(最新購入のDVD;ロヴェレートにおける2006年祝祭コンサート)
12-1-2、イタリア・モーツアルト協会主催の「モーツアルトの旅路・開催前夜祭」、オーラ・ルドナー指揮ボルツアーノ・トレンテ・ハイドン管弦楽団、
(曲目)三台のピアノのための協奏曲K.242「ロドロン協奏曲」、デイヴェルテイメントヘ長調(第10番)K.247「第一ロドロン・セレナーデ」、ほか、2006年1月14日、ロヴェレート、イタリア、

−ロドロン伯爵家のためにモーツァルトが書いたゆかりの曲を、2006年のモーツァルト・イヤー祝祭コンサートにおいて収録した「粋なDVD」を、偶然、入手した。三台のピアノのための協奏曲K.242とデイヴェルテイメントK.247の大好きな2曲であり、演奏も音楽祭で活躍するハイドン管弦楽団。ロヴェレートのイタリア・モーツァルト協会の貴重な活動記録であった−

(最新購入のDVD;ロヴェレートにおける2006年祝祭コンサート)
12-1-2、イタリア・モーツアルト協会主催の「モーツアルトの旅路・開催前夜祭」、オーラ・ルドナー指揮ボルツアーノ・トレンテ・ハイドン管弦楽団、(曲目)三台のピアノのための協奏曲、K.242「ロドロン協奏曲」、デイヴェルテイメント、ヘ長調(第10番)K.247「第一ロドロン・セレナーデ」、ほか、2006年1月14日、ロヴェレート、イタリア、(ピアノ)A.ロマノフスキー、A.ムーツア、A.ノーゼ、
(2011年10月29日、新宿タワーレコード、PIANISSIMO DMM-508、イタリア輸入盤)

        新年の第二曲目は、モーツァルトが最初のイタリア旅行で大歓迎を受けたロヴェレートにおいて、2006年のモーツァルト・イヤーの最初の1月14日に「モーツァルトの旅路」の前夜祭としての意義をこめたイタリア・モーツァルト協会主催のコンサートのDVDをご紹介したい。この地にはこの協会の本部があり、毎年秋にモーツァルトの音楽祭がこの地で開催されてきており、このHPでは1990年の音楽祭の映像が(7-10-2)に紹介されているほか、2002年〜2004年の音楽祭への訪問記が掲載されている。


        このDVDには、この地に本家の宮殿がある「ロドロン家」にちなんだ曲、三大のピアノのための協奏曲K.242および第一ロドロン・セレナードK.247の2曲の他、余り聴かれないミハエル・ハイドンの交響曲が取り上げられていた。会場はロヴェレート市内の2003年頃に新設された近・現代美術館の中のホールで、ロヴェレート音楽祭で何回か訪問している会場であった。偶然にタワー・レコードの店頭で見つけたDVDであったが、非常に懐かしく思ったので、新年の曲目に選んでみた。演奏はボルツァーノ・トレント・ハイドン・オーケストラであり、実に明るく伸びやかなイタリア風のモーツァルトを聴かせていた。このオーケストラは、この地で何回か聴いている1960年に設立された古い団体であった。
最初の三台のピアノのための協奏曲第7番ヘ長調K.242では、第一・第二・第三ピアノが指揮者側から奥に右・左・左と置かれた珍しい配置となっていたが、このスタイルでは、指揮者とピアニスト全員がお互いに顔を見合わせて弾くことが出来、理想的な配置のように見えていた。


