(懐かしいS-VHSのアップ;ペライアのピアノ協奏曲第20番K.466と第12番K.414)
13-6-2、マレイ・ペライアとイギリス室内管弦楽団の弾き振りによるピアノ協奏曲第20番ニ短調K.466および第12番イ長調K.414(385p)1977年制作、クラシカ・ジャパン、およびアバド指揮ベルリンフイルとペライアによるピアノ協奏曲第20番ニ短調K.466、1997/5/17ライブ、ベルリンフイル定期公演、フイルハーモニア・ホール、ベルリン、

−若いペライアの二つの協奏曲は、指揮にも独奏ピアノにも、やや神経質ないかにも慎重な演奏ぶりが見られ、観客がいないスタジオであるのに丁寧すぎ固さが目立つ弾き振りであった。一方、アバドとペライアのニ短調協奏曲は、アバドによるベルリンフイルが実に力強く重厚に響いており、木管楽器や弦楽器とピアノとの見事なアンサンブルが目立っており、ペライアのピアノは、異常なほどの熱のこもった弾きぶりを見せて、アバドとの真剣勝負かと思わせるような勢いのある充実ぶりを見せていた。この映像で見る限り、彼の故障からの完全な回復ぶりを見せた演奏であった−

(懐かしいS-VHSのアップ;ペライアのピアノ協奏曲第20番K.466と第12番K.414)
13-6-2、マレイ・ペライアとイギリス室内管弦楽団の弾き振りによるピアノ協奏曲第20番ニ短調K.466および第12番イ長調K.414(385p)1977年制作、クラシカ・ジャパン、およびアバド指揮ベルリンフイルとペライアによるピアノ協奏曲第20番ニ短調K.466、1997/5/17ライブ、ベルリンフイル定期公演、フイルハーモニア・ホール、ベルリン、
(1999年6月、736CHよりS-VHS-307.8に収録、および1998/01/04のNHK芸術劇場よりS-VHS-233.4に収録、)

         6月分の第二のソフトは、最初にマレイ・ペライアとイギリス室内管弦楽団の弾き振りによるピアノ協奏曲第20番ニ短調K.466および第12番イ長調K.414(385p)の1977年制作のものを、続いて見較べ聞き比べと称して第二にアバド指揮ベルリンフイルとペライアによるピアノ協奏曲第20番ニ短調K.466を、1997/5/17ライブのベルリンフイル定期のフイルハーモニア・ホールで演奏されたものをお送りする。このように盛り沢山にしたのは、ペライアは1990年に、つまり先月のLDを制作してから、右手親指のけがのため、演奏活動を中断しており、長い闘病生活を経て、復帰・再発・復帰を繰り返していた。この公演はやっと1997年に回復宣言を行ってからの復活公演のようであり、貴重な記録のようなので、同時にアップすることを試みたものである。


  最初の弾き振りのこの映像はカラー放送用の特別に工夫されたスタジオでの収録であり、最下段の中央に置かれたピアノの一段上の左サイドに第一・第二ヴァイオリン、右手にヴィオラとチェロに2台のコントラバス、二段上の中央に2オーボエと2ホルンが並ぶという理想的な弾き振り用のオーケストラの配置のスタジオであった。第一曲のピアノ協奏曲第12番イ長調K.414(385p)の映像は、中央のピアノに座ったオカッパのヘアースタイルのやや神経質そうな若いペライアが両手を挙げて指揮を開始したところからいきなり始まった。親しみやすい穏やかな第一主題が弦五部で始まり、第一ヴァイオリンが軽快に歌い、弦の繊細なリズムが快い。画像は良いが音声が古いせいか冴えないので、ヘッドフォンで聴くと良くなった。ペライアは途中から立ち上がって指揮をして、ひとしきりオーケストラが室内楽的に優雅に歌ってから、やがてピッチカートの伴奏で第二主題が第一ヴァイオリンにより明るく提示され、続いて二部のヴァイオリンにより明るくカノン風に進行して盛り上がりを見せ、歯切れ良い和音で管弦楽の提示部が終了した。

