は5演奏目で、全てのアップが完了することとなった。
        第2曲目は、HDD-2に録画していた古いもので、アップをし忘れていたラ・フォル・ジュルネ・ジャパン2014の東京国際フォーラムにおいて演奏された、ラファエル・セヴェールのクラリネットとプラジャーク弦楽四重奏団によるクラリネット五重奏曲イ長調K.581である。残念ながら、時間の都合で第二楽章が割愛されており、演奏団体やソリストにも記憶がなく、忘れられたものを掘り起こした演奏となっている。



        初めの外山雄三のNHK交響楽団の演奏は、1995年4月1日のN響定期第1258回のコンサートでNHKホールからのBモード・ライブの生中継と言う放送であり、その第1曲目がシューベルトの交響曲第2番D125であり、第2曲目がこの珍しい4つの木管楽器のための協奏交響曲変ロ長調K.297bが演奏され、休憩後の第3曲目はR.シュトラウスの珍しい管弦楽曲が並んでおり、非常に指揮者の個性が問われる意欲的なコンサートであった。この協奏交響曲においても、指揮者外山雄三は指揮台なし、指揮棒なしで古楽器指揮者のように両手と顔の表情で指揮をしており、右奥にコントラバスが2台のオーケストラ編成であった。なお4人のソリストたちは、左から順に、オーボエが茂木大輔、ホルンが松崎 裕、ファゴットが霧生吉秀、クラリネットが横川晴児の首席たちであった。



         この曲の第一楽章は協奏曲風のソナタ形式で出来ており、まず弦楽器のユニゾンで特徴あるリズムを持った雄大な曲想を持つ第一主題が力強く始まり、オーボエと第一ヴァイオリンによる掛け合いで副主題が提示されて、アレグロ・マエストーソの指示通りにオーケストラが堂々と力強く進行していた。私はこの雄大に始まる導入的なこの主題が大好きで、モーツァルトの協奏交響曲というと、いつもこの部分で緊張を強いられる曲になっている。続いて実に優雅な第二主題が第一ヴァイオリンにより呈示されていたが、外山雄三は両手を堂々と広げて緊張した表情で指揮をしていた。オーケストラも協奏交響曲と名付けられたように、2本のコントラバスによる重奏低音を伴いながらしっかりと行進曲調のリズムで進行し、堂々と主題提示部が終わっていた。



            そこで4つの独奏楽器がユニゾンで第一主題を合奏してソロ提示部に入り、オーケストラの伴奏に続いて、オーボエから始まってクラリネットも歌い出し4つのソロ楽器のアンサンブルで暫く進行し、実に美しく良く響く素晴らしい効果を挙げていた。再び冒頭主題がユニゾンで繰り返され、オーケストラに導かれてもう一度、独奏楽器がホルンやクラリネットから始まり、組み合わせを変えて進行していた。そしてオーケストラに渡されてから、やがて美しい素朴な第二主題がオーボエで現れ、クラリネットに受け継がれてさらに勢いを増し、堂々とした行進曲風のコーダに発展していた。独奏楽器はさすがにオーボエの出番が多く、クラリネットも良く活躍し、ファゴットとホルンも旋律的な出番がありながら、しっかりと低音を支えていた。主題提示部の最後を締める重奏低音が加わったフルオ−ケストラの堂々とした進行が協奏交響曲らしく力強く印象的であった。



           展開部ではファゴットとホルンが先の主題の一部を繰り返して始まり、4つの独奏楽器群が組み合わせを変えながら、技巧的な特徴を見せながら、繰り返し力強い主題の展開を行っていた。オーボエがパッセージを披露して変化を見せてから、再現部に突入していた。再現部では独奏楽器中心に第一主題から第二主題へと提示部よりコンパクトに纏められて再現されて進んでいたが、最後の4人のソリスト達によるカデンツアは、オーボエのソロに始まりファゴットとホルンがこれを受け、クラリネットが発展させる長大であるが各楽器の出番が多い賑やかなものであった。心配していたホルンの調子が今回は上々であり、名手が揃ったカデンツアはヴェテランの4人が顔を揃えて、堂々と存在感ある演奏を示していた。



