(懐かしいLDより;レヴァインとパヴァッロテイの「イドメネオ」K.366)
12-8-3、レヴァイン指揮ポネル演出の歌劇「イドメネオ」K.366、NYメトロポリタン歌劇場管弦楽団&合唱団、1982年11月6日、ニューヨーク、

− 久しぶりでこの映像を注意深く見て、今は亡きパバロッテイの健在振りやベーレンスの存在感を目にして、この映像はやはり今となっては、古いタイプの映像であることを改めて感じさせられた。しかし、過去におけるオペラセリアの古くささを一掃し、現代にも甦えさせようとしたレヴァインとポネルの意図は、かなり成功したものと思われた。その反面、登場人物たちの人間関係の描き方は、やや大雑把なように見えたが、当時としてはやむを得ないものと思われた−

(懐かしいLDより;レヴァインとパヴァッロテイの「イドメネオ」K.366)
12-8-3、レヴァイン指揮ポネル演出の歌劇「イドメネオ」K.366、NYメトロポリタン歌劇場管弦楽団&合唱団、1982年11月6日、ニューヨーク、
(配役)イドメネオ;ルチアーノ・パバロッテイ、イリア;イレアナ・コトルバシュ、エレットラ;ヒルデガルド・ベーレンス、イダマンテ;フレデリカ・フォン・シュターデ、
(1990年09月23日;パイオニア箱入りLD2枚組(15800円)SM158-3013) 

   8月号の第三曲目は、レヴァイン・ポネルによるNYメトロポリタン歌劇場のオペラ「イドメネオ」(1982)であり、レーザー・デイスクによる最初の映像で1982年のライブ映像である。このオペラはオペラ・セリア(正歌劇)という神話や古代の英雄劇を中心とした分野に属し、1970年代以前までには、必ずしも高い評価を受けていなかったが、LPやCDの普及によりモーツァルトのオペラとして、「テイト帝の慈悲」とともに、音楽的には充実した内容を伴うオペラ・セリアとして見直されてきた。その決定的な役割を果たしたものがこの映像であり、数々のオペラの名作LDを作り上げてきたレヴァインとポネルによる意欲的な作品の一つである。彼らは、まず近代的な大劇場であるメトロポリタン歌劇場を活用し、パバロッテイやベーレンスといった大型人気歌手を登用し、モーツァルト歌手として定評あるシュターデやコトルバスをイダマンテとイリヤに使うなど、有名歌手を使って、古びた田舎の小劇場でしか上演されなかったこのオペラを、近代的な大劇場にふさわしいように意識的に仕立て上げた映像であると言っても過言ではない。


    私のこのオペラを見てきた経緯については、別途に記述した「私のイドメネオ遍歴」に詳しいが、このLDは私の見たこのオペラの最初の映像であった。そしてレヴァイン・ポネルの思惑通りに、当初はこのオペラの舞台の大きさと優れた歌手陣に圧倒されていた。しかし、「遍歴」に見るように、いろいろな映像を見るようになってこのオペラの深さを知り、もっと良い舞台はないものかと遍歴を続け、最近では、ナポリのサンカルロ劇場のもの、ノリントンのザルツブルグ音楽祭のもの、ケント・ナガノの初演されたキルヴィエ劇場のものなど、優れた映像が増えてきてアップロード済みとなっている。今回このレヴァイン・ポネルの映像についても、他と同様にオペラの印象記をアップすることになったので、最初に見たときと20数年経っているが、改めてこの映像を見直して、その内容を確認したいと考えている。
               映像ではNYメトロポリタン歌劇場前の噴水が写され、それをバックに出演者たちの字幕の紹介が行われていたが、レヴァインが登場し、早速、序曲が開始されていた。曲はソナタ形式の堂々たるもので、緊張感をはらんだ第一主題が飛び出し、悲劇の翳りを表すような第二主題が続く提示部では、画面はこのドラマの時代を象徴する岩に刻まれたギリシャ風の顔が全面に写し出されていた。再現部に入ると若々しいレヴァインの指揮の姿が映し出され、序曲の後半は木管が繰り返し活躍して不安げに終了していた。


