(最新のHDD録画より;ヤルヴィ指揮N響の二つの協奏曲K.216とK503)
17-4-1、パーヴォ・ヤルヴィ指揮のN響とジャニーヌ・ヤンセンによるヴァイオリン協奏曲第3番K.216、
2017/02/28、フィルハーモニーH、ベルリン、および、ピョートル・アンデルジェフスキーのピアノによるピアノ協奏曲第25番ハ長調K.503、2015年2月18日、サントリーホール、

−始めの映像は、つい1週間前の3月27日(月)にNHKから放送されてHDD-5に収録されたばかりのものであるが、このヴァイオリン協奏曲第3番K.216は、2016年に創立90周年を迎えたN響が、ヤルヴィを首席指揮者に向かえて初めてのヨーロッパ・ツアー記念コンサートの初日「N響 in Berlin」の演奏であった。この演奏では、にこやかな笑みを見せながら楽しげに指揮するヤルヴィの軽快なテンポに乗って、ジャニーヌ・ヤンセンのきめ細かな透明感溢れる独奏ヴァイオリンがよく響き、オーケストラとの一体感溢れるアンサンブルの良い協奏曲であり、実に爽やかな演奏であると感じさせられた。一方のアンデルジェフスキの独奏ピアノによるピアノ協奏曲第25番ハ長調K.503も、第一楽章では余り力まずにさらりと流したり、第二楽章では幻想風なピアノの味わいを見事に引き出した独自色の強いピアノであり、N響のフルート・オーボエなどの木管の響きの良さが目立った演奏で充分に楽しめた−


 (最新のHDD録画より;ヤルヴィ指揮N響の二つの協奏曲K.216とK503)
17-4-1、パーヴォ・ヤルヴィ指揮のN響と、ジャニーヌ・ヤンセンによるヴァイオリン協奏曲第3番K.216、
2017/02/28、フィルハーモニーH、ベルリン、および、ピョートル・アンデルジェフスキーのピアノによるピアノ協奏曲第25番ハ長調K.503、2015年2月18日、サントリーホール、
 (2017/03/27のNHKプレミアム・シアターの放送、および、2015/05/17のNHKクラシック館の放送をHDD-5、および、HDD-2に収録)

      4月号のトップは、最近続けているHDD-5に収録された最新の収録曲として、このところ好調のパーヴォ・ヤルヴィとN響のピアノとヴァイオリンの協奏曲2本をアップすることにした。いずれも大曲の指揮の前奏曲的な味わいを持った演奏であった。




     17-4-1の最初の曲は、今年の2月28日にベルリン・フイルハーモニー・ホールで演奏されたばかりのジャニーヌ・ヤンセンによるヴァイオリン協奏曲第3番K.216であり、3月27日(月)にNHKから放送されてHDD-5に収録されたばかりの曲である。この演奏は 2016年に創立90数年を迎えたN響が、ヤルヴィを首席指揮者に向かえて初めてのヨーロッパ・ツアー記念コンサートの初日「N響in Berlin」であり、今日のプログラムはモーツァルトで始まり、マーラーの交響曲第6番がメインのものであった。映像では曲の始まる前に、ヤルヴィとヤンセンの対話が収録されており、普段着の二人を紹介してから始まっていた。もう一曲の協奏曲は、アップし忘れたN響定期第1804回の演奏で2015年2月18日のサントリーホールの演奏で、ピョートル・アンデルジェフスキーのピアノによるピアノ協奏曲第25番ハ長調K.503の演奏であった。この曲は比較的にコレクションが少ないので、楽しみにアップしたいと思う。




    ヴァイオリン協奏曲の映像では、ベルリンについたヤルヴィが、旅行の目的について語り、N 響の実力をヨーロッパの人たちに評価してもらうことだと説明していた。一方のヴァイオリンのジャニーヌ・ヤンセンは、このHPでは初出であるが、ヤルヴィとの対話では、ベルリンのこのホールはとても響きが良いと語っており、N響はとても反応が良く上手に合わせて一体感を作ってくれると語っていた。ヤルヴィは、モーツァルトの協奏曲を指揮するのが大好きだと語っており、今回の演奏で大分増えて、おおむね印象が良いので、このHPの指揮者リストに加えなければならないと考えた。





