(最新のHDDから;ウイーン・アンサンブルのオペラ・アリア集)
14-4-3、ウイーン・アンサンブルの日本公演記録より、オペラ「フィガロの結婚」、「ドン・ジョヴァンニ」および「魔笛」のアリア集、
2013/6/29、横浜フィリア・ホール、

−第一ヴァイオリンの繊細なメロデイラインを中心に、第二ヴァイオリンとヴィオラがこれをしっかりと支えて複雑に伴奏をし、コントラバスが一段と低いところで低域を支えるこのウイーンアンサンブルの四重奏には独特なものがあり、モーツァルトのセレナード・デイヴェルデイメント、今回のようなオペラアリア集など、またウインナワルツなどに実にフイットしており、普段聴くものと異なった味わいを聴かせてくれた−

(最新のHDDから;ウイーン・アンサンブルのオペラ・アリア集)
14-4-3、ウイーン・アンサンブルの日本公演記録より、オペラ「フィガロの結婚」、「ドン・ジョヴァンニ」および「魔笛」のアリア集、
2013/6/29、横浜フィリア・ホール、
(演奏者)第一ヴァイオリン;アルベナ・ダイナローヴァ、第二ヴァイオリン;ライムント・リシュー、ヴィオラ;ミヒャエル・シュトラッサー、ベース;ヨーゼフ・ニーダーハンマー、
(2013/09/18及び2014/03/06、NHKクラシック倶楽部よりUSB-HDD2に収録)

    四月号の第三曲目は、最新のNHKクラシック倶楽部の2つの放送から、ウイーン・アンサンブルのモーツァルトのアリア集をお送りしたい。ウイーン・アンサンブルは、ウイーンフイルに縁のある団体であり、現在ではコンサート・ミストレスのアルベナ・ダナイローヴァをチーフとする2Vn、ヴィオラ、コントラバスの4人による弦楽アンサンブルであり、もっぱらウイーンに縁のある曲を演奏している。今回の映像は、彼らの初来日公演を収録したもので、多くの曲の中から、モーツァルトのオペラ・アリア集としてまとめたものである。「フィガロ」から序曲を含む6曲、「ドン・ジョヴァンニ」から4曲、「魔笛」から6曲を演奏しており、2つのライブ放送からアリア集として一つにまとめている。アリア集は、一般に、木管・アンサンブルで演奏されることが多いが、ヴァイオリン2、ヴィオラ、コントラバスの4人のウイーン・アンサンブルもなかなか魅力的であり、最近のお気に入り曲になっている。2013年6月29日横浜のフィリアホールでの来日公演で、彼らならではの魅力的な演奏記録であった。



    映像ではまず始めにコンサート・ミストレスのアルベナ・ダナイローヴァへのインタビューから始まり、彼女はコントラバスが加わるこのユニークな弦楽四重奏について「この編成はウイーンのダンス音楽では伝統的なもので、舞踏会などで実際に使われていた。そう言う場所で、音も大きく目立ち、リズムを取るにも有効だったので、コントラバスがヴァイオリンと一緒に使われていた」という。これらには今回演奏するような編曲だけではなく、もとからコントラバスの入った弦楽四重奏曲もあるという。モーツァルトのオペラのアリアについては、昔はフルオーケストラと歌手による公演が常に出来たわけではないので、CDやラジオの代わりに、木管アンサンブルや小さな弦楽四重奏団が各地を旅してオペラの傑作を広めたと言う。私たちは単に原曲が生まれて間もない頃に作られた四重奏のための編曲がとても面白いので、私は歌手のパートを弾きつつ伴奏もする。そして 歌手と合わせる必要がなく自由に演奏でき、普段とは違うやり方で作品に接すると同時に素晴らしい室内楽を体験できますと語っていた。



   第一曲目のオペラ「フィガロの結婚」K.492では、序曲の他、次の各曲が演奏されていた。すなわち、第二曲は第2番の「奥様がお呼びの時は」のフィガロとスザンナの二重唱、第三曲では第3番のフィガロのアリア「もし殿様が踊りをなさるなら」、第四曲では第9番のフィガロのアリア「もう飛ぶまいぞ、この蝶々」、第五曲では第11番のケルビーノのアリア「恋とはどんなものかしら」、最後の第六曲は、第15番の第二幕のフィナーレから、の6曲であり、いずれも有名なアリアが取り上げられていた。
    序曲では第一ヴァイオリンの繊細で細かな速い音色が目立ちコントラバスの厚い音色が加わって、とても軽快に弦楽合奏が疾走し、楽しい序曲となっていた。このオペラのわくわくする楽しさを見事に表現しており、直ぐに引き込まれてしまった。


第二曲のフィガロとスザンナの二重唱では、まるでオペラが始まったかのようないきいきした印象で始まっていたし、第三曲のフィガロのアリアでは、原曲に似せたピッチカートが弾むように美しく、フィガロの反骨精神がそのまま示されており、楽しい編曲であった。第九曲の「もう飛ぶまいぞ、この蝶々」では、フィガロの堂々たる元気の良さを示しているようなアリアであり、このオペラを代表する立派なアリアであると感じさせた。続く第11曲の有名なケルビーノのアリアでは、この美しいアリアがピッチカートの伴奏で見事にヴァイオリンによって演奏されており、このアリアをソプラノの声とは別の美しさで楽しめる素敵な編曲であると思われ、実に楽しいものであった。また、最後のフィナーレは、第二幕のドタバタ劇の収束を思い出させる賑やかなものであったが、この6曲のオペラアリア集を終えるに相応しい元気の良いものであった。
   第一ヴァイオリンの繊細なメロデイラインを中心に、第二ヴァイオリンとヴィオラがこれをしっかりと支えて複雑に伴奏をし、コントラバスが一段と低いところで低域を支えるこのウイーンアンサンブルの四重奏には独特なものがあり、モーツァルトのセレナード・デイヴェルデイメント、今回のようなオペラアリア集など、またウインナワルツなどに実にフイットしており、普段聴くものと異なった味わいを聴かせてくれた。



