(最新購入のDVD;モーツァルト・イン・ザルツブルグ、モーツァルテウム)
11-12-1、ハンス・グラーフ指揮、モーツァルテウム管弦楽団によるオールモーツァルト・コンサート、(曲目)交響曲ニ長調K.95(73n)、/ピアノ協奏曲ハ長調第21番K.467、/コンサートアリア(ロンド)K.577、/レチタテーヴォとアリアK.486a(295a)、/交響曲第39番変ホ長調K.543、
(演奏者)ピアノ;マリア・テイ−ポ、メゾソプラノ;クラウデイア・カリッシュ、 モーツァルテウム大ホール、ザルツブルグ、(1991)、

−このオール・モーツァルト・コンサートは、ベームやヴェーグなどにより築かれてきたザルツブルグの伝統を引き継いだオーストリアの指揮者グラーフによる1991年ザルツブルグ音楽祭におけるコンサートであり、当時のザルツブルグの古き良きスタイルを偲ばせる貴重なコンサートの映像である。グラーフの後継の指揮者ユベール・スダーンは1994年から音楽監督を務めたが、それ以降このオーケストラは、ピリオド奏法的なスタイルにすっかり変わっており、このDVDで聴ける豊かな響きは過去のものになっている−


(最新購入のDVD;モーツァルト・イン・ザルツブルグ、モーツァルテウム)
11-12-1、ハンス・グラーフ指揮、モーツァルテウム管弦楽団によるオールモーツァルト・コンサート、(曲目)交響曲ニ長調K.95(73n)、/ピアノ協奏曲ハ長調第21番K.467、/コンサートアリア(ロンド)K.577、/レチタテーヴォとアリアK.486a(295a)、/交響曲第39番変ホ長調K.543、
(演奏者)ピアノ;マリア・テイーポ、メゾソプラノ;クラウデイア・カリッシュ、 モーツァルテウム大ホール、ザルツブルグ、(1991)、
(2011年11月25日、銀座ヤマハ店にて購入、Imperial DVD Classic SOPI-YSD-1013)

       12月号の第一曲は、11月に購入したばかりのDVDで、グラーフ指揮モーツァルテウム管弦楽団の「Mozart in Salzburg」を紹介する。最新入手ではあるが、古いザルツブルグのモーツァルテウム・大ホールでのオール・モーツァルト・コンサートであり、交響曲全集をCD化しているグラーフが指揮をして、前後に二つの交響曲を置き、中間部にピアノ協奏曲とソプラノのためのコンサートアリア2曲をはさんだザルツブルグならではの洒落たコンサートであった。このDVDは、前回のグルダのピアノ・リサイタルと同様に「Imperial DVD Classic 」というドイツレーベルの古い映像で、録音の日付が明記されておらず解説書も添付されていない輸入DVDであったが、値段も1400円で驚くほど安かった。しかし、演奏内容や画質・音声はまずまずの一級品であった。

   ハンス・グラーフはリンツ近郊生まれでグラーツ音楽院出身。84年から94年までモーツァルテウム管弦楽団の音楽監督として活躍し、交響曲全集など多くのモーツァルト作品のCDを残している。私は舞曲・メヌエット集や行進曲集などは持っているが、交響曲は初めてであり、彼の映像も今回が初めてであった。このDVDには収録年月が書かれていなかったが、コンサートマスターのマーカス・トマージが写っているので90年以降の映像であろうと思われた。しかし、画面の何処かに1991Loftと書かれていた。




   趣味の良いコンサートの第1曲目は、交響曲ニ長調K.95(73n)で、調べて見ると1770年ローマで第一回イタリア旅行中に書かれた作品であった。第一楽章と第二楽章がフェルマータで繋がったイタリア序曲風の作品で、第三楽章のメヌエットは後で追加されたものと考えられており、軽快なアレグロの第一楽章と第四楽章は主題や雰囲気が似かよっていた。2オーボエと2トランペットと弦5部の構成で出来ており、第二楽章では、トランペットが休み、2オーボエが2フルートに置き替えられていた。

        第一楽章は、繰り返しのないソナタ形式のアレグロで、軽快で明るい早いリズムの第一主題が飛び出し、その開放的な響きは正にイタリア序曲であった。続く主題も似たようなリズムで颯爽と進行し、これは指揮者グラーフのお気に入りのシンフォニーと見た。一気に再現部に突入し、第一主題の後半が変形されて明るく進行していた。そいて最後のフェルマータで一息ついてから、アンダンテの楽章に直接入り弦五部で優雅な主題を提示して、二本のフルートがこの主題をアリアのようにゆっくりと美しく歌い出していた。短い楽章であるがソナタ形式で書かれ、フルート協奏曲のようにフルートが旋律を奏で、グラーフは最後の繰り返しまで丁寧に繰り返して演奏していた。