       幕が開くと舞台ではイリアが広い舞台をウロウロして長い伴奏付きのレチタテイーボを歌い出す。舞台は古代ギリシャ風の石造りの広場で、衣裳はオペラが書かれた18世紀後半のスタイルか。可憐なコトルバス扮するイリアが、手を縛られて囚われの身でありながら敵への憎しみを忘れ、命を救ってくれた王子イダマンテへの思いが募る身を嘆いていた。彼女はエレットラが恋敵であることも説明し、苦しい恋の悩みを第一曲のアリアで「父よ、兄よ、さらば」と歌い出し、今やギリシャ人を愛する罪を許してくれと歌って、歌も演技も上々であった。そこへ王子イダマンテが登場してイリアを見つけ、トロヤ人の捕虜達を解放すると告げ、イリアへの愛を告白する。セリアのアリアらしく「愛の苦しみで死にそうだ」と力強くしっかりと歌われており、終わりにはカデンツアまであり、格好の良い男装のイダマンテのシュターデが大拍手を浴びていた。


              続いて舞台では、捕虜たちの鎖が解かれ、大勢の捕虜たちとクレタ人たちが登場し、王子と王女の前で二つの民族の友好の喜びを歌う全員の合唱が始まった。そして、二人のクレタ娘の二重唱で平和の喜びが歌われ、続いて二人のトロヤ男の二重唱で、神々への感謝が歌われて、再び冒頭の全員の合唱がリフレインされていたが、実に迫力ある合唱団であった。
            そこへアルバーチェがイドメネオ王の死の悲報を伝えたため、状況は一転する。イダマンテは仰天し、早速、現地へと出発した。一方、残されたエレットラは、味方の国王を失うことになり、恋敵のイリアを前にして周囲は敵ばかりと激しい怨みのアリアを歌う。黒いドレスを身にまとい、堂々たる王女の役がピッタリのベーレンスは、さすが、ワグナー・ヴェルデイ歌手の勢いを見せ、「夜の女王」のように早く激しいアリアを堂々と歌っていた。


               舞台が変わり、場所は海辺の近くか、荒れ狂う海の嵐の中を逃げ惑う人々の助けを呼ぶ男声四部合唱が近くで始まり、続いて遠くでも神のお慈悲を求める合唱が続き、最後に再び近くでの男声四部合唱が続いていた。そして舞台では、倒れていた人々が遂に起き上がり、「ついに助かった!」と九死に一生を得たイドメネオ王と仲間たちがやつれた姿で立ち上がった。そして一人にさせてくれと仲間たちに頼み、レチタテイーボでネプチューンと生贄を捧げる約束で助かったことを語り、海神との約束に怯えながら苦悩するアリアを歌った。そこへ運悪く姿を現したのが、嵐に遭った難民を助けようと駆けつけてきた王子イダマンテであった。イダマンテは見知らぬ兵士と思って声をかけ、父と知った喜びも束の間、「お前は今ここで私と会うべきでなかった」と突き放されて、呆然として悲痛な気持ちを表すアリアが、ピッチカートの伴奏で、速いテンポで歌われた。「何故か父と会えたのに、今は死ぬほど悲しい」とアリアは歌われていた。


             ここで、大勢の兵士達や住民たちがが登場し、幕間劇(インテルメッツオ)として、まず第八曲の王の凱旋の行進曲が始まり、広場に兵士や住民たちがそれぞれ式典の位置に整列し、正面にイダマンテ、両側にエレットラとイリアが並び、イドメネオが正面から入場してきた。第九曲のネプチューンを讃えようと全員参加の合唱が始まると、イドメネオは階段を下りてきて向かえる三人の前に立つ。二人の女性による歓迎の二重唱、二人の男性によるご苦労様の二重唱が始まり、四重唱に発展して海神を讃えていた。続いて女性の二重唱の伴奏で、エレットラとイリアがお帰りのご挨拶をし、最後にイダマンテと向かい合ったが、イドメネオは顔を背けてしまい、息子と抱き合うことなく別れてしまっていた。



