(新しいHDDから;エマニュエル・パユのフルートによる協奏曲と幻想曲)
13-12-2、エマニュエル・パユのフルートによるフルート協奏曲第2番ニ長調K.314-2、およびフォップス作曲、「魔笛」の主題による幻想曲、アンドルー・マンゼ指揮NHK交響楽団、N響「夏」より、NHKホール、2013年7月17日、およびパユのサンスシー宮殿コンサート、2011年6月16日より、

−今回のパユの協奏曲K.314-2は、自信に満ちた表情で各楽章で出てくる長い技巧的なパッセージを全く無難にこなしており、テンポ感も良く、明るく伸び伸びした快演であった。また、続くフォッブス作曲の「魔笛」の主題による幻想曲は、初めて聴いたのであるが、原曲の雰囲気を壊さずにフルートにアリアを歌わせ、さらにフルートの技巧的装飾を楽しむもので、味わいのある編曲であり、パユの技巧が光っていた−

(新しいHDDから;エマニュエル・パユのフルートによる協奏曲と幻想曲)
13-12-2、エマニュエル・パユのフルートによるフルート協奏曲第2番ニ長調K.314-2、およびフォップス作曲、「魔笛」の主題による幻想曲、アンドルー・マンゼ指揮NHK交響楽団、N響「夏」より、NHKホール、2013年7月17日、およびパユのサン・スーシー宮殿コンサート、2011年6月16日より、
(2013/9/15、NHKクラシック館より、BDレコーダーHDD2に収録、)

             12月号の第2曲目は、フルートのエマニュエル・パユによるフルート協奏曲第2番ニ長調K.314-2、およびフォップス作曲の「魔笛」の主題による幻想曲の2曲を、2013年7月17日のNHKホールのN響「夏」のコンサートにおいて、アンドルー・マンゼ指揮NHK交響楽団により演奏されたものをお送りする。フォップス作曲の幻想曲は、魔笛のアリアなどから、原曲を損なわないようにフルート独奏用の連続曲として編曲したもので、とても楽しかったので、知らない作曲家の作品とされているがここに追加することにした。なお、クラシカ・ジャパンの放送において、パユのフルートを中心にしたフリードリッヒ大王の作曲したフルート協奏曲ほかを、昨年見てきたベルリン近郊ポツダムのサン・スーシー宮殿の美しいコンサート・ホールで、チェンバロのピノックとともに演奏していた映像を収録していたので、併せてご紹介しておきたいと考えてみた。


最初に演奏されたのはフルート協奏曲第2番ニ長調K.314であるが、この曲のオリジナルは、オーボエ協奏曲ハ長調K.314であり、モーツァルトが間に合わせのためこれを編曲したものだという。新全集では、この曲がオーボエ版とともにフルート版が従来通りK.314として掲載されている。パユは、演奏前のNHKのインタビユーで、モーツァルトを演奏することは、自分へのプレゼントであると語り、6歳の時に「魔笛」に出合って以来、オペラも好きになった。フルート協奏曲はまるで小さなオペラのようで、ソリストとオーケストラが常に対話している。4〜5歳の時に、モーツァルトのフルート協奏曲を聴いて、フルートをやりたいと決意した運命の星のような曲と語り、特別な思いを持っているようだ。また、第2番については、初めて演奏したのは1992年ベルリンフイルのオーディションであり、それから20年経っているが、モーツァルトはいつも私を新鮮な気持ちにしてくれると語っていた。
             この曲の第一楽章は協奏曲風のソナタ形式で書かれており、アレグロ・アペルトと指示されているように、明るくはつらつとした楽章である。軽快なお馴染みの第一主題がヴァイオリンとオーボエで提示されるが、パユは最初の5小節ほどをオーケストラと一緒に演奏していたので驚いた。このことからN響の皆さんとは、かなり親しく馴染んでいるものと思われた。続いて装飾音符のついた第二主題が弦楽器で歌うように調子よく軽やかに提示されてから、明快な分かりやすい終止主題が繰り返されて、簡潔にオーケストラによる提示部を終えていた。


