(2017年のベストソフトはどれか?)

−2017年の1年間にアップロードしたソフトにおけるベストソフトの選定−

金賞;17-12-3、パーヴォ・ヤルヴィ指揮、NHK交響楽団による演奏会形式による「ドン・ジョヴァンニ」K.527、合唱団;東京オペラシンガーズ、2017/09/09、NHKホール、

銀賞;17-11-1、テオドール・クルレンツイス指揮、ムジカエテルナ及び同合唱団による「レクイエム」ニ短調、K.626、2017年7月23日、フェルゼンライトシューレ、2017ザルツブルグ音楽祭、

銅賞;17-11-3、エマニュエル・アイム指揮ル・コンセール・ダストレによるエルヴェ=レジェ演出のオペラ「ポント王のミトリダーテ」K.87、2016年2月、シャンゼリゼ劇場、パリ、


(当HPの2017年のベストソフトはどれか?>

−2017年の1年間にアップロードしたソフトにおけるベストソフトの選定−

1、はじめに、

   毎年の 暮れに発売されるレコード芸術1月号には、その前年の1年間にリリースされたCDなどのソフトに対して「レコード・アカデミー賞」というレコード大賞の特集がある。クラシックが9部門に分かれていて、各部門の優勝者から金・銀・銅の三賞が選ばれる。2017年の今年の栄えあるレコード大賞では、「クルレンツイス旋風吹き荒れる」とされ、何と金賞と銀賞の二つをクルレンツイスのCDが選ばれるという前代未聞の快挙とされていた。金賞は交響曲部門の悲愴交響曲が選定されており、銀賞には、オペラ部門から「ドン・ジョヴァンニ」が選定されており、いずれもオーケストラはムジカエテルナであった。銅賞には現代曲部門からルノー・カピュソンの「21世紀のヴァイオリン協奏曲集が選定されていた。

金賞の悲愴交響曲は、「研ぎ澄まされた刃の如き鮮烈極まりないカタストロフ」という言葉で推薦されており、指揮者の意図がここまで徹底的に峻烈に鳴り響く音楽として表現されていると結ばれていた。銀賞の「ドン・ジョヴァンニ」では、「手に汗握るドラマトゥルギー、モーツァルトのオペラに新境地」とされ、ここでもクルレンツイスの強力な統率力の結果であると指摘されていた。銅賞の「21世紀のヴァイオリン協奏曲集」では、「カピュソンの鼻音と技巧を生かす斬新かつ洗練された音世界」とされていた。いずれにせよこの三者は、交響曲部門、オペラ部門、現代曲部門の優勝CDで、全9部門の中から選ばれる激戦の勝者であり、各部門で専門の選者により数候補がノミネートされ、各選者がノミネートCDを聴いて評点により順位づけ、最優秀のCDを選定していた。

    このレコード芸術のやり方を見習って、私のホームページにおいても、ささやかではあるが、この1年間にアップロードしたソフトの中から「モーツァルトの映像ソフト」の金賞・銀賞・銅賞を選ぶことにしているが、まだ今回で5回目に過ぎない。しかし、私なりに毎年工夫を重ねて、良く考えて実施してきており、その結果は末尾の別添ファイルの通り、金賞がヤルヴィとN響の演奏会形式の「ドン・ジョヴァンニ」、銀賞がここでもクルレンツイスとムジカエテルナの「レクイエム」、銅賞が女流指揮者アイムの「ミトリダーテ」となっている。選定方法は、レコード大賞のように、初めにノミネート候補作品としてこの一年間で特に注目に値する作品を10曲ほどを目安に自由に素晴らしいものを選んでみて、その中から厳選してみようと考えた。毎月、1)交響曲・管弦楽曲部門、2)協奏曲・器楽曲部門、3)オペラ・劇作品部門の三部門で、3*12=36ソフトをアップしてきているが、その中から選定されることになる。以下は、私なりに厳選した結果のノミネート候補10作品をリストアップしてみたが、今年はどうしても12作品になってしまったことをお詫びしたい。それは、今回から、ノミネートするに当たって、オペラなどでは「演出賞」があってもよいかなと思ったり、このHPに初めて出てくる演奏家や作品に対しては、「新人賞」や「新規アップ賞」などと名付けてプラス賞を加えるのも面白いかなと考えたからである。ノミネート作品の掲載順は、アップロードした日付の順である。