             第二幕に入ってイドメネオ王がアルバーチェに助けを求めると、彼は王子を遠くに逃げさせることを進言し、エレットラの故郷であるアルゴスの地に二人で行かせることにし、その手配をアルバーチェに依頼した。アルバーチェのアリアは「あなたの苦しみがこれで消えるなら」と歌い出し、私がおれば苦しみの方が逃げていくと歌う威勢の良い堂々たるアリアであった。この曲はカストラートのソプラノ歌手のために書かれたコロラチューラを伴う曲でカデンツアまで用意されていた。



               一方、イリアがイドメネオ王に、「長い間苦しみと悲しみが続いたけれど、王子が自由の身にしてくれた」とレチタテイーボで礼を述べ、フルート・オーボエ・ファゴット・ホルンの四重奏の美しいオブリガートが付いた可憐なアリアを親しげに歌っていた。このアリアは、ソプラノの歌とオブリガートが交互に進行する美しいアリアであり、この歌からイドメネオはイリアの心の変化に気が付いた。イダマンテとイリアは愛し合っていると気がついたイドメネオは、これでは一人の死と二人の悲しみの三人が生贄になってしまうと気がついた。そして「おのれ憎い海神め」と歌い出し、「せっかく海から脱出したのに、再び海神が私を脅かす」と自分の心中の不安のアリアを歌っていた。これは激しい気持ちを歌う本格的なコロラトウーラ・アリアであり、パバロッテイ向きの終結部にはカデンツアまで着いた堂々たるアリアであった。



             王子と二人で本国のアルゴスに帰ることになったエレットラは、イドメネオに感謝の挨拶をして、笑顔を浮かべながら無上の喜びのアリアを歌う。「私はこの地を離れる」と歌い出し、アリアでは、「恋しいお方が近くにおられるのならそれで良い」と歌っていたがイリアがそれを見守っていた。まだ歌い終わらぬ前に、遠くから快い行進曲が聞こえてきて、この響きは出発の合図だと歌っていた。そこへ大勢の人が浜辺に集まってきたので、エレットラは「シドンの地よ、ここは悲しみと不幸な恋の場所でした。最後のお別れをします」と挨拶をしていた。すると広場では「海は穏やかだ。出発だ」という群衆による合唱が静かに始まっていた。その合唱の中間部では、船を前にしたエレットラが「優しい西風よ、冷たい北風を静まらせてくれ」と美しい穏やかな歌をソロで歌い、再び大勢の合唱が繰り返されていた。



               そこへ王と王子が駆けつけ、三人による別れの三重唱が始まった。イドメネオは、国を治める全てを学んでこいと王子に激励し、エレットラに幸せになれと歌い、イダマンテにはこれが運命なのだと語っていた。三人のそれぞれの思いを込めた三重唱が続くうちに、どうやら急に嵐が迫ってきたようであった。画面は突然暗くなり、音楽は嵐が急に迫る音楽に変わって人々は騒ぎ始めた。そして第17番の新しい嵐の合唱が始まり、「神々の怒りが嵐を呼んでいる、ネプチューンよ、お慈悲を、誰が罪人なのだろう」と歌っていた。嵐は続き、益々激しくなってくるので、イドメネオ王は大勢の逃げ惑う人々に対し、そして天に向かって「罰せられるのは私だ」とレチタテイーボで白状し「罪を犯したのは私一人だ。私だけを罰してくれ」と叫んでいた。海は荒れ狂い、さらに第18番の「走れ、逃げろ」の大合唱となり、浜辺では大混乱の中で第二幕が終結していた。



            第三幕は、王宮の広場の前で純情なイリアが、一人寂しく甘いそよ風に託して自分の気持ちを伝えたいと愛の歌「そよ風よ、彼に伝えて、愛していると」と歌っていた。イリアの声も良く、テンポも良く、伴奏も美しく、素晴らしいアリアであったが、その場でイダマンテにも聞こえていた。怪物が人々を傷つけており、私が死を覚悟で行って、怪物を退治しなければならないとイリアに別れを告げていると、イリアに「死んではなりません」と言われて、二人は互いに苦しみを打ち明け、愛を心から誓い合うことになり、素晴らしい愛の二重唱が始まった。最後のアレグレットで二人は抱き合ってしまったが、それをイドメネオ王とエレットラに見られてしまった。



