(古いS-VHSより;ヴェーグとカメラータ・アカデミカ(2)K.136&247)
16-4-1、シャンドル・ヴェーグ指揮カメラータ・アカデミカ・ザルツブルグによるデイヴェルテイメントニ長調K.136およびデイヴェルテイメントヘ長調K.247、
モーツァルテウム大ホール、1989、ソース;ORFアマデオMY1991室内楽シリーズLDコピー、

−ヴェーグとカメラータ・アカデミカによるデイヴェルテイメントニ長調K.136では、この明るい曲をそのまま快いテンポで颯爽と軽快に進めており、弦楽合奏もこれに応えて弦が踊るように弾みながら、一気に駆け抜けるように疾走していた。一方、デイヴェルテイメントヘ長調K.247においても、ヴェーグも若いカメラータ・アカデミカの面々も、この明るい屈託のない曲を、あたかも自分たちのための曲のように楽しみながら演奏しているように見え、快い雰囲気で演奏されていた−

(古いS-VHSより;ヴェーグとカメラータ・アカデミカ(2)K.136&247)
16-4-1、シャンドル・ヴェーグ指揮カメラータ・アカデミカ・ザルツブルグによるデイヴェルテイメントニ長調K.136およびデイヴェルテイメントヘ長調K.247、
モーツァルテウム大ホール、1989、ソース;ORFアマデオMY1991室内楽シリーズLDコピー、
(940331、CS736CHの放送をS-VHSテープ124.3に収録、)

四月号の第一曲目の交響曲部門は、古いS-VHSのテープでは、数曲を残すばかりとなっているので、三月号から管弦楽部門としてセレナード・デイヴェルテイメントの部門から選ばせてもらっている。この四月号では、三月号に引き続き、ヴェーグとカメラータ・アカデミカのLDシリーズのものとして、デイヴェルテイメントニ長調K.136およびデイヴェルテイメントヘ長調K.247の2曲を取り上げる予定としている。このコンサートは、1989年にザルツブルグのモーツアルテウムの大ホールで演奏されていたが、残念ながら、第三曲は収録されていなかった。




      最初の曲デイヴェルテイメントニ長調K.136は、このコンサートの第一曲目として演奏されており、ホールは真夏のモーツァルテウム・グロッサー・ザールであった。オーケストラのカメラータ・アカデミカの弦楽合奏は、コントラバスが1台で総数20人位の編成であった。映像では白い背広を着たシャンドル・ヴェーグが、ゆっくりと指揮台に登場し、一息おいて第一楽章がやや速目のテンポで弦楽合奏で始まっていた。ヴェーグの素晴らしい弾むような弦の輝きが春の日差しのように快く、これぞモーツァルト・アレグロの典型と言うべきか。弦楽合奏は誠に軽快そのものの颯爽としたテンポで進み、ソナタ形式の提示部を一気に終えていた。ヴェーグは、ここで丁寧に繰り返し、再び弾むように弦楽合奏が流れていた。カメラータ・アカデミカの弦の音色は揃って美しく、展開部後半のピッチカートはやや寂しいが弾みを見せ、一気に再現部へと突入し、軽快な弦楽合奏が進んでいた。ヴェーグは末尾の繰り返しはさすが省略していたが、素晴らしい弦楽合奏を聴かせる楽章であった。




           第二楽章は、短いアンダンテであるが、ソナタ形式で書かれており、第一ヴァイオリンが奏でる美しい歌のようなアンダンテで始まった。ヴェーグはゆっくりしたテンポで歌わせており、続いて第二主題も同質の歌うような旋律が続き、スタッカートで進む甘いメロデイが快い。提示部の繰り返しを行なって、流れるように弦楽合奏が続いていたが、短い展開部で気分を変えて、再現部に入って再び歌うアンダンテが快い弦楽合奏で進行していた。 フィナーレ楽章は、ポンポンポン、ポンポンポンと進むロンドのような颯爽としたプレストであるが、ソナタ形式で書かれており、この主題は実に快く颯爽としたテンポで進行する。第二主題はスタッカートで上昇したり下降したり軽やかにリズムを刻み、一気に提示部を終結する素晴らしいプレスト。ヴェーグは前半の繰り返しをキチンと行っていたが、後半の繰り返しは省略して一気にこの軽快な弦楽合奏を仕上げていた。

    この曲の作曲の経緯は全く知られていないが、若いモーツァルトがイタリア旅行をして、アルプスを越えて初めて感じたイタリアの明るい太陽の日差しを浴びた風土を思わせる爽快な曲であり、気分に乗ってアレグロ・アンダンテ・プレストと一気に書き上げた曲を思わせる。ヴェーグはこの明るい曲をそのまま快いテンポで颯爽と軽快に進めており、カメラータ・アカデミカもこれに応えて、弦が踊るように弾みながら一気に駆け抜けるように進行していた。小編成のこの演奏は、弦楽合奏としては標準的なものであろうと思われるが、ヴェーグがCDによる全集録音をした時期と重なっており、よい映像が得られたものと考えている。




