(懐かしいアナログテープより;ウイルドナー・デユー演出のライプチヒオペラの「コシ」 K.588)
 11-6-2、ヨハネス・ウイルドナー指揮、ジョン・デユー演出、ゲヴァントハウスO&CHOによるライプチヒオペラによる「コシ・ファン・トッテ」K.588、1995年制作、ライプチヒ、

−超モダンな舞台に合わせたかのように、全体としては、ウイルドナーのやや早めのテンポで小気味よくきびきびと進行する現代的演奏であり、ゲヴァントハウス管弦楽団の弦や木管の美しさが目立っていた。歌手陣はこの歌劇団の主役たちであったが、中でもフィオルデリージが素晴らしい声で他を圧倒していた。超モダンな演出の反面、リブレット上ではむしろ極めて原作に忠実で伝統的であり、その面ではまだ安心出来るものであった−

(懐かしいアナログテープより;ウイルドナー・デユー演出のライプチヒオペラの「コシ」K.588)
11-6-2、ヨハネス・ウイルドナー指揮、ジョン・デユー演出、ゲヴァントハウスO&CHOによるライプチヒオペラによる「コシ・ファン・トッテ」K.588、1995年制作、ライプチヒ、
(配役)フィオルデリージ;エヴァ・バルトーリ、ドラベラ;アネッテ・マルケルト、デスピーナ;ヘンドリケ・ヴァンゲマン、フェランド;サンホ・チョイ、グリエルモ;ロベルト・ハイマン、アルフォンゾ;ロ−ランド・シューベルト、
(2000年06月17日、クラシカジャパンの放送をS-VHSテープに3倍速で収録)

    第二曲目は、古いS-VHSテープからの映像であるが、ウイルドナー指揮、デユー演出、ゲヴァントハウスO&CHOによるライプチヒ・オペラによるオペラ「コシ・ファン・トッテ」であり、この映像をアップロードすると「コシ」の全20映像のアップが完了することとなる。この映像は1995年制作であるが、演出者のジョン・デユーは、斬新な現代風の演出をする演出家として知られており、 既に「フィガロの結婚(1995)」(8-8-3)および「ドン・ジョバンニ(1994)」(10-10-2)はアップ済みであって、この映像で彼のダ・ポンテ三部作が完了となる。映像はやはり当時としては現代風な奇抜なもので、現代のスポーツクラブの二人のバドミントン選手とその監督といった姿で男三人の三重唱が始まり、彼等の恋人たちもクラブに出入りする現代の生き生きした若い女性たちであった。この三部作はほぼ同じ時期の公演なので、出演者たちもかなり共通しており、当時のライプチヒ・オペラの団員たちによる三部作と理解して良いであろう。



    古いS-VHSのテープでも新しいヘッドフォンで聴くと、高音部が俄然クリアーになるが、序曲はオーケストラの総奏で威勢よく始まり、木管が高らかに響きだして「コシ・ファン・トッテ」の合奏でアンダンテの序奏部を終えると、やがて速めのテンポで序曲の主部が軽快に始まり、ぐいぐいと力強く進行していた。序曲の間は、ヨハネス・ウイルドナー指揮のゲヴァントハウス管弦楽団のオーケストラ・ピットでの颯爽たる演奏の様子が映し出されていた。
  序曲が終わると幕が開くが、明るく広々とした舞台に、男が3人。若くて逞しい二人のバドミントンの選手がラケットを手にして、監督風の大男に何やら文句をつけている様子で勢いよく三重唱が始まっていた。どうやら監督が二人の選手の恋人たちの悪口を言ったらしい。二人は証拠を見せろとか決闘だとか騒いでいたが、アルフォンゾが「女の貞節なんて不死鳥伝説と同じ」と歌い出した。選手二人は裸になってシャワーを浴びながらの三重唱となり、口論が続いていたが、やがてアルフォンゾの「賭けようか」の一言で三人は意見が一致。着替えた二人が早速、賭けに勝ったつもりで祝杯を挙げようと調子よくセレナータを歌い出し、「愛の神様のために乾杯!」と元気のよい三重唱になっていた。舞台は明るい配色のスポーツ会場で、現代的なスピード感覚を持つ登場人物たちにより、このオペラの物語は元気よく開始されていた。



