(最新のアバドのBDより;シェーファーのアリア集、K.272、K.369、K.418)
17-10-3、クリスティーネ・シェーファーとクラウディオ・アバド指揮ルッツエルン音楽祭管弦楽団によるコンサート・アリア集、K.272、K.369及びK.418、2011/08/19or20、KKLコンサートホール、およびN響のハルモニー管楽奏団によるモーツァルト・オペラ・アリア集、
2016/06/07、ハクジュホール、編集して収録、東京、

−私はコンサートアリアを取り上げてくれる歌手が気に入っているが、最近の歌手ではこのシェーファーがその第一人者であろうか。今回はクラウディオ・アバドの指揮で3曲もあのルッツエルン音楽祭のKKLコンサートホールで歌ってくれた。この映像は彼女の円熟した姿と、アバドの最後に近い姿が大切であり、シェーファーは、玉のような汗をかきながらの熱演であった。一方のN響メンバーによるハルモニームジーク演奏会は、「魔笛」の序曲を含めた各オペラのアリアを1曲ずつのさわり集であった。まだ、始めたばかりで多分に固さがあるが、優れたメンバーであり大好きな曲たちが多いので、今後、オペラのアリア集を目指して頑張って欲しいと思うー

(最新のアバドのBDより;シェーファーのアリア集、K.272、K.369、K.418、)
17-10-3、クリスティーネ・シェーファーとクラウディオ・アバド指揮ルッツエルン音楽祭管弦楽団によるコンサート・アリア集、K.272、K.369及びK.418、2011/08/19or20、KKLコンサートホール、およびN響のハルモニー管楽奏団によるモーツァルト・オペラ・アリア集、
2016/06/07、ハクジュホール、編集して収録、東京、
(2017/09/12、新宿タワーレコードにて在庫調査の結果入手、AccentusM-BDおよび2017/03/14のNHKクラシック倶楽部の放送をHD-5に収録、)

          10月分の第三曲は、9月上旬に購入した最新のBDであり、クリスティーネ・シェーファーとクラウディオ・アバド指揮ルッツエルン音楽祭管弦楽団によるコンサート・アリア集、K.272、K.369及びK.418、である。 この時に演奏されたアバドのハフナー交響曲は収録済みで既にアップ(13-2-1)しているが、どうしてかこのコンサートアリアは、残念ながら収録していなかった。私の大好きなK.418とかK.272が含まれており、良いコレクションが出来たと心から思っている。この3曲では不足であろうと、良い曲がないかとかねて探していたが、クラシック倶楽部でN響のハルモニー管楽奏団によるモーツァルト・オペラ・アリア集全4曲を収録したのでお届けする。2016/06/07の日付けを持つハクジュホールでの演奏であり、NHKがこの番組のために編集したもののようであった。「魔笛」の序曲に始まり、「コシ」、「フィガロ」、「ドン」から1曲づつが選ばれたものであるが、短かすぎる。少し固くて真面目すぎる演奏であるが、各オペラの編曲されているアリアなどを全部やって欲しいと思った。



           私はモーツァルトのコンサートアリアを取り上げてくれる歌手が気に入っているが、最近の歌手ではクリスティーネ・シェーファーがその第一人者であろうか。今回はクラウディオ・アバドの指揮で3曲のコンサートアリアを何回か訪れたあのルッツエルン音楽祭のKKLコンサートホールで歌ってくれた。曲目は歌った順番には、K.369、K.272およびK.418であり、いずれも有名な名曲ばかりである。彼女はコンサートアリアのCD(1997)をアバドとベルリンフイルで出していたが、重複していたのは、最高の曲K.418だけであった。今回の映像は2011年の音楽祭での収録であるから、CDとは15年近く経っており、彼女の円熟した姿と、アバドの最後に近い姿を頭に記憶させることが狙いの一つであろうか。

