(古いS-VHSより;1991年国際モーツァルト・コンクールの受賞者コンサート) 16-3-2、ジョルジュ・ロッター指揮ザルツブルグ・モーツァルテウム音楽大学管弦楽団、第5回国際モーツァルト・コンクール1991、−受賞者演奏会−、モーツァルテウム・グロッサー・ザール、1991年、ORF、
(曲目)1、 アンドレイ・ピサレフ(P);ピアノ協奏曲第20番ニ短調K.466、2、セルジオ・チオメイ(P);ピアノ協奏曲第23番イ長調K.488、第2・3楽章、3、アレキサンダー・ヤニチェック(V);ヴァイオリン協奏曲第4番K.218、第1楽章、4、ミハイル・ツインマン(V);ヴァイオリン協奏曲第3番K.216、第2・3楽章、

−この第5回1991年国際モーツァルト・コンクールの受賞者コンサートは、始めての映像であったが、二人のピアニストおよび二人のヴァイオリニストの協奏曲演奏が行なわれ、その間に4人の歌手による演奏会形式の4曲のオペラのアリアの演奏が行なわれていた。それぞれ、新人らしい様子を見せながら、入賞者に相応しい形でまずまずの演奏が行なわれ、コンサートが、無事、終了しており、拍手に溢れた観衆の姿が映し出されて、この演奏会が成功裡に終了したことを見せていた。このヴァイオリンのソリストのアレクサンダー・ヤニチェックは、現在でも、このHPのソリスト兼指揮者として活躍している−



(古いS-VHSより;1991年国際モーツァルト・コンクールの受賞者コンサート) 16-3-2、ジョルジュ・ロッター指揮ザルツブルグ・モーツァルテウム音楽大学管弦楽団、第5回国際モーツァルト・コンクール1991、−受賞者演奏会−、モーツァルテウム・グロッサー・ザール、1991年、ORF、
(曲目)1、アンドレイ・ピサレフ(P);ピアノ協奏曲第20番ニ短調K.466、
2、セルジオ・チオメイ(P);ピアノ協奏曲第23番イ長調K.488、第2・3楽章、
3、ソイレ・イソロスキ(USSR);「フィガロ」の第二幕第11番伯爵夫人のカヴァティーナ、
4、ヴァレリア・ステンキナ(USSR);「ドン」の第23番ドンナ・アンナの歌うロンド、
5、ヤソン・アレクサンダー(USA);「ドン」の第10a番のオッターヴィオのアリア、
6、ボニー・ホーク=シドロフ(USA);「フィガロ」の第三幕第20番の伯爵夫人のアリア、
7、アレキサンダー・ヤニチェック(V);ヴァイオリン協奏曲第4番K.218、第1楽章、
   8、ミハイル・ツインマン(V);ヴァイオリン協奏曲第3番K.216、第2・3楽章、
(1000331、CS736CJの放送をS-VHS-340.3に収録)

          3月号の協奏曲部門では、初めてのアップであるが、第5回国際モーツァルト・コンクール1991の受賞者演奏会の映像があり、二つのピアノ協奏曲K.466&488および二つのヴァイオリン協奏曲K.218&216が、モーツァルテウムの大ホールで演奏されていた。これはモーツァルト・イヤーを記念に収録されたものであろうが、現在も続いているコンクールなのであろうか。兎に角、珍しいのでその全てを丁寧にアップしたいが、4人の歌手も含まれており、それぞれ「フィガロ」と「ドン」のアリアを歌っていた。これらの受賞者たちで、 ヴァイオリンのヤニチェックがこのHPではお馴染みのソリストになっている。
          映像では、初めから会場のモーツァルテウム大ホールの舞台と客席が交互に写されており、その間にドイツ語でこの受賞者コンサートの解説が、ながながと行なわれており、今回はジョルジュ・ロッター指揮ザルツブルグ・モーツァルテウム音楽大学管弦楽団により、第1曲目がロシアのピアニスト、アンドレイ・ピサレフによるピアノ協奏曲第20番ニ短調K.466であると報じられていた。