             二人は驚くが、イダマンテは開き直って、父に「何故私を避け、敵視なさるのか」と述べ「私はこの地を出ていきます」と、短いオーケストラの前奏の後、四重唱が始まった。この四重奏は、四人のそれぞれのこの場の思いを歌うもので、イダマンテは「一人で当てもないさすらいの旅に出よう」と歌い、イリアは「死んでもついて行きたい」と歌い、イドメネオは海神を憎み自ら犠牲になりたいと願い、エレットラは嫉妬の余り復讐を誓っていた。この四重唱は各人の思いを見事に歌ったもので、感動に満ちたアンサンブルになっていた。これを見ていたアルバーチェは、長いレチタテイーボで「王宮は苦悩の館だ」と語り、シドンの街の滅亡を心配するアリアを歌っていた。この曲も自由な三部のアリアでカデンツアがある本格的なもので大拍手があった。



                 場面は引き続き王宮前の広場、激しいオーケストラの前奏が始まり、高僧が登場して伴奏付きのレチタテイーボで王に呼びかけた。「今や町中は流血と死人で溢れている。王よ、もう一刻も猶予は出来ない。生贄は誰か」と迫った。イドメネオは「皆のものよ、聞いてくれ。生贄はイダマンテだ」と悲痛な声で答えると、「何と恐ろしい誓い!」と大合唱が静かに始まった。「王子に罪はない。誓いこそ無情だ」と高僧がソロで歌い、再び合唱が悲しげに復唱されていた。



               全員が悲痛の思いで退場すると海神の大神殿の前広場ではゆっくりした行進曲が静かに始まって、イドメネオはゆっくりと高僧とともに祭壇に進んで席に着いた。ピッチカートの伴奏によって第26番のカヴァテイーナと合唱が始まり、イドメネオが「海神よ、生贄をお受け下さい」とソロで高らかに祈りが始まり、続いて祭司たちの男性合唱が続いて、神事が始まろうとしていた。そこへ突然に勝利の歌声が遠くから聞こえて来て、アルバーチェが、「イダマンテが怪獣を退治して勝利した」と皆に説明をしていた。全員がどうなるかと驚いていると、そこへ全てを悟ったイダマンテが静かに登場し、あなたの困惑は父親の愛であることが分かったと父に静かに呼びかけて、、父親に刀を手渡してひざまずいた。



             そしてイダマンテは、レチタテイーボで「命を授けてくれた人へ命をお返しします」と死を覚悟して頭を差し出した。父は罪のないわが子には出来ないとひるんでいたが、「私の代わりにイリアを娘として」と頼まれ、息子に父は励まされて、遂に「息子よ、許せ、死んでくれ」となって二人は最後の抱擁をしていた。そこへイリアが、突然、「王様、お待ち下さい」と飛び込んできたが、高僧に「生贄を惑わすな」と退けられていた。イドメネオが決意を固めて刀を振り上げたとき、地下で大きな物音が聞こえ、祭司長を初め全員が祭壇の前に釘づけになった。




    そこで厳かなトロンボーンの響きが三度こだまし、地下から信託の声が響き渡り、「愛が勝利した。イドメネオは退位し、イダマンテが王になり、イリアは妻になれ。海神も納得し、天も満足しよう」。ここでは、第28d番の「声」を使っていた。この意外な突然の結末に、イドメネオはただ「慈悲深い天よ」と祈るだけで言葉がなく、イダマンテとイリアは抱き合い、それを聞いた民衆は呆然と立ちすくんでいた。