           第一曲目のK.369、レチタティーヴォとアリア「あわれな私、ここは何処!」「あ、これを語るのは、私でない」は、イドメネオの作曲後のミュンヘン滞在中に書かれており、イドメネオ上演のため世話になった選帝侯の愛妾バウムガルテン伯夫人のために作られた。彼女がアマチュアのソプラノ歌手であったため、その能力に合わせて、かなり易しく書かれていると言われる。作曲の日付けが1781年3月8日の日付けになっているが、その4日後にはウイーンに滞在中のコロレド伯に呼び戻されて、ウイーンに赴くという劇的なウイーン時代を始めるという時期であった。



             場面は、メタスタジオの「エチオ」から取られたフルヴィアのアリアであり、彼女は始めにレチタティーヴォで愛人のエチオの死を悲しみ、父にあるその罪をかわすため、最後の解決策として自分の命を絶とうとする追いつめられた絶望の気持ちを歌うものである。アリアは、前半はアンダンテ・ソステヌートで、フルヴィアが全ての望みを失った心境で、「あ、これを語るのは、私でない」と切々と歌われる。そして後半からテンポがアレグロになり、「過酷にも天は、私の苦悩に思いやりがない。」と自分の不幸を早口で嘆くものであった。譜面を見ながら丁寧に聴いてみたが、アマチュアの夫人のための作曲のせいか音域が広いわけでもなく、技巧的な難しさがあるわけでもない余り特徴のない地味な存在の曲であったが、シェーファーの第一曲目としては、歌いやすい曲と見えて悠々とレチタティーヴォをこなしてから、アンダンテの部分でもアレグロの部分でも、声を張り上げて朗々と歌いこなしていた。






            第二曲目のソプラノのためのレチタティーヴォとアリア「あ、予感がしていた、」、「あ、あなたはもう見たくない」K.272 は、ザルツブルグで書かれたドウシェク夫人のための初期の頃の傑作であり、パイジェッロのオペラ「アンドロメダ」から取られ、アンドロメダが自ら死を選んで、レーテ河の彼岸で死に行く愛人を待とうとするつらい心情を歌っている。レチタティーヴォから始まって、特徴のあるアレグロに続いて、オーボエの前奏が美しいアンダンティーノのカヴァティーナと続く馴染みやすい名曲となっている。
            弦楽器の暗示的な前奏に続いてレチタティーヴォで「あ、予感がしていた」と興奮して歌われた後に、アレグロで胸の裂けるような思いを歌う早いせりふのアリア「あ、あなたはもう見たくない。」が続き、唆すような特徴あるオーケストラの伴奏に乗ってアリアは進行して一休止。レチタティーヴォで「あわれな私」と独り言のようにアレグロ・アンダンテ・アダージョ・アレグロと続き、再び、アレグロ・アダージョのレチタティーヴォとなってから、突然に、弦のピッチカートとオーボエで導かれるアンダンティーノのカヴァティーナ「あ、最愛の魂よ、行かないで」が始まった。







            このソロのオーボエがソプラノの声にまとわりついてとても美しく、このアリアでは最後まで、オーボエがいつもアリアに付き添っていた。この映像では、レーテ河を「ああ、渡らないで、」と絶唱するあたりが真に迫っており、シェーファーは見事な歌唱力を示していたが、この長くて難しいアリアを理解する上で、BDなのに日本語字幕のあるこの映像は貴重な存在であると思われた。アリアは最後にアレグロの短いコーダのような形で結ばれていたが、このアリアは、シェーファーの堂々とした風格を感じさせる歌い方で終始していた。

             アバド指揮のコンサートの第三曲目は、ソプラノのためのコンサート・アリア「神よ、あなたにお伝えしたい」K.418であり、この曲は私のお気に入りの大好きなアリアであって、アロイジアのために彼女の声を上手く使えるように作曲した最高のアリアであると言えよう。このアリアは、オペラの挿入曲で、アダージョとアレグロから構成されている。この曲のデータベースを見て驚いたのであるが、アバドはベルリンフイルとソプラノのアンナ・プロハスカと2011年5月10日のわずか3ヶ月前にこの曲を演奏(15-8-4)しており、アバドがコンサートアリアをコンサートのプログラムに含めることがいかに多いかを物語っていると言えよう。