          指揮者とピアニストの二人が拍手の中で入場してきて挨拶をし、それぞれの席に着いて、ピアノの影で指揮者ロッターの姿がよく見えないが、直ちに第一楽章が始まった。弦の喘ぐような低いシンコペーションのリズムを持った第一主題が開始され、ロッターがゆっくりしたテンポで歯切れ良いリズムでオーケストラを進めていたが、やがて副主題で出てくるオーボエやフルートが実に美しく響き出しこれに弦が答えてゆっくりと堂々と進行し、オーケストラの提示部が終了していた。
           ピサレフの独奏ピアノが静かに始まり、次第にはっきりした輪郭のピアノの音を響かせてからオーケストラも加わって力強く進み出した。続く副主題でもオーボエにピアノが応え、落ち着いたピアノがオーケストラとも良く馴染んで素晴らしい。独奏ピアノが初めて提示する第二主題も実に美しく明確に開始され、続いて軽やかな技巧的なパッセージを繰り返し、ピアノが縦横に活躍し始めた。ピサレフのピアノの響きはオーソドックスに弾かれ、音がクリアで確かめるように丁寧に弾いているのが印象に残った。展開部に入るとピアノの導入部の主題が繰り返され、次第にピアノがうねるように逞しく主題を繰り返し、再現部では途中から参加した独奏ピアノがいつの間にか先頭に立って堂々と進んでいた。カデンツアはベートーヴェンの聞き慣れたものを弾いており、ピアノの音が輝やいて聞こえていた。ロッターの指揮に合わせて、音楽大学オーケストラもゆっくりしたテンポで生き生きとして進行し、ピアノと良く合って堂々たる演奏であった。




            ロマンスと名付けられた第二楽章は、美しく優雅な主題が独奏ピアノで開始され、ピサレフは、ゆっくりとしたテンポであるが芯のある音でしっかりと弾きはじめていた。主題は直ぐにオーケストラに渡されるが、いつの間にか再びピアノに戻されていた。弦の単純な伴奏で始まりソロピアノで提示される第二主題は、歌うように進み実に美しい。ピサレフはここでもピアノの音を際立たせて丁寧に慈しむように弾いていた。美しい独奏ピアノがひとしきり続いて、再び第一主題がピアノからオーケストラに移されてから、フルオーケストラで始まる爆発的な中間部では、独奏ピアノが息つくひまもないように力強く鍵盤上を駆けめぐり、映像では技巧の見せ場になっていたが、ピサレフは落ち着いた表情で弾きまくり、繰り返されていた。嵐が過ぎ去ると再び静かにロマンスの第一主題が再現されるが、ピサレフは丁寧に淡々として自分のペースでロマンスを弾いていた。聴くたびに、いつも陶然とした気分にさせられ、何か自分に免疫力が付加されるような美しい楽章であった。




             フィナーレでは独奏ピアノによるロンド風の主題で軽快に始まるが、直ぐに激しくテンポが速いフルオーケストラに渡され、躍動するように急速に発展してから新しい主題がピアノに現れるが、直ぐにロンド風の主題に戻っていた。そこで独奏ピアノが、第二主題と思われる歯切れの良い活発な主題を提示し、ピアノ・オーケストラ・ピアノ・木管・ピアノと言った具合に絶えず主役が変わり、目まぐるしく変化しながら疾走してフェルマータとなっていたが、ピサロフはアインガングなしで、オーケストラが直ちに冒頭の主題を提示して再現部に突入していた。再現部では、独奏ピアノが主導権を取り戻すと、第一・第二主題が、ピアノ・オケ・ピアノ・木管と言うように、疾走して一気に駆け抜けていた。終わりのカデンツアは、ピサロフは聞き慣れた短いカデンツアを弾いていた。
この演奏は、この受賞者演奏会に相応しい堂々とした新鮮な魅力溢れる素晴らしいコンサートであった。ソリスト・ピサロフは、さすが入賞者の一番手として、終始、堂々として落ち着いて最後まで演奏しており、終わると指揮者のロッターと握手を重ねて、にこやかに快演出来たことを喜んでいたように見えた。映像では、観衆の拍手の中でドイツ語案内が行なわれていたが、それは、次の演奏者のイタリア人のセルジオ・チオメイのピアノにより、ピアノ協奏曲第23番イ長調K.488から、第2・3楽章が続けて行なわれることを報じていた。



              独奏ピアノで秘かに始まる第二楽章のアダージョは、シチリアーノのリズムに乗って、美しいメランコリックな主題がチオメイの独奏ピアノでゆっくりと進んでから、この主題に応えるかのように第二ヴァイオリンの分散和音をベースに、フルートがそしてクラリネットが新しい旋律を歌い出し、ピアノがゆっくりと変奏しながら静かにフォローしていく。チオメイはゆっくりと一音一音を確かめるように弾いており、ピアノの音が実に爽やかで印象的であった。続いてフルートとクラリネットがテンポを変えて合奏しながら主題提示する中間部でも、ピアノに次いで現れる木管との掛け合いが美しく進行し、実に見事な聴かせどころとなっていた。再びピアノが冒頭の主題を再現し変奏しながら、次第に高みに到達していくが、この変奏のさりげない美しさには何度聴いても感心させられる。最終部でのピッチカートの伴奏でピアノがゆっくりと歌い上げる場面は実に美しく、チオメイのピアノとオーケストラとのアンサンブルの美しさをまざまざと示しており、短いが実に美しい夢のようなシチリアーノの楽章であった。