             この曲の第二楽章は美しいアダージョ楽章であり、4つのソロ楽器が実に良く歌い、相互に美しく絡み合って、まるで夢を見ているような印象を受ける。初めは弦のユニゾンでゆっくりと第一主題が提示されるが、直ぐにファゴットが、そしてクラリネットが引き継いで分散和音を重ねて歌い出し、オーボエに渡されると旋律的な動きになり、ホルン、クラリネットと歌い継がれて4つの独奏楽器の独壇場となり、互いに重なり合い絡み合いながら実に美しい情景を醸し出していた。指揮者の外山雄三は4人のソリストたちに任せているような素振りでオーケストラに浸りきっているように見えていたが、やがてオーケストラが賑やかに顔を出し一息入れてから、これも美しい第二主題がオーボエにより歌われ、クラリネットがこれを引き継いで、再び綿々とした4つの楽器の絡み合いが始まり、二つの主題が渾然一体となったような素晴らしい呈示部となっていた。
            展開部ではファゴットが歌い出し、これにオーボエが第二主題の応答句で応え、これにホルンも加わって、穏やかに推移していた。再現部では楽器の組み替えがなされているほかは、ほぼ型通りに第一主題、第二主題の順に進められていたが、4本のソロ楽器がいろいろ顔を出し、それぞれが美しく技巧を重ねながら賑やかに再現がなされておりカデンツアは不要なほどであった。



         フィナーレは、第二楽章から休みなく続けられて、すっかり趣を変えた調子の良い主題が四重奏で顔を出し、10曲もある変奏曲のアンダンティーノの楽章が始まった。この主題はピッチカートの伴奏に乗って、オーボエが陽気にソロで主題を吹き出し、4つの独奏楽器の合奏で引き継がれたあと後半は、オーケストラが調子よく合奏で締めくくる面白い変奏主題であって、前半の4つの独奏楽器の部分がいろいろと楽器とその組み合わせを変え、リズムを変えて変化ある形に変奏されて進められる形式の面白い変奏曲になっていた。
            第一変奏はクラリネットで始まりホルンとファゴットがこれを受け、交互に繰り返されており、最後にはオーケストラの合奏が調子よく結んでいたいた。第二変奏はファゴットで始まり、途中でオーボエが加わって4管の合奏となり、これが繰り返される変奏であった。第三変奏はクラリネットとそれにホルンとファゴットが活躍する変奏となり、他の2管は伴奏であった。第四変奏は、少しテンポをおとし、オーボエのソロとファゴットとホルンの伴奏で賑やかであった。第五変奏はオーボエとクラリネットが掛け合いで調子よく進むものであった。外山雄三はここでは、ソロの4人に任せてしまったような落ち着いた仕草で指揮をしていた。



          第六変奏はオーボエの早いテンポのパッセージが続く変奏で、クラリネットも続き、他の独奏楽器も組み合わせを変えて顔を出していた。第七変奏はホルンのどっしりしたソロで始まって、他の楽器が技巧的なフレーズを追加していた面白い変奏。第八変奏はピッチカートの早いリズムで展開され、オーボエとクラリネットがソロと合奏、ピッチカートの伴奏で掛け合っていた。第九変奏はホルンの技巧とオーボエの早い掛け合いで進行し、これがクラリネットとファゴットにに引き継がれていた。最後の第十変奏ではオーボエのソロで軽快に始まった後、フィナーレらしくアダージョにテンポを落として合奏で進んでから、一息おいてオーケストラがアレグロに一転し、コーダ風に華やかに急速に終結していた。

          この楽章は実に伸び伸びとしたテーマに乗って、ピッチカート伴奏も軽快で、気持ちよく明るく弾むように進行するので、見ていて見応えのある楽しい変奏曲であり、4人のソリストたちもやり甲斐のある楽章となっていた。指揮者外山雄三の役割は、この変奏曲のリズムを取るだけで、ソリストもオーケストラも実に伸び伸びと楽しげに演奏して終息となっていた。
          この曲はフルートのパートがオーボエに、オーボエのパートがクラリネットの形で置き換えられて発見されているが、全楽章を通じて4つの木管楽器がよく響き、特にオーボエとクラリネットが良く絡み合い、ホルンとファゴットがしっかりと低音を支えており、実に賑やかな曲であり、協奏交響曲と名付けられたように、協奏曲とはひと味違う華やかさと重厚さが印象的であった。