             この曲はオーケストラの前奏が実に美しく、始めに弦の揃ったピッチカートに乗って、第一ヴァイオリンの掛け声のような調子取りのフレーズに伴奏されて、オーボエのソロが輝くようにアダージョのメロデイラインを歌い出す美しい前奏で始まる。この美しい前奏が暫く続いてから、ソプラノがこのメロデイを明るく歌い出すとオーボエは相づちを打つようにオブリガートにまわり、お互いが競い合うように美しく進行する。アダージョはA-B-A’の形を取るが、Aの後半に第2線のハ音の難関があり、Bに入るとオーボエが先行して声が応答するように進み盛り上がりを見せる。フェルマータの後に、再びソプラノが歌い出してオーボエが応えるA’に戻るが、最後には第3線のホ音にまで高まってアダージョが終息していた。   後半のアレグロに入ると、ソプラノがなかば半狂乱の形でスピーデイに進行し、繰り返しながら一気に進行し、最後にはピウ・アレグロになって一気に登りつめて終息していた。前半のゆっくりした落ち着いた感じのアダージョとは全く対照的なアレグロであった。




             この曲はアバドの指揮で非常に軽快に始まり、ソロ・オーボエが起立して高らかに吹き鳴らす美しい伴奏に続いて、シェーファーがクロリンダのセリフ「神よ、あなたにお伝えしたい」と祈るように朗々と歌い出していた。そしてオーボエが相づちを打つようにそして競い合うように歌い出すとシェーファーも次第に調子を上げて応答し、最初の高みの第2線のハ音の難関は、悠々と突破していた。中間部に入ってオーボエが先行し、シェーファーがこれを追いかけるように歌って、気持ちよさそうに大らかに歌い合わせてフェルマータで一呼吸おいてから、後半に入って最初の旋律を軽やかに歌い出してから最後の第3線のホ音に挑戦していたが、シェーファーはここでも軽々とこの難関を突破して、コロラチューラの冴えを見せながら静かにアダージョが終息していた。

              シェーファーは、玉のような汗をかきながらの熱演であり、よく知られた曲のせいか観客も凄い拍手で場内には熱気が立ちこめて、素晴らしい歓迎振り の大拍手で終わりとなっていたが、シェーファーが二曲続けてオブリガートを勤めてくれたオーボエ奏者に感謝の合図を送っていたのが目についた。やはりシェーファーの選曲が良いせいか、第一曲目から第二曲目になって次第に盛り上がり、第3曲目では最高の拍手をもらっており、このコンサートの前半は大成功の様子であった。




           続く第二曲目は、NHKのクラシック倶楽部で放送されたN響のハルモニー管楽合奏団によるモーツァルト・オペラ・アリア集全4曲を収録したものである。2016/06/07の日付けを持つハクジュホールでの演奏であり、字幕による解説では、この団体は2014年に結成された若い団体であり、この演奏が第三回目の演奏とされていたので、毎年一回開催しているのであろうか。一見した限りでは、「魔笛」の序曲に始まり、「コシ」、「フィガロ」、「ドン」から1曲づつアリアの名曲が選ばれたものであるが、中途半端で短かすぎた。ベートーヴェンの曲を得意にしている団体のせいか、アリア集では少し固くて真面目すぎる演奏であると思われた。演奏機会の少ない曲を対象にする団体なので、息長く頑張って欲しいと思った。





          このN響メンバーによるハルモニームジーク演奏会のメンバーは、オーボエが青山聖樹、和久井仁、クラリネットが伊藤圭、山根孝司、ホルンが福川伸陽、勝俣泰、ファゴットが宇賀神広宣、森田格、ベースが西山真二の9人であり、ファゴットとホルンは余り見かけない顔ぶれであった。この番組は2017年3月14日に放送されたアラカルト(7)という分割番組でNHKが編集した番組のようであり、モーツァルトだけというのが気に入った。




