(最新のHDD録画より、ウエールズ四重奏団のK.138とK.465)
17-2-2 ウエールズ弦楽四重奏曲によるデイヴェルテイメントヘ長調K.138および弦楽四重奏曲第19番ハ長調K.465「不協和音」、
2015/07/12、群馬県明和町ふるさと産業文化会館、

−今回のこのウエールズ弦楽四重奏団の演奏は、第1曲目のデイヴェルテイメントK.138から、その澄んだ合奏のアンサンブルに耳を洗われたような気がしており、メインの「不協和音」四重奏曲K.465においても、若さと新鮮さに満ちており、実に楽しい55分であった。年齢のせいか若い元気の良い演奏家が増えてくるととても嬉しく感ずるが、折角の協会の2月例会にM週間の旅行中のため欠席せざるを得なかった。このウエールズ四重奏団に対し、このHPでは今後の活躍を期待して見守っていきたいと考えているので、今後の活動と発展を願うものである−

(最新のHDD録画より、ウエールズ四重奏団のK.138とK.465)
17-2-2 ウエールズ弦楽四重奏曲によるデイヴェルティメントヘ長調K.138および弦楽四重奏曲第19番ハ長調K.465「不協和音」、
2015/07/12、群馬県明和町ふるさと産業文化会館、
(2016/08/24、NHKクラシック倶楽部の放送をHDD-5に収録)

       第二曲目は、群馬県明和町ふるさと産業文化会館で収録されたウエールズ弦楽四重奏団によるデイヴェルテイメントヘ長調K.138および弦楽四重奏曲第19番ハ長調K.465であり、群馬交響楽団に所属する4人のグループによる演奏であり、最初のK.138を演奏し始めた瞬間から、その澄んだ弾むような瑞々しい演奏を聴いて、これは機会があれば紹介したいと考えていた演奏であった。2015/07/12に結成10周年を記念したコンサートのようであり、地域興しの中心地、群馬県明和町ふるさと産業文化会館で収録され、NHKのクラシック倶楽部で放送されたものであった。




       実は2017年2月5日(日)日本モーツァルト協会が、このウエールズ弦楽四重奏団を初めて招いて、2月例会としてコンサートを実施していたが、われわれザルツブルグ詣での一行は、真に残念ながら、帰路の旅行日で出席できず、折角の機会を逃してしてしまった。曲目は、K.138が共通で、K.155と、ハイドン四重奏曲から2曲K.421およびK.387であった。これらの演奏が皆さんのお気に召したかどうか分らないが、最近は新たな演奏者たちの水準が向上しているので、大いに期待が出来たと思う。
        残念ながら聴けなかったことを理由に、ここではマイペースで予定通り、NHKの録画をそのままアップロードしたいと思う。

        第1曲目のデイヴェルテイィントヘ長調K.138(125c)は、ご存じの通り、ニ長調K.136(125a)、変ロ長調K.137(125b)に続く三部作の最後の曲であり、1772年にザルツブルで書かれていた。弦楽器4声で書かれた自筆楽譜は存在するが、「デイヴェルテイメント」と書かれた標題の筆跡がレオポルドのもののため、モーツァルトが4つの独奏楽器を意図したのか、複数の編成を意図したのか、今日でも結論が出ていないようである。これら三曲の共通の特徴は、急−緩−急、緩−急−急、急−緩−急、のそれぞれ三楽章の三つ子の作品で、いずれも同質のイタリア風の明るさと華やかさを持っており、同じ五線紙に続けて一気に書き下ろされているという。




         今回のウエールズ弦楽四重奏曲によるデイヴェルティメントヘ長調K.138の第一楽章は、二つの主題を持つ定式的な簡潔なソナタ形式で書かれており、フォルテとピアノが対照的に明確なイタリア風の伸びやかな主題が第一ヴァイオリンでアレグロで颯爽と始まっていたが、CDなどで数少ない弦楽四重奏の4声であるのが特徴で、初めの主題が明るく瑞々しい弦楽合奏が続くので実に気持ちが良い。続く第二主題も第一ヴァイオリンが提示して、すっきりと提示部が歌われてから、キチンとした繰り返しが行なわれて、明るい華やかな冒頭主題が見事に再現されていた。短いながらも展開部があり、気分を変えるように進んでから、再び明るい冒頭主題が穏やかに再現されて、弦の4声の澄んだ音色が美しく、軽快に一気に結ばれていた。




       第二楽章は第1ヴァイオリンで提示される伸びやかな旋律的主題によるアンダンテであり、続いて短い第二主題も提示されて、提示部が形成されていた。この反復記号を丁寧に繰り返して、形ばかりの展開部の後に、再び第一ヴァイオリンによってアンダンテ主題が再現され、この楽章は静かに終息していた。
          フィナーレは実に軽快なプレストで、踊るように聞かせるロンド主題が登場して繰り返され、以下、ABACADAと、このロンド主題が4回も現れて一気に駆け抜けるように結ばれていた。3つの副主題も巧みに特色づけられてロンド主題が生き生きとしており、四重奏曲の特長を生かした新鮮で和やかに進行する楽しいデイヴェルティメントであった。