    場面が変わって舞台は薄暗い写真の現像室か。女性二人が離ればなれで何かやっており、それぞれが恋人たちの額縁大の顔写真を引き伸ばして、お互いに「ねえ、見て頂戴」と、美しい弦の伴奏でアンダンテの二重唱が始まっていた。二人はお互いにいい男と誉め合っているうちにテンポがアレグロになって、二人は恋をすることは愛の苦しみを味わうことだと歌っていた。ドアが開くと舞台は少し明るくなり、女二人の衣装が奇抜な超モダンであり、家具やオーデイオ装置などが見えていた。そこへ大男のアルフォンゾが現れて、「ひどい運命だ」と泣きそうな顔をして「恋人たちが王様の命令で急に戦地に出征することになった」と告げた。ビックリ仰天する女二人の前に、申し訳なさそうな顔をした男二人が登場し、恋人たちは抱き合って悲しみながら、「このように運命は人の心を裏切るのだ」と五重唱になっていた。泣いてしがみつく女性に得意顔の男二人、アルフォンゾは勝負は最後だぞとそれぞれの思いが歌われて、終わりにはもの凄い抱擁とキッスでこの美しい涙の五重唱が延々と続いていた。


     頃合いを見てアルフォンゾがリモコンをオーデイオに向けて操作すると、賑やかな太鼓の音とともに合唱団が歌う「軍隊万歳」が聞こえてきた。何というあっさりした簡略化か。時間がないと急ぐアルフォンゾに対し女性二人は、苦しくて死にそうと歌いながら、美しいピッチカートの伴奏で「毎日手紙を書いてね」とアデイーオの別れの五重唱となり、笑いを誘う美しい五重唱であった。再びアルフォンゾがリモコンを操作すると、「軍隊万歳」の合唱が始まり、4人は最後の抱擁をして男二人は元気に部屋から出て行った。
    広い舞台は再び現像室。三人が残されて、女性二人は引き伸ばした写真を手にしながら座ったままで「風よ穏やかに、波は静かに」と素晴らしい三重唱が始まり、「この願いを聞き届けたまえ」と祈るように歌っていた。しかし、アルフォンゾは一人になると本性を表し、「わしも役者だな」と歌いながら次の作戦を考えていた。



    場面が変わって大きな電気掃除機を押しながらデスピーナが登場し、「女中なんか最低!」と言いながら、チョコレートを舐めて「おいしい」と喜んでいると、すっかり悄気た格好で姉妹が力なく登場し、デスピーナを見るとドラベラが「お下がり」と大声を上げていた。そしてドラベラは「絶望的なのよ」と言いながらデスピーナに当たり散らし、「不安が私をかき乱し」と早口の半狂乱のアリアを威勢よく一気に歌っていた。 何が起こったのですとデスピーナ。戦場に行ったのよと言うと、直ぐに帰ってきますわと平気な顔。泣いて悲しむのは無駄。むしろ彼らが戦場でやっているように、浮気でもすればよいわとの返事。デスピーナは「男に、兵士に、誠実を求めるなんて」と馬鹿にしながら歌い出し、調子に乗って仕舞いには踊り出していた。


    アルフォンゾが現れ、デスピーナにお金をちらつかせて見方にし、姉妹にいい男を紹介したいと持ちかけると、デスピーナは直ぐに乗ってきた。そこで髭とターバンのアラビア風に変装した男二人をデスピーナに会わせると、彼女は何国人かと不思議がり二人の変装に気がつかず、六重唱が始まった。そこで大騒ぎしていると姉妹が男がいると怒って出てきたので、男二人は相手の女性をここから変えて、グリエルモはドラベラに、フェランドはフィオルデリージに声をかけ、早速、大げさに求愛を始め、女性たちを怒らしてしまった。この段階で男性が女性を選ぶのは、珍しい演出のように思われた。