         第三楽章はオーボエやトランペットを含んだ華やかな響きのメヌエットであり、堂々と三拍子のリズムを刻んで進行してからトリオに入り、第一ヴァイオリンと第二ヴァイオリンが掛け合うように進む穏やかなトリオが続いてから、再びメヌエットに戻っていた。フィナーレは繰り返しはあるが展開部のないソナタ形式のアレグロで、そのリズミックな軽快な第一主題は第一楽章と関係があり、続く第二主題は軽妙で明るくヴァイオリンで提示されていた。グラーフは提示部の繰り返しも、最後の繰り返しもしっかりと行っており、コンサートの始まりを告げる序曲のように一気苛性に仕上げていた。

        第二曲目はピアノ協奏曲第21番ハ長調K.467であり、ピアニストはマリア・テイーポ(Maria Tipo)という女流であったが、残念ながら音友社の「ピアニスト2008」に見当たらず、情報がないまま聴き始めた。弦のユニゾンで始まる行進曲風の第一主題が明るくリズミックに始まって弦と管の応答が続いてからトウッテイによる経過部がリズミックに進行していた。グラーフはトランペットとテインパニーが刻むリズムに注意を払いながら進めており、途中からオーボエやフルートが明るい響きを見せる副主題が登場して、終始明るい響きの中でトウッテイで行進曲が堂々と進行し、第一主題のみで提示部を短く終了していた。


        そしてファゴットとフルートに導かれるように独奏ピアノがアインガングにより明るく登場し、トリルを繰り返しているうちに、第一主題が始まって、テイーポの独奏ピアノは力強くこれを引き継いで、華やかなパッセージで威勢がよく進行していた。テイーポは大柄で鍵盤に向かう姿は逞しいが、ベーゼンドルファーで弾かれるパッセージは繊細で一指乱れず軽快に弾かれていた。やがて独奏ピアノがト短調交響曲の冒頭を思わせる副主題を繰りかえして明るく印象づけてから、軽快な第二主題が独奏ピアノで歌うように現れた。そしてピアノがオーケストラと競い合うように素晴らしいパッセージを見せながら急速に進行し、次第に高揚しながらオーケストラとともに提示部を締めくくる盛り上がりを見せて展開部へと突入して行った。
        展開部ではテイーポの独奏ピアノが独壇場。まさに絢爛たるピアノの技巧が示されていたが、テイーポはオーケストラとも対等に向き合い、大胆に力強くピアノを弾きこなしていた。再現部では提示部とは主題の順序が異なっており、オーケストラで第一主題が呈示された後、独奏ピアノがこれを引き継いでから、直ぐに第二主題がピアノで再現されたり、後半で第一主題のトッテイによる提示の後オーボエやフルートが明るい響きを見せる印象深い副主題が現れたりしていた。最後のカデンツアでは、第一主題の中からお気に入りのパッセージを流暢に弾き流していた。




       第二楽章は弦楽合奏で始まる美しい静かなアンダンテ楽章で、コントラバスのピッチカートと第二ヴァイオリンとヴィオラの三連符による豊かな伴奏に乗って、第一ヴァイオリンが美しいテーマを歌い出し、その甘い調べにはつい引き込まれてしまう独自の美しさがある。やがて木管も加わって、静かな美しいオーケストラの世界を築き上げてから、独奏ピアノが自ら左手で三連符を弾きながら登場し、弦楽合奏のゆっくりしたピッチカートによる豊かな伴奏に乗って右手でこの主題を明快に弾きだした。テイーポは一音一音克明に弾き、右手と左手を交差させたりしてひとしきり美しく歌ってから華やかなトリルにより終結していた。中間部に入って新しい主題がピアノによって示されるが、この中間部のピアノがなんと美しいことか。テイーポはここでも一音一音ゆっくりと確かめるように丁寧に弾いており、ここでピアノとオーケストラで交わす対話は何とも夢見るような美しさがあった。再び冒頭の静かな主題に戻るが、ここでは始めから独奏ピアノとオーケストラで始められ幾分変奏されて進行するが、独奏ピアノの方も幾分装飾を交えて弾かれており、ごく短いコーダの後にひっそりと静かに終息していた。カデンツアはなく、落ち着いた爽やかな感じのする美しい楽章であった。