    第二曲目のオペラ「ドン・ジョヴァンニ」K.527では、次の四曲、すなわち最初に第5曲目の村の広場での合唱、第4曲のレポレロのアリア「カタログの歌」、第7曲目の「お手をどうぞ」の二重唱、および第11曲のドン・ジョヴァンニのアリア「乾杯の歌」であった。
    最初の村の広場での合唱曲では、第一ヴァイオリンが軽快に旋律を刻み、コントラバスが低音のリズムをしっかりと支え、全体としては踊るような楽しい曲になっていた。続く「カタログの歌」では、コントラバスの豊かな低音に支えられて、第一ヴァイオリンが明るく美しい旋律を歌い、後半では第一ヴァイオリンがゆっくりとお馴染みの歌をしっかりと歌い出し、見事なアリアの演奏となっていた。


    「お手をどうぞ」では、ヴィオラがまず穏やかに歌い出し、第一ヴァイオリンがこれに答えて甘く進行する二重唱となっており、実に見事な編曲でうっとりと聞き惚れざるを得なかった。最後のドン・ジョヴァンニの「乾杯の歌」では四つの楽器が速いテンポで一斉に歌い出す威勢の良い音楽になっており、歌いながら一気に収束するアリアとなって、賑やかに収束していた。いずれも明るくニュアンスに富む弦楽四重奏ならではのアリア集となっていた。出来れば、第一幕フィナーレのドン・ジョヴァンニの「メヌエット」などもやって欲しいと思ったりした。

   この放送では、続いてヨハン・シュトラウスのワルツ「南国のバラ」とオペラ「こうもり」序曲が演奏されて、実に豊かな楽しい音色で会場を沸かせていたが、もうひと組のクラシック倶楽部のライブ放送では、「魔笛」その他のウインナ・ワルツを演奏していた。



   第三曲目のオペラ「魔笛」からは、始めにイントロダクションの「助けてくれ」から始まり、続いてパパゲーノの「私は鳥刺し」のアリア、第一幕のフィナーレから「何て素敵な響き」、続いてモノスタトスのアリア「恋すれば誰でも楽しい」、パミーナのアリア「愛の喜びは露と消え」、最後にパパゲーノのアリア「恋人か女房があれば」の6曲が続けて演奏されていた。
   第一曲目のイントロダクションは「魔笛」の冒頭の音楽であり、タミーノが蛇に追われて「助けてくれ」と逃げ惑うシーンの音楽と、続いて三人の侍女が蛇を倒してから、気絶しているタミーノを前にして、女王様に誰が報告に行くか言い争う場面の音楽であり、第一ヴァイオリンを中心に実に軽やかに楽しく弾かれており、魔笛の場面を彷彿とさせる美しい音楽となっていた。続くパパゲーノの「私は鳥刺し」は、柔らかに弾むような低弦の伴奏に乗って第一ヴァイオリンが明るく歌い出していた。この曲は途中から変奏曲のように第一ヴァイオリンが細かなヴァリエーションをつけて進行し、楽しさを倍増させていた。


    続く第一幕のフィナーレから「何て素敵な響き」は、グロッケンシュピールの美しい響きをピッチカートの合奏で模倣しながら始まり、弦楽合奏で美しく仕上げるもので、フィナーレの一部分を取り出したものになっていた。モノスタトスの早口のアリア「恋すれば誰でも楽しい」は、早い弦楽合奏でこのアリアを歌い続けるもので、軽快さが売り物のように聞こえ一気に仕上げられていた。一方、パミーナのアリア「愛の喜びは露と消え」は、がらりとテンポや表情を変えて弦楽合奏で憂僻そうに始まり、切々と助けを求める悲しげなアリアであり、アリアの心情を実に良く弦楽合奏が現しているように聞こえていた。最後のパパゲーノのアリア「恋人か女房があれば」は、第一ヴァイオリンが主旋律を高らかに歌い出しており、一気に二番まで進んでから、ピッチカートの伴奏で変奏曲風に賑やかに進むもので、最後は威勢良く合奏で締めくくられていた。実に軽快そのもので進む「魔笛」のアリア集であった。

    私は同じ編成のグッゲンバーガーという第一ヴァイオリンが主宰するウィーン・ アンサンブルによるお気に入りのCD (1991)を持っており、3曲のディヴェルティメントK.136〜K.138と12のドイツ舞曲などを楽しむことが出来るが、これは今回のグループの先輩だちと考えている。この中にヨーゼフ・ランナーの「モーツアルティアン」作品196 と言う曲が入っているが、それが今回の魔笛の編曲と非常に似かよった編曲になっていた ので驚かされた。

    また、去る4月5日に東京オペラシティのコンサートホールでウィーン室内合奏 団(約10名)の日本公演を聴いて来たが、この団体もウィーンフィルのトップ・メンバーたちによって演奏されていた。この団体は、名コンサートマスターと言われたゲアハルト・ヘッツェルにより創設された団体であると解説されていた。また、現在のコンサート・マスターのライナー・キュッヒルが主宰するリング・アンサンブルという室内団体もあるようであるし、ウィーンフィルをバックにした多彩な団体が、似たようなウィンナ・ワルツを売り物にしていろいろと活動していることに改めて気がついた。いずれも肩のこらない曲をとても楽しく演奏してくれる団体なので、ご紹介しておこう。

(以上)(2014/04/14)


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