          ペライアの独奏ピアノは第一主題を優雅に弾きだし繰り返して進んでから、独奏ピアノがこの主題を模倣する新しい副主題を明るく引き出して美しいパッセージが連続し、これが実に優雅なサロン風な味わい。ペライアはさすがに落ち着いて、ピアノにも十分なゆとりを持って見事にパッセージをこなしていた。続いてピッチカートによる弦五部の導入で可愛げな第二主題が導かれ、独奏ピアノが元気よく引き継いで颯爽と進みだし、変奏が加えられ、華やかなパッセージが繰り広げられて、ペライアは技巧を示しながら進行して、提示部の盛り上がりを見せていた。
           展開部ではペライアが新しい主題を力強く提示し、独奏ピアノの独壇場になって技巧的にも盛り上がりを見せ、充実した変化のある展開部であった。 再現部ではほぼピアノ提示部と同様に第一主題から始まっていたが、副主題の後の第二主題が前半より拡大展開されて大きな盛り上がりを見せていた。最後のカデンツアではペライアは新全集にあるBの長い方のカデンツアを選んでいたが、明るく表情豊かにゆとりを持ってピアノに向かっており、見ている方も安心して没入することが出来た。
           続く第二楽章は、モーツァルトが1782年1月にクリステイアン・バッハの訃報に接して、この楽章の冒頭に彼の序曲の8小節の旋律を引用したとされ、オーケストラの序奏を持った二部形式の形で書かれ、それぞれの末尾にアインガングとカデンツアを持つ独自なスタイルのアンダンテとなっていた。静かにソット・ヴォーチェで弦5部の宗教的な深みを持った主題がゆっくりと提示され、そのままフルオーケストラでふたつの主題が美しく示されて序奏部を瞑想的に終えていた。続いてペライアの独奏ピアノが思いを込めてバッハの主題を奏でると、続いて新しい珠玉のようなフレーズが独奏ピアノで現れて、オーケストラを従えて淡々と呟くように語りかけていくさまは実に美しい。ペライアは心憎いばかりの思いを込めた瞑想的なアンダンテを弾き進んでいたが、主題をオーケストラに渡してから、カデンツアに似たアインガングが華やかにソロで弾かれていた。新全集に記されたBのものを弾いていた。第二部に入って今度は、独奏ピアノにより再びバッハの主題で靜かに第二部が始まって、続く初めの主題も独奏ピアノで綿々と提示され、一頻り独奏ピアノの瞑想の世界が続けられていた。終わりに、これらを回想するような短いカデンツアが丁寧に弾かれていたが、ペライアは新全集のBのものを用いていた。この楽章は、バッハの死を悼むような敬虔な楽章であり、ペライアは心を込めて静かに終えていた。

             フィナーレはロンドと書かれたアレグレットの楽章であり、いきなり弦五部の軽快に踊るようなロンド主題で開始され、続けて二つ目の主題も明るくオーケストラで提示されていた。それから満を持したようにペライアの独奏ピアノが第一のエピソードで明るく登場するが、付点リズムを持った動機が実に軽快そのものであり、ピアノとオーケストラが交互に楽しく転げ回るような楽しい楽章になっていた。再びロンド主題がピアノで現れてから、ひとしきり明るく進行してから、第二のエピソードが独奏ピアノで登場して軽快さを増しながら素晴らしい効果を上げつつカデンツアに入っていた。ペライアはここでは新全集のカデンツアAの短いものを選択し、あっという間に終わって続けてコーダに入ってからも、付点リズムの主題が顔を出し、独奏ピアノがカデンツア風にアダージョになったりして、ファンタステイックな表情を見せるなど気まぐれな変化を見せてから簡潔に終息していた。拍手が無いので、映像は直ぐに終わって、残念ながら余韻が残らずに、終わってしまった。何かしら工夫が必要と思われた。
             三つの楽章を通じて、ペライアは、指揮にも独奏ピアノにも、やや神経質そうにいかにも慎重な演奏ぶりをみせ、時には笑顔が欲しいくらいであったが、これは彼の生真面目な性格によるものであろう。観客がいないスタジオで神経を使う恐らくこの曲初めての弾き振りであったので、慎重な上にも慎重な丁寧な演奏振りを見せたやや固さが目立ったような演奏であった。しかし、もっとポピュラーなニ短調の協奏曲ではどうなるか、これからが楽しみな演奏であった。

