(最新収録のDVD;ダヴィッド・フレイのピアノ協奏曲第22番&第25番)
11-8-4、ダヴィッド・フレイのピアノとジャープ・ヴァン・ズヴェーデン指揮、フィルハーモニア・オーケストラによるピアノ協奏曲第22番変ホ長調K.482、および第25番ハ長調K.503、2010年8月、ロンドン、

−この最新のDVDを見て、ピアノの音がキラキラと輝いており、音色の響きが綺麗な音楽的センスの抜群の若いピアニストが誕生したと思った。このピアニストを知るためにパソコンでいろいろと検索をしてるうちに、このDVDの25番ハ長調k.503のレハーサル部分が約10分ぐらいに5分割されて、U-tubeにアップされていることが分かった。2010年8月にロンドンで収録されたこの最新の録音の様子が、レハーサルではあるが動画で確認でき、グールドに似たと言われる姿やピアノの音を確かめることが出来るのでご覧頂きたいと思う。−

(最新収録のDVD;ダヴィッド・フレイのピアノ協奏曲第22番&第25番)
11-8-4、ダヴィッド・フレイのピアノとジャープ・ヴァン・ズヴェーデン指揮、フィルハーモニア・オーケストラによるピアノ協奏曲第22番変ホ長調K.482、および第25番ハ長調K.503、2010年8月、ロンドン、
(2011年5月14日、銀座山野楽器店にて購入、Virgin Classics EDV2403)

    8月号の第四曲目は、僅か30歳のフランスの新人ピアニスト、ダヴィド・フレイ(David Fray 1981〜)によるピアノ協奏曲第22番変ホ長調K.482、および第25番ハ長調K.503であり、ジャープ・ヴァン・ズヴェーデンの指揮によるフィルハーモニア・オーケストラの演奏で、2010年8月、ロンドンで収録された最新の映像である。この新人ピアニストは2004年のモントリオール国際音楽コンクールで第2位となったあと、浜松で異色の功績賞を受賞するなど特異な才能を評価されており、毎年1枚のシューベルト・バッハ・リストなどのCDを続けてリリースして、今回初めてモーツアルトのピアノ協奏曲と取り組んでいた。若くしてバッハを取り上げ、緻密なピアノの音色を得意とし、ピアノに覆い被るような姿勢や、オーケストラとの協演でハミングするなど、グレン・グールドに似た一面があり、彼の奥さんが俳優のリッカルド・ムーテイのお嬢さんであることも注目される側面になっている。
    今回の協奏曲の映像は、スタジオで収録されたものであり、二曲とも前半にフレイがピアノを弾きながら指揮者と対話するレハーサル風景があり、続いて本番が演奏されていたが、フレイもオーケストラも全員が普段着のままで収録されていた。しっかりしたオーケストラにピアノが繊細な響きで応えた演奏であり、普段着のリラックスした伸びやかなモーツアルトが収録されていた。堅苦しい公開演奏を嫌ったのも、グールドに似ているからなのかもしれない。



    このピアニストを知るためにパソコンでいろいろと検索をしてるうちに、このDVDの25番ハ長調k.503のレハーサル部分が約10分ぐらいに5分割されて、U-tubeにアップされていることが分かった。2010年8月にロンドンで収録されたこの最新の録音の様子が、レハーサルではあるが動画で確認でき、グールドに似たと言われる姿やピアノの音を確かめることが出来る。そのため、最初の二つの部分の映像をこのHTMLファイルに共有させてもらい、埋め込みコードをコピーして貼り付けて見たので、U-tubeを最初にご覧頂きたいと思う。最初の1/5の映像では、ハ長調協奏曲K.503の独奏ピアノの冒頭の導入部の部分をどんな感覚で弾くかをフレイが指揮者と議論をしたり、途中からピアノを含んだ提示部の最初の部分が演奏され、2/5では続けて第二主題から提示部を終えて、展開部から再現部に入ったところまでが収録されている。