         続く第二曲目は、第一ロドロン・セレナーデ(夜曲)と呼ばれるデイヴェルテイメントヘ長調(第10番)K.247の演奏であり、弦5部と2ホルンの小編成の典型的なデイヴェルテイメントである。この曲には、同じ編成の行進曲ヘ長調K.248があり、2メヌエットをもつ6楽章の構成で、1776年ザルツブルグのロドロン伯爵夫人の霊名の祝日のために作曲された。モーツァルトは翌1777年にも同じ目的のためにデイヴェルテイメントK.287を作曲しているので、このK.247は「第一ロドロン・セレナード」と呼ばれている。



     新全集では、行進曲ヘ長調K.248から始まっていたが、ヴェーグの演奏では、第一楽章のアレグロからいきなり開始されていた。アレグロの第一楽章が始まると、ああこの曲かと思い出させる軽快なアレグロであった。第一主題は大きく二つに分かれ、途中からユニゾンで弾かれるテーマが歯切れ良く軽快に進んでおり、続いて現れる第一ヴァイオリンで流麗に弾かれる第二主題が美しく、さらに第一ヴァイオリンでスタッカートを交えて弾かれる副主題が華やかであった。この楽章はこれらの二つの主題を中心にソナタ形式で作られているが、ヴェーグは提示部の繰り返しを行って、颯爽と進んでいた。展開部は第一ヴァイオリンによるパッセージとユニゾンで弾かれるテーマが再び顔を出していた。再現部は、第一主題は省略されていたが、第二主題が第一ヴァイオリンを中心に弾むように軽やかに弾かれ、ホルンの安定した吹奏が豊かに響き心地よく、ほぼ提示部通りであった。終わりのコーダで思い出したように冒頭の第一主題がコーダで顔を出し、全体が力強く結ばれていた。




      第二楽章のアンダンテ・グラチオーソは、第一ヴァイオリンで始まる穏やかなゆったりした主題のアンダンテであった。譜面を見ると繰り返しが二つもあり、全体は推移的な中間部を持つ三部形式で進んだあと、初めの主題が二回変奏されており、最後にもう一度、変奏されるセレナードに相応しいロマンス風の楽章であった。ヴェーグが両手と顔の動きや表情で指揮をする姿が印象的な楽章であった。
       続く第三楽章は、第一メヌエットであり、弦とホルンの合奏による力強い堂々たる歯切れの良いメヌエットであった。勢いよく進行してから、中間部のトリオではホルンの合奏で始まり弦がひとしきり歌うトリオであったが、短調のせいかヴェーグの進め方には翳りを感じさせた。再びホルンが元気なメヌエットが始まって、楽章を閉じていた。




        第四楽章は弦5部だけによる穏やかなアダージョでソナタ形式で書かれていた。第一ヴァイオリン中心の装飾が多い流麗な第一主題と、第二ヴァイオリンとヴィオラの主題を第一ヴァイオリンが受け取って完成させる第二主題がとても良く調和し美しい。ヴェーグは提示部を丁寧に繰り返してから、短い趣向を変えただけの展開部に続いて、再現部は提示部と同様に型通りに進んでいた。穏やかで美しいアダージオのセレナード楽章であったが、コーダで第一主題の冒頭が現れる印象的な楽章になっていた。
       第五楽章は、第二メヌエットであり、この曲は何度も聞いた軽快でリズミックに進行するメヌエットで、ホルンが明るく響き、最後に現れるピッチカートによるポンポンという結びが実に特徴的で親しみを感じさせていた。トリオではホルンを外して弦の合奏による美しいもので歯切れ良いリズムが心地よい。再びリズミックなメヌエットとなり、ヴェーグは軽快にピッチカートを響かせてこの楽章を終えていた。




        第六楽章のフィナーレは、アンダンテの序奏で合奏による重々しい充実した響きで始まるが、続いてトウッテイによりアレグロ・アッサイの軽快なロンド主題が飛び出して来る。この楽章のロンド形式は、ABACADABAの通り、3つの挿入エピソードを挟んでロンド主題が5回登場していた。ABAのロンド主題は、フィナーレに相応しい活気のあるもので、中央に挟まれたCとDの二つのエピソードは、新しい陽気で軽快な主題であり、繰り返されるロンド主題も溌剌として、ヴェーグはこの楽しいデイヴェルテイメントの大型のフィナーレを見事にまとめていた。このロンド・フィナーレの明るい疾走感がデイヴェルテイメントの壮快さを生みだす礎になるものと思われた。

         ヴェーグとカメラータ・アカデミカ・ザルツブルグの若い管弦楽団は、実に軽快にこのデイヴェルテイメントを、まるでヴェーグと自分たちの曲のように、楽しみながら演奏しているように見えた。彼らのCD全集もこの映像のような雰囲気で生まれたものであろう。ザルツブルグのロドロン家への曲には、第二ロドロン・セレナーデK.287や三台のピアノのための協奏曲K.242などがあり、モーツァルトの作曲した曲が地域の親しい人たちから大歓迎を受けていたことが良く分かる話となっている。

(以上)(2016/04/06)


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