       素敵な衣装を着けたヤンセンが、ヤルヴィと一緒に、控室から会場に入場し、拍手を浴びながら中央に登場して挨拶を繰り返してから、ヤルヴィ指揮N響とのヴァイオリン協奏曲の第三番ト長調K.216の第一楽章のアレグロが始まった。この活きの良いアレグロは、トウッテイで強弱がはっきりしたオペラティックなお馴染みの主題であり、軽快に流れていたが、全体をよく見ると何と独奏者のヤンセンもトウッティにも加わっており、コントラバスが三台で、2ホルン、2オーボエの構成の中規模なオーケストラであった。長いアリア風の主題をトウッテイで歯切れ良く軽快に進行してから、直ぐにオーボエとホルンが導く軽快な第二主題となってオーケストラにより第一提示部が威勢良く盛り上がり独奏ヴァイオリンの登場となっていた。





     そこで独奏者のヤンセンが正面に向きを直して、改めて第一主題を独奏ヴァイオリンが勢いよく弾き出したが、何と澄んだヴァイオリンの音色であろうか。ヤンセンはソリストとしてのクリアな音を響かせ、美しくトリルを響かせながら颯爽と弾き始めていた。続いて独奏ヴァイオリンが新しい第3の美しい主題を晴れやかに弾き始め、それから早い技巧的なパッセージを示していた。やがてオーボエとホルンの重奏で第二主題が提示されて、独奏ヴァイオリンが再び元気よく弾みをつけるように活躍しながら後半を盛り上げて行き、素晴らしい提示部を完成させていた。




      展開部では、技巧を散りばめた独奏ヴァイオリンの一人舞台のように進行していたが、さらに独奏ヴァイオリンが新しい第4の主題を出して繰り返してから、トウッテイ、独奏ヴァイオリン、オーボエなどの順に展開して素晴らしい効果を挙げていた。フェルマータの後一息ついて始まる再現部では、トウッテイと続いて独奏ヴァイオリンが第一主題の後に第3の主題が弾かれて変化を示しながら、続いて第二主題がほぼ型通り出て展開されてからカデンツアとなっていた。このカデンツアはオリジナルか、ヤンセンは実に美しい音を響かせながら、技巧を散りばめ表情豊かに歌ってから、この楽章を一気に仕上げていた。



    第二楽章のアダージョでは、はじめにピッチカートの伴奏付きのトウッテイで4小節の主題で始まっていたが、直ぐにヤンセンの独奏ヴァイオリンがオクターブ高く繰り返し、ソロの存在感を示してからピッチカートの伴奏も加わって、独奏ヴァイオリンがこの美しく透明な主題を明るく歌い、変奏を加えながら繰り返していた。この楽章ではスコア上はオーボエに代わってフルートが用いられることになっているが、さすがにN響はフルートが二人おられ、フルートとホルンの重奏と独奏ヴァイオリンが交互に美しい第二主題を提示し繰り返されていた。続く短い展開部はソリストのヤンセンの第一主題前半によるソロの一人舞台であり、続けて始まる再現部においても独奏ヴァイオリンが中心で再現されていた。短いカデンツアは回想風のもので、これもソリストの一人舞台。最後はコーダのあとにも独奏ヴァイオリンが第一主題を弾きだして終わるというサービスぶりの珍しい終わり方をしていた。



   第三楽章はRONDEAUと仏語で楽譜に書き込まれたアレグロ楽章であるが、第3番から第5番のヴァイオリン協奏曲では、このロンド楽章の中間部に変則的な挿入部があり、それぞれ変化が試みられていた。この第3番においても前段でA-B-A-C-A-とロンド形式の形で進んでから、中間部にアンダンテとアレグレットの部分が挿入されており、規模の大きなロンド形式になっていた。