        この映像の第2曲目は、何とウエーベルン作曲の「6つのバガテル」作品9という不協和音だらけの小品集であったが、彼らが3曲目に予定していたモーツァルトの冒頭の「不協和音」のアダージョを聴くためには、この曲に続いて、連続して聞いた方が良く理解できそうだと語っていたので、その通り聴いてみた。
         3曲目はハイドンに捧げられた6曲の最後の曲とされ、標題のとおり冒頭に「不協和音」が続く序奏を持つことで有名な曲である。この序奏は、アダージョでチェロから順にヴィオラ、第二ヴァイオリンと和音を構成していき、第一ヴァイオリンが入って不協和音の連続となっていく不思議な形で始まる。そして何とも不可思議な形で4声が勝手に進行し、誰しもがこの曲の冒頭に神経を集中させて聴かざるを得ない面白い構成の曲であり、改めて聞き直してもやはり、初めて聴いたときとほぼ同様に、その異様な響きに驚かされる。しかし、良く聴き直すと序奏の直後に始まるハ長調の颯爽としたアレグロを明るく明解に聞かせるための巧妙な伏線であることが分かる。




        序奏を聴きながら自分なりに気がついたところで、22小節の長い序奏が終わり、第一楽章の明るい第一主題が、第一ヴァイオリンにより軽やかに始まり、第二ヴァイオリンとヴィオラがリズミックにこれを支えていた。この主題は各声部にも力強く繰り返されていき、やがて第一ヴァイオリンが力強いフォルテの和音とともに16分音符による素速い印象的な下降フレーズが奏される。この華麗な颯爽とした弦楽合奏は、ウエールズ弦楽四重奏団を明るく引き立たせ、続いて三連符のリズムによる軽やかな活気のある第二主題が第一ヴァイオリンに現れ、次第に加速され高潮してゆく。このウエールズ四重奏団によるこの序奏から提示部への動きは実に軽快であり、鮮やかな響きで進行し、第一ヴァイオリンを中心に見事なアンサンブルを見せ、ハイビジョンの美しい映像とクリアな音響のお陰もあって、久しぶりで聴いた弦楽四重奏曲の快適さを改めて知らされた。この四重奏団は、この提示部の繰り返しを丁寧に行っており、二度目では4声が自由を得たように伸び伸びと演奏しているのに気がついた。
          展開部では第一主題の前半部を集中的に扱っており、伴奏の八分音符のリズムと主題の組合せが各声部によりさまざまな形で展開されていた。再現部では、第一主題に続いて素早い下降フレーズ、第二主題とほぼ提示部と同様に型通り進んでいたが、再現部の末尾の繰り返しは省略されて、その後に第一主題による長いコーダがあり、この四重奏団は丁寧に演奏したあと静かに終始していた。

             


             第二楽章はアンダンテ・カンタービレと指示された緩徐楽章で、その構成は展開部を欠いたソナタ形式のようであった。第一ヴァイオリンを中心に歌い出す第一主題は重厚な和声を持つ力強い合奏であり、続いて直ぐに第一ヴァイオリンとチェロが小さなモチーブを歌い交わす美しい推移主題が暫く続いていたが、この第一ヴァイオリンとチェロの対話は,なかナック魅力的であった。それからチェロの低域の伴奏で、フーガのように始まる第二主題には詩があり、4声に手渡されて、穏やかに夢のように推移していた。再び推移主題が顔を出した後に、再現部が始まり、第一主題が変形されて現れ、続いて歌われる推移主題も変形されており、最後の第二主題もチェロの低域の伴奏が変形されて再現されていた。この楽章の最後はコーダで結ばれていたが、これは推移主題が第二ヴァイオリンで現れ、各声部がさまざまな形で伴奏する実に言葉では言い表せない美しいもので、静かにこの楽章を閉じていた。




          続く第三楽章はメヌエット。第一ヴァイオリンの飛び出しによる早めのテンポを持つ荒々しい落ち着きのない主題で始まるが、ピアノとフォルテの交替があったり、休息や激しい和音が現れたりして、まるでスケルツオのように聞こえていた。ここでも第一ヴァイオリンが活発で全体をリードしていたが、トリオでは第一ヴァイオリンの旋律が他の声部の機械的な伴奏のリズムに乗って情熱的に歌い、メヌエットに対してばかりでなく、他の楽章に対しても面白いコントラストを作り出していた。再びメヌエットに戻って、この四重奏団は力強くこの楽章を終えていたが、なかなかしっかりした優雅な楽章に聞えていた。




            続いてフィナーレを聴き始めたが、このフィナーレは明るいアレグロ・モルトのソナタ形式であり、続いてどんどん先へ進んで聴いてみると、第一楽章のアレグロととても良く似た共通の疾走する軽快さを持っていた。初めに、第一ヴァイオリンの澄みきった明るい第一主題に始まり、続いて16分音符が連続する疾走する第二主題に続いていた。そして第一ヴァイオリンによる印象的なエピソードが軽快に続いて提示部を終了していた。ウエールズ弦楽四重奏団は、提示部での繰り返しを行なって、再び明るく疾走する第一主題に戻り、颯爽と進んでいた。展開部では第一主題と第二主題の冒頭部分が何度も繰り返されて、再現部へと突入していた。ここでは型どおりに第一主題から第二主題と再現されていたが、反復記号の後に第一楽章と同様に長いコーダがあり、第一主題がサラリと現れて全体が収束していた。

                             今回ウエールズ弦楽四重奏団を初めて聴いて、アップロードをしたわけであるが、折角の日本モーツァルト協会の2月例会に出席できず、真に残念であった。今回この演奏を聴いて、やはり弦楽四重奏曲は、明るい颯爽としたアレグロの楽章で始まり、同じように颯爽としたフィナーレで納めなければ四重奏曲を聴いたような気分にならないであろう。その意味でウエーベルンの曲は良く分らなかったが、今回のこの四重奏団の演奏は、第1曲目のデイヴェルテイメントから、耳を洗われたような気がしており、実に楽しい55分であった。若い元気の良い演奏家が増えてくると、とても嬉しく感じ、このウエールズ四重奏団の今後の発展を願って、結びとしたい。


(以上)(2017/02/22)



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