(古いS-VHSのテープより、ウイーン木管アンサンブルのK.406、K.270)
16-10-3、ウイーン木管アンサンブルによる木管五重奏曲ハ短調K.406およびデイヴェルテイメント変ロ長調K.270、
1991年11月5日、来日公演、東京文化会館小ホール、

−ウイーン木管アンサンブルによる木管五重奏曲ハ短調K.406は、原曲にないフルートがほぼ第一ヴァイオリンの役割を果たしてメロデイラインの中心となり、オーボエもフルートと入れ替わることが多く、クラリネットが常にこのメロデイラインを補充し、ホルンとファゴットは低音部を受け持って全体を支え、全体の響きはデイヴェルテイメントK.388の木管調の響きに聞えていた。一方のデイヴェルテイメント変ロ長調K.270は、原曲は6重奏でありオーボエの2声部をフルート・オーボエ・クラリネットに分割するように編曲され、原曲以上に多彩なアンサンブルの曲に生まれ変わっており、演奏機会に恵まれない曲なので、編曲版であっても貴重であった。この五重奏団のメンバーは、91年のウイーンフイルの現役なので顔なじみであり、両曲ともよい編曲だったので、親しみを覚えながら楽しく聴かせてもらった−

(古いS-VHSのテープより、ウイーン木管アンサンブルのK.406、K.270ほか)
16-10-3、ウイーン木管アンサンブルによる木管五重奏曲ハ短調K.406およびデイヴェルテイメント変ロ長調K.270、1991年11月5日、来日公演、東京文化会館小ホール、
(出演者)フルート;デイーター・フルーリー、クラリネット;エルンスト・オッテンザマー、ホルン;フォルカー・アルトマン、ファゴット;シュテパン・トウルノフスキー、オーボエ;ゲルハルト・トウレチェク(画面の左よりの順)
(911027、S-VHSのテープ039のNHKクラシックアワーを収録)

          10月分の第三曲目は、古いS-VHSテープの先月号からの続きで、 ウイーン木管アンサンブルによる木管五重奏曲ハ短調K.406およびデイヴェルテイメント変ロ長調K.270、であり、1991年11月5日の来日公演で、東京文化会館小ホールで収録されていた。ウイーン木管アンサンブルは、1991年のモーツァルト・イヤー当時のウイーンフイルの現職のメンバーで、出演者は、フルート;デイーター・フルーリー、クラリネット;エルンスト・オッテンザマー、ホルン;フォルカー・アルトマン、ファゴット;シュテパン・トウルノフスキー、オーボエ;ゲルハルト・トウレチェクで、左からの着席順としている。1991年10月27日のNHKクラシックアワーを収録していた。本来なら、編曲者名が、記載されなければならないが、この放送では、どうやら、無視されていた。聴感上は、8重奏曲のK.388からではなく、既にモーツァルトの手で五声にされたK.406(516b)を編曲して木管五声の五重奏曲に編曲したものと思われる。このコンサートでは、モーツァルトの曲として、デイヴェルテイメント変ロ長調K.270が収録されていたが、この曲の原曲はオーボエ・ホルン・ファゴットの六重奏曲であったが、やはりNHKの字幕では編曲者名は、残念ながら紹介されていなかった。




       スコアがないので弦楽五重奏曲の楽譜を参照していたが、五声の弦楽の声部を五つの木管が分割して受け持っている感じに見え、原曲にないフルートがほぼ第一ヴァイオリンの役割を果たしてメロデイラインをリードしていた。しかし、オーボエもフルートと入れ替わることが多く、クラリネットがこのメロデイラインを補充し、ホルンとファゴットは低音部を受け持って全体を支え、全体の響きはデイヴェルテイメントK.388の木管調の響きであった。原曲が素晴らしく、メロデイラインは譜面がなくても頭にあるので、K.388のフルート入りの五重奏曲と思って聞けば感じが分るであろう。




