(古いLDより;オペラ「アポロとヒアキントス」K.038、)
17-7-3 ヘルミュート・ミューラー=ブリュール指揮カペラ・クレメンティーナ、ホセ・モンテス=パケール演出、ゲルハルト・シュミット=ガーデン合唱指揮、テルツ少年合唱団によるインテルメッツオ「アポロとヒアキントス」K.038、
1983年製作、WDR、

−久し振りでレーザーディスクによる映像をアップロードしたが、日本語字幕のついたU-tubeのオペラはないようなので、やむを得なかった。DVDやBDを見慣れた目には、映像にも音声にも不満があったが、演奏はミュンヘンのテルツ少年合唱団の記録であり、今となっては貴重な記録と言わざるを得ない。2006年のM22のザルツブルグ音楽祭の映像と比較しながら見ると、それぞれの良さが伝わり、このオペラを理解できると思われる−




(古いLDより;オペラ「アポロとヒアキントス」K.038、)
17-7-3 ヘルミュート・ミューラー=ブリュール指揮カペラ・クレメンティーナ、ホセ・モンテス=パケール演出、ゲルハルト・シュミット=ガーデン合唱指揮、テルツ少年合唱団によるインテルメッツオ「アポロとヒアキントス」K.038、
1983年製作、WDR、
(1991/10/10、市販LDを購入、PLATS PLLC-5011、)

    7月分の第3曲目は、久しぶりでレーザー・デイスクを試してみようと、殆ど忘れかけていた初期のオペラ「アポロとヒアキントス」K.38を取り上げるものである。このLDは、ゲルハルト・シュミット=ガーデンの合唱指揮でテルツ少年合唱団による演奏であり、この組み合わせにより、早くからCDで聴いていたものであった。シュミット=ガーデンは、1937年生まれで、ミュンヘンで学生時代にこの合唱団を結成したと言われているが、今ではテルツ少年合唱団のほうが、ウイーン少年合唱団と並んで、有名になっていると思われる。
     このラテン語による幕間劇「アポロとヒアキントス」は、ザルツブルグ大学から作曲を依頼された学生劇で、11歳の時の作品であり、第一作の「第一戒律の責務」K.35に続く第二作目の作品とされている。今回の映像の演奏は、ヘルミュート・ミューラー=ブリュール指揮によるカペラ・クレメンティーナのオーケストラ演奏で、ホセ・モンテス=バケールが演出したもので、テルツ少年合唱団の少年たちによるインテルメッツオの構成になっていた。このLDの諸元をU-tubeに入力してみたが、この映像のほかにも何組かの全曲もののCDと映像があり、映像のコレクションに示す表−1の1CDと2映像は、ソースとすることが可能であったが、LDのように日本語字幕のあるものは見当たらず、残念ながら、U-tubeの映像をソースとすることは諦めざるを得なかった。




      映像は、一家の三人の有名な絵の影絵が写されて、同時にアレグロの序曲が颯爽と始まって、演奏者たちの名前が紹介される一方で、簡単なソナタ形式で書かれた序曲は、軽快な歯切れの良い主題で進み、副主題が続いていた。呈示部は丁寧に繰り返されており、展開部はなく、そのまま提示部がほぼ型通りに、明るく再現されていたが、映像は指揮者とオーケストラなどが部分的に写されてから、守護神アポロの登場を願う祭壇の準備の方が始まっていた。




ヒアチントウスと友人のゼピュロスとが話し合いながら、アポロ神の祭壇を準備し、そこへ国王オエバルスと娘メリアが登場して、全員でアポロ神への祈りを捧げようとしていた。第一曲は、全員の合唱で第一部が「アポロよ、わが祈りをきき給え」と厳かに歌われ、なかなか優れた曲。続く中間部ではテンポがモデラートに変わって、オエバルス王が「アポロよ、わがラコニアを守り給え」と独唱し、再び合唱が反復される三部形式の曲であった。




そこへ突然稲妻の一撃が祭壇を襲い、儀式が中断した。皆は神の怒りだと思うが、ヒアチントウスは落ち着いて、皆が怪我もなく無事であることを喜び、「しばしば神々は、怖れを抱かせ、心配させる」と明るくアレグロで第二曲を歌い、皆を力づけていた。中間部では3拍子になって「神々の威信は保たれている」と歌っていたが、ダ・カーポされて、カデンツアも加わって、やや長すぎる感じがした。
そこに羊飼いの姿に身を変えたアポロが突然登場し、ホルンの伴奏で3拍子のアリアで「私が、願い通り軍神となって国を守ろう。羊飼いとして羊の群れを守ろう」と第三曲を歌い出し、この国を庇護することを約束していた。皆はアポロの威厳と美しさに打たれ、特にメリアは感動するが、ゼピュロスは「アポロめ!僕のペットを奪うのか」と警戒していた。そして、アポロとヒアチントウスとゼピュロスの三人は遊びに席を外していた。