           この演奏は20年も昔の演奏であるが、N響の4人の名手たちが実に良く揃って落ち着いて演奏しており、N響もこの雄大な曲想を充分に豊かに表現していて、最近になって改めて聴いても、この当時の大らかな演奏がこの曲にマッチしており、この曲の豊かな持ち味を見事に再現した素晴らしい演奏に聞えていた。新しい数少ないこの曲の演奏には、バレンボイムの二つの演奏があるが、両演奏ともオーケストラが若すぎてにわか編成であり、ソリストたちも若いので、N響のようなしっとりした味わいが得られずに、うやや不満を持っていた。結果的には2番目に古いこのN 響の演奏がベストなものとして推薦しておきたいが、良い曲なのに演奏機会に恵まれずに誠に残念だという思いがする。むかしLPで聴いたベームの演奏のような録音が残されていないか、気になる曲であった。                   (以上)(2018/02/18)




           続く2月号の第二曲目は、ラ・フォル・ジュルネ・ジャパン2014の東京国際フォーラムにおいて演奏された、ラファエル・セヴェールのクラリネットとプラジャーク弦楽四重奏団によるクラリネット五重奏曲イ長調K.581である。この演奏は、2014年8月18日にBS3のクラシック倶楽部で放送されたものであり、演奏は2014年5月4日に東京国際フォーラムホールB7で演奏され、第1曲が、K.581 のクラリネット五重奏曲イ長調であり、もう1曲はメンバーをすっかり変えて、フォーレのピアノ三重奏曲が演奏されていた。演奏団体が異なるコンサートは、このラ・フォルネ・ジュルネのお得意であり、余り有名でない方も多いので、初めにクラリネット五重奏曲イ長調K.581の演奏団体を紹介しておかねばならない。



           クラリネットのソリストであるラファエル・セヴェールは、1994年生まれで、まだ弱冠20歳という若手ソリストであり、8歳からパリ音楽院で学んで来たフランスの英才である。また、お相手のプラジャーク弦楽四重奏団は、対照的に古い団体で、1972年プラハ音楽院で結成とあり、チェコを代表する四重奏団として来日している。恐らく、この音楽祭で偶発的に決まった組合せの団体であろうと思われた。フォーレのピアノ三重奏曲と一緒に55分のクラシック倶楽部に収録されていたため、今回の演奏では、モーツァルトの五重奏曲の第2楽章が、残念ながら省略されていた。NHKがいつも行なう放送時間のための詫びのない一方的なカットである。



            このクラリネット五重奏曲の第一楽章は、ソナタ形式のアレグロであり、第一主題は弦楽四重奏によるコラール風の荘重な出だしで始まるが、これを受ける後半のクラリネットの美しく上昇する分散和音の絶妙な音色でバランス良く成り立っており、聴くものを一気に捕らえてしまう。この絶妙な第一主題がもう一度繰り返され、初めて聴くラファエル・セヴェールのクラリネットのソロと第一ヴァイオリンが対話しながら進み、元気の良いクラリネットによる輝くような経過部に聞き惚れているうちに、ピッチカートの伴奏で第一ヴァイオリンに続いてクラリネットが美しい第二主題を提示し始めていた。このドルチェで始まるセヴェールの独奏クラリネットはやや太めの明るい音色で進むが、低音も高音も良く響き、実に堂々としていた。さらに発展的に進行してドルチェのヴァイオリンで始まり、クラリネットに引き継がれる結びの主題が続いて提示部を終えていた。ここでもう一度振り返るように、冒頭から全体が再現されていたが、中央に座って元気よく奏でるクラリネットに対しプラジャーク弦楽四重奏団のほうは、威勢の良い若者に合わせるように装飾音などを加えながら,伸び伸びと自由に再現しており、特にクラリネットの力強い響きが、提示部全体を支配しているように思われた。



