(最新のHDD録画;管楽のための協奏交響曲K.297bほか、)
18-10-1、レ・ヴァン・フランセ管楽アンサンブルによるオーボエ・クラリネットなど管楽のための協奏交響曲変ホ長調K.297b、2018/04/24、東京オペラシテイ・ホール、およびヴァイオリンとヴィオラのための二重奏曲第1番ト長調K.423、2015/11/08、愛知県立芸術大学・弦楽アンサンブル、Vn;桐山建志、Vla;百武由紀、竹田嘉兵衛商店内「蔵」、名古屋市有松、

−木管四重奏による協奏交響曲には、多くの作曲家によりいろいろあると聞いてはいたが、プレイエルなどの曲よりもモーツァルトの方が、断然、旋律が豊富で変化に富み、とても参考になった。また今回はソリストたちが立って演奏していたが、これがアンサンブル上、重要な役割を果たしており、カデンツアも素晴らしかったし、フィナーレの変奏曲も4人が入れ代わり立ち代わりで、映像による演奏の楽しさを十分に味わせてくれた。何組かあるこの曲の中で、断トツで楽しい演奏になっていた。また、ヴァイオリンとヴィオラの二つの楽器によるソナタK.423については、第一楽章が残念ながら割愛されていたが、しっかりとした構成で作られた曲てあり、ミヒャエル・ハイドンの急場を助けた、立派な作品であると感じさせられた。このコンサートの演奏会場が、文化遺産として残された室内楽演奏に適したサロン風のスペースで収録されていたため、新鮮な響きが聴かれ、目も楽しませてくれた−

  (最新のHDD録画;管楽のための協奏交響曲K.297bほか、)
18-10-1、レ・ヴァン・フランセ管楽アンサンブルによるオーボエ・クラリネットなど管楽のための協奏交響曲変ホ長調K.297b、2018/04/24、東京オペラシテイ・ホール、およびヴァイオリンとヴィオラのための二重奏曲第1番ト長調K.423、2015/11/08、愛知県立芸術大学・弦楽アンサンブル、Vn;桐山建志、Vla;百武由紀、竹田嘉兵衛商店内「蔵」、名古屋市有松、
(2018/06/29および2018/07/23のNHKクラシック倶楽部よりHDD-2に収録、)

         10月号の第一ファイルは、いずれもNHKの最新のクラシック倶楽部で収録したソフトであるが、第1曲目はレ・ヴァン・フランセ管楽アンサンブルによる協奏交響曲のコンサートであり、ここでは珍しくオーボエ・クラリネットなど管楽のための協奏交響曲K.297bが演奏されていた。このアンサンブルは、フランスのクラリネットの名手、ポール・メイエが中心になって結成されたトッププレイヤーたちによるアンサンブル・グループで、この曲にはいないが、フルートはパユが吹いており、日本でお馴染みのプレイヤーたちが、珍しい協奏交響曲を演奏している。今年の東京オペラシテイ・ホール(2018/04/24)での最新の演奏会であった。
もう一方の第2曲目は、愛知県立芸術大学・弦楽アンサンブルによるコンサートで、ヴァイオリンとヴィオラのための二重奏曲第1番ト長調K.423が桐山建志のヴァイオリンと、このメンバーの中心と思われるヴィオラの百武由紀により演奏されていた。このアンサンブルの演奏が、名古屋市有松にある竹田嘉兵衛商店内「蔵」の一室で収録(2015/11/08)されており、百武の語りでは、この二重奏曲の作曲年代が、彼女のヴィオラとこの問屋の一室との製造年代と、ほぼ一致して共通であるそうである。このクラシック倶楽部の演奏は、弦楽五重奏のメンバーにより、アンサンブルを楽しむ趣向のような映像であった。残念ながら、時間の関係で、二重奏曲のK.423は第一楽章が削除されていた。