    そこでアルフォンゾが男二人を親友だと改めて紹介し直しすると、アラビア人はますます図に乗ってアモーレとしつこく姉妹に迫っていた。「厚かましい」とフィオルデリージは怒りだし、私たちの気持ちは「岩のように微動だにしない」と男二人の前で激しく歌い出し、後半のコロラチーラの部分も見事に決まって男二人を退けていた。しかし、アラビア人たちは平気で、グリエルモがドラベラに「愛らしい瞳よ」と歌い出し、フェランドがフィオルデリージにアモーレと遠慮なく迫ったので、遂に姉妹は呆れて逃げ出してしまった。男二人はもう賭に勝ったとばかり、大笑いの三重唱となっていた。ここでフェランドが「愛のそよ風が」とドラベラへの愛を歌うウラウラのアリアを歌っていたが、長くて場違いの印象であった。貞淑な娘が二人もいると、モンローの写真の前でアルフォンゾはデスピーナと作戦会議。しかし、デスピーナは任せておいてと自信たっぷりであった。



    フィナーレが始まって、姉妹は奇抜なゴルフカートに乗り、明るいゴルフウエアのスタイルで登場。「たった一時で全てが変わってしまった」と姉妹が美しい二重唱で嘆いていると、そこへアラビア人の二人が「死ぬんだ」と姉妹の前で砒素を飲み、うずくまってからダラリと倒れ込んでしまった。さあ大変。姉妹はデスピーナを呼び、助けなければとなって姉妹は倒れた二人に近づいて、何となく介抱の真似事を始めていた。デスピーナが化けたお医者さんが登場し、メスメルの磁石を男たちに当てると、ショックで二人は飛び上がって動き始めた。しかし、気がついて介抱してくれていたのが夢にまで見た女神だったので、再び求愛を始めた。それがしつこく、体にも触れ始めたので、姉妹たちが怒りだした。そして音楽が速いテンポになり、男たちがキッスを求めだしたので、姉妹は遂にカンカンとなり、男二人を突き飛ばしていた。男たちにとっては楽しいお遊びでも、攻められる女たちにとっては大げさな馬鹿騒ぎであり、最後はゴルフカートで逃げ出して、第一幕が終了となっていた。





第二幕は姉妹一人一人に用意された豪華な二つのバスタブの入浴シーンで始まり、思わず目を見張る。デスピーナが姉妹に話しかけながら、爪を研いだり、体を洗ったりしており、「女も15歳にもなれば」と歌い出していた。「イチジクを食べたからといって、リンゴを捨てるなんて勿体ない」という浮気の奨めをし、ゴシゴシと手伝いながら男のあしらい方のコツを教え込み、「気に入ったみたい」と喜んでいた。     2人はデスピーナの話に驚いたが、浮気するわけでなし少しは楽しんでみようかしらと、まずドラベラが軟化して「私は褐色さんがいいわ」と歌い出した。フィオルデリージも続いて「私はあの金髪さん」と明るい二重唱となり、アルコールも効いてきて次第にご機嫌になって、最後には2人は踊り出してしまっていた。そこへアルフォンゾから電話がかかってきて「庭に出てみないか」というお誘いがあった。



   庭に出てみると、木管の甘いセレナーデの前奏が始まり、アラビア人二人が畏まって「そよ風よ、聞いておくれ」と歌い始めていた。そこへドレスアップした姉妹が登場して4人による素晴らしい合唱になっていた。かくして改めてお見合いは成立したが男二人は声が出ない。「お手をどうぞ」の音楽が始まり、アルフォンゾが男二人を導きこれまでの無礼を心から詫び、一方、デスピーナは姉妹に過去のことは忘れましょうと言い聞かせて、4人を一つの椅子に座らせたので、二組の男女のぎこちない会話がぼつぼつ始まった。
   フィオルデリージが「少し歩いてみない」とフェランドの手を取って先に行きだしたので、グリエルモは後を追いそうになってドラベラと大騒ぎした後、ドラベラが軟化しているのに気がついて、贈り物を手渡してみると反応があり山が動き出した。グリエルモはドラベラに「ハートを差し上げます」と歌い始め、始めは遠慮していたドラベラも安心してハートの素敵なペンダントを受け取ってしまい、二人は互いに気を許し始めた。そして「目をつぶって」と言われた隙に、胸のロケットも交換させられてしまい、歌の終わりには二人はすっかり抱き合ってしまっていた。



