(最新のHDD録画より;バボラークのホルン協奏曲などK.407、495、447)
18-1-2、ラデク・バボラークの指揮とホルン、バボラーク・アンサンブルによるホルン五重奏曲変ホ長調K.407、ホルン協奏曲第4番変ホ長調495、および第3番変ホ長調K.447、
2016年11月26日、第一生命ホール、

−始めのホルン五重奏曲K.407では、ホルンのラデク・バボラークは、ヴァイオリンと向かい合うように右端に座り、終始全体をリードしながら実に安定した音を出しており、ヴァイオリンとの対話も上手く行なわれ、緻密な室内楽的な演奏に聞えていた。一方の2曲のホルン協奏曲では、彼のホルンの安定感が高く、全く音の外れのない安心して聴けるホルンの独奏であり、アンサンブルの弦五部の皆さんも、ホルンの音量に較べてやや力不足ではあったが、とても良いコンビで演奏を豊かにしてくれたと思う。第1部(17-5-2)と併せて、ホルンのソロは初めてなので、楽しい貴重なコンサートであったと思う−

(最新のHDD録画より;バボラークのホルン協奏曲などK.407、495、447、)
18-1-2、ラデク・バボラークの指揮とホルン、バボラーク・アンサンブルによるホルン五重奏曲変ホ長調K.407、ホルン協奏曲第4番変ホ長調495、および第3番変ホ長調K.447、
2016年11月26日、第一生命ホール、
(2017/11/9、NHKクラシック倶楽部の放送をHDD-5に収録、)

           1月号の第2曲目は、ホルンのラデク・バボラークと彼のバボラーク・アンサンブルの演奏会であり、これも最新のNHKのクラシック倶楽部で収録されたもので、ホルン五重奏曲変ホ長調協奏曲K.407、ホルン協奏曲第4番変ホ長調495、および第3番変ホ長調K.447に加えて、アンコールとして「アヴェ・ヴェルム・コルプス」K.618が演奏されていた。この演奏会は2016年11月26日に第一生命ホールで演奏されたものであるが、その第一部は、既にアップロード済み(17-5-2)であり、これにはロンドK.514、ホルン協奏曲第2番変ホ長調K.417、およびアレグロニ長調K.412の3曲が含まれていた。従って、今回の第2部と合わせると、ホルン協奏曲全4曲とホルン5重奏曲のホルンのための主要作品がほぼ揃ってしまうようになっていた。これらのホルン協奏曲は、オーケストラが弦楽四重奏+コントラバスの五重奏で演奏されるので、オーケストラは小ぶりであるが、アンサンブルの豊かな室内楽的な演奏が楽しめ、今回の第2部の録画が何時できるか楽しみに待っていたものであった。



            このグループによる演奏の第1曲目は、ホルン五重奏曲変ホ長調K.407であり、5人が登場して左端に第一ヴァイオリン、右端に独奏ホルンが座り、第二ヴァイオリンがヴィオラに持ち替えて演奏しているように見受けられた。
             第一楽章は、ホルンを含んだ全体の合奏で始まり、前奏的な 弦の合奏に続いて、朗々とした明るく伸びやかなホルンの独奏に導かれる第一主題は、実に堂々としており、経過部ではホルンとヴァイオリンとの交錯もあって室内楽的な魅力も十分である。ホルンに始まりチェロのピッチカートで伴奏される第二主題もヴァイオリンとの対話があるが、他の楽器にまで及ばないところがこの曲の限界であろうか。バボラークは呈示部の繰返しを省略して、直ぐに展開部に入りホルンばかりでなく各楽器がカノン風に展開しようとするが、そのそぶりだけで短く終わり、再現部に入っていた。バボラークのホルンはとても安定しており、常に先頭に立って全体をリードしているように見え、第一ヴァイオリンとの対話もスムーズでアンサンブルも良く、なかなか見応えがあった。



             第二楽章は、ヴァイオリンで始まる美しい弦だけの室内楽的な合奏で主題が始まり、二度くり返されてから独奏ホルンがこれを引き継いで、ヴァイオリンと美しい対話を始めながら進行し、盛り上がりを見せていた。短い中間部でも弦楽合奏が続いてからホルンがこの主題を引き継いで、弦楽合奏と対話しながら進んでいた。第三部では再び冒頭の弦楽合奏が始まるが、今度はホルンが直ぐに引き継いで、弦楽合奏との美しい交錯を繰り返しながら、ホルンのペースで進行して美しく終息していた。



     第三楽章は、協奏曲のような明るい狩りを思わせる主題で始まり、これを弦の合奏が追いかけていくロンド楽章である。速いテンポでホルンがロンド主題を奏でながら進行してから、弦楽合奏がこれを引き継いで進み、やがて独奏ホルンが颯爽と新しい第一のエピソードを提示して威勢良く進行していた。やがてロンド主題が復活して一呼吸おいてから、新しい主題がホルンで提示されたり、第一ヴァイオリンがソロで提示したりしてどんどんと進行し、ホルンがファンファーレを奏でてフェルマータでカデンツアの出番となるが、ここでは先を急ぐかカデンツアは省略されていた。再びロンド主題がホルンで始まって、全体は終息に向っていたが、第三楽章でロンド楽章になると、コンチェルトのスタイルとなって結ばれてしまっていた。第二楽章まではデイヴェルテイメント的な明るさと楽しさを感じており、続いてメヌエット楽章でも来れば室内楽スタイルになるのであろうが、何となく中途半端な感じでこの曲を終了してしまっていた。