         この最初の曲のクラシック倶楽部の映像は、「レ・ヴァン・フランセの協奏交響曲の夕べ」と題されており、フルート・オーボエ・クラリネット・ホルン・バスーンの5人の著名管楽器奏者が、入れ代わり立ち代わり登場して、管楽器のための協奏交響曲を書いた作曲者たちによる作品のコンサートであった。その最初の曲はプレイエルのフルート・オーボエ・ホルン・バスーンの協奏交響曲第5番であり、第二曲目がモーツァルトのオーボエ・クラリネットなど管楽のための協奏交響曲変ホ長調K.297bであった。このような協奏交響曲だけのコンサートは初めてであり、指揮者がいないので、ポール・メイエの合図でオーケストラが始まると、4人の管楽奏者たちは、左からオーボエ・ホルン・バスーン・クラリネットの順に顔を見せ合いながら並び、立ってソロ楽器を演奏するというスタイルであり、ソリストが椅子に座る従来のスタイルより、映像ではソリストが良く目立ってとても良いと思われた。


      この曲の第一楽章は、協奏曲風のソナタ形式で出来ており、まず弦楽器のユニゾンで特徴あるリズムを持った第一主題がオーケストラで力強く始まり、オーボエと第一ヴァイオリンによる掛け合いで副主題が提示されて、アレグロ・マエストーソの指示通りに堂々と進行していた。続いて第二主題が第一ヴァイオリンにより呈示されていたが、後半ではオーボエやホルンとの協奏があって賑やかにオーケストラによる提示部が推移していた。コントラバスが1本の小ぶりなオーケストラであるが、最後にはコントラバスによる重奏低音を伴いながら行進曲調のリズムで協奏交響曲風の主題提示部が終わっていた。
         そこで4つの独奏楽器がユニゾンで第一主題を合奏してソロ提示部に入り、オーケストラの伴奏で、オーボエから始まってクラリネットも歌い出し4つのソロ楽器のアンサンブルで進行していたが、実に美しく良く響き、このグループらしい素晴らしい効果を挙げていた。再び冒頭主題がユニゾンで繰り返され、オーケストラに導かれて再び独奏楽器がホルンやクラリネットから始まり、組み合わせを変えて進行していた。そしてオーケストラに渡されてからやがて美しい素朴な第二主題がオーボエで現れ、クラリネットに受け継がれてさらに勢いを増し、堂々とした行進曲風のコーダに発展していた。独奏楽器はさすがにオーボエの出番が多く独自の装飾音が目立っていた。また、クラリネットも良く活躍し、ファゴットとホルンも旋律的な出番がありながらしっかりと低音を支えており、独奏者相互のアンサンブルの良さが目立っていた。


         展開部ではファゴットとホルンが先の主題の一部を繰り返して始まり、4つの独奏楽器群が組み合わせを変えながら、技巧的な特徴を見せながら、繰り返し力強い主題の展開を行っていた。再現部では独奏楽器中心に第一主題から第二主題へと提示部よりコンパクトに纏められて再現されて進んでいたが、最後の4人のソリスト達によるカデンツアは、オーボエのソロに始まりファゴットとホルンがこれを受け、クラリネットが発展させる長大であるが各楽器の出番が多い賑やかなものであった。譜面がないので良くわからないが、聴感上は記憶にあるカデンツアのように思われたが、舞台では立って4人で顔を合わせながら演奏しているので、実に堂々と存在感ある演奏を示していた。
        紹介が遅れたが、ソリストたちは、向かって左から順にオーボエが、フランソワ・ルルー、ホルンがラドヴァン・ヴラトコヴィチ、バゾン(フランス式ファゴット)がジルベール・オダン、クラリネットがポール・メイエのソリストとしての常連のメンバーであった。