2、選定されたノミネート候補作品のリスト、

   選定されたノミネート候補作品は、日付順に以下の通りであるが、クリックすれば概要が分るようになっているので、ご参照いただきたい。いずれも、自信を持って推奨に値するコンサートの映像であると考えている。

1)(最新の収録映像より;ヤルヴィの演奏会形式の「ドン・ジョヴァンニ」)
17-12-3、パーヴォ・ヤルヴィ指揮、NHK交響楽団による演奏会形式による「ドン・ジョヴァンニ」K.527、
合唱団;東京オペラシンガーズ、2017/09/09、NHKホール、
(2017/10/23、NHKプレミアム・シアターの放送をHD-5に収録、)

2)(最新のDVDより;女流指揮者エマニュエル・アイムのミトリダーテK.87)
17-11-3、エマニュエル・アイム指揮ル・コンセール・ダストレによるエルヴェ=レジェ演出のオペラ「ポント王のミトリダーテ」K.87、
2016年2月、シャンゼリゼ劇場、パリ、
(2017/07/27、山野楽器にて、Erato、DVD2枚組)

3)(最新のDVDより;ソプラノで歌いながら指揮をするハンニガンのアリア集、)
17-11-2、バーバラ・ハンニガンのソプラノと指揮およびマーラー室内管弦楽団によるコンサートアリアK.583、K.579およびK.369、2014年8月、ルッツエルンKKLコンサートホールよりライブ収録、
 
(2017/9/12、新宿タワーレコードにて購入のDVD、Accentus Music ACC-20327)

4)(2017ザルツ音楽祭;クルレンツイスとムジカエテルナの「レクイエム」K.626)
17-11-1、テオドール・クルレンツイス指揮、ムジカエテルナ及び同合唱団による「レクイエム」ニ短調、K.626、
2017年7月23日、フェルゼンライトシューレ、2017ザルツブルグ音楽祭、
 (2017/10/23、NHKBS103の放送をHD-5に収録し、DVDにダビング)

5)(最新の放送記録より;エマーソン四重奏団のK.421と今井信子のK.424、)
17-10-2、エマーソン四重奏団による弦楽四重奏曲第15番ニ短調K.421、2017/8/20放送のクラシック館「弦楽四重奏の世界―究極の対話−」、および今井信子のヴィオラによるVnとVlaのための二重奏曲変ロ長調K.424、
ヴィオラスペース2015ガラ・コンサートより、NHKクラシック倶楽部の放送、2015/06/04、上野学園石橋メモリアール、
(2017/8/20放送NHKクラシック館をHD-5に収録、および2017/06/24放送のNHKクラシック倶楽部をHD-5に収録)

6) (ザルツ音楽祭直送オペラ;P.セラーズ演出の超モダンな「ティト帝の慈悲」)
17-10-1、テオドール・クルレンツイス指揮、ピーター・セラーズ演出、ムジカエテルナ及び同合唱団による「ティト帝の慈悲」K.621、
2017年8月4日、フェルゼンライトシューレ、2017ザルツブルグ音楽祭、
 (2017/09/23、クラシカ・ジャパンの放送をHD-1に収録し、DVDにダビング)

7) (最新の放送記録より;ブッフビンダーの協奏曲第20番、21番、27番、)
17-8-1、および17-9-1、ルドルフ・ブッフビンダーとシュターツカペレ・ドレスデンによるピアノ協奏曲第27番変ロ長調K.595、第21番ハ長調K.461および第20番ニ短調K.466、
2015年6月、フォルクスワーゲン「ガラスの工房」、ドレスデン、
 (2017/06/21、クラシカ・ジャパンの放送をHD-2に収録)

8) (最新のDVDより;ラルス・フォークトのピアノ協奏曲第16番K.451など)
17-7-1、ラルス・フォークトのピアノとタカーチェ・ナギー指揮ヴェルビエ音楽祭室内楽団によるピアノ協奏曲第16番ニ長調K.451、
2011年6月19日、ヴェルビエ音楽祭2011、
 (2017/04/28、銀座ヤマハでDVDを購入、)

