(1994年ザルツブルグ木管八重奏団のハルモニー音楽、「後宮」とK.375)
17-12-1、ザルツブルグ木管八重奏団によるハルモニー音楽集、オペラ「後宮」K.384から序曲と6アリア集、および管楽セレナード変ホ長調K.375、
1994年6月28日、人見記念講堂、来日記念コンサート、

− ザルツブルグ木管八重奏団によるオペラ「後宮」K.384から序曲と6アリアのハルモニー音楽演奏は、実に明るく軽快に、オペラの舞台を思わせるように行なわれており、編曲もとても良く、非常に面白かった。録画の失敗で、序曲が失われてしまったことは、演奏が良かっただけに、残念に思われた。この八重奏団は、個々の技術がしっかりしているせいかアンサンブルがとても良く、オペラのアリアにおいても、2曲目のセレナードK.375においても、実に安定して楽しいコンサートになっていた−

 (1994年ザルツブルグ木管八重奏団のハルモニー音楽、「後宮」とK.375)
17-12-1、ザルツブルグ木管八重奏団によるハルモニー音楽集、オペラ「後宮」K.384から序曲と6アリア集、および管楽セレナード変ホ長調K.375、
1994年6月28日、人見記念講堂、来日記念コンサート、
 (1995/03/05、NHK3CHの放送をS-VHSテープ158に収録、)

      12月号は、最初にVHSで古い映像のハルモニー音楽で、ザルツブルグ木管八重奏団のオペラ「後宮」抜粋と管楽セレナード変ホ長調K.375をお届けする。これは彼らの来日記念コンサートを収録したもので、1994年6月28日、人見記念講堂でのコンサートとなっていた。ハルモニー音楽の映像は、これで2組目であり、古い演奏はまだVHSに山積みされていると思われが、次第に調査が困難になりつつある。今回のザルツブルグ木管八重奏団とはどういう団体か、解説が全くないのでご容赦いただきたい。



      映像は収録ミスで、約4〜5分過ぎてから始まっており、いきなりベルモンテの第一曲目のアリア「ここでやっとお前に会えるのだ」(第1番)がアンダンテの全員合奏で始まっていた。残念ながら、NHK教育テレビの番組の開始から、恐らく若干の解説と序曲とが経過した後に映像が始まっていた。この曲は、苦労の末にやっと宮殿にたどり着いたベルモンテが、コンスタンツエにやっと会えると喜びに満ちて歌う晴れやかなアリアであり、オーボエの二重奏で明るく始まり、クラリネットの二重奏がフォローして進んでいた。この映像の末尾にヴェント編曲と明記されていた。



      続いて第二曲目は、第二幕の冒頭でブロンテがオスミンを相手に歌う「乙女の心を得るためには」(第8番)であり、全員で奏するアンダンテ・グラツィオーソの前奏に続いて二本のクラリネットが歌い出すアリアであり、途中からオーボエが歌い出し、全体が繰り返される美しいアリアであった。ライブでは、次の曲が始まるまで、譜面をめくったり、汗を拭ったり顔を見合わせたりして、開始までに一呼吸が必要なように見えた。第三曲目は、続く第9番の二重唱「俺は行くが、気をつけろよ」であり、全員合奏のアレグロで開始されてオスミンの声が聞えるようであったが、続いてアンダンテになってオーボエの二重奏とファゴットの伴奏でゆっくりしたテンポのアリアになり、再び初めのアレグロが繰り返されていた。



       一呼吸おいて第四曲目は、第12番のブロンテのアレグロの輝かしいアリア「何という喜び」であり、ベルモンテが向かえに来たことを聞いて、飛び上がって喜んで歌うアリアとなっており、クラリネットでメロデイラインが始まり、中途でオーボエに渡されて極めて軽快に進んでいた。全体が繰り返されて終わっていた。続く第五曲目はベルモンテのアリア「喜びの涙が流れるとき」(第15番)であり、二本のクラリネットが「アイネ・クライネ」の第二楽章ロマンスの美しい旋律と似たアリアをアダージョで歌い出すが、直ぐに全員合奏となっていた。そしてオーボエにより美しく繰り返されていた。コンスタンツエとの再会を喜ぶ美しいアリアは、見事に八重奏となっていた。フィナーレは、オスミンの歌う第19番の「勝どきのアリア」であり、アレグロ・ヴィヴァーチェで全員合奏の早いテンポで威勢良く進み出し、大きく全体が繰り返されて、軽快に終了していた。



         ザルツブルグ木管八重奏団によるオペラ「後宮」K.384から序曲と6アリアのハルモニー音楽演奏は、実に明るく軽快に、オペラの舞台を思わせるように行なわれており、編曲もとても巧みに行なわれており、非常に面白かった。録画の失敗で、序曲が失われてしまったことは、演奏が良かっただけに、残念に思われた。