    このフィナーレでは、まずオーケストラで耳慣れたロンド主題が軽やかに提示され、続いてヤンセンの独奏ヴァイオリンがロンド主題を繰り返していく。ここでもソリストのソロ・ヴァイオリンの一人舞台で軽快に進行し、その後は新しい主題を独奏ヴァイオリンが提示する形でどんどんと進んでいた。ところがロンド主題が始まってフェルマータで一服してから、曲は一転してアンダンテとなり、独奏ヴァイオリンが弦のピッチカートに乗って軽やかに美しい新しい歌を歌い出し繰り返されていた。続いて曲調はアレグレットに変わって、再び独奏ヴァイオリンが民謡調の別の歌を歌い出していたが、ここでは更に独奏ヴァイオリンが珍しく重音奏法による新しい主題を提示して繰り返して、耳新しい変化をつけた曲を挿入していた。曲は再び始めのアレグロのロンド主題に戻ってから、この楽章は静かに終わっていたが、ここでも協奏曲としての特徴を発揮させる変化が試みられて新鮮味を出していた。

      ソリストと指揮者が握手を交わす中で大変な拍手が続いており、成功の舞台と思わせていたが、鳴り止まぬ拍手を見て、ソリストはアンコール曲を弾き出した。曲は無伴奏ヴァイオリン・パルティータ第2番ニ短調BWV1204から「サラバンド」であった。にこやかな笑みを見せながら楽しげに指揮するヤルヴィの軽快なテンポに乗って、きめ細かな透明感溢れる独奏ヴァイオリンがよく響き、オーケストラとの一体感溢れるアンサンブルの良い協奏曲を耳にして、実に爽やかな演奏であると楽しくなった。



        続いてのヤルヴィとN響の第二曲目は、ピアノ協奏曲第25番ハ長調K.503であり、映像でのインタビューでは、それぞれが次のように語っていた。ヤルヴィはピョートル・アンデルジェフスキのことを、想像力が豊かで面白いピアニストであり、どんな曲でも彼の手にかかると新しい曲に生まれ変わる。だから彼との共演が楽しみだと言っていた。アンデルジェフスキは、このHPでは初出で、1969年のワルシャワ生まれであり、1991年にロンドン・デビューで成功して以来、有名となった。独自の表現を探求する個性的ピアニストとされる。彼はこの曲については、オペラ的な要素が沢山あり、スケールが大きく交響的な作品で、室内楽的なピアノ協奏曲の中では、ベートーヴェンに通づるものを感ずると語っていた。



       ヤルヴィとアンデルジェフスキが登場して席に着いた後に、一呼吸おいてヤルヴィがタクトを振ると、ピアノ協奏曲第25番ハ長調K503の第一楽章が始まり、曲はファンファーレ風に第一主題が堂々と力強く始まっていた。この曲はシンフォニーのような勢いで堂々と高らかに開始されるが、途中、ファゴットとオーボエが奏でる悲しげな音形が対照の妙を見せており、繰り返された後に、スタッカートで始まる調子の良い経過部を経て、同じスタッカートの新しい副主題に発展しながら朗々と進行し、オーケストラの主題提示部を終えていた。
   ここで独奏ピアノが即興風の導入部を弾き始めるが、アンデルジェフスキはひと味違うゆっくりした入り方をしてから、独奏ピアノによる早いパッセージがひとしきり続いていた。やがてオーケストラにより冒頭の第一主題が始まり、続いて独奏ピアノが主体になって力強く再現されていたが、ここがこの曲の一番素晴らしいところか。アンデルジェフスキは余り力まずに、軽やかに華麗なパッセージを繰り広げ、新しい副主題に続いて歌謡性に富んだ愛らしい第二主題を提示していた。その後は駆け抜けるように早いパッセージを繰り広げ、あるときはオーボエとファゴット、続いてフルートとオー ボエなどと互いに歌い交わしていた。