9)(古い懐かしのVHSより;フェスティバル・ソリイスツのK.406&K.581、)
17-6-2、フェスティバル・ソリイスツ演奏会より、オーボエ五重奏曲ハ短調K.406(K.406/516bからの編曲)Ob;若尾圭介、およびクラリネット五重奏曲イ長調K.581、Cl;ジェームス・キャンベル、
1998年6月12日、サントリーホール、
(出演者)Vn;竹澤恭子、Vn;篠崎史紀、Vla;豊嶋泰嗣、Cel;堤 剛、
(1998/11/29放送のN響アワーをVHS-279.2に収録)

10)(古いVHSより;リュビモフのピアノ・リサイタル2、K.475、457、576、)
17-6-3、および 17-5-3、アレクセイ・リュビモフのオール・モーツァルト・フォルテピアノ・リサイタル、(後半曲目)1、幻想曲ハ短調K.475、2、ピアノソナタハ短調K.457、3、ピアノソナタハ長調K.545、4、幻想曲ニ短調K.397、5、ピアノソナタイ長調K.331、7、ピアノソナタ変ロ長調K.576、
1990年制作、ラルゼナール・大ホール、オール・モーツァルト・フォルテピアノ・リサイタル、
(1998/08/17、クラシカ・ジャパンの放送をVHS-259.1に収録、)

11) (最新のHDD録画より;ヤルヴィ指揮N響の二つの協奏曲K503とK.216)
17-4-1、パーヴォ・ヤルヴィ指揮のN響とピョートル・アンデルジェフスキーのピアノによるピアノ協奏曲第25番ハ長調K.503、2015年2月18日、サントリーホール、およびジャニーヌ・ヤンセンによるヴァイオリン協奏曲第3番K.216、
2017/02/28、フィルハーモニーH、ベルリン、
 (2015/05/17のNHKクラシック館の放送および2017/03/27のNHKプレミアム・シアターの放送をHDD-5に収録)

12)(最新のHDD録画より、イブラギモヴァ・テイベルギイアン・デュオR.)
17-3-3、および17-2-3、ヴァイオリンのアリーナ・イブラギモヴァとピアノのセドリック・テイベルギイアンによる初期のヴァイオリン・ソナタ選集、ヴァイオリン・ソナタヘ長調K.10(第5番)ハ長調K.6(第1番)、ニ長調K.7(第2番)、ニ長調K.29(第14番)、ヴァイオリン・ソナタヘ長調K.376およびイ長調K.305、
2015/10/02、王子ホール、東京、
(2017/01/09および2016/03/07のNHKクラシック倶楽部の放送をHDD-5に収録、)



3、ベストソフトの選定結果とその理由、

     以上により選定された12本のノミネートソフトは、オペラ・劇場系が5本、フルコンサート系が3本、アンサンブル・器楽系が4本となっており、新ソフトが多い中で古いVHSに納められたものが2本と低調であった。これらの中から金銀銅に当たる3本と佳作に相当する3本の枠を定めて、まず6本を消去法で選び、これら6本のソフトの中から、独断と偏見で3本を選び出し、熟慮の末、順位付けをし、金銀銅の3本のソフトを選んでみた。いろいろ比較検討する中で、過去においては、アバドとかアーノンクールとか、急逝された大家のソフトが多く選ばれたような気がしていたが、2017年においては、比較衡量する中でそのような影響はなく、現役で活躍する演奏家の中から自由な検討が出来、良い曲が含まれているオールモーツァルトのコンサートが選ばれたような気がする。
     また、検討の最中で、オペラでは「テイト帝の慈悲」のP.セラーズには「優秀演出賞」を与えても良いのではないかとか、HP初登場の女流指揮者でソプラノ歌手のバーバラ・ハンニガンのコンサートアリア集を見て「新人賞」に相応しいのではないかとか、このHPに初めてアップロードされた初登場曲として、ラルス・フォークトのピアノによるピアノ協奏曲第16番ニ長調やフェスティバル・ソリイスツ演奏会でのオーボエ五重奏曲ハ短調K.406(K.406/516bからの編曲)などには、「 New Upload 賞」を与えても良いのではないかなどと考えて見た。そして、これらは今後においても記憶に留めておきたいところから、金・銀・銅の三賞とは別に、独立して与えても良いのではないかと言う結論になった。

       最終的に選ばれた3本の金・銀・銅の三賞ソフトは以下の通りであり、今年度も素晴らしい作品が並んでいると考えている。

金賞;17-12-3、パーヴォ・ヤルヴィ指揮、NHK交響楽団による演奏会形式による「ドン・ジョヴァンニ」K.527、合唱団;東京オペラシンガーズ、2017/09/09、NHKホール、

