(古いLD盤より;ヘルブルン宮のセレナーデ・コン、K.107.1&K.286ほか)
15-10-1、ヴォルフガング・フォン・カラヤン指揮カメラータ・アカデミカ・ザルツブルグによるチェンバロ協奏曲ニ長調K.107-1(ヘデイ・フォン・カラヤン;チェンバロ)および行進曲ニ長調K290(167AB)、セレナード第8番ニ長調K.286(269a)、行進曲ニ長調K.445(320c)、1970、ORF、ZDF、プラス、パリ交響楽団のソリストたち(7重奏)によるデイヴェルテイメント第15番変ロ長調K.287(K.271H)、
1988年5月、フランス、

−1991年のモーツァルト・イヤーに発売された古いアマデオのLDセットから、最初の「ヘルブルン宮」と題されたコンサートは、何とパウムガルトナーが自ら解説している1970年の映像であり、郊外のヘルブルン宮でのチェンバロ協奏曲演奏と、庭園での屋外での行進曲や4つのオーケストラのセレナード演奏などを古い時代の衣裳で再現したものであった。もう一曲は、パリ管弦楽団のソリストたちの七重奏によるデイヴェルテイメント第15番変ロ長調K.287(271H)であり、この曲はモダンな演奏であり、このHP初登場曲であった−

(古いLD盤より;ヘルブルン宮のセレナーデ・コン、K.107.1&K.286ほか)
15-10-1、ヴォルフガング・フォン・カラヤン指揮カメラータ・アカデミカ・ザルツブルグによるチェンバロ協奏曲ニ長調K.107-1(ヘデイ・フォン・カラヤン;チェンバロ)および行進曲ニ長調K290(167AB)、セレナード第8番ニ長調K.286(269a)、行進曲ニ長調K.445(320c)、1970、ORF、ZDF、プラス、パリ交響楽団のソリストたち(7重奏)によるデイヴェルテイメント第15番変ロ長調K.287(K.271H)、
1988年5月、フランス、
(1994/05/23、AMADEO LD PHLK-5003をS-VHS131に収録、)

       1991年のモーツァルト・イヤーに発売された古いアマデオのLDセットを、4年後にお借りして自分で録画した宝の山のようなS-VHSテープをこれまでも紹介してきたが、その続きを今月と来月二回に分けてアップしたいと思う。今月の15-10-1とした一曲目には「ヘルブルン宮」のセレナード・コンサートと題したものとデイヴェルテイメント1曲をお送りしたいと思う。最初の「ヘルブルン宮」と題されたコンサートは、何とベルンハルト・パウムガルトナーが自ら解説している1970年の映像であり、その当時のザルツブルグの旧市内やミラベル庭園、そして郊外のヘルブルン宮が写し出されてから、そこでの宮殿内でのチェンバロ協奏曲演奏と、庭園での屋外での行進曲やセレナード演奏などを古い時代の衣裳で再現したものであった。もう一曲は、パリ管弦楽団のソリストたちの七重奏によるデイヴェルテイメント第15番変ロ長調K.287(271H)であり、この曲はこのHP初登場曲であった。



      最初の曲は、チェンバロ協奏曲ニ長調K.107-1であり、ヘルブルン宮殿のコンサート会場における演奏であった。この曲は1768年ロンドンで刊行されたJ.C.バッハの「6つのクラヴィア・ソナタ」から編曲された「3つのクラヴィア協奏曲K.107」の中の最初の曲で、1772年ころの作とされる。この演奏は、奥ゆかしいバロック宮殿で、チェンバロの音が実に美しく響くコンチェルトとなっており、指揮者はカラヤンの実兄であるヴォルフガング・フォン・カラヤンが宮廷楽長の衣裳を身につけて指揮をしており、チェンバロは彼の奥さんか?ヘデイ・フォン・カラヤンの演奏であった。オーケストラはザルツブルグのカメラータ・アカデミカの面々であり、由緒ある宮廷楽団の衣裳を着て、実に優雅な昔風の音を奏でていた。



       この第一曲のチェンバロ協奏曲は、J.C.バッハのチェンバロ・ソナタニ長調Op.5-2から編曲されているが、アレグロ・アンダンテ・メヌエットの三楽章の構成や調性、さらには演奏時間もほぼ、原曲のままで、バッハのクラヴィーア・ソロパートは殆ど改変せずに、僅かに三部の弦楽伴奏を加えて支え、これでオーケストラ・パートの枠組みを構成している。第一楽章はアレグロでチェンバロを含んだトウッテイで開始されて、この明るい第一主題がソロによって再現されていくが、続く弱奏された第二主題も主調で提示され、続いてソロによって反復されていた。二つの主題を持っているが、まだ成熟したソナタ形式にはなっておらず、二つの主題が提示された後、全体が反復された形で進行していた。コーダでは自身による短いカデンツアが残されていた。