続いて第二の曲、木管セレナード(第11番)変ホ長調K.375となるが、この映像の演奏では第2版の八重奏曲(後日2オーボエを追加)で演奏され、さらに中央にコントラバスが譜面にはないがハルモニー音楽風に追加されていた。この曲は、軽快なアレグロ楽章、行進曲風な第一メヌエット、幻想的な静かなアダージョ、踊るような軽快な第二メヌエット、フィナーレの軽やかなアレグロ楽章と、特徴ある5つの楽章からなる典型的なセレナーデであり、終始明るい曲調が漲っていた。



        第一楽章のアレグロ・マエストーソでは、その名の通りトウッテイで重々しい行進曲風の主題で厳かに始まり、続いて主題の後半はクラリネットが美しく歌い出し、これにはファゴットが反応して軽快に進行していた。そしてファゴットを支えとしてホルンとオーボエが元気の良い終結句を奏してから、やがて第二主題が明るくクラリネットで導かれ、オーボエが繰り返していくが、主旋律はいつもクラリネットが先で、追加されたオーボエは伴奏的な役割が多いように思われた。続いて第一クラリネットによる新しい主題が奏されたあと、クラリネットとファゴットが主体となった16分音符の早いパッセージが続いて盛り上がりを見せ、主題提示部を終えていた。第一主題冒頭部による短い形ばかりの展開部のあとに、再現部が始まっていたが、ここでは始めの第一主題は同じだが、第二主題の後半にはホルンが新たな主題を提示し、いろいろな楽器で変化を見せてから元気の良いコーダで収束していた。



    第二楽章は第一メヌエットであり、まずトウッテイで行進曲風にしっかりと始まって、これにクラリネットが美しく綾を付ける単純なメヌエット主題で始まっており、後半はホルンとクラリネットが重みをつけながら堂々と結ばれていた。トリオでは、ホルンとクラリネットの組合せで賑やかに始まり、いかにもハルモニー的なホルン中心のアンサンブルで楽しく軽快な響きがしており、後半もホルン中心で推移していた。再び堂々としたメヌエット部に戻って、元気よく行進曲風に進行していた。



           第三楽章は幻想的なアダージョ楽章であるが、譜面ではこの楽章だけに、オーボエとクラリネットなどにソロの指定があった。初めに、第一クラリネットがソロで美しい旋律を歌い出し、第一オーボエがこの歌をソロで優しく引き継いで行き、続いて第一ホルンもソロで優雅に歌い始めて実に美しい展開となっていた。続いてソロの扱いが、第二オーボエや第二クラリネトにも及んできて、それぞれのソロがオーボエ、クラリネット、ホルンと順に渡って、楽し気に明るく第一部を終えていた。次いで中間部では、ドルチェで第一クラリネットと第一ファゴットの合奏で、次の主題が優雅に現れ、オーボエなどいろいろな楽器が主題を回想的に歌い出し、実に幻想的な雰囲気をもたらしていた。再び、始めに戻って第一クラリネットが登場し、美しいアダージョが再現され、最後はコーダで結ばれていた。オーボエがやっとこの楽章で存在感を示しており、素晴らしい幻想的な楽章となっていた。



   第四楽章は第二のメヌエット楽章。軽やかなメヌエット主題が早めのテンポで第一クラリネットにより開始されて後半ではホルンが続いており、ソロで弾むように提示されていた。トリオでは反対に全奏で穏やかなトーンを持っており、和やかに響いてから、再び踊るようなメヌエットに戻っていた。第二楽章のメヌエットの方が、楽想、リズム感、ダイナミズムなどに特徴があるに対し、第四楽章のそれは、より繊細と優雅に聞えていた。
          フィナーレはロンドと名付けられてはいないものの大まかにA-B-A-C-Aの形を取るアレグロ楽章である。明るく陽気なロンド主題がトウッテイの強奏で軽快にアレグロで始まり、いろいろと繰り返されてから新しい副主題が明るく変化しながら登場していた。再びロンド主題が登場してから、第三の主題か、二本のオーボエ中心に歌われて快活に進行し、ハルモニー的な陽気で軽快な雰囲気を持ちながら盛り上がり、最後にはロンド主題が顔を出してコーダで終了していた。モーツァルトらしい明るく爽やかなフィナーレのアレグロ楽章であった。



          ザルツブルグ管楽八重奏団は、オーボエやホルン奏者に見覚えがあり、恐らくモーツァルテウムのオーケストラの管楽グループであろうが、個々の技術がしっかりしているせいかアンサンブルもとても良く、オペラのアリアにおいても、セレナードにおいても、実に安定して楽しいコンサートになっていた。
シュミードルが語っていたが、当時の楽士たちは、ヴァイオリンと管楽器も同時に演奏したり、オーボエとフルートを持ち替えたりする能力があったと言い、セレナーデで演奏しながら行進したりする貴族たちに仕える楽士たちの姿は、現在とは異なる存在であったかも知れない。


(以上)(2017/12/06)



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