        第三楽章は、アレグロ・ヴィヴァーチェ・アッサイの華やかな主題で始まる展開部を欠いたソナタ形式。オーケストラでロンド主題に似たな明るく軽やかな第一主題がトウッテイで始まり繰り返されてから、弦と木管の交換があって、フェルマータの後に独奏ピアノが短いアインガングで登場し、改めてこのロンド風な主題を軽快に弾きだした。再びオーケストラに主題を渡してから、独奏ピアノによる流れるような16分音符の副主題が走り出し、テイーポは勢いよく軽快にパッセージを弾き進めていた。オーボエに続いてフルートも加わった木管合奏で示された第二主題が提示されると直ぐにピアノに引き継がれ、再び16分音符のピアノの走句が続いて、快調なピアノのペースとなり、オーケストラと対話したり従えながら進行していた。再びフェルマータの後に再現部に突入して、独奏ピアノがロンド風な冒頭主題を弾き出すが、今度は順序を変えてソロ、トウッテイの順で第一主題が再現されていた。再び独奏ピアノが走り出し、第一主題・第二主題と独奏ピアノが鍵盤上を走り回るように駆けめぐって頂点に達し一気にカデンツアとなっていた。テイーポのカデンツアは、非常に短くあっさりとした回想風のものであり、最後は輝くようなピアノの音階の上昇で華やかにこのフィナーレを終結していた。

   グラーフの指揮は曲調をしっかりと捉えており、テンポも良く安心して聞くことが出来、テイーポのピアノもベーゼンドルファーを良く響かせ、第一楽章では実に軽快に、第二楽章では優美に美しく、フィナーレでは早いパッセージを見事に弾きまくり、女流ピアニストでありながら力強いタッチを見せて曲を盛り上げていた。
    後日にウイキペデイアで調べると、マリア・ティーポ(Maria Tipo、1931年12月23日 ナポリ )はイタリアのピアニスト・音楽教師であり、ブゾーニ門下であった母から手解きを受けた後、17歳でジュネーヴ国際ピアノコンクールにて受賞し、それ以後は幅広い演奏活動と積極的な録音活動に取り組んだ。1950年に初めて渡米して300回以上の演奏会を行い、「ナポリの女ホロヴィッツ」の異名を取り、力強さを備えたヴィルトゥオーゾとして知られていた。スカルラッティのソナタやJ.S.バッハの『ゴルトベルク変奏曲』などの録音も多く、ティーポに対する評価は、一般的な聴衆よりも専門家であるピアニスト仲間の間で高いとされる。




       続く第三曲目のレチタテイーボとロンド「わがあこがれの愛しい人よ」K.577は、「フィガロの結婚」第4幕のフィナーレの直前に歌われるお馴染みのスザンナの第28番のレチタテイーボとアリア「とうとうその時が来た...恋人よ早くここへ」を作り直したアリアである。テキストもオーケストラの前奏もレチタテイーヴォの部分はオペラと同じであるが、アリアの部分が新しくロンドとして技巧的に作り変えられたものであった。
 メゾソプラノのクラウデイア・カリッシュ(Claudia Kallisch)は、青いドレスで指揮者とともに入場して、いきなりロンドから歌い出したので、あの美しいスザンナのレチタテイーボが省略されて残念であった。オーケストラ伴奏でラルゲットの部分がゆっくりと歌われて、愛する人に語りかけるように「かっての約束と誓いを忘れないで」と歌っていたが、この曲には2本のバセットホルンとホルン・ファゴットによる伴奏がついており、時にはホルンが存在感を示していたのが珍しかった。後半に「あーあ」で歌われるカデンツアのような部分もあって、カリッシュは無難に歌いこなし、第一ヴァイオリンのピッチカートの伴奏でこのラルゲットの部分を優しく閉めていた。 ロンドの後半のアレグロに入ると、速いテンポのコロラチューラのパッセージが続いて、「私はもうこれ以上絶えられない」と訴えるように歌われていたが、カリッシュはゆとりのある表情で早いパッセージをこなし、最後はオーケストラのコーダで結ばれていた。技巧を必要とする難曲であり、大変な拍手があったが、ウイーン後期の本格的なアリアとしての工夫が凝らされた曲であり、カリッシュは自信を持って歌っていた。