           ホルンのラデク・バボラークは、ヴァイオリンと向かい合うように右端に座り、終始全体をリードしながら実に安定した音を出しており、ヴァイオリンとの対話も上手く行なわれ、緻密な室内楽的な演奏に聞えていた。しかし、フィナーレのロンド楽章でホルンのテンポの早いパッセージが続出して、コンチェルタントな演奏に変化していたが、カデンツアを省略したりして粧いを変えていたように思った。全体としては、破綻のない落ち着いた演奏であり、ホルンのような楽器が室内楽にも楽しく使えることを示すような模範的な演奏であった。



            続く第二曲目は、ホルン協奏曲第4番変ホ長調K.495であり、独奏ホルンは指揮者を兼ねて中央に立ち、先ほどの弦楽四重奏にコントラバスが右手奥に加わった弦の五重奏でオーケストラを構成していた。第一楽章はアレグロで、五重奏の総奏によって、堂々として宏壮な感じを持った第一主題が始まり、颯爽と進行していたが、直ぐに五重奏の弱奏で優雅に第二主題が始まって、二つのヴァイオリンが絡み合うように上昇を続けて高みに達してから、独奏ホルンがこれに参加して、存在感を示した後にオーケストラによる主題呈示部が終了していた。続いて独奏ホルンが第一主題を提示していくが、これは各小節の代表音だけで大まかに主題を提示しており、独奏ホルンが力強く全体を牽引していた。第二主題は弦で始まるが、二つのヴァイオリンが絡み出すと独奏ホルンが代表音でサポートするように進行し、急速に盛り上がりを見せて主題提示部が完結していた。



           展開部は独奏ホルンが第一主題の一部を取り上げて、これを繰返し繰返し展開を試みており、独奏ホルンの独断場のようになって進行していた。再現部に入ると、独奏ホルンは呈示部と異なって第一主題をソロで提示しており、かなり臨機応変に自由に動き回っていた。第二主題においても同様で、独奏ホルンとオーケストラとが一体になって盛り上がりを見せて、カデンツアに突入していた。バボラークは第一主題のフレーズの幾つかを組み込んだカデンツアを演奏していたが、なかなか高度な技巧を要するオリジナルなもののようであった。 弦五部によるオーケストラはホルンの音量に較べてひ弱な感じで終始していたが、協奏曲らしく何とか動いていたものの、弱さを感じていた。



              第二楽章はロマンスと題されたアンダンテ・カンタービレの美しい楽章。独奏ホルンが奏でるゆっくりした大らかな旋律が優雅に流れてから、弦五部がこれを繰り返していくが、どうやらこれがロンド形式のロンド主題となっていた。続いて独奏ホルンが新しいエピソードを歌い出し進行すると、独奏ホルンが再びロンド主題を奏でていた。弦五部がトウッテイで第二のエピソードを奏で出すと独奏ホルンも負けじと歌い出し、弦五部と絡み合っていた。最後に再び独奏ホルンが最初の優雅なロンド主題の旋律を歌い出し、弦五部と静かに絡み合って、合奏で静かに終息していた。



              フィナーレはロンドと題されたアレグロ・ヴィヴァーチェの早いロンド形式の楽章で、独奏ホルンの狩の歌を現わす小刻みな早いロンド主題が飛び出して繰り返していくと、今度は弦五部がトウッテイでこれを繰り返していた。続いて独奏ホルンが第一の新しいエピソードを提示して、弦五部を従えるように進行すると弦五部も目が覚めたように元気よく動き出し高みに到達してから、再び独奏ホルンがロンド主題を再現して弦五部に引き渡していた。続いて独奏ホルンが第二のエピソードを提示し始め、ここでも弦五部を従えるように勢いよく進行していた。独奏ホルンに続き弦五部が再びロンド主題を提示すると、独奏ホルンが新しいテーマを提示していたが、これは第一のエピソードを変形したものであり、続いて弦五部が威勢良く動き出して盛り上がりを見せていた。最後に独奏ホルンがロンド主題を提示し、弦五部もこれを繰り返して、独奏ホルンも同調して結びとなっていた。バボラークは、終始、早いテンポで小刻みに勢いよくホルンを鳴らしながら狩の歌を進めていたが、この曲全体を振り返ってみても、オーケストラが寂しいのはやむを得ないが、彼のホルンは常に安定しており、技術の高さを良く示していた。