             フィナーレは馴染み深いロンド主題がチオメイの独奏ピアノで軽快に飛び出し、明るく輝くようなアレグロでオーケストラと木管とが交互に進んでいた。この楽章は何度聴いてもこのロンド主題に挟まる魅力的な副主題が4種類ほど沢山あって、全体の構成が変化しており、恐らく変則的なロンド形式なのであろう。しかしながら全楽章を通じて、4度ぐらい現れるロンド主題を挟んで、これらの主題が出るたびに入れ替わり煌めくように美しく進行し、ピアノとオーケストラと木管とが交互に、或いは競い合うように三つ巴となって軽快に進行して盛り上がりを見せていた。チオメイのピアノの早いパッセージがいつも先導して連続し、鍵盤の上を走り回る技巧の冴えを見せながら、華やかに力強く楽章を進めていた。この楽章は、ピアノとオーケストラにより充実した終結部を持ち、華やかに一気にこの楽章が終結していた。残念ながら、第一楽章が聴けなかったが、この2楽章も、受賞者演奏会に相応しい堂々とした新鮮な魅力が溢れた素晴らしい演奏であると思った。



               続いては3人のソプラノの女性歌手とテノールの4人歌手たちによる「フィガロの結婚」と「ドン・ジョヴァンニ」からの4曲のアリアが歌われていた。最初のソプラノ歌手は、ソイレ・イソロスキ(USSR)であり、「フィガロ」の第二幕の第11番伯爵夫人のカヴァティーナ「愛の神さま、手を差しのべて下さい」であった。美しいオーケストラの伴奏に続いて、[愛の神よ]と神にすがるような思いで歌われるこの曲は、落ち着いたテンポで朗々と歌われていたが、オーケストラの伴奏と一体で歌うので、まるでコンサート・アリアのようにオーケストラがよく響き、クラリネットの伴奏が実に美しく、演奏会形式の良さがそのまま発揮されていた。このソプラノはこのアリアに対してやや声が固く感じられ、もう少し伸び伸びと歌って欲しいと思われた。




         第二曲目を歌ったソプラノは、ヴァレリア・ステンキナ(USSR)であり、「ドン」より第23番ドンナ・アンナが歌うレチタティーヴォとロンド「つれないですって?」であった。責めるオッターヴィオに対してレチタティーヴォで反論と言い訳をしてから、ラルゲットのロンドに入り、「そう言わないで」と自分も愛していることを精一杯歌い、続いてアレグロ・モデラートに入ってコロラチューラの若さ溢れる美声を張り上げて、「神も微笑んでくれるでしょう」と自分で納得するように歌って、大変な拍手を受けていた。




         続いて第三曲目に登場したのは、テノールのヤソン・アレクサンダー(USA)であり、曲目は「ドン」より第10a番のオッターヴィオのアリア「彼女の平安はわが願い」であった。曲はアンダンテの愛するドンナ・アンナへの思いを歌う甘いアリアであったが、なかなかの美声であり、笑顔を見せながら朗々と明るく気持ちを込めて美しく歌われたので、観客から万雷の拍手を浴びていた。




         続いて第四曲目は、「フィガロ」から第三幕で伯爵夫人が歌う第20番のレチタティーヴォとアリア「あの楽しかりき時はいずこに」であり、ソプラノのボニー・ホーク=シドロフ(USA)であった。伴奏付きの激しいレチタティーヴォで、召使いに変装して手を借りねばならぬ身を嘆きながら、アンダンテイーノでアリアを歌い出し、最高のアリアとばかりにウットリと歌ってから、後半にアレグロになってから伯爵を改心させるために頑張ろうとする決意の声を発声していた。この曲もとてもしっかりと歌われたので、大変な拍手を浴びていた。この四曲に及ぶ演奏会形式のアリアは、有名なアリアばかり続いたせいか、大変な人気があり、拍手も多いように思われた。