        この曲の第一楽章の始まりは、ハ短調でユニゾンで奏される暗いイメージで第一主題が奏されるが、主題の前半はフルートが、後半はオーボエが提示しており、これは展開部の主要主題でもあった。力強い推移部を合奏で経過して、やがて第二主題をフルートがクラリネットの伴奏で明るく歌い出して暗いイメージを抜け出してホッとする。途中からは各声部がそれぞれが明るいメロデイラインや伴奏型を歌い出して盛り上がり、最後はトウッテイで勢いよく提示部を閉じていた。ここで提示部の繰り返しは丁寧に行われていたが、やはりこの曲の構成はしっかりして厚みがあり、まるでデイヴェルテイメントというよりシンフォニーのような重々しい感じさえしていた。
          展開部では、第一主題の後半の音型を使った独特の展開部で、短いがハッとさせる迫力があり、展開部の最後は全休止で一息つき、再現部の入りを強調していた。再現部では、冒頭主題がユニゾンでしっかりと再現されていたが、第二主題はフルートとオーボエが変奏形で提示しており変化を付けながら演奏し、最後の後半では素晴らしい五重奏でこの楽章がしっかりと結ばれていた。






           第二楽章は、前楽章の緊張を取り除くような、オーボエとクラリネットで始まるのどかな牧歌的な感じのアンダンテで始まり、フルートとファゴットに引き継がれていた。続く第二主題もフルートの独奏で始まるが今度はオーボエで反復されて、終始、穏やかにゆっくりと進む。この楽章は反復記号を持たないソナタ形式か。形だけの展開部に続いて、再現部ではフルートとホルンで始まり、オーボエとクラリネットが第一主題を合奏して、それぞれの楽器が顔を出し存在感を示していた。
         第三楽章は、「カノン風メヌエット」と譜面に表示されており、メヌエット主題がオーボエで始まり、ファゴットが一小節遅れて進行する部分と、フルートとクラリネットの分散和音が加わる部分と、メヌエット主題をフルート、クラリネット、オーボエ、ファゴットの順に演奏する部分とがある。トリオはホルンとファゴットが休んで、フルートとオーボエが中心で奏され、表示通り反行カノンの形を取っており、明るく澄んだ感じのするこのトリオは、重厚なメヌエットと、好対照をなしていた。






         フィナーレは、二部リート形式の16小節の主題と7つの変奏曲であり、フルートとオーボエがメロデイラインで、全員合奏で主題提示を早いテンポで行なっていた。第一変奏は、明るく軽快に進むアレグロの主題がフルートとクラリネットで示され、その他が伴奏をユニゾンで力強く合奏する変奏から始まった。第二変奏はオーボエのソロが主題を変奏し残りは三連符による伴奏であった。第三変奏は他の楽器がシンコペーション・リズムの伴奏でホルンが主題を変奏するものであり、第四変奏は反復記号がなく、前半は全楽器が八分音符で主題を奏し、後半はフルートとオーボエがトリル、ファゴットが16分音符の音階、他の楽器は和音提供で変奏されていた。
           第五変奏ではホルンとファゴットの明るい和音が特徴であり、他の楽器に引き継がれても再びホルンとファゴットに戻っていたが、何回も繰り返されて変奏されていた。第六変奏では全員合奏の早いテンポの変奏に戻り、フルートとオーボエが明るく変奏して、終わりはフェルマータで休止していた。最後の終結部では、この曲の仕上げのスピード感あるアレグロであり、全員合奏で主題が激しく一気に力強く奏され、堂々と盛り上がりを見せて終結していた。

           この楽章はまるでシンフォニーのフィナーレのような輝きを持っており、変化に富んだ原曲を生かした素晴らしい五重奏曲になっていた。すべての楽章を通じて、終始、フルートとオーボエの活躍とそれを補佐するクラリネットが目立っており、ホルンやファゴットが底辺を充実させるしっかりしたクインテットに編曲されていた。この五重奏団のメンバーはウイーンフイルの現役なので顔なじみであり、親しみを覚えながら楽しく聴かせてもらった。





