(古いLDの録画から;二つのフルート協奏曲第1番K.313および第2番K.314-2)
14-9-2、マテイアス・バーメルト指揮ポーラ・ロビンソンのフルートによるフルート協奏曲第1番ト長調K.313およびフルート協奏曲第2番ニ長調K.314-2、
ヨーロッパ・コミュニテイ・ユース管弦楽団、1989年(第2番)および1987年(第1番)、

−この映像は、いわゆる舞台上のコンサート形式ではなく、オーケストラ団員と独奏者を自由に配置して、リラックスした演奏風景を収録しようとした、映像初期のLDでの新しい試みであった。ロビンソンの演奏は、実に生き生きとして軽快そのものであり、フリーな姿が写し出されていたが、見る立場では、何となく落ち着かない、音楽に集中できない中途半端な演奏風景であった。しかし、両曲を通じて、映像で見るコンチェルトは、独奏フルートとオーケストラとの掛け合いが良く分かり、アンサンブルを楽しみながら演奏している様子が良く理解でき、有意義でもあった−

(古いLDの録画から;二つのフルート協奏曲第1番K.313および第2番K.314-2)
14-9-2、マテイアス・バーメルト指揮ポーラ・ロビンソンのフルートとヨーロッパ・コミュニテイ・ユース管弦楽団によるフルート協奏曲第1番ト長調K.313およびフルート協奏曲第2番ニ長調K.314-2、
ヨーロッパ・コミュニテイ・ユース管弦楽団、1989年(第2番)および1987年(第1番)、
(1994/05/22、アマデオLD、Mozart Treasuresの1枚をS-VHS130.5に収録)

9月号の協奏曲の部分は、かねての予定通り、アマデオのLDのMozart Tresuresのコピーから、フルート協奏曲の第一・第二番を取り上げることにした。演奏は当時まだ若きアメリカの新鋭女流フルート奏者ポーラ・ロビンソン(1941〜)によるもので、指揮者バーメルトが、いわゆる舞台上のコンサート形式ではなく、オーケストラ団員と独奏者を自由に配置して、リラックスした演奏風景を収録しようとした、映像初期のLD(1989)での新しい試みであった。美人奏者ロビンソンの伸び伸びしてフリーな姿が、写されていた。



最初の第一曲は、フルート協奏曲の第二番ニ長調K.314(285d)であり、コンサートスタイルの映像ではないので全体のオーケストラの規模は不明であるが、コントラバス1台の小編成で演奏していた。第一楽章はソファーにフルートを手にして座っているロビンソンを写しながら、トウッテイで第一主題がフォルテで明るく開始された。続いて、指揮者のバーメルトが譜面を前にしてソファーに座っている姿が映し出されてから、装飾音符の付いた第二主題がヴァイオリンでのどかに提示され軽快に経過部をたどってから、明確な歯切れの良い終止主題が出て、オーケストラの第一提示部を終えていた。



ロビンソンの独奏フルートが、ソファーに座ったままで、導入音形に続いて高音で4小節に渡って引き伸ばしているうちに、ヴァイオリンが第一主題を提示しており、やがてロビンソンが立ち上がってフルートが途中から参加して、速いパッセージを繰り返しながら進行し、独奏フルートが導入音形を技巧的に何度も反復していた。やがてゆっくりした第二主題を独奏フルートが提示し、ロビンソンはここぞとばかりに優しく装飾をつけながら歌うように進んでいた。ひとしきり素晴らしいパッセージを示してから、お馴染みの終止主題を経て展開部に突入していた。 展開部では独奏フルートが導入音形を何回も繰り返すものと、早いパッセージの部分を軽快に繰り返すもので構成されて手短に終わっていた。再現部は第二提示部とほぼ同じように、独奏フルート主体で型通り進行していた。カデンツアは第一主題、第二主題ともに顔を出す明るいもので、女性らしい優雅な自由な創作によるものであった。





第二楽章は部屋の様子が少し変わり、弦楽器のユニゾンで荘重に開始され、ひとしきり弦の歌うようなアンダンテが続いてから、直ぐに独奏フルートが明るく歌うような第一主題を提示しながら歌い継いでいた。やがて第一ヴァイオリンに次いでフルートがかけ合うように始まる第二主題が開始されて、いつの間にかロビンソンのフルートが主体になって展開を続ける美しいアンダンテとなっていた。彼女は丁寧に装飾をしたり変奏をしたり巧みに技巧のほどを示しながら進んでいた。短い展開部を経て再現部では冒頭のアンダンテ主題で始まり、第一主題は再現されずに、第二主題が主体になっていた。ここでも短いカデンツアが用意されており、冒頭の叙情的な主題をひとしきり技巧を示してから、このアンダンテは静かに結ばれていた。





フィナーレは部屋から屋外で立って演奏されているようであり、服装も変わったようであった。独奏フルートの輝くようなこれぞモーツァルト・アレグロとでも言うべき軽快なロンド主題で始まり、トウッテイで反復されたあと、曲の進行とともにこの主題が何回か繰り返されていた。この主題は、後日、オペラ「後宮」の12番のブロンテのアリア「何という喜び」に巧みに転用しており、明るいモーツァルトの代名詞とも言える曲であろう。オーボエとホルンに導かれてフルートが新しい音形を提示し、やがてヴァイオリンが優しい第二主題を提示して、独奏フルートが活躍していくが、この楽章は主題の提示の形から言えば短い中間部分を持ったソナタ形式であり、やがて独奏フルートによる中間部を経て再現部に突入していた。ここでも独奏フルートが実に明るく目まぐるしく変化したパッセージを重ねており、ロビンソンは自信に満ちた表情で早いパッセージをこなしていた。彼女のオリジナルの短いカデンツアのあとに第一主題がもう一度現れてコーダで結ばれ、この活気のあるフィナーレは終了していた。