    一方のフィオルデリージは、散歩の途中でヘビだ、トカゲだ、と言って大騒ぎ。フェランドが心配して覗き込むと、「私の心の平和を乱すから、これ以上私を苦しめないで」とレチタテイーボで応えながら、美しいロンドを歌い出した。このアリアは「恋人よ、お許しください」と二つのホルンのオブリガートがついた美しいアリアであり、後半は速いテンポになって「貞節のみが苦しみを忘れさせてくれる」と自分を励ましていた。     これを見ていたフェランドが、グリエルモに報告しドラベラの様子も尋ねるが、ドラベラのロケットを見せられて、フェランドは「僕のロケットだ」と半狂乱。どうしたらよいか忠告してくれとグリエルモに尋ねると、彼は「女どもは良く浮気をする」とアリアを歌い出した。このアリアはパンテイア・パンテイアと調子よく歌われるもので、グリエルモは興に乗って舞台から客席に降りて女性客の手を取りながら歌って、凄い拍手を浴びていた。ここで続くフェランドの第27番のアリアは省略されていた。



    ドラベラがデスピーナに贈り物のペンダントを見せながら、「彼は口がうまく石でも陥落してしまう」と自慢しているとフィオルデリージが現れて、「私も新しい人を愛しているの」と思わず本音を語ってしまった。ドラベラが喜んで「恋は盗人、恋は誘惑の蛇」と歌い出し、「これで二人とも花嫁さんね」と陽気に歌っていた。この彼女の浮き立つ気持ちを表すアリアは、明るく上機嫌で歌われて彼女の本日一番のアリアであった。



    一方、フィオルデリージは一人になって、ふと思いつき、戸棚にあったグリエルモの軍服を取り出してきて、手を通しながら「これでもう少しの辛抱で、恋人のところへ行けるわ」と歌い出した。グリエルモが私だと気がついてくれるかしらと心配しながら歌っていると、そこへフェランドが突然現れ、剣を取り上げてこれで胸を突き刺してから言ってくれと二重唱になっていた。ひるむフィオルデリージに対しフェランドは「あなたの心か、私の死か」と必死で迫ると、さすがのフィオルデリージも「神よ、お助け下さい」となってしまった。そしてオーボエの伴奏とともに、「あなたの勝ちよ」と言わせてしまい、二人は初めてしっかりと抱き合ってしまった。

    これを遠くから見ていたグリエルモは半狂乱。得意顔で現れたフェランドとともに賭けに破れた二人は、アルフォンゾに「結婚するんだ」と命令され、挙げ句の果てに、アルフォンゾに従って三人は終わりに「コシ・ファン・トウッテ」と合唱していた。



    フィナーレに入って大勢の派手なユニフォームを着た合唱団たちが軽快な伴奏に乗って結婚式の準備で忙しい。二つの大きなテーブルの用意が出来てウエデイング・ドレスの花嫁たちと新郎が合唱団により祝福されて入場し、二組がテーブルについてシャンペンを注いでいた。そしてフィオルデリージが「あなたの杯と私の杯の中に」とラルゲットでゆっくりと歌い出すと、続いてフェランドが、そしてドラベラがカノン風に続けて素晴らしい乾杯の四重唱が始まっていたが、ショックが大きかったグリエルモだけが加わらずに、「けしからん女狐め!」と歌っていたのが面白かった。



    そこにデスピーナが扮する公証人が登場し、賑やかに結婚誓約書を読み上げて4人にサインをさせようとしていたが、頃を見てアルフォンゾがリモコンのスイッチを押すと、あの忌まわしい「軍隊万歳」の音楽が聞こえてきた。さあ大変。あの恋人たちが帰ってくると皆が大騒ぎし、新郎たちはいち早く逃げ出し、花嫁たちはウエデイング・ドレスを脱ぎ捨て、部屋にただよってきた大きなバルーンに身を隠そうとしていた。そこへ恋人たちが元気で戦地から戻ってきたが、部屋の中が何かおかしい。姉妹は青ざめて口もきけないし、隠れていた公証人がデスピーナの変装だったりし、挙げ句の果てに結婚証明書まで見つかってしまった。