       4人の歌手たちによる演奏会形式によるオペラのアリアの演奏が終了して場内は騒然としており、続いては二人のヴァイオリニストの演奏の予定とされていたが、場内のアナウンスでは、時間のせいか、最初のヴァイオリニストがヴァイオリン協奏曲第4番ニ長調K.218の第1楽章アレグロを演奏した後、第二のヴァイオリニストによりヴァイオリン協奏曲第3番ト長調K.216の第二楽章アダージョおよび第三楽章ロンドの演奏が行なわれるとアナウンスされていた。ヴァイオリン奏者のトップは、アレクサンダー・ヤニチェック(オーストリア)であり、この人は、今回の入賞が機会となったのか、現在ではこのHPの常連となっており、カメラータ・アカデミカ・ザルツブルグのコンサート・マスターの一人として、また指揮者として活躍しているので、このHPのヴァイオリニストの一人として検索の対象とすることとした。




          ヤニチェックと指揮者のロッターがが登場してオーケストラがチューニングを行なっていたが、続いてヴァイオリン協奏曲第4番ニ長調K.218の第1楽章アレグロが威勢良く始まっていた。この楽章は、アレグロの軍隊風のリズムを持った威勢のよい第一主題で始まるが、指揮者のロッターは、腕と体の仕草で軽くリズムを取りながら指揮をして、軽快にオーケストラによる提示部を終了していた。そこでヤニチェックの独奏ヴァイオリンが輝くように第一主題をオクターブ高く弾きながら登場し、主役に躍り出ると主題を繰り返してから、目まぐるしい勢いで颯爽と走り出していた。そして途中で一呼吸置くような美しい第二主題が独奏ヴァイオリンにより提示されてから、ヤニチェックの輝かしいヴァイオリンの勢いは止まらずに、素晴らしいパッセージを見せながら一気に駆け抜けるように第二提示部を終了していた。展開部でも伴奏役のオーケストラを相手に独奏ヴァイオリンが活躍し、その勢いで一気に再現部に突入していた。カデンツアではこの楽章での旋律を巧みに組み合わせた技巧的なものを弾いていた。
          ヤニチェックの独奏ヴァイオリニストの音色は、実にクリアーで瑞々しく聞え、その若々しい風貌は、とても颯爽として頼もしく見え、この楽章が終わると、ブラボーのかけ声と拍手が湧き起こり、本日最大の見せ場となっていたが、残念ながらここで演奏は終了していた。この観客の大声援は、どうやら本日始めて登場したオーストリアの頼もしい若人への歓迎の歓声にも聞えていた。




        続いて二人目のヴァイオリニストのミカエル・ツインマン(USSR)が登場して、チューニングが行なわれていた。ヴァイオリン協奏曲第3番ト長調K.216の第二楽章のアダージョは、弦楽器主体のオーケストラで静かに喘ぐように始まるが、直ぐにツインマンの独奏ヴァイオリンがこの美しく透明な主題を高らかに歌い始め、変奏を加えながら繰り返していた。やがてフルートと第一ヴァイオリンのオクターブによる第二主題の提示に続いて独奏ヴァイオリンが引き継いで行き、短い展開部を経て、再び全体が再現されていた。そして、最後には短いがカデンツアがウインマンによりしっかり弾かれていたが、この楽章のピッチカートを伴った独奏ヴァイオリンのアダージョの美しさは実に喩えようがないものがあり、フルートとの対話も印象的であった。




          フィナーレのロンド楽章では、まずオーケストラで耳慣れたロンド主題が軽やかに提示され、続いて独奏ヴァイオリンがロンド主題を繰り返していく。その後はA-B-A-C-A-とロンド形式の形で進んでいくが、途中で曲調が一転してアンダンテとなり、弦のピッチカートに乗って独奏ヴァイオリンが美しい新しい歌を歌い出し繰り返された後、アレグレットに変わって再び独奏ヴァイオリンが民謡調の別の歌を歌い出していた。フェルマータの後に楽章最初のテンポに戻って、再びロンド主題に戻ってくるが、独奏者のツインマンは、これらの変化を確かめるように丁寧に弾いており、素晴らしいロンド楽章が静かに終了していた。

                      この曲の演奏でこの第5回1991年国際モーツァルト・コンクールの受賞者コンサートは終了となっていたが、観客の拍手は鳴り止まず、映像は大ホールの興奮した観客の姿を映し出したまま終わっていた。二人のピアニストおよび二人のヴァイオリニストの協奏曲演奏と、4人の歌手による4曲のオペラのアリアの演奏が行なわれ、それぞれ、新人らしい様子を見せながら、入賞者に相応しい形で、コンサートが終了しており、拍手に溢れた観衆の姿が映し出されて、この演奏会が成功裡に終了したことを見せていた。

(以上)(2016/03/13)



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