珍しく敢えてコンサートスタイルではないオーケストラの自由な演奏というスタイルで作られた映像ではあったが、映像の質もカラーではあったが余り良いとは言えず、何となく落ち着かない、音楽に集中できない中途半端な演奏風景であった。独奏フルートのロビンソンは、主役として、格好のいい存在であり、実に流ちょうに演奏していたが、矢張り指揮者のバーメルトが座っているだけで、手持ちぶさたであり、気の毒なような気がした。この曲は、最近は、オーボエ協奏曲として演奏される方が多くなったが、私には第一番ト長調よりもむしろこの曲の方が好きで、フルート協奏曲らしいような気がしていた。この曲を久し振りでフルートで、しかもスコアを見ながらじっくり聴いたが、私には昔ながらのとても懐かしいフルート協奏曲として聞こえており、オールドファンには貴重な映像であると思われた。








第二曲目のフルート協奏曲の第一番ト長調K.313(285c)は、白黒の映像であり、前曲同様にコンサートスタイルの映像ではなく、ばらばらの配置の団員たちが立った姿でいきなりトウッテイで第一楽章の第一主題がフォルテで明るく開始されていた。よく見ると独奏者のロビンソンは、オーケストラの輪の中で椅子に座っており、オーケストラはコントラバス1台、オーボエ2、ホルン2の小編成で演奏していた。続いて弦が歌うように優雅な第二主題をピアノで提示して行き、短いコーダでオーケストラの第一提示部を終えていた。ここで独奏フルートが立ち上がって明るく第一主題を提示していくが、ロビンソンを取り囲んでいるオーケストラと華やかに対話して進み出していた。直ぐに独奏フルートが踊るような新しいエピソードを提示してフルートが華やかに速いパッセージを繰り返しながら進行していた。やがて独奏フルートと弦で落ち着いた第二主題が提示され、オーケストラに渡されたあと独奏フルートが華やかで明るいパッセージを繰り広げて展開部へと突入していた。



      展開部ではトウッテイで第一主題の冒頭部が執拗に繰り返されてから、独奏フルートがコーダの早いパッセージを繰り返しいたが、オーケストラの面々も独奏フルートを囲むように輪になって画像に現れていた。再現部では第一主題が最初はオーケストラで示されるが直ぐに独奏フルートが置き換わり装飾を加えながら進行し、提示部と異なってロビンソンの独奏フルートのペースで終始していた。カデンツアはゆっくりと美しい旋律美を示すオリジナルなもので、高度な技巧よりも女性らしい優雅な装飾に飾られたものであった。そして提示部のコーダの音形でオーケストラが力強くこの楽章を結んでいた。



       第二楽章は弦楽器とホルンによるユニゾンの重厚な和音でゆっくりと第一主題が始まるが、いつの間にかヴァイオリンの他にオーボエに変わる二つのフルートが加わってピッチカートの伴奏で美しい主題を提示していた。ホルンによる導入音形に誘われてロビンソンの独奏フルートがお馴染みの第一主題を奏で出し、弦と低弦のピッチカートが厳かに伴奏してひとしきり歌ってから、独奏フルートがゆっくりと第二主題を提示する。独奏フルートとピッチカートがついた第一ヴァイオリンの掛け合いが続き、素晴らしいアダージョになっていた。短い展開部が独奏フルート中心に展開されてから、独奏フルートにより再現部の第一主題が歌われて、ほぼ型通りに推移していたが、独奏者と2つのフルートが合奏する姿が珍しかった。ここでも技巧を発揮した第一主題中心のカデンツアが用意され、最後に独奏フルートが再び第一主題を歌いながら曲を閉じるのが珍しかった。



フィナーレはメヌエットの軽快なお馴染みのロンド主題がロビンソンの独奏フルートによりピアノで明るく飛び出してきて、これをトウッテイがフォルテで反復して始まった。経過部は弦楽器で進行し続いて独奏フルートに引き継がれて速い技巧的なパッセージが続く。続いて第一の副主題が第一ヴァイオリンとピッチカートで提示され、これが独奏フルートとトウッテイとの掛け合いで進み、独奏フルートの華やかなパッセージが繰り広げられていた。再びロンド主題が独奏フルートで現れてから、いかにもモーツァルトらしい第二の副主題がソロと弦楽器で現れて、独奏フルートが華やかな技巧を示しながら、アレグロの軽快なロンド主題に戻っていた。実に明るく目まぐるしく変化していく多彩な独奏フルート中心のロンド楽章であった。

    この第一番の演奏は、1987年の第二番の2年前の演奏であり、白黒の映像ではあったがカラーよりも鮮明に美しく撮れていた。ロビンソンの演奏は、実に生き生きとして軽快そのものであり、独奏フルートの技巧の冴えを巧みに発揮していた。両曲を通じて、映像で見るコンチェルトは、独奏フルートとオーケストラとの掛け合いが面白く、アンサンブルを楽しみながら演奏している様子が良く分かり、これは見慣れたコンサート形式では得られない雰囲気であろうと思われた。


(以上)(2014/09/01)



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