銀賞;17-11-1、テオドール・クルレンツイス指揮、ムジカエテルナ及び同合唱団による「レクイエム」ニ短調、K.626、2017年7月23日、フェルゼンライトシューレ、2017ザルツブルグ音楽祭、

銅賞;17-11-3、エマニュエル・アイム指揮ル・コンセール・ダストレによるエルヴェ=レジェ演出のオペラ「ポント王のミトリダーテ」K.87、2016年2月、シャンゼリゼ劇場、パリ、


   なお、結果的に佳作とされた3ソフトは、以下の通りである。最初の佳作には、オーケストラを指揮しながらコンサートアリアを歌ったハンニガンに新人賞が、またオペラ「テイト」にハ短調ミサ曲やフリーメーソンの曲を加えて新たな演出を試みたP.セラーズに優秀演出賞を与えてみた。

佳作・新人賞;17-11-2、バーバラ・ハンニガンのソプラノと指揮およびマーラー室内管弦楽団によるコンサートアリアK.583、K.579およびK.369、2014年8月、ルッツエルンKKLコンサートホールよりライブ収録、 

佳作・優秀演出賞;17-10-1、テオドール・クルレンツイス指揮、ピーター・セラーズ演出、ムジカエテルナ及び同合唱団による「ティト帝の慈悲」K.621、2017年8月4日、フェルゼンライトシューレ、2017ザルツブルグ音楽祭、

佳作;17-6-3、および 17-5-3、アレクセイ・リュビモフのオール・モーツァルト・フォルテピアノ・リサイタル、(後半曲目)1、幻想曲ハ短調K.475、2、ピアノソナタハ短調K.457、3、ピアノソナタハ長調K.545、4、幻想曲ニ短調K.397、5、ピアノソナタイ長調K.331、7、ピアノソナタ変ロ長調K.576、1990年制作、ラルゼナール・大ホール、オール・モーツァルト・フォルテピアノ・リサイタル、


   最後に今回から設けることにした「New Upload賞」には、次の二曲が選ばれた。第一は、ピアノ協奏曲の中で、嬉しいことに1曲だけアップされていなかった第16番に、ラルス・フォークトの生きの良いピアノの映像が加わったこと、第二にフェスティバル・ソリイスツ演奏会でのオーボエ五重奏曲ハ短調K.406は、K.406/516bからのオーボエによる編曲版であり、初めて聴いた演奏でなかなかの好演であったので、異色かもしれないが加えてみた。

New Upload賞; 17-7-1、ラルス・フォークトのピアノとタカーチェ・ナギー指揮ヴェルビエ音楽祭室内楽団によるピアノ協奏曲第16番ニ長調K.451、

New Upload賞;17-6-2、フェスティバル・ソリイスツ演奏会より、オーボエ五重奏曲ハ短調K.406(K.406/516bからの編曲)Ob;若尾圭介、およびクラリネット五重奏曲イ長調K.581、Cl;ジェームス・キャンベル、1998年6月12日、サントリーホール、(出演者)Vn;竹澤恭子、Vn;篠崎史紀、Vla;豊嶋泰嗣、Cel;堤 剛、

     金賞のパーヴォ・ヤルヴィ指揮、NHK交響楽団による演奏会形式による「ドン・ジョヴァンニ」K.527については、あの広いNHKホールで大きく響かせるように歌う歌手陣の力強さに驚いたことと、舞台前面の狭いステージの活用により、指揮者と歌手たちやオーケストラとの距離感が非常に近いことを感じさせ、これら三者の熱意と意気込みにより、オペラ劇場を上廻る豊かさと一体感に満ちた演奏になっていたように思われた。そのため、観客がオペラの視覚的な楽しみを、多少、犠牲にして音楽に重点を置いてくれるなら、演奏会形式はあまり手間が掛からずに、それなりに良いものだと改めて感じさせられた。大方の観客も満足したように見受けられたし、今回の演奏がこれからのオペラ演奏のあり方に一石を投ずるものと期待したい。過去の演奏会形式のように歌手が棒立ちで歌うのではなく、多少の演技と表情の豊かさがクローズアップで捉えられており、オペラ並みの映像が残されていたので、金賞を与えてみた。映像として評価するならば、2025年に金賞を与えたアーノンクールのセミ・オペラ形式のダ・ポンテ三部作、例えば、「ドン・ジョヴァンニ(2014)」(15-3-3)などを上廻る工夫と創意に満ちた映像記録が残されており、私は日本的なこの方式がもっと注目されるべきであろうと考えている。