       第四曲目は、レチタテイーボとアリア「もう沢山、あなたの勝ちだ」、「あ、私を捨てないで」K.486a(295a)である。この曲は、1778年2月にマンハイムにおいて作曲された3曲のアリアの最後の曲で、マンハイムのフルート奏者ヴェントリンクの妻ドロテアの求めに応じて書かれたとされる。歌詞はメタスタジオの「捨てられたデイドーネ」の第二幕第四場から取られているが、これを選んだのも夫人とされる。手紙では、このアリアの叙情豊かな美しさに、夫人は驚喜していたと書かれている。
         レチタテイーボでは、デイドーネが「もう沢山、あなたの勝ちだ」とレチタテイーボを歌い出し、自分はこれほど愛しているのに、それを裏切って自分を捨てることがどうしてできようかと嘆き、さらにアリアのアンダンテイーノでは、「あ、私を捨てないで、わが愛しいあなた」と歌いだし、「あなたと分かれることになれば、もはや生きていけない」と哀しみの気持ちを歌う叙情的な美しいアリアであった。アリアの中間で4小節の短いレチタテーボで「あ、私を捨てないで」を反復して、再びアリアが冒頭から再現していく形を取っていた。この曲も短いアリアであるが難しいアリアと思われ、カリッシュは、余裕を持って歌っていた。しかし、残念ながらカリッシュの経歴などはウイキペデイアにもなく不明のままである。




       最後の曲は、交響曲第39番変ホ長調K.543であった。さらりと全体を聴いた限りでは、グラーフの演奏は、序奏部の扱いは伝統的なゆっくりした堂々たるものであり、続く各主題もオーソドックスに伸びやかに進められており、ソナタ形式での繰り返しは行わない、どちらかと言えばテンポ感はゆったりとした古い伝統的なタイプの軽快にして重量感もある豊かな演奏と見た。
        第一楽章はテインパニーが響く壮大なアダージョの序奏で始まるが、グラーフは分厚い和音を力強く付点リズムで奏し、華麗な弦が軽やかに下降音階を奏しながら序奏を開始した。この32分音符の下降する弦は、急がずに静かに進行させる伝統的な序奏部の進め方であった。序奏はフルートと弦とが対話しながらテインパニーがゆっくりとリズムを刻みつつ穏やかに盛り上がりを見せながら進行し、堂々たる大きな和音の連続で穏やかに明るく序奏が結ばれていた。

        豊かな響きの序奏に続くアレグロでは、一転して軽快な3拍子の第一主題が弦楽器で急速に始まり、木管も加わって勢いよく進んでから、ベートーヴェンの「エロイカ」交響曲を思わせる力強いファンファーレが堂々と開始され、ここでも弦の下降音階によるフレーズが実に明解に響いて力強く結尾主題に繋がっていた。続いて現れる第二主題も第一ヴァイオリンにより歌うように提示され、木管との優美な対話が一きわ冴えて、低弦のピッチカートを伴った厚い響きも豊かに進んで提示部後半を盛り上げていた。グラーフはここで提示部末尾の繰り返しを行わず、いきなり展開部へと突入していた。展開部では力強い結尾主題が速いテンポで何回も執拗に繰り返されて、勢いよく展開され木管に渡されてから再現部へと移行していた。グラーフは再現部においても、終始、堂々と力強さを持って第一主題・第二主題と型通り進んでいたが、この曲のダイナミックな迫力を強調させた緩急自在な力強い演奏を見せており、満足できる演奏であった。




         第二楽章は、弦楽合奏の美しいメロデイで静かに始まるアンダンテのゆっくりした楽章であり、譜面を見ると提示部の前半に繰り返し記号が二つあり、第一の主題を構成していたが、グラーフは全ての繰り返しを丁寧に演奏していた。曲は二部分型式であろうか、三つの主題から構成されており、ここで木管に導かれて弦4部が第二の主題を波を打つように提示していき、管と低弦との見事な対話がひとしきり繰り返されて頂点に達してから、ファゴット、クラリネット、フルートが互いに重なり合ってカノン風に第三の主題を提示して、前半の第一部を形成していた。第二部では第一の主題が第一部同様に弦楽合奏で始まるが、直ぐに管楽器の合奏が加わり、次第に弦楽器群と管楽器群が交互に波を打つように進行し始めた。第二の主題も変形されて弦楽器群と管楽器群が交互に波を打つように力強く進行し、終わりに第三の主題が管楽器群により互いに重なるように現れて素晴らしい合奏を行ってから、最後に第一の主題が静かに歌われてこの楽章は終息していた。グラーフは、終始、にこやかな表情でこの美しいアンダンテを丁寧に指揮していたが、弦と管