             曲目は、第一曲がオペラ「魔笛」序曲でハイデンライヒ編曲のものであり、最初に全員で鳴らされるアダージョの三和音がとても澄んで重厚であり、これは行けるという印象を得た。三和音に続いてクラリネットの二重唱で小刻みする第一主題がアレグロで始まり、ファゴットが加わり、やがてホルンもベースも加わって賑やかに発展していた。そしてオーボエが第二主題を吹き出して一層賑やかになり、堂々と全員合奏で見事な呈示部を作り上げており、これはなかなか行けるという印象を得た。再び三和音が始まって、展開部となり、小刻みな第一主題が展開されていたが、この編曲の序曲は再現部に移行することなくここで賑やかに終結していた。




             序曲に続いての第二曲目は、オペラ「コシ・ファン・トウッテ」K.588より第4曲目の二重唱であり、「妹よ、見てご覧」とフィオルデリージが恋人の絵姿を妹に見せながら歌うアリアであり、ヴェントの編曲であった。曲は序奏もなく、いきなりアンダンテのアリアを全員合奏で歌い出してオーボエが飾りを付けて進行し、とても楽しい。クラリネットも歌いどころで歌い出して一通りアンダンテを歌ってから、後半のアレグロに全員合奏で華やかに調子よく移行して、賑やかに盛り上がりながら終結していた。
             続く第3曲目は、オペラ「フィガロの結婚」K.492より、第二幕の冒頭の第10番の伯爵夫人のカヴァティーナであり、ヴェントの編曲であった。曲は伯爵夫人が祈りを込めて「愛の神よ、お助け下さい」と歌う美しい曲であるが、ここでは序奏もなく、いきなりオーボエがこの祈りの主旋律を歌い出しており、途中からあのクラリネットの二重唱が続いていた。そしてオーボエとクラリネトによりこの曲が実に美しく歌われていたが、オーボエが最後まで、この主旋律を丁寧に歌っていた。




              最後の第4曲目は、オペラ「ドン・ジョヴァンニ」K.527より、第3曲目のエルヴィーラのアリアであり、トリべンゼーの編曲であった。この曲は、ブルゴスから出てきたばかりのドンナ・エルヴィーラが旅姿のままで「あの酷い人はどこに」と怒りながら怨みを嘆き訴える激しいアリアで、ここでは序奏から歌われていた。この曲はエルヴィーラが実に激しく訴える曲で、ここでは全員合奏でこの激しさをむき出しに合奏しており、アリアは大きく、二度、繰り返され元気よく終結していた。

              それぞれ4曲のオペラから代表的な特徴ある曲を1曲ずつ演奏していたが、モーツァルトのオペラのハルモニー編曲には、自身の編曲とされる「後宮」や「テイト」(トリベンゼー編曲)もあるので、これらからも、是非、加えて欲しかった。イタリアのレストランなどで、宴会の伴奏音楽として良く聴いてきた(ロベレートの夜)ので懐かしいが、日本ではこのハルモニー音楽を聴くことは全くないので、このメンバーに頑張ってもらいたいと思った。しかし、今回の演奏は、少し生真面目すぎて、まるで交響曲を演奏するようなスタンスに思われたので、もっと柔らかく弾むように楽しく演奏していただければ良いと思う。

               私はLPの時代から、モーツァルトのオペラアリアのハルモニー演奏が大好きで、手元には10枚くらいのCDは直ぐ出て来るので、これを機会にデータベースを作成して直ぐ音源がチェック出来るように整備しておきたいと思う。ただし、管楽八重奏のものとベースが加わったものがあったり、三つのオペラのアリアが収録されたCDがあったりと、整理に気をつける必要がある。昔はオペラが貴族のものだったので、一般庶民はこのハルモニー・ミュージックでしかアリアを楽しむことが出来なかったという。モーツァルトの編曲は、「後宮」しか残っていないようであるが、彼はいつも忙しくて編曲を先に他人に取られてしまい、儲けることが出来なかったという。


(以上)(2017/10/16)



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