            展開部では冒頭主題の前半をセヴェールのクラリネットが美しく提示してから、後半部の主題を、第一ヴァイオリン、第二ヴァイオリン、ヴィオラ、チェロの順に、四重奏の各声部が執拗に激しく展開しながら提示されるもので、クラリネットは後半から顔を出して分散和音で応答していたが、低音から高音にいたるクラリネットの響きは力強く、実に魅力的な展開部になっていた。再現部で第一主題はクラリネットが前半を、後半は弦と役割を変更して再現されており、第二主題はクラリネットにより見事に変奏されて哀調に富む独自の雰囲気を醸し出していた。セヴェールの独奏クラリネットはしっかりとした音調であり、悠々と美しい音色をちりばめて、それに華やかさも加わって、この曲の魅力を高めていたように思われた。



         続く第二楽章は、NHKが良くやるカットの対象となってガッカリ。大いに興を削がれてしまったが、続いて第三楽章のメヌエットが明るく威勢良く始まって救われた。このメヌエット楽章は、全5声が一体となって合奏する堂々たるものであり、珍しく二つのトリオを持った壮大で華やかな楽章であった。メヌエット主題はセヴェールのクラリネットと第一ヴァイオリンで導かれる活発で晴れやかなものであり、堂々と力強く リズムを刻んで進んでいた。第一トリオは、弦楽四重奏団だけの綿々と歌われるもので、ヴァイオリンとヴィオラの掛け合いで進められていた。再び元気の良いメヌエット主題は、休んでいたクラリネットのペースで堂々と進行していたが、続く第二トリオは、クラリネットに導かれる民族舞踊的な音調でクラリネットが明るく高らかに美しいメロデイを奏でてから、再び、朗々とメヌエットが繰り返されていた。この楽章も、クラリネットの勢いが中心となる演奏であった。



          フィナーレはアレグレットの主題と四つの変奏に加えてアダージョとアレグロの二つの自由な変奏部分から構成されていた。主題はクラリネットと弦の合奏で明るく活発に提示され、前半の第4変奏までは(8小節*2)で構成され、キチッと繰り返しが行われていた。第一の変奏は弦による主題提示をクラリネットが明るく変奏しながら彩りを添えるもので、繰り返しでは装飾音符やトリルなどが目立っていた。第二変奏は前半が弦楽器だけの付点リズムによる変奏であり、後半はそれにクラリネットが彩りを付けていた。第三変奏も弦楽器による変奏で第一ヴァイオリンのオクターヴ跳躍とヴィオラの分散和音により終始リードする変奏であったが、第四変奏はクラリネットの速いテンポによる変奏で十分な技巧が発揮されていた。 続いては一転してアダージョの変奏となり、クラリネットが低音を響かせながら憂いのこもった素晴らしい響きを見せてひと休止の後に、最後にアレグロの変奏となり、主題の前半を五声で変奏しながら、アレグロのコーダに入り、この魅力的な変奏曲を充分に歌い上げて楽しく終結させていた。

            今回のラ・フォル・ジュルネ・ジャパン2014のクラリネット五重奏曲は、クラリネットの明るい魅力に溢れた第一楽章や、後半の二つのトリオを持ったメヌエットや、フィナーレの楽しい主題と充実した変奏によって、非常に豊かで元気の良いイメージを持った五重奏曲に仕立てられていた。今回ラファエル・セヴェールの独奏クラリネットは、若いソリストでありながら技術力は充分に持ち合わせており、武者修行的に行く先々で相手を選んで勉強しているのであろう。一方のプラハのプラジャーク弦楽四重奏団はこのHPは初出であるが、しっかりしたヴェテランたちによる四重奏団であり、今回は、若い元気なセヴェールに合わせて演奏しているように見えた。このセヴェールのクラリネットは、この曲の性格や特徴を良く捉えた力のこもった充実した演奏を聴かせてくれており、若いのに実に力強いしっかりしたゆとりのある音を響かせていたのに対し、プラジャーク弦楽四重奏団の方は、全く自分たちのベースを持っており、余り燃えずに、クラリネットに合わせて演奏しており、やや年齢的に差のある組合せが災いしたか、私には何となく物足りない演奏に聞えていた。


(以上)(2018/02/19)



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