             実に感動的なシーンであったが、その時、エレットラが突然に、恋人を取られて嫉妬に駆られて半狂乱になって長いレチタテイーボを歌いだし、「私の心臓を引き裂いておくれ」と速いテンポのアリアを歌いだした。半狂乱の実に激しいアリアで素晴らしかったが、場違いのような感じのアリアで、彼女はその場に倒れて担ぎ出されていた。




               一件落着して、やがてイドメネオは、最後の布告をし、王子イダマンテにクレタの土地とその政権をゆずるレチタテイーボを歌い、新しい王と王妃を紹介した。そして最後の第31番のアリアで、「再びクレタに平和が訪れたこと」を全員にしみじみと歌って聴かせていた。カデンツアまで聴かせていた。そして最後の第32番の祝典の大合唱がフルオーケストラで始まり、舞台は大勢の人々が賑やかに新しい二人を祝福し、ハッピーエンドの大団円となった。イドメネオが静かに立ち去る姿が印象的で感動的な終わり方であった。










     久しぶりでこの映像を注意深く見て、今は亡きパバロッテイの健在振りやベーレンスの存在感を目にして、この映像はやはり今となっては、古いタイプの映像であることを改めて感じさせられた。著名なこのお二人は存在感があっても動きが少ないことが分かり、ステージの巨大な広がりを示す宮殿前広場とギリシャ風の彫像の巨大な顔が、いつも舞台の背景として支配していたからである。この広い空間を満たしていた大勢の兵士や群衆の度重なる登場と彼らの盛大な合唱の多さが、このオペラの重要なポイントであるが、これらは他の映像には見られないほど壮大でこの大劇場さながらの迫力ある見せ場を作っていたようだった。この巨大な空間を背景にしたレヴァインの描くイドメネオの音楽の力強さは十分に迫力があり、あの巨大な彫像の口から響いてくる圧倒的な「天の声」などは、これを初めて聴いた18世紀の人々は、鳥肌が立ったように驚いたことであろう。この大劇場による「イドメネオ」の舞台は、過去におけるオペラ・セリアの古くささを一掃し、現代にも甦えさせようとしたレヴァインとポネルの意図は、かなり成功したものと思われよう。

       しかし、その反面、登場人物たちの人間関係の描き方は、やや大雑把なように見えた。例えば、有名な三重唱や四重唱の場面などで、登場人物たちは自分の思いをそれぞれ心を込めて歌っているのであるが、映像では登場人物たちが4人並んで歌っているだけで、音楽に合わせた動きやアンサンブルには無縁のように思えた箇所があった。また、「愛の勝利だ」と発した天の声を引きだした「愛の描き方」において、イダマンテと父親との愛に葛藤が重視され、イリアの身代わりになろうとした彼女の健気な姿などが、リブレットや他の映像に較べて音楽劇として不足していると改めて感じさせた。

     今回この映像を改めて丁寧に見ようと考えたのは、この第三幕最後の場面の「天の声」の描き方であるが、「声」についてはモーツァルトは4種類の「声」を用意しており、それぞれ言葉の長さやオーケストレーションが異なっていた。そして「さらば」と首を差し出したイダマンテの身代わりに、イリアが「私が生贄です」として身代わりになろうとして、長いレチタテイーボを歌う重要な場面があるが、このイリアの動作やセリフの長さなどがまさに演出者の好み次第になっており、それぞれの映像に微妙な違いを作り上げていると感じてきた。オペラにはいろいろな決定的場面があるが、「イドメネオ」のこの場面も、過去のどんなオペラにもなかった決定的場面の一つであると考えられよう。

      以上の通り、この映像は古いオペラセリアの「イドメネオ」を現代の劇場のオペラのレパートリーに加えさせたという重要な意義を持っており、後続するこのオペラの上演に、非常に大きな刺激を与えたものと思われる。また、このオペラには、今回の「初演版」の他に「ウイーン版」があり、このオペラの評価に当たっては、この「版の問題」についても検討しなければならない。まだ、未アップの古いこのオペラの映像が二つ残っているが、今回と同様にそれらを改めて見直した上で、全体で8種類ある映像の善し悪しについて別途、論じたいと考えている。

(以上)(2012/08/20)


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