     第一楽章のアレグロでは、トウッテイで力強く第一主題が開始され、堂々と主題が示された後に、優雅な第二主題がオーケストラで提示されて提示部が終わっていたが、この曲のオーケストラの威勢の良さはこの提示部まで。三台のピアノによる冒頭主題の迫力ある導入の3小節の斉奏は非常に力強く、さすが三台のピアノであるとの存在感が示されていた。直ちに第一ピアノが巧みな装飾音を付けながら主題を提示し、続いて第二ピアノに渡され、最後に第三ピアノとなるが、第三ピアノはお付き合い程度。直ぐに第一ピアノによる輝かしいパッセージが現れて、第二ピアノに渡され三台の合奏になってから、第二主題が第一・第二ピアノの協演で始まっていた。それからはオーケストラの手を殆ど借りずに三台のピアノにより追いつ追われつで進行してから、最後にオーケストラが提示部の締めを行っていた。
     展開部では第二ピアノが飛び出してから、第一・第二ピアノのが協演して第三ピアノが相づちを打つ形で進行する殆ど三台のピアノだけの世界であった。やがてオーケストラが冒頭第一主題の3小節を力強く開始して再現部に突入したが、直ぐに第一ピアノの装飾音が輝きだし、続いて第一・第二ピアノの協演に移行していった。カデンツアは新全集に記載された第一・第二ピアノ中心のカデンツアで聴き覚えのあるもの。三人は互いに顔を見合わせながら合わせて弾いていたが、全体を通じてこの三人のピアノはまずまずの出来映えで、曲の楽しさを十分に味合わせてくれた。




       第二楽章は、アダージョの短いながらソナタ形式であり、オーケストラで美しい第一主題が優雅に提示されてから第一ピアノに渡され、三台のピアノが主旋律を綿々と繰り返していた。続く第二主題はいきなり第二ピアノにより提示され、第一・第二ピアノが互いに入れ替わったり合奏したり、時には第三ピアノが顔を出したりして、繰り返し変奏をしたり装飾をしたりして歌われていた。展開部では第一ピアノがスタッカートで歌い出し、第二ピアノが加わって実に美しいピアノの世界を作り出すが、第三ピアノも加わって、三台のピアノの持ち味を生かしオーボエが良く響いたデイヴェルテイメントのような遊びの世界を築き上げていた。再び再現部に戻って第一・第二主題が提示部と同様に型通りに進んでいたが、殆ど三台のピアノだけで進行しており、最後はオーケストラが全体を締めていた。8小節の短いカデンツアは、三台のピアノで三人三様の弾き方で煌めくような響きが珍しく、この優雅な楽章が静かに終了していた。




       フィナーレは、テンポ・デイ・メヌエットと示された三拍子のメヌエットの性格を持つロンド形式で、始めに踊り出すような早いテンポで、第一ピアノがロンド主題を提示する。直ぐにオーケストラとピアノに渡され、さらに新たな主題が導かれて素早く展開されていくが、この楽しげなロンド主題は、ABACABAの形をとって都合4回も現れ、実に華やかであった。第一クープレでは第一ピアノが素早く主題を提示して、第二ピアノと交互に主題を提示し、カデンツアの変わりに短いパッセージを経てロンド主題に移行していた。第二クープレでは第二ピアノが素早いエピソードで駆けめぐり、第一ピアノもこれを追いかけて目まぐるしく華やかな雰囲気を印象づけて、盛大に盛り上がっていたが、ここでも短い技巧的なパッセージを経てロンド主題が登場し、軽快に華やかに楽章を終えていた。




   ピアノは若い三人のピアニストであり、解説に詳しく紹介されていたが、ここでは一言だけ氏名を紹介しておこう。第一ピアノは1984年ウクライナ生まれの俊英Alexander Romanovskyであった。第二ピアノはAlbert Noseであり、11歳の時にザルツブルグのモーツァルト・コンクールで優勝して認められた英才である。第三ピアノのAlexia Muzaはアテネ生まれであり、1999年からイタリアのイモラ音楽院で学び、多くの国際コンクールに入賞しており、イタリア・モーツァルト協会のコンサートの常連になっている。

      第2曲目は、ミハエル・ハイドン(1737〜1806)の交響曲第28番ハ長調MH.384であったが、恐らくこのオーケストラがその名の通り得意にしている曲なのであろう。アレグロ、ロンド、フィナーレの三楽章構成で、モーツァルトの初期のシンフォニーにも見られない独自の曲のように思われた。

  第三曲目は、第一ロドロン・セレナーデ(夜曲)と呼ばれるデイヴェルテイメントヘ長調(第10番)K.247の演奏であり、弦5部と2ホルンの小編成の典型的なデイヴェルテイメントである。この曲には、同じ編成の行進曲ヘ長調K.248があり、2メヌエットをもつ6楽章の構成で、1776年ザルツブルグのロドロン伯爵夫人の霊名の祝日のために作曲された。モーツアルトは翌1777年にも同じ目的のためにデイヴェルテイメントK.287を作曲しているので、このK.247は「第一ロドロン・セレナード」と呼ばれている。ハイドン管弦楽団はよく見ると、第一ヴァイオリンが7人、第二ヴァイオリンが6人、ヴィオラとチェロが4人づつでバスが3人という弦24人ホルン2人の26人の構成であり、この曲にはむしろ大きい規模の編成に見えた。