        第二楽章のアンダンテでは、弦楽による前奏の形で歌謡的な第一主題が始まってから、チェンバロのソロで主題が繰り返されていき、第二主題もチェンバロで提示されて、オーケストラと合奏しながら繰り返されていた。この楽章でも最後のコーダにカデンツアが付けられていた。フィナーレは、テンポ・デイ・メヌエットであり、メヌエット主題がオーケストラで始まって、チェンバロで繰り返されるように進行していた。トリオはピッチカートの伴奏の上をチェンバロが煌めくように古典的な響きを奏するもので、極めて魅力的であり、終わりは、初めのメヌエット主題が戻ってくるメヌエット形式であった。





       続く第二曲目は、セレナーデ・ノットゥルノニ長調K.286(269a)であり、この曲は弦4部に2ホルンからなる4組のオーケストラで構成される例のない構成になっており、主オーケストラの演奏の後半を、他のオーケストラがエコーの効果を出すように仕組まれた特別な音楽である。この演奏は、このエコー効果が現実の演奏においてどのように生かされるかを、ヘルブルン宮殿の野外の池の畔のコンサート会場で、オーケストラが4箇所に分かれて演奏してエコー効果を味わうように、あらかじめ仕組まれていた。





       この演奏は、まず行進曲ニ長調K.290(167AB)の演奏で始まり、映像では先の宮廷楽員たちが衣裳を着けて、行進曲を演奏しながら宮殿の前まで到着して来る様子が写されていた。チェロとコントラバスは行進せずに宮殿の前に一列に勢揃いしており、楽団一行はチェロやコントラバスの前を通過して、宮殿に入場して、それぞれの部署に到着するまで行進曲が演奏されていた。この行進曲はデイヴェルテイメントの開始曲か終曲であることを裏書きするようにソナタ形式で書かれており、明るい第一・第二の主題からなり、提示部・再現部と形式は整っているものであった。






       ノットウルノの第一楽章は、2ホルン、弦4部の4つのオーケストラが大きく二つの反復記号を有するソナタ形式の構造を持っアンダンテ楽章であり、第二楽章はアレグレット・グラツイオーソの簡明なソナタ形式の楽章であり、そして第三楽章がメヌエットでこれがフィナーレという変則的な構成となっている。4つのオーケストラの配置は、指揮者のいるメインのオーケストラが右サイドに位置し、その左側に第二オーケストラが、その左側の池の前に第三のオーケストラ、その左側の小川の手前に第四オーケストラが配置され、それぞれ、オーケストラの人数は少なくなっているように見えていた。



       第一楽章のアンダンテでは、まず第一オーケストラが、最初に4小節の第一フレーズを演奏すると、第二グループがその後半部をオーム返しのように反復し、第三のグループがその半分を、第四のグループが最後の1小節をそれぞれエコーのように弱く響かせていた。続いて第一オーケストラが8小節の第二フレーズを奏すると、第2・第3・第4・オーケストラがそれぞれ4・3・2小節のエコーを奏していた。そして、第一オーケストラが4小節の第三フレーズを奏し、エコー後に最後の2小節のフレーズを奏してエコーで前半の第一部が終わり、全体が繰り返されていた。

    今回の演奏では、人数の多い第一・第二オーケストラがしっかりと演奏をし、第三・第四オーケストラがエコーを響かせており、颯爽と第一部を繰り返していた。続いて第二部の入っても、エコー効果を高めながらこのアンダンテ楽章を進行させていたが、映像では四つのオーケストラが順番に顔を出すように写されており、エコーのホルンの響きが面白かったり、エコーを演奏する第三・第四オーケストラの姿が長めに写されていたりしていた。



       第二楽章はアレグレットの早くて短い楽章であり、二つの主題による簡単なソナタ形式で、始めから第一主題、第二主題と軽やかにおどけたテンポで進み、それぞれのエコー効果も明解で、エコーを楽しむように作曲されていた。8小節の形だけの展開部のあと、再現部に入り、再び第一主題、第二主題と繰り返すように演奏され、エコーも付けられていた。
        第三楽章はリズミカルなメヌエット楽章で、リズムが明解な分だけエコー効果が高まっていた。冒頭のトウッテイの部分でも、また弦5部の部分でも見事なエコー効果を示していたが、ここではホルンだけでもエコーが楽しめ面白かった。しかし、トリオだけはエコーがなく第一オーケストラの全ての弦だけで普通に演奏されていたので、短いトリオであったが、演奏は再び冒頭のメヌエット部に戻り、堂々とした響きでメヌエットもそのエコーも再現されていた。