         この曲の第二楽章は4つのソロ楽器が実に良く歌い美しく絡み合って、まるで夢を見ているような美しいアダージョ楽章である。初めは弦のユニゾンでゆっくりと第一主題が提示されるが、直ぐにファゴットが、そしてクラリネットが引き継いで歌い出し、オーボエに渡されると旋律的な動きになり、ホルン、クラリネットと歌い継がれて4つの独奏楽器の独壇場となり、互いに重なり合い絡み合いながら実に美しい情景を醸し出していた。やがてオーケストラが顔を出し一息入れてから、美しい第二主題がオーボエにより歌われ、クラリネットがこれを引き継いで、再び綿々とした4つの楽器の絡み合いが始まり、二つの主題が渾然一体となったような素晴らしい楽章となっていた。
         展開部ではファゴットが歌い出し、これにオーボエが第二主題の応答句で応えて穏やかに推移していた。再現部では楽器の組み替えがなされているほかは型通りに進められていたが、4本のソロ楽器がいろいろ顔を出し、賑やかに進められていた。カデンツアはなかったが、4人のソリストたちの素晴らしいアンサンブルが聴きものであった。


         フィナーレは、すっかり趣を変えた調子の良い主題と10の変奏曲であり、主題はピッチカートの伴奏に乗ってオーボエが陽気に主題を吹き出し、4つの独奏楽器の合奏で引き継がれたあと後半は、オーケストラが合奏で締めくくる面白い変奏テーマであった。前半の4つの独奏楽器の部分がいろいろと楽器を変えリズムを変えて、変化ある形に変奏されて進められ、オーケストラが最後を締めくくる形式の面白い変奏曲になっていた。
          第一変奏はクラリネットで始まりホルンとファゴットがこれを受け、交互に繰り返されていた。第二変奏はファゴットで始まり、途中で4管の合奏となり、これが繰り返される変奏であった。第三変奏はクラリネットとそれにホルンとファゴットが活躍する変奏となり、他の2管は伴奏であった。第四変奏は、オーボエのソロとファゴットとホルンの伴奏で賑やかであった。第五変奏はオーボエとクラリネットが掛け合いで調子よく進むものであった。この変奏曲は4人のソリストたちが、入れ代わり立ち代わり、活躍するので、実に見応えがあった。


          第6変奏はオーボエの早いテンポのパッセージが続く変奏で、クラリネットも続き、他の独奏楽器も組み合わせを変えて顔を出していた。第7変奏はホルンのどっしりしたソロで始まって、他の楽器が技巧的なフレーズを追加していた面白い変奏。第8変奏はピッチカートの早いリズムで展開され、オーボエとクラリネットがソロと合奏で、ピッチカートの伴奏で掛け合っていた。第9変奏はホルンとオーボエの掛け合いで進行し、これがクラリネットに引き継がれていた。最後の第10変奏ではオーボエのソロで軽快に始まった後、アダージョにテンポを落としてから、一息おいてオーケストラがアレグロに転じコーダ風に華やかに急速に終結していた。           この楽章は実に伸び伸びとしたテーマに乗って、ピッチカート伴奏も軽快で、気持ちよく明るく弾むように進行するので、見ていて見応えのある楽しい変奏曲であり、ソリストたちもやり甲斐のある楽章となっていた。4人がそれぞれ入れ代わって協演するさまは実に楽しく、ソリストもオーケストラも伸び伸びと明るく楽しげに演奏して終息となっていた。

          大変な拍手で迎えられて、4人のソリストたちは忙しく挨拶を繰り返していたが、ソリストたちが引き上げて、再び登場した時には、フルートのパユも加わって、5人でご挨拶していた。見ているとオーケストラも拍手に加わって、舞台は大変に賑やかになっていたが、やがてアンコールがなされることが知らされていて、騒ぎは一段落した。アンコール曲は、イベールの「木管五重奏のための3つの小品」の第1曲という明るいアンコールに相応しい曲であった。
      木管四重奏による協奏交響曲には、いろいろあると聞いてはいたが、聴く機会がなかったが、プレイエルなどの曲よりもモーツァルトの方が、断然旋律が豊富で変化に富み、とても参考になった。また今回はソリストたちが立って演奏していたが、これがアンサンブル上、重要な役割を果たしており、カデンツアも素晴らしかったし、フィナーレの変奏曲も4人が入れ代わり立ち代わりで、映像による演奏の楽しさを十分に味わせてくれた。何組かあるこの曲の中で、断トツで楽しい演奏になっていた。 (以上)(2018/10/24)