    新全集では、行進曲ヘ長調K.248から始まっていたが、この演奏では第一楽章からいきなり開始されていた。アレグロの第一楽章は、ああこの曲かと思い出させる軽快なアレグロであった。その昔、イ・ムジチなどのLPレコードで聴いた懐かしい出だしである。第一主題は大きく二つに分かれ、途中からユニゾンで弾かれるテーマが歯切れ良く軽快に進み、続く第一ヴァイオリンで流麗に弾かれる第二主題が美しい。この楽章はこの二つの主題を中心にソナタ形式で作られているが、この演奏では提示部の繰り返しが行われて展開部に入るがこれは趣を変える程度のもの。再現部は、再び、第一ヴァイオリンを中心に弾むように軽やかに弾かれ、ホルンの安定した吹奏が豊かに響き心地よく、第二主題もほぼ提示部通りであった。終わりのコーダで思い出したように冒頭の第一主題が顔を出すのが心憎かった。



      第二楽章のアンダンテ・グラチオーソは、第一ヴァイオリンで始まる穏やかなゆったりした主題のアンダンテで、繰り返しが二つもあり、ロンド形式か、ここでこの主題が何回か繰り返され変奏されるセレナードに相応しいロマンス風の楽章であった。
       続く第一メヌエットは、弦とホルンの合奏による力強い堂々たる歯切れの良いメヌエットで、中間部のトリオがホルンの合奏で始まり弦がひとしきり歌うトリオが明るいが翳りがあり珍しく感じた。

       第四楽章は弦5部による穏やかなアダージョでソナタ形式。第一ヴァイオリン中心の第一主題と第二ヴァイオリンとヴィオラの主題を第一ヴァイオリンが受け取って完成させる第二主題がとても美しい。短い趣向を変えただけの展開部に続いて再現部は提示部と同様に型通り進む穏やかで美しいセレナード楽章であった。
       第二メヌエットは何度も聞いた軽快でリズミックに進行するメヌエットで、ホルンが明るく響き、ピッチカートによるポンポンという結びが実に快い。トリオは弦の合奏による美しいもので歯切れ良いリズムが心地よい。



        フィナーレは合奏による重々しいアンダンテの序奏で充実した響きで始まる。続いてトウッテイにより軽快なロンド主題が飛び出すが、この楽章のロンド主題はABACADABAの通り、4つの挿入エピソードを挟んで5回登場する。中央の二つのエピソードは、新しい陽気で軽快な主題であり繰り返されるロンド主題も溌剌として、この楽しいデイヴェルテイメントに相応しい大型のフィナーレであった。

        ボルツアーノ&トレント地域を代表するハイドン管弦楽団は、実に軽快にこのデイヴェルテイメントをまるで自分たちの曲のように、楽しみながら演奏しているように見えた。ザルツブルグのロドロン家とロヴェレートのロドロン家は親戚であり、レオポルドが、ザルツブルグで得た情報を元に安心していける場所を人づてに求めたことが良く分かり、少年モーツァルトが地域の人から大歓迎を受けたのも良く分かる話である。

  この演奏を聴いている1月始めに、2012年9月13日から16日の4日間にわたって、ロヴェレート音楽祭2012を実施するというイタリア・モーツァルト協会のアーナルド・ヴォラーニ会長より連絡が届いた。2006年のモーツアルト・イヤー以来、諸般の関係で音楽祭への参加を中断していたが、フェラインの仲間で復活を希望する会員が多く、早速、準備を開始している。最近は、ザントナイオペラ劇場が改装中なので、このDVDの美術館のホールが中心となるであろうが、このホールが出来る前は、ロドロン伯爵邸を利用したり、モーツァルトがオルガンを弾いたサンマルコ教会でコンサートを聴いていた。恐らくこのDVDのハイドン管弦楽団にもお目にかかることになろう。改めて、音楽祭の参加を楽しみにしている。

(以上)(2012/01/18)


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