    この映像もいきなり二人のチェロ奏者が写されて、続くピアノ協奏曲ニ短調K.466の第一楽章の暗い表情の弦による第一主題が始まった。この低減の三連符とシンコペーションのリズムによる始まりはとても重々しく、続いてフルオーケストラで繰り返されると、やがて現れるオーボエとフルートによる明るい副主題が表れて救われたようにホッとする。ペライアはピアノの前で立ち上がって指揮をしていたが、そのまま経過部となり、オーケストラが高まりを見せながら主題提示を終えていた。そこで独奏ピアノがアインガングの導入主題を提示しながら明るく歌い出す。ペライアのピアノの音がクッキリと澄んでいて美しく、ペライアは元気よく弾き出していた。そして冒頭主題の不気味なリズムのオーケストラに支えられながらピアノが細やかなフレーズで走り出してからピアノで第一主題をおもむろに再提示した。そして明るい副主題を木管とピアノで提示してから、初めて独奏ピアノが第二主題を晴れやかに美しく提示した。これは第二の主役の登場のように聞こえ、ピアノがクッキリと響き、オーボエとフルートに主題が引き継がれて、独奏ピアノが早い走句で縦横に走り廻り、ピアノの技巧を示しながら突進し、やがてペライアが立ち上がって指揮をしながらこのオーケストラによる主題提示部をしっかりと力強く締めくくっていた。


           展開部では独奏ピアノによる導入主題によって繰り返すように始まり、オーケストラと独奏ピアノが交互に高まり合いながら進行し、やがて後半では、第一主題冒頭のリズムが現れて、独奏ピアノの目まぐるしい技巧的なパッセージが激しくオーケストラと重なって進み、展開部が堂々と力強く終結していた。再現部に入ると、オーケストラの第一主題が途中から独奏ピアノに置き換わり、独奏ピアノが活躍してオーケストラを従えながら進行し、続く第二主題では独奏ピアノの後に、木管とピアノが交互に主題を提示したり、木管が主題を提示したりして進み、やがて、独奏ピアノの華やかな走句となって盛り上がりながらカデンツアへと突入して行った。ペライアはお馴染みのベートーヴェンのものを丁寧に弾いていたが、このカデンツアの後はコーダになり、ペライアはこれまで出て来た主題を回想するように指揮を取り、最弱奏の中にデモーニッシュな楽章を閉じていた。


           続く第二楽章はロマンスと題されている三部形式で、初めに独奏ピアノが実に美しくて優雅な主題をゆっくりと弾きだした。そして主題全体を呈示した後、静かに木管と弦楽器に渡されて行き、その後は独奏ピアノを交えながら歌うように進行していた。続いて独奏ピアノがトーンを変えてさらに別の新しい主題を提起するが、これはこの上もなく美しく弦の伴奏で進行し、ペライアは静かに装飾音を付けながら酔ったような表情を見せながら弾き進み、いつの間にか最初のロマンスにゆっくりと戻っていた。
           そこへ、突然、激しい独奏ピアノが、まどろみをぶち壊すように意表をついて、疾風怒濤のように激しい上昇音形で鍵盤上を駆けめぐり、木管が後押しをしながら繰り返され、素晴らしいスピードのまま盛り上がった後に静かに収まりを見せていた。穏やかなロマンス主題に対し中間部での意表をついた激しい変化は、まさに対照的であり、これこそオペラのような激変の現れであろうか。しかし、激しい嵐が去ると再びあの美しいロマンスが回帰されてゆっくりと進行し、まどろむように美しく終息していた。