        メリアが父を通じてアポロから求婚があったことを知り、第4曲目は「私は、喜び、戯れ、」と3拍子のリズムに乗って、彼女はその喜びを歌った。ハイソプラノの可憐なコロラチューラの技巧が華やかで、K.165の先取りの感じがある明るいアリアであり、彼女は、アポロの申し出の求婚を受け入れようと喜んでいた。
一方、アポロとヒアチントウスは、ゼピュロスとともに円盤競技を楽しんでいた筈だったが、ゼピュロスがアポロに嫉妬するあまり、ヒアチントウスに一撃を加え、「アポロが殺した。僕がこの目で見た」と国王に報告していた。突然の出来事に、王は怒り、メリアはまさかと悲しむ。ゼピュロスはアポロの悪口を述べ立て、メリアに結婚しようと言い寄り、第5曲「ご覧なさい。二人の姿があります」と歌い、「優しい男と人殺し、君はどちらを選ぶのか」と迫っていた。




  そこへアポロが来て、ゼピュロスの虚言をなじり、怒って風の神を呼んで、ゼピュロスを地獄に突き堕としてしまう。アポロはこれを見ていたメリアへ自分の思いを改めて告げようとするが、メリアはあなたが怖いと拒絶していた。メリアとアポロの二人の二重唱の第6曲は「去ってください、無情な方よ」とメリアが歌い、「私は無実。信じておくれ」と互いに必死の形相で歌われ、中間部ではアポロが「天からも追われ、地上でも追われるのか」と嘆いていた。




        瀕死のヒアチントウスを王が運んでくるが、ヒアチントウスは犯人はゼピュロスであったことを告げて息を引き取る。王は怒りと悲しみの中で第7曲「荒海を行く船は」と歌い、最愛の息子の死を嘆き、復讐を誓っていた。
そこへメリアが現れ、真相を父から聞いて、メリアは恐怖の余りアポロを追い返したことを嘆き、アポロがゼビュロスを神の力で追放したことを父に報告していた。そこで二人はヒアチントウスの死とアポロが去ったことを嘆く二重唱の第8曲を歌い出した。美しい祈るようなピッチカートによる前奏に乗って、まず父が歌い、メリアが歌って、「アポロよ、お戻り下さい」と二人で必死に祈る二重唱は極めて美しく感動的であった。




          その願いを聞いてアポロが姿を現し、ヒアチントウスへの哀惜の思いを述べて、神の力で亡骸を美しい同名の花ヒアシンスに変えてしまった。小さな草花ではなく、お墓を暗示する花一杯の小さな木であった。アポロとメリアは再び絆が復活し、三人は喜びのうちにフィナーレの第9曲の三重唱「ついに、嵐と稲妻との後には、麗らかな平和が訪れる」と幸せな結婚を迎えることを喜び合い、王も満足して幕となった。




          素晴らしい第8曲に続いたフィナーレの三重唱は、フィナーレにしては意外にあっさりと終結し、11歳の時の二作目のオペラ作品としては、まずまずの作品と言わざるを得ない。この新しい映像と比較する形で、テルツ少年合唱団によるシュミットガーデンのCDを聴いたり、2006年の新しいN22の映像を見たが、舞台や衣裳などは優れていたが、歌唱力がやはり弱く、物足りない面があった。また、LDの映像は画面が今となっては写りが悪く、新しいM22の新盤の方が新鮮味にあふれ、味わい深いものがあった。しかし、レチタテーボに状況説明が任される舞台の変化が、一つの映像だけでは説明不足になりがちであったので、二つの映像を同時に見ると互いに補い合う面があって、理解しやすくなっていた。

           このオペラは8曲のアリアから出来ているが、今回じっくりと聞き込んだ結果、印象に残った曲が大分増えてきた。序曲も明るく爽やかで良いし、第一曲の合唱も雰囲気のある曲であった。第二曲のヒアチントウスのアリアも馴染みやすく、第三曲のアポロのアリアも牧歌的な味わいがあった。第四曲のメリアのアリアは、K.165「踊れ、喜べ」の先取りのような技巧的な曲であったし、第六曲の二重唱は、非常に激しい対立のアリアであった。更に第八曲の二重唱は、このオペラの最高のアリアであって、ピッチカートを伴奏にした祈るような趣を持った素晴らしい曲であり、モーツアルトは、直ちに交響曲第六番ヘ長調K.43の第二楽章に転用している。今回、改めて全曲を何回も聴いて、ダ・カーポアリアの後半が長すぎる感じがしたが、このオペラは初期の名曲集であると感じていた.


(以上)(2017/07/21)



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