    展開部では先に示された副主題を独奏ピアノが弱音で提示してから繰り返し、木管に引き渡していたが、この弱音でのソロピアノのパッセージの美しさとオーケストラとのアンサンブルの良さは見事でこの曲の最高の冴えを見せつけていた。再現部では独奏ピアノが主体となって、第一主題、副主題、第二主題の順に再現されており、アンデルジェフスキの独奏ピアノの速い動きが冴え渡っていた。終わりにカデンツアが弾かれていたが、新全集にないので自作なのであろうが、前半は聞き覚えがあり、後半はいろいろな主題が追想的に現れる技巧たっぷりの長いカデンツアであった。



       第二楽章は、展開部を持たないソナタ形式。オーケストラで優雅な第一主題がアンダンテでゆっくりと開始されるが、いきなりオーボエとファゴットが、そしてオーボエとフルートが華やかに主題を繰り返していた。続いて直ぐに踊るような感じの面白い第二主題がオーケストラで奏されてから、独奏ピアノが始めからゆっくりと第一主題を繰り返していくが、ここでピアノのパッセージと木管群との対話が繰り返されて実に美しい。続いて独奏ピアノが第二主題をゆっくりと提示していくが、後半で独奏ピアノが幻想的な自由なパッセージを呟くように弾きだし、それにオーボエとフルートの和音が重なって実に美しい三重奏になっていた。アンデルジェフスキは、このような自由な幻想的なパッセージを実に丁寧に綺麗に弾く人で、一音一音噛みしめるようにゆっくりと歌って、素晴らしい幻想的な雰囲気を造りだしていた。再現部に入ってここでは独奏ピアノが主体になって各主題が繰り返されていたが、あの美しい三重奏も丁寧に再現されてカデンツアもなく静かに終結していた。実にゆったりとした美しいアンダンテ楽章であった。




                 この曲のフィナーレでは、軽快なアレグレットのロンド主題が弦楽合奏で調子よく始まるが、これに管楽器が応えるように上昇音型で応答して繰り返されると、今度は低弦楽器が応答する形で三つ巴でロンド主題が明るく進行していた。そこへ独奏ピアノが新しい主題で登場し、分散和音風なパッセージで進行してから、第一のエピソードがピアノで軽快に現れる。この主題はロンド主題と似ているが、独奏ピアノが奏する16分音符の三連符による早いパッセージで勢いよく進行してから、冒頭のロンド主題が独奏ピアノで軽快に始まった。ロンド主題は直ぐにオーケストラで勢いよく先の三つ巴の姿になっていたが、ここで独奏ピアノにより第二のエピソードが始まり、初めに悲しげなメロデイがピアノで現れた後に、突然、独奏ピアノが春が来たような伸びやかな旋律を奏で出す。この美しい旋律はオーボエに引き継がれ次いでフルートでも歌われていき、独奏ピアノに戻されて明るいのどかな雰囲気となっていた。そしてもう一度、全体が繰り返されて穏やかな雰囲気に戻った後に、再び、冒頭の軽快なロンド主題が始まった。突然現れた、つかの間の幻影のような聴かせどころを独奏ピアノのアンデルジェフスキは良く心得ており、その後の目まぐるしいピアノの活躍が続いて、カデンツアの置き場がないまま急速にエンデイングとなっていた。




               この一気呵成の収束で、大変な拍手が湧き起こり、舞台は騒然となっていたが、N響のメンバーも独奏ピアノの素晴らしさを讃えていた。しかし、残念ながら、画面は次の曲の準備のためか、中断されてしまっていた。ヤルヴィのこのN響の定期では、R.シュトラウスの「ドン・ファン」と「英雄の生涯」に挟まれて、このピアノ協奏曲が演奏されていた。ヤルヴィは自らモーツァルトの協奏曲を演奏するのが好きだと語っていたが、このピアノ協奏曲も実に心地よいテンポで颯爽と指揮をしており、独奏ピアノのアンデルジェフスキも、第一楽章では余り力まずにさらりと流したり、第二楽章では幻想風なピアノの味わいを見事に引き出しており、また、フィナーレの中間部でも彼らしい味わいを見せており、独自色の強いピアニストという印象を得た。N響のフルート・オーボエ・ファゴットの響きの良さが目立った演奏であった。


(以上)(2017/04/04)



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