       セレナードが終わると、まるでコンサートの終了の合図のように行進曲ニ長調K.445(320c)がとても軽快に演奏されていたが、前半のような楽団員の退場の姿はなく、映像はヘルブルン宮殿の庭園内の噴水のついた食卓などが写され、噴水が水を勢いよく高く吹き上げていた。
       この映像は1970年のころのザルツブルグの貴重な街が写っていたり、行進曲やセレナードの宮廷演奏の姿を再現してくれたり、ヘルブルン宮殿のコンサートにより、良き時代の演奏の姿が再現されたものと思われる。著名なパウムガルトナーが肉声で解説したりする姿はこの映像しか残されていないのではなかろうか。いずれにせよ、貴重な映像を残してくれたアマデオの一連のLDには、感謝を申し上げたい思いがする。

(以上)(2015/10/06)




        アマデオのLDのコピーからの次の曲は、デイヴェルテイメント第15番変ロ長調K.287(K.271H)であり、これは1777年に書かれたとされる弦5部と2ホルンによる7重奏であり、アレグロ(ソナタ形式)−アンダンテ(主題と六つの変奏曲)−メヌエット−アダージョ−メヌエット−主部アレグロ(ロンド形式)となっている。この曲はヘ長調K.247のデイヴェルテイメントに次いで、第二ロドロン・セレナードと呼ばれることもある。また、1782年に書かれたとされる有名なニ長調K.334(320b)のデイヴェルテイメントとは、新全集では同じ楽器編成で、同じ6楽章のスタイルを取っているのが興味深い。

        

        このアマデオのLDの室内楽演奏は、フランスのソリストたちが主体となっており、今回の演奏はパリ管弦楽団のソリストたちとされて、モダンな建物の中で聴衆なしの状態で演奏だけが収録されていた。この曲の第一楽章は、アレグロのソナタ形式で書かれており、フォルテとピアノが鋭く対比される第一主題が、弦楽合奏と2ホルンの絶妙な響き合いの中で早いテンポで流れ出し、経過部を経てからワルツのリズムに乗って、セレナーデらしい典雅な第二主題が第一ヴァイオリンに現れ、そのまま、第一ヴァイオリンが協奏曲風の活躍をしながら盛り上がりを見せて主題提示部を終結していた。展開部はこの種の軽い音楽にしては長く、緊迫した状況で推移してから、再現部に入っていた。第二主題の再現は美しく印象的であり、第一主題の冒頭部分がコーダとして再現されていた。



        この曲の第二楽章は、アンダンテ・グラツイオーソの主題と六つの変奏曲から構成されており、譜面を見ると8小節*2の16小節で書かれた二部形式の変奏主題は、ドイツ民謡から取られた平易なものであった。六つの変奏曲は、装飾的な音形変奏であり、第一変奏は、第一ヴァイオリンがメロデイラインの装飾的な変奏をし、第二変奏は、ホルンを除いた弦楽五重奏の変奏であった。第三変奏はホルンが先行し弦五重奏が答える対話形式の変奏であったが、第四変奏は弦五重奏が先行しホルンが答える変奏形式であった。第五変奏は第一ヴァイオリンがメロデイを奏でるリズミックな変奏に特徴があり、フィナーレの第六変奏はピッチカート伴奏に乗って第一ヴァイオリンが32分音符の目まぐるしいパッセージの変奏であり、最後はコーダで結ばれていた。





        第三楽章はメヌエットであり、半音階の上昇とフォルテとピアノの対比が微妙な陰影を作り出すメヌエット部と、中間のトリオは短調となっているが決して暗くなく第一ヴァイオリンが目立っていた。第四楽章は、弦5部で書かれたアダージョでソナタ形式となっており、この第一主題はピッチカート伴奏に支えられ第一ヴァイオリンが高音域で美しく歌い上げるものであるが、FM放送などのテーマ音楽などで良く聴いたような曲。典型的なセレナード楽章を思わせるが、第二主題も第一ヴァイオリンが良く歌っており、素晴らしいソナタ形式の優雅な楽章になっていた。



        第五楽章は、再びメヌエットであり、単純そうに聞こえるが、強弱の対比、後半の半音階的進行がメヌエット部を特徴づけており、トリオの幅広いオクターブの歩みなど、実に多彩な楽想が見え隠れしていた。フィナーレは、アンダンテの序奏で始まり、ヴァイオリン独奏の華やかなレチタテイーヴォで開始されるが、やがて一転してアレグロ・モルトになり、第一ヴァイオリンがチロルの民謡のロンド主題を提示して、軽快に流れ出した。この主題が4回現れて、いろいろなエピソードが顔を出す軽快で多彩な魅力溢れるロンド・フィナーレとなっていた。最後に再び、アンダンテの序奏が顔を出し、ヴァイオリンが短いカデンツアを奏するのが見せ場になっていた。

       このデイヴェルテイメント変ロ長調K.287(271H)、このHPでは初登場であり、新全集通り、7重奏で演奏されているのが特徴であろうか。この種の機会音楽は、最近は演奏機会が全く少なくなっているところから、CDでも特定の全集などで残されているに過ぎなくなってきた。なお、この映像では、ソリストたちの氏名が掲載されておらず、LDの解説書によらざるを得ないことをお断りしておく。


(以上)(2015/10/07)



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