ピアノ協奏曲第25番ハ長調第一楽章のレハーサル;1/5、および
ピアノ協奏曲第25番ハ長調第一楽章のレハーサル;2/5、


最初に第25番ハ長調K503からDVDを始めると、曲はファンファーレ風に第一主題が堂々と力強く始まっていたが、何と指揮者もオーケストラも全員がレハーサルと同じ夏の普段着の姿で演奏していた。シンフォニーのような勢いで堂々と開始されたこの曲は、スタッカートで始まる調子の良い経過部を経て、同じスタッカートの新しい副主題に発展しながら朗々と進行し、オーケストラの主題提示部を終えていた。ここでフレイがレハーサルで繰り返していた独奏ピアノの導入部が始まり、即興風の独奏ピアノによる長いパッセージがひとしきり続いていたが、フレイはピアノに覆い被さるような姿勢で、意味ありげな表情で早いパッセージをこなしていた。やがてオーケストラにより冒頭の第一主題が始まり、続いて独奏ピアノが主体になって力強く再現されていたが、ここがこの曲の一番素晴らしいところか。続いて独奏ピアノは華麗なパッセージを繰り広げ、新しい副主題に続いて歌謡性に富んだ愛らしい第二主題を提示し、後は駆け抜けるように早いパッセージを繰り広げ、あるときはオーボエとファゴット、続いてフルートとオー ボエなどと互いに歌い交わしていた。
展開部では先に示された副主題を独奏ピアノが弱音で提示してから繰り返し、木管に引き渡していたが、この弱音でのソロピアノの美しさは見事でセンスの良さを見せつけていた。再現部では独奏ピアノが主体となって、第一主題、副主題、第二主題の順に再現されており、フレイの独奏ピアノの速い動きが冴え渡っていた。終わりにカデンツアが弾かれていたが、新全集にないので自作なのであろう。冒頭の独奏ピアノのフレーズに始まり,いろいろな主題が追想的に現れる技巧たっぷりのカデンツアであった。



第二楽章は、展開部を持たないソナタ形式か。オーケストラで優雅な第一主題がアンダンテでゆっくりと開始されるが、いきなりオーボエとファゴットが、そしてオーボエとフルートが華やかに主題を繰り返していた。続いて直ぐに踊るような感じの面白い第二主題がオーケストラで奏されてから、独奏ピアノが始めからゆっくりと第一主題を繰り返していくが、ここでピアノのパッセージと木管群との対話が繰り返されて実に美しい。続いて独奏ピアノが第二主題をゆっくりと提示していくが、後半で独奏ピアノが幻想的な自由なパッセージを呟くように弾きだし、それにオーボエとフルートの和音が重なって実に美しい三重唱になっていた。フレイはこのような自由な幻想的なパッセージを実に丁寧に綺麗に弾く人で、彼の人気の秘密がこのようなピアノにあると思われた。再現部に入ってここでは独奏ピアノが主体になって各主題が繰り返されていたが、あの美しい三重唱も丁寧に再現されてカデンツアもなく静かに終結していた。



この曲のフィナーレでは、軽快なアレグレットのロンド主題が弦楽合奏で調子よく始まるが、これに管楽器が応えるように上昇音型で応答して繰り返されると、今度は低弦楽器が応答する形で三つ巴でロンド主題が明るく進行していた。そこへ独奏ピアノが新しい主題で登場し、分散和音風なパッセージで進行してから、第一のエピソードがピアノで軽快に現れる。この主題はロンド主題と似ているが、独奏ピアノが奏する16分音符の三連符による早いパッセージで勢いよく進行し、冒頭のロンド主題が独奏ピアノで軽快に始まった。ロンド主題は勢いよく先の三つ巴の姿になっていたが、ここで独奏ピアノにより第二のエピソードが始まり、初めに悲しげなメロデイがピアノで現れた後に、突然、独奏ピアノが春が来たような伸びやかな旋律を奏で出す。この美しい旋律はオーボエに引き継がれ次いでフルートでも歌われていき、独奏ピアノに戻されて明るいのどかな雰囲気となっていた。そしてもう一度、全体が繰り返されて穏やかな雰囲気に戻った後に、再び、冒頭の軽快なロンド主題が始まった。突然現れた、つかの間の幻影のような聴かせどころを独奏ピアノのフレイは良く心得ており、その後の目まぐるしいピアノの活躍が続いて、カデンツアの置き場がないまま急速にエンデイングとなっていた。
この一気呵成の収束に、見ているものは拍手を送りたくなるが、残念ながらスタジオ演奏なので拍手がない。何となく格好がつかなくて残念に思っていたら、フレイを初めオーケストラ全員がサンキュウの言葉とともに和やかに談笑を始めて、この立派な演奏の終了を祝っていた。

      このフレイの演奏はピアノの音がきらきらと輝いており、モーツアルト演奏において今後も注目していきたいピアニストの一人であると思っている。先ほどのU-tubeの演奏が、途中で中断して残念に思う読者のことを考えて、以下に、残りの2/5から5/5まで、通してアップロードするので、この曲のフィナーレが終わるまで、確かめて頂きたいと思う。

ピアノ協奏曲第25番ハ長調第一・二楽章のレハーサル;3/5、
ピアノ協奏曲第25番ハ長調第二・三楽章のレハーサル;4/5、
ピアノ協奏曲第25番ハ長調第三楽章のレハーサル;5/5、