             フィナーレはまだ前の楽章の激しい独奏ピアノの余韻が残されているかのような状態で、独奏ピアノで始まるアレグロ・アッサイの早い上昇する激しい第一主題で始まった。この楽章は展開部のないソナタ形式か。この主題がオーケストラに渡されてトウッテイで反復され拡大され、続いてペライアの独奏ピアノが従属主題を提示して経過部に発展していた。そこへ続けて独奏ピアノが軽快な第二主題を提示して行き、オーケストラにより反復されてからフルートが新しい主題を提示して、これが提示部のエピローグに発展していた。ペライアのピアノは終始軽快そのもので、ここではいつもオーケストラを従えながら進行していた。続いて展開部なしに再現部に移行していくが、この変化点で独奏ピアノが即興的なアインガングを入れながら再現部に突入していた。再現部の冒頭に愛一主題の上昇音形により展開部的なものが挿入されていたが、後はほぼ型通りに提示部を再現していた。エピローグの最後に短いカデンツアが組み込まれていた。このカデンツアは、ペライアのオリジナルか聞き慣れないものを弾いていた。その後はフィナーレ主題に立ち戻り、全体を引き締めるように独奏ピアノが存在感を示しながら最後のコーダに突入し、フィナーレを終結していた。映像の最後には、演奏が終わったにも拘わらず、相変わらずのペライアの神経質そうな表情が映し出され幕切れとなっていた。

     この有名な曲でも、拍手もなしに静止画像的にぷつりと終わるのは曲の余韻を感じさせるいとまがなく、コンサートの後とは異質な状態で終わらざるを得なかった。これは1977年の映像であり、彼が30歳の若い頃のもので、実にマイペースの生真面目な演奏であって、先月にLDの映像で確かめたK.467とK.595の映像とは、弾き振りのゆとりとか余裕に格段の差があるように感じた。CDと同じソースではないかと確かめてみたが、2曲ともほぼ同じものと思われるが、CDの方が格段に音質が良くなっていた。

              続いては、アバド指揮ベルリンフイルとペライアによるピアノ協奏曲第20番ニ短調K.466で、1997年5月17日ライブのベルリンフイル定期のフイルハーモニア・ホールで演奏されたものである。この映像は、98年1月4日(金)のNHK教育テレビ3CH「芸術劇場」で細川俊之が案内役で放映されており、この定期公演のメインの曲は、この曲の次ぎにアバドのブルックナーの第9番がライブで放送されていた。この時の解説では、ペライアのけがのことは何も語られなかったので、私は何も分からずに、もの凄い熱演であるという印象で終わっていたが、今になって1997年5月の収録と知って、改めて彼の一次復帰を示す貴重な映像だと驚いている。ウイキペディアでは、彼は1990年の後半に病から回復し、バッハの諸作品集を録音し、数々の賞を受賞して、演奏活動を再開したとされているが、その明確な時期は明らかでなかったからである。しかし、2005年に病が再発して演奏活動を中断しており、復帰・再発・復帰を繰り返していたが、2008年プロムス以降は継続して活動しているとあった。



    この映像では、ペライアとアバドが準備が出来たベルリンフイルの本拠地であるフィルハーモニア・ホールに二人揃って入場したところから始まっていた。ペライアが着席しアバドが周囲を見渡して、いきなり第一楽章の暗い表情の弦による第一主題が始まったが、アバドのこの低弦の三連符とシンコペーションのリズムはとても重々しい。続いてフルオーケストラで繰り返されるように進んでから、やがて現れるオーボエとフルートによる明るい副主題が表れて弦がこれに応えると、救われたようになる。アバドは落ち着いたテンポでオーケストラを力強く動かし、そのまま経過部となってオーケストラが高まりを見せながら主題提示を終えていた。



             ペライアの独奏ピアノがアインガングの美しい導入主題を弾き始めるが、ペライアのピアノの音がクッキリと澄んでいて良く響いていた。そこで冒頭主題の不気味なリズムのオーケストラが始まると、ピアノが細やかなフレーズで走り出してから、ピアノでおもむろに第一主題を再提示した。そして明るい副主題をオーボエとピアノで交互に提示してから、初めて独奏ピアノが第二主題を晴れやかに美しく提示した。この主題は第二の主役の登場のように良く響き、ペライアのピアノがクッキリと響き、オーボエとフルートに主題が引き継がれて、独奏ピアノが早い走句で縦横に走り廻り、ピアノの技巧を示しながら突進していた。そして後半をアバドが締めくくるように指揮をして、このオーケストラによる主題提示部をしっかりと力強く締めていた。
           展開部では独奏ピアノによる導入主題が繰り返すように始まり、オーケストラと独奏ピアノが交互に高まり合いながら力強く進行し、後半では第一主題冒頭の思いリズムが現れて、独奏ピアノの目まぐるしい技巧的なパッセージが激しくオーケストラと重なって進み、堂々と力強く展開部が終結していた。再現部ではオーケストラの第一主題が途中から独奏ピアノに置き換わり、独奏ピアノが活躍してオーケストラを従えながら進行し、続く第二主題では独奏ピアノの後に、木管とピアノが交互に主題を提示したり、木管が主題を提示したりして進み、やがて、独奏ピアノの華やかな走句となって盛り上がりながらカデンツアへと突入して行った。ペライアはお馴染みのベートーヴェンのものを弾いていた。この楽章は、アバドのしっかりした力強いオーケストラに対抗するように、ペライアもしっかりと独奏部を弾いており、病後のひ弱さなどは微塵も感じさせず、弾き振りの演奏よりも逞しいピアノのように感じた。