               ここでパユの独奏フルートが登場するが、オーケストラが第一主題を奏でている間に、独奏フルートが導入主題とともにひときわ高い二音を4小節に渡って吹き鳴らして存在感を示してから、直ちに独奏フルートが第一主題を引き継いで、16分音符の早いパッセージに入っていた。それから、独奏フルートが導入主題を提示し、技巧的な早いパッセージで歌い出していたが、パユのフルートは透明感に溢れ、音が安定しており、HVによる映像と音の美しさも加わって、直ぐに安心して音楽に浸れる体勢になっていた。続いて独奏フルートによりゆっくりした第二主題が提示されるが、パユはこの装飾のある主題を歌うように明るく提示しており、ひとしきり技巧的な素晴らしいパッセージを示してから、オーケストラが特徴のある独特な終止主題を繰り返して展開部へと突入していた。展開部では独奏フルートが先の導入主題を何回も繰り返すようにして進行し、やがて早いパッセージを繰り返す短いものであった。再現部は独奏フルート主体で、変奏された第一主題が暫く続いてから第二主題が再現されて、型通りに進行していた。カデンツアは冒頭の導入主題を利用した自由な創作によるもので、高度な技巧を駆使して、パユは自在に吹きこなしていた。



          第二楽章は弦楽器のユニゾンの荘重なアダージョ・マ・ノン・トロッポの導入主題で開始されるが、直ぐにパユの独奏フルートが明るく輝くような第一主題を提示しながら歌い継いでいく。続いて第一ヴァイオリンと独奏フルートとがかけ合うような美しい第二主題が始まるが、いつの間にか独奏フルートが主体になって美しいパッセージを繰り広げる穏やかなアダージョとなっていた。パユの独奏フルートは、輝くように装飾をしたり変奏をしたりゆっくりと進めながら、巧みに技巧の冴えを明確に示していた。短い10小節ほどの中間部を経て再現部に入り、冒頭のアダージョの主題で始まるが、いきなり変奏された第二主題が主体になって進み、珍しく再現部では第一主題は省略されていた。ここでもカデンツアを用意されており、パユは高音から低音に至るまで、タップリと技巧を示してから、最後には冒頭の叙情的な主題で静かに結ばれていた。


           フィナーレはRONDEAUと書き込まれたアレグロ楽章であるが、曲はご存じの独奏フルートがいきなり飛び出す軽快なロンド主題で明るく始まり、トウッテイで力強く反復されていた。この主題は曲の進行とともに何回か顔を出すが、モーツァルトはこの主題をオペラ「後宮」の第12番のブロンテのアリア「何と言う喜び」に巧みに転用しており、明るいモーツァルトの代名詞とも言える主題であった。しかし、主題の提示の仕方から言えば、モーツァルトに良くある変則的なソナタ形式であった。続いてオーボエとホルンに導かれて独奏フルートが新しい経過的な主題を提示てから、ヴァイオリンが第二主題を提示して、独奏フルートがこれを引き継ぎ、ひとしきり歌ってからそのままコーダを経て主題提示部が終わっていた。続いて中間部では、独奏フルートが第一主題の変形とも言えるパッセージを続けてから、独奏フルートが経過的な主題を提示し、そのまま華やかなパッセージを続け、フェルマータで一呼吸し再現部に突入していた。再現部では、独奏フルートが冒頭主題を明るく提示し、トウッテイで繰り返してから直ちに独奏フルートが第二主題を提示し、そのまま明るく目まぐるしく変化したパッセージを重ねてフェルマータに入りカデンツアになっていた。パユはここでも早いカデンツアを豊かな技巧を見せながらこなしてから、もう一度独奏フルートで明るく第一主題をこなしてからコーダで結ばれて終結していた。何度聴いても楽しいモーツァルトのロンドという印象の強い曲であった。


             今回のパユの演奏は、自信に満ちた表情で各楽章で出てくる長い技巧的なパッセージを全く無難にこなしており、テンポ感も良く、明るく伸び伸びした演奏であった。先に聴いたランパルのDVDも素晴らしいと思っていたが、しかし、実に古い録音で、映像も判然とせず、映像としての魅力は遙かにこのパユとN響の演奏の方が優っていた。これを聴いて矢張りパユは、現在のフルートの第一人者であり、まだ若い風貌なので今後の活躍が期待される。