    姉妹は万事休すとばかり二重唱で前非を悔い、死に値すると謝っていたが、男二人がターバンを巻いて出てきたので、姉妹は恋人たちが変装していたことに初めて気がつき、アルフォンゾばかりでなく、恋人たちにもだまされていたことに気がついた。     アルフォンゾは確かに私が悪かったが、これで恋人たちも以前より遙かに利口になった筈だと言い、最後に6人全員が勢揃いして声を合わせて歌っていたが、どうやらこの舞台の恋人たちは、原作のリブレット通りに元の鞘に収まったように見えた。このオペラでは冒頭のスポーツクラブからして、驚くような新規な着想で見るものを驚かせてきたが、リブレットの進め方は伝統的な解釈であり、その意味ではまだ安心して見ておれた。



    これで1995〜96年代のジョン・デユー演出のライプチヒオペラのブッファ三部作は全て見終わったことになるが、私の印象では現代物への読み替えオペラとしては1990〜91年代のピーター・セラーズに次ぐ三部作であり、これらと同様に三作ともほぼ共通の演出者のポリシーで完結されていたと思われる。このオペラの評価は、何はともあれ、この演出面での超現代的な斬新さをどう受け止めるかと言うことに尽きよう。冒頭のスポーツクラブ、薄暗い写真の現像室、オーデイオや電気掃除機の活躍、ゴルフ場のカートの出現、あっと驚く入浴シーンの登場など奇抜なアイデアに驚かされるばかりでなく、登場するたびに着替えをした女性陣のモダンな衣装に目を見張るとともに、最後まで女性の恋人たちに気付かせなかったアラビヤ人への変装の巧みさなどが際立っていた。反面、リブレット上では、セリフ面では海浜のどこかであり船で出発したりと、むしろ極めて原作に忠実で伝統的であり、結末も元の鞘に戻って、安心出来るものであった。逆に言えば、この原作の制約範囲内で、いかに超モダンなことが許され得るかという試みが追求されたようにも思われた。


    一方の音楽面では、モダンな舞台に合わせたかのように、全体としては、ウイルドナーのやや早めのテンポで小気味よくきびきびと進行する現代的演奏であり、ゲヴァントハウス管弦楽団の弦や木管の美しさが目立っていた。歌手陣では男性のグリエルモのハイマンとアルフォンゾのシューベルトおよび女性のフィオルデリージのバルトーリが、この歌劇団の主役たちであり、中でもフィオルデリージが素晴らしい声で他を圧倒していた。音楽の進行面では、通常省略される第7番の二重唱と第24番のフェランドのアリアの他に第27番のフェランドのカヴァテイーナが省略されていたのが珍しかった。

    当初の恋人たちの組み合わせがどの時点で変わったかについては、この演出は珍しくアラビア人に変装した最初の頃からであり、これはこの男たちの変装が上手で、長い髭と深く被ったターバンや服装などが成功したためで、この演出では男たちが女性を選んだと言えよう。それは第二幕のフィナーレで、当初の兵隊の服装でターバンをつけて出てきた男たちを見て、女性たちが恋人たちにも騙されていたことに初めて気付くシーンから明らかである。一方、オペラ終演後に恋人たちがどう変わるかについては、この演出ではリブレット通りに元の鞘に収まる真面目な演出であった。超モダンな演出では、ストーリーにも影響が現れそうと思われるが、この演出では節度のある演出であったと言えよう。

    この映像を見終わって、このオペラ「コシ・ファン・トウッテ」の全映像20組を全て目を通し、自分なりの文章化が完成したことになる。この全体をどう言う風にまとめるかについては、まだ十分考えていないが、このオペラを語る上で欠かせないベームのLPや映像、あるいは3種類の映像を残したムーテイや2種類の映像を残したアーノンクールの映像を中心に考えていくことになろう。暫く、時間を頂きたいと思う。

(以上)(2011/06/17)


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