            第二楽章のロマンスでは、ペライアがアバドと視線を合わせてから、優雅な主題をゆっくりと弾きはじめ、主題全体を美しく呈示した後、静かにアバドの木管と弦楽器に渡されて行き、その後は独奏ピアノを交えながら歌うように進行していた。続いて独奏ピアノが明るく別の新しい主題を弾き始めるが、これはこの上もなく美しく弦の伴奏で進行し、ペライアもいろいろと装飾音を付けながら酔ったように美しく弾き進み、いつの間にか最初のロマンスにゆっくりと戻り、ひとしきりオーケストラが歌っていた。そこへ、突然、激しい独奏ピアノが、勢いよく上昇音形で鍵盤上を駆けめぐり、意表をついて、素晴らしいスピードで進行し、その間木管楽器が絶妙な色彩感覚で後押しをしながら繰り返されて、盛り上がった後に静かに収まりを見せていた。中間部における激しい変化から、再び穏やかなロマンス主題に戻ってまどろむように美しく進行していたが、ペライアはゆとりを持ってこのスピードあるダイナミックな独奏ピアノを処理して静かに終息していた。



             フィナーレのアレグロ・アッサイは、休む間もなく続けて独奏ピアノで始まり、早い上昇する激しい第一主題で始まった。この楽章は展開部のないソナタ形式で、この主題がオーケストラに渡されてトウッテイで反復され拡大されてから、ペライアの独奏ピアノが従属主題を提示して経過部に発展していた。そこで独奏ピアノが軽快な第二主題を提示して行き、オーケストラにより反復されてからフルートが新しい主題を提示して、これが提示部のエピローグに発展していた。ペライアのピアノは終始軽快そのもので、続いて展開部なしに再現部に移行していくが、この変化点で独奏ピアノが即興的な短いアインガングを入れてから再現部に突入していた。再現部の冒頭にオーケストラにより第一主題の上昇音形により展開部的なものが挿入されていたが、後は第一主題、第二主題とほぼ型通りに提示部を再現していた。エピローグの最後に短いカデンツアが組み込まれていたが、ここではペライアは聞き慣れたものを弾いていた。その後はフィナーレ主題に立ち戻り、全体を引き締めるように独奏ピアノが存在感を示しながら最後のコーダに突入し、フィナーレを終結していた。大変な拍手で聴衆に迎えられ、ペライアの復活を祝っての観衆の反応か、アバドやオーケストラの団員たちからも拍手が寄せられて、ペライアは握手攻めで感動的な様子が写し出されていた。映像の最後には、演奏が終わったにも拘わらず、相変わらずのペライアの神経質そうな表情が映し出され幕切れとなっていた。

      このアバドとペライアのニ短調協奏曲を全体として評価すると、第一にアバドによるベルリンフイルが実に力強く重厚に響いており、オーボエやフルートが明るく、弦楽器やピアノとの見事なアンサンブルを築いていた。第二にペライアは、異常なほどの熱のこもった弾き振りを見せており、アバドとの真剣勝負かと思わせるようにピアノに勢いがあり、若い頃のLDの弾き振りには見られなかった充実振りを見せていた。これは病後の久しぶりコンサートにペライアが見せた周年のようなものを感じさせ、この映像で見る限り、完全な回復振りを見せた演奏であり、これまで見てきたこの曲の中でも、最高にランク付け出来そうな素晴らしい出来映えであった。

(以上)(2013/06/15)


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