   続いて第二曲目の木管デイヴェルテイメント変ロ長調K.270は、1777年1月の作とされ、大司教宮廷の食卓音楽として書かれたと思われる一連の木管六重奏のデイヴェルテイメント6曲中の1曲とされている。楽器構成はいずれもオーボエ2、ホルン2、ファゴット2 となっており、一部を除き、4楽章構成となっており、この曲では、アレグロ・モルト、アンダンテイーノ、メヌエット、プレストの構成となっていた。今回の演奏は、この六重奏を、フルート・オーボエ・クラリネット・ファゴット・ホルンの五重奏に編曲したもであった。編曲であるので譜面はないが、初めてであるので原曲の新全集の譜面を見ながら、慎重に聴いたが、オーボエの2声部をフルート・オーボエ・クラリネットに分割するように編曲されたものと思われる。演奏機会に恵まれない曲なので、編曲版であっても貴重であり、注意深く聴いてみたい曲であった。




         第一楽章はソナタ形式であり、堂々とした主和音と分散系のユニゾンで始まる第一主題が非常に軽快であり、小刻みに刻むファゴットの同一音の反復音とホルンの応答音に支えられてフルート・オーボエが明るく第一主題を提示していた。続いて装飾音が効果的な長い経過部を経てから、第二主題に入っていた。この主題は二小節単位で反復するように進む軽快なもの。原曲では二つのオーボエで進んでいたが、編曲では、フルート・オーボエ・クラリネットが入れ替わり立ち替わりに登場して主役を演じており、きめ細かな変化に満ちていた。提示部は繰り返されていたが、装飾音が一層目立つようになっていた。
         展開部では、第一主題の素材を使って和声的な展開を見せる短いもので、再現部ではほぼ型通りに二つの主題が再現されるものであった。とても馴染み易い主題が明るく伸び伸びと提示されて木管アンサンブルの楽しさを実感させる演奏であった。




          第二楽章は短いロンド形式で、スタッカートで始まる短いロンド主題が愛らしく、美しいアンダンテイーノがフルートとオーボエで示されていた。この主題の合間に入る小さなエピソードもこの主題に合った歌謡風なもので、全体が軽やかに旋回する旋律の動きとスタッカートの魅力に満ちていた。この楽章では旋律を歌うフルートが特に活躍していた。第三楽章は、わずか8小節の短いメヌエットで、フォルテとピアノを繰り返す単調なもので、全員合奏で力強く進行していた。トリオでは、音階モチーブと同音反復のモチーブが各声部でカノン風に繰り返し現れて、賑やかな牧歌風な雰囲気が漂っていた。




   フィナーレはもの凄く早いプレストで、この早いロンド主題が繰り返して出てくるA-B-A-C-A-B-Aの構成で、でコーダで結ばれるロンド形式。3/8拍子の3連符による早いロンド主題がフルートからオーボエへ、そしてクラリネットへと矢継ぎ早に引き継がれ、絶えず何処かの声部で3連符が鳴っている疾風のような快活なプレスト楽章であった。第二のエピソードはフルートが美しく旋律を歌い出したが、直ぐに早いロンド主題に吹き飛ばされるように進み、曲は一気に終結していた。

   このフルートとクラリネットの参加により、原曲の2オーボエのメロデイラインは一気に多彩化され、アンサンブルがより賑やかに魅力的になったように思われる。この曲は、ベルリン木管アンサンブルも、フルートとクラリネット入りの編曲版で演奏しており、図らずもウイーン対ベルリンの対決となっていたが、残念ながら今回の映像はアナログであり、見栄え聴き映えはベルリンの方に軍配が上がっていた。


(以上)(2016/10/15)



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