今回の第二曲目もNHKのクラシック倶楽部の映像であり、愛知県立芸術大学・弦楽アンサンブルによるコンサートで、シューベルトのトリオD471、モーツアルトの二重奏曲K.423、ドボルザークのトリオOp.74などが、次の5人によるアンサンブルで演奏されていた。驚かされるのは、このアンサンブルの演奏が、名古屋市有松にある竹田嘉兵衛商店内「蔵」の一室で収録(2015/11/08)されていることであった。名古屋の有松といえば、藍染めの絞りの町で知られており、戦災に遭わなかったので、江戸時代の当時のものが文化遺産として残されており、当時の一流の絞り問屋であった竹田家の「蔵」は、まさに室内楽演奏に適したサロン風のスペースを提供するものであった。この5人とは、ヴァイオリンが、白石禮子、桐山建志、福本奏之、ヴィオラが百武由紀、チェロが花咲薫の面々であり、この一室を利用して、二・三重奏曲を、メンバーを変えて演奏していた。メンバーの中心と思われる百武の語りでは、モーツァルトの二重奏曲の作曲年代と、彼女の持つヴィオラの制作年代と、有松の絞りが持てはやされて、この一室が建てられた時代が、ほぼ共通するようで、ここでこの曲を演奏することに、特別な思いを感じているようだった。


ヴァイオリンとヴィオラのための二重奏曲第1番ト長調K.423が桐山建志のヴァイオリンとヴィオラの百武由紀により演奏されていた。この曲は、このHPに初登場であるので、キチンと報告したいと考えていたが、まことに残念ながら、時間の関係か、二重奏曲のK.423は第一楽章のアレグロが削除されていた。この楽章はト長調のアレグロで、4/4拍子のソナタ形式で書かれていたが、良い曲なので、カットされたのは遺憾の限りであるがやむを得ない。


第二楽章はアダージョで、ハ長調、3/4拍子で、三部形式で書かれた美しい落ち着いた曲である。音形的な装飾の多いセレナーデ風の短いカンティレーナの楽章で、初めにヴァイオリンがヴィオラの伴奏で主題を提示してから、転調して二つの楽器は役割を交替して進行するが、ここでのヴィオラの繊細な動きは、映像で明確に捉えられていた。中間部ではヴィオラの伴奏に乗って、ヴァイオリンが美しく語りかけるように進んでから、再び冒頭に戻って、ヴァイオリンとヴィオラの柔らかなしっとりした対話が続いて静かに結ばれていた。短い楽章であるが、ヴァイオリンもヴィオラも良く動いて輝きを見せる美しいアダージョであった。


  フィナーレは、ロンド形式でアレグロの溌溂としたロンド主題がヴァイオリンで飛び出す楽章であり、この主題が4回顔を出すA-B-A-C-A-B’-Aのかたちで進んでいた。初めのエピソードは、ヴァイオリンの三連符の活発な動きを中心にヴィオラが対等の動きを見せて厚みのある響きを生み出し、陽気な小旋律で結ばれるものであり、続いて現れるロンド主題が、生き生きとして弾みをつけていた。続く第二のエピソードは、ヴァイオリンによるカノン風の主題が対位法的に発展していくもので、ヴィオラとの対話により陰影づけられた変化に富んだものであり、続くロンド主題によって明るく結ばれていた。ヴァイオリンとヴィオラの二つの楽器によるソナタであるが、しっかりとした構成で作られており、ミヒャエル・ハイドンの急場を助け、感謝されたという記録が残っているようであるが、立派な作品であると感じさせられた。


  ここでは、このソナタしか取り上げていないが、この室内楽向きな会場では、弦楽器による二重奏・三重奏などが取り上げられて、演奏が続いていた。この会場では、人に聴かせるというよりも、演奏者たちが好きな音色を出して、アンサンブルの響きをお互いに楽しんでいるように思われた。

(以上)(2018/11/15)



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