          続く第3曲目はホルン協奏曲第3番変ホ長調K.447であり、この曲も前曲のK.495とともにこのHPの初登場曲になっている。ホルンは、他の管楽器と較べていわゆるソリストが少ないので、こう言う現象が生じたのであろう。この曲には、第1番のK.412と並んで、不思議なことがいろいろあり、一言触れておくが、他の曲と較べてこの曲に限ってライトゲープの名の書き込みや作曲年月日が無いこと、管の編成がこの曲だけクラリネット2・ファゴット2であること、優れた曲でウイーン後期の作と思われるのに、自筆作品目録に無いことなどである。ところがタイソンとプラートの用紙と筆跡の鑑定結果で、「ドン・ジョヴァンニ」の用紙と同じものが使われていることが判明して、現在ではこの曲の作曲年は1787年と推定されるに至っている。



           この協奏曲の第一楽章は、アレグロのソナタ形式で書かれており、弦五部で静かにとても大らかな感じの第一主題が優雅に開始されるが、直ぐに8小節後には可愛げな第二主題が静かに開始されていた。この演奏では、ホルンがオーケストラに突然参加しており驚いたが、どうやら新全集の譜面通りの姿であった。オーケストラはその後、次第に高まりを見せて高揚してから静かに呈示部を終えていた。ここで独奏ホルンが朗々と第一主題を提示してホルンらしい分散和音を示しながらオーケストラを従えて自由な発展に入っていた。やがて第二主題が弦五部で現われると、独奏ホルンはこれを引き継いでどんどんと進行し高まりを見せながら主題呈示部を終えていた。
            展開部では独奏ホルンが活躍していたが、途中からホルンがオーケストラを相手に8小節もの全音符での単音の持続がなされており、独奏ホルンならではの仕草に驚かされた。再現部では弦五部が第一主題も第二主題も提示してから独奏ホルンが動き出しておりほぼ型通りに再現されて、カデンツアになっていた。バボラークは、冒頭主題の最初のフレーズを取り上げて丁寧に繰り返したり変奏したりしたオリジナルなものを吹きこなしていたが、ホルンを自由に使いこなす冴えを見せていた。



            この曲の第二楽章は、「ロマンス」と書かれており、いきなり独奏ホルンが実に優雅な美しい主題を奏でだして丁寧に静かに進んで行くが、一段落して弦五部がこの美しい主題を繰り返していた。続いてこの主題の変形がホルンで開始されて、オーケストラとホルンで交互に美しく続けられ、発展して第1部が終り、続いて短い中間部を挟んで、始めの主題が自由に変奏されて戻ってくると思っていた。しかし、バボラークは新全集の譜面と少し異なるものを用いているようであり、全体のイメージは余り大きく記憶と変わらないのであるが、もっと肌理の細かな変化がある中間部を採用していたようであった。



           続くフィナーレは、例によってアレグロの6/8拍子で書かれたロンド形式の楽章であり、いきなり独奏ホルンが聴き慣れた狩の音楽の主題で始まって勢いをつけ、弦五部がこれに応えるように颯爽とこのロンド主題を繰り返していた。一呼吸おいて独奏ホルンが第一のエピソードを高らかに歌い出すと、弦五部もこれに続き、独奏ホルンと弦五部との掛け合いで勢いよく進行していた。そして再び独奏ホルンがロンド主題を歌い出し、弦五部がこれを引き継いでいた。そして、独奏ホルンにより第二のエピソードが始まり、オーケストラもこれを引き継いでから、独奏ホルンと弦五部との掛け合いが始まり、颯爽と進んで素晴らしい盛り上がりを見せていた。最後に再び独奏ホルンがロンド主題を再演してオーケストラに渡して、威勢の良いフィナーレが元気よく結ばれていた。

           この曲は、学生時代に東芝エンジェルレコードのLPでフランスのウーブラドウが指揮したクラリネット協奏曲とこのホルン協奏曲第3番とが裏表に入ったLPがあり、これらの曲が好きになって繰返し聴いていた覚えがあり、とても懐かしく思いだした。第一楽章のオーケストラによる主題提示部で、独奏ホルンが合奏したり、第二主題の中間部で記憶と違う部分が出てきたりして驚かされた。弦五部のオーケストラは独奏ホルンの音量に比して力不足であったのはやむを得ないが、クラリネットやファゴットが無くとも余り気にならなかったのには驚かされた。この一連のバボラークのホルン協奏曲と五重奏曲のコンサートは、彼のホルンの安定感が高く、全く音の外れのない安心して聴けるホルン演奏であり、アンサンブルの弦五部の皆さんも、とても良いコンビで演奏を豊かにしてくれたと思う。



           最後に彼らはアンコールとして、独奏ホルンがメロデイラインを担当し、弦五部の伴奏で、「アヴェ・ヴェルム・コルプス」K.618を演奏してくれた。恐らく独奏ホルンが歌ったこの曲は初めて耳にするであろうが、協奏曲のロマンス楽章で聴いたあの骨太の独奏ホルンの柔らかい寂しげな音色がこの曲に合っており、弦五部もこれをしっかりと支えて素晴らしいアンコールであったと思われる。このK.618のデータベースについては、昨日(1月8日)総括を完成させたばかりであるが、このアンコール曲も32番目の演奏として、忘れずに追加する必要がある。

(以上)(2018/01/10)



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