このDVDの第二曲目はピアノ協奏曲第22番変ホ長調K482を選んでいたが、フレイのピアノに合った良い曲を選定していると思った。第一楽章はトウッテイで堂々と現れるアレグロの行進曲調の響きで第一主題が開始されると、フルートが高らかに美しく鳴り響き、クラリネットに続いてファゴットにとメロデイラインが明るく響き、再びトウッテイで堂々と結ばれていた。続いて弦楽器のカンタービレが美しい第二主題が現れて、ひとしきり歌ってから提示部が結ばれていた。ここでフレイの独奏ピアノが長いアインガングで存在感を示しながら登場し、第一主題が堂々と始まってピアノが装飾しながら繰り返されから、独奏ピアノが華やかにパッセージを繰り広げて走りだした。やがて独奏ピアノが第二主題とも言える新しい主題を登場させてから、独奏ピアノが走句のように走り出し、時には弦楽器を相手に、あるときは木管楽器を従えて、早いパッセージが繰り広げられていた。
展開部ではこの新しい主題のリズムが用いられ、華やかに動き回る独奏ピアノの早いパッセージを軸に木管と弦が応答を続けていたが、まさにフレイの出番のような木目の細かさを持った展開部であった。再現部ではオクターブのユニゾンの流れるようなピアノの走句に彩られた第一主題が顔を出し、後半が華やかな独奏ピアノのパッセージで結ばれてから、本来の第二主題が木管の美しい響きとともに独奏ピアノで現れ、続いてピアノ提示部の新しい主題も顔を出していた。新全集では自作のカデンツアは示されていなかったが、フレイの持ち味を生かしたような細やかなしかし華麗な技巧を持ったものが弾かれていた。




     第二楽章のアンダンテは、静かな弦4部だけで始まる深い情感を湛えたような美しい主題が一通り演奏されるが、この曲は5つの変奏を持つ変奏曲の主題提示部となっていた。続いて独奏ピアノが登場してピアノによりこの主題が繰り返されていくが、途中から早くも変奏がどんどん行われて終わってみれ独奏ピアノによる第一変奏となっていた。続いて二つのクラリネットが主体になって、フルート、二つのファゴット、二つのホルンによる木管だけの7重奏による優雅な第二変奏が行われていた。第三変奏は独奏ピアノによる力強い和音による変奏が始まり、途中から弦の伴奏を加えて力感溢れる堂々たるピアノ変奏になっていた。
第四変奏は一転して、フルートとファゴットの二重奏の対話と弦楽器を加えた美しい変奏であり、まるでデイヴェルテイメントのような錯覚さえ起こさせた。続いてフルオーケストラとピアノによる堂々たる第五変奏がフィナーレの形で力強く開始され、全体を盛り上げるとともに、ピアノがひとしきり技巧的なパッセージを続けた後に、結びの形でファゴットとピアノと弦楽合奏による夢のように美しい豊かなアンサンブルの世界が顔を出して楽章が結ばれた。フレイのピアノは出るたびにキラキラと輝いており、彼のピアノは、協奏曲の核として見事なアンサンブルの美しさを醸し出していた。変奏曲と言いながらまるで幻想曲のようなこの美しい楽章が、ブルグ劇場の初演時にアンコールされたというが、当時の観客は非常にレベルが高かったものと思われる。





     フィナーレのアレグロは、軽やかにスキップを踏むようにピアノと弦楽合奏で始まるロンド主題であり、実に生き生きと弾むように開始され、しており、続いてホルンや木管の合奏も加わって、まるで狩りの音楽の夜に軽快に進み出す。そして輝くような早い独奏ピアノのパッセージが続き、早いピアノが木管と重なったり,弦楽器が伴奏しながらの後に、独奏ピアノが第一のクープレに突入する。この愛らしい主題もピアノから木管に渡され、技巧的なめまぐるしいピアノのパッセージが続けられてから、冒頭のロンド主題が再現していた。続いてフェルマータの後に現れる第二のクープレは、クラリネットが中心となる木管の奏するゆっくりしたメヌエット風のアンダンテイーノ・カンタービレとなり、セレナードのような和やかな雰囲気になっていた。そしてピアノと第一ヴァイオリン、クラリネットと木管アンサンブル、さらにピアノと弦楽器にピッチカートの参加という順番に穏やかなカンタービレが繰り広げられていた。
再びフェルマータの後、冒頭の軽快なロンド主題が再現され、いつの間にか第一クープレの愛らしい主題も再現されてから短いカデンツアがあって、最後は再びロンド主題が登場して、サービス満点の賑やかなフィナーレが終了していた。



      この最新のDVDを見て、音の響きが綺麗な音楽的センスの抜群の若いピアニストが誕生したと思った。山野楽器店で出会い頭に求めた、1680円の格安の曲目が良いDVDであったが、将来期待の出来そうな新人ピアニストであると思った。素質や天性みたいなものを備えていると思われるので、これから研鑽を積んで、グールド二世のような個性的なピアニストに育っていくことを期待したい。バッハが最も得意なようなので、バッハ好きの旅行仲間たちにも、 バッハのU-tubeの演奏を添付しておきたいと思う。

(以上)(2011/08/12)


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