   銀賞は、2017年の夏のザルツブルグ音楽祭のクルレンツイス指揮ムジカエテルナと同合唱団による「レクイエム」であったが、日本語字幕付きで早々に放送されて、素晴らしい映像であった。その特徴の第1は、クルレンツイスの指揮の姿が、実に恰好が良いことである。そして映像の撮り方も、多分にそれを意識したものになっており、現地のファンには恰好の話題になったのであろう。第2に、ダ・ポンテ三部作のCDで現わされたムジカエテルナのピリオド奏法の徹底ぶりが、今回は映像で確認されることとなって、改めて凄い鍛えられたグループであることを認識させられた。第3に、今までオーケストラのピリオド奏法ばかりが話題になっていたムジカエテルナの合唱団が非常に生き生きとして素晴らしく、歌にも演技にも強い熟達した合唱団であることが確認された。この音楽祭に初登場したこのグループのモーツァルトの演奏を映像で見る限り、クルレンツイス指揮ムジカエテルナと同合唱団は、新しい新鮮な感覚を与えて、少なくとも私の目には、これまでの評判通りの好ましい存在に思われた。2018年のレコード大賞でも凄い旋風を引き起こしており、映像でも銀賞を与えてみた。 








   銅賞に選定されたエマニュエル・アイム指揮、ル・コンセール・ダストレのオーケストラと、エルヴェ=レジェ演出の最新の映像は、フランスのバロック・オペラの最近の隆盛の影響を受けたか、新鮮な感覚のモダンなオペラとなっており、過去の映像を多くの点で上廻る素晴らしいものになっていた。残念ながら、日本語字幕がなく、フォローするのが難しかったが、アイムの音楽が実に生き生きとして新鮮であり、また歌手たちが揃って素晴らしく、14歳のモーツァルトのアリアが実に新鮮に聞えていた。そのため、このグループにより、改めて初期のオペラを手掛けて欲しいと言う期待を込めて、銅賞に選定したものである。映像が少ないこの曲には非常に貴重な存在になると考えており、全体としてアリアの順序が一つだけ異なった(第九番)だけで、省略アリアがなく、冒頭の出だしがリブレットと異なった劇中劇的に始まる演出であった以外は、比較的リブレットに忠実に演奏されており、これまで見てきたこのオペラの中では、最も優れたものであると思われた。







4、あとがき、

   この毎年の1年間のベストソフトを選定する作業は、謂わば1年間のソフト紹介の総仕上げの作業であり、年末の重要な仕事となって来た。12*3=36ソフトから3ソフトを選び出す作業であるが、今年はアーノンクールやマリナーなど大指揮者が亡くなるようなこともなく、極めてバイアスがなく客観的に冷静に作業することが出来た。ノミネートされた12本は、1ヶ月も前から考え抜いており、今回は時間をかけている。オペラは競合するソフトが3本もあり激戦であったが、2本も選ぶことになったが、順当な結果に落ち着いたと思う。クルレンツイスの「レクイエム」とヤルヴィの「ドン」かは、最後まで悩み抜いたが、レコード芸術の大賞の情報が入る前に、自分なりに冷静に判断した。クルレンツイスの「テイト」も優れていたが、P.セラーズの創意ある演出がのため、原作とは異なる作品となり、佳作にとどめ、その代わり優秀演出賞というものを考えて見たがいかがであろうか。女流指揮者アイムは、昨年は「女庭師」で佳作であったが、今回の「ミトリダーテ」では原作に忠実で、バロックオペラ的な斬新な演奏で素晴らしかった。欲を言えば、日本語字幕があれば、もっとお薦め出来る映像になっていたであろう。今回も極めて水準の高い映像を選ぶことが出来てうれしく思っており、大変楽しい選定作業となったことを付け加えて結びとする。

(参考−1:2013年のベストソフトはどれか?)
(参考−2:2014年のベストソフトはどれか?)
(参考−3:2015年のベストソフトはどれか?)
(参考−4:2016年のベストソフトはどれか?)


(以上、2017/12/26記)



目次5にもどる 目次4にもどる
目次3にもどる 目次2にもどる
目次1にもどる 私の新ホームページへ


名称未設定