            続くフォッブス作曲の「魔笛」の主題による幻想曲は、初めて聴いた曲であるが、全てこのオペラの旋律から取られており、オーケストラはフル−ト協奏曲よりもテインパニー、2ファゴット・2クラリネットなどが加わって、オーケストラ伴奏もほぼ原曲に近いので、恐らく、フルートで変奏して繰り返していく技巧的な追加部分がフォッブスの作曲となっているのであろう。フォッブスの名を音楽事典で確かめたが、残念ながら発見できなかった。曲はあの「魔笛」の三和音で始まるが、直ぐに独奏フルートがパミーナとパパゲーノの二重唱(第7曲)の歌の部分を美しく歌い出した。そして一通り吹き終わってから、直ちにテンポを変えてフルートは変奏しながら装飾音を歌い、クラリネトとファゴットが二重唱しながら繰り返していた。これは初めて聴くものであり、なかなか楽器が決まっていて非常に楽しいものであった。続いて夜の女王のアリア(第4曲)を独奏フルートがほぼ原曲に近く歌い出し、後半では最高音もフルートが見事に決めて、まずまずの出来で、観客は大喜びであった。



それからテインパニーなどの伴奏で、第二幕フィナーレ(第21曲)から火の試練として「魔笛」の音とともにタミーノとパミーナが試練を受ける部分を独奏フルートが歌い出したが、これはオーケストラも含めてオペラの進行と全く同様な響きで推移してとても楽しかった。原曲をいじらずに付加するだけのようだったので、なかなか立派な幻想曲になっていると感じさせた。続いて順序はバラバラであるが、第一幕冒頭のパパゲーノのアリア(第2曲)を独奏フルートが楽しげに吹き出して、観客は大喜びであった。この曲は続けて独奏フルートが派手に変奏しながら装飾音を並べて繰り返していたがとても賑やかな変奏になっていた。続いてテインパニーとトランペットが威勢良く響きだし、第一幕フィナーレの「ザラストロ万歳」の合唱の音楽がフルートのソロで歌われた。そしてそれに続いてホルンの厳かな響きとともに、第二幕冒頭のザラストロのアリア(第10番)がオペラと同じ伴奏により独奏フルートで厳かに吹かれていた。そしてそのままのトーンで最後の僧侶の大合唱の音楽が高らかに独奏フルートで歌われてオペラ同様に推移して最後に終結となっていた。



終わると、パユは満足げな表情であったが、確かに独奏フルートの連続曲のような楽しい曲であって、大拍手で迎えられ、N響の皆さんも弦を叩いて大歓迎の様子であった。観客たちも、恐らく初めて聴く魔笛幻想曲で、かくも豊かな楽しい響きを聴かせてくれたパユの演奏を楽しんで聴いたであろう。花束の持ち込みが多く、パユも丁寧にこれに応えており、日本での人気の高さを示していた。思いもかけず、「魔笛」の音楽を彷彿させる美しい音楽を聴いて、心が豊かになったような気がしたのは、私だけであったろうか。モーツァルトの偉大さを見せてくれた幻想曲であった。



パユには、最近、クラシカ・ジャパンの放送で集録した「サン・スーシー宮殿コンサート」という映像がある。この宮殿には、昨年のベルリン・ライプチヒ旅行で、途中に立ち寄っているが、残念ながら通りすがりであったため、中を見るだけでコンサートは、残念ながら聴けなかった。この映像はフルートが得意だったフリードリッヒ大王が自ら作曲したフルート協奏曲第3番ハ長調をパユが演奏していた。オーケストラは、カンマ−・アカデミー・ポツダムという小編成の古楽器集団であり、チェンバロは何とイギリスのトレヴァー・ピノックが弾いており、なかなか聴かせる演奏であった。パユはピノックという相棒を得て、同時代の作曲家のフルート協奏曲やカール・フイリップ・エマヌエル・バッハの無伴奏フルートソナタなどを宮殿内の美しいコンサート劇場で弾いており、曲の合間には、サン・スーシー宮殿の装飾の多い内装や外装のほか僂吠颪泙譴慎榲造猟躅爐鮠匆陲垢襪發里任△辰拭この宮殿は、このHPの旅行記の部分で沢山の写真で紹介している積もりであるが、宮殿内の劇場の写真は撮れなかったので、以下に、数葉、ご紹介しておこう。このコンサートは、2011年6月16日、サン・スーシー宮殿、ポツダム、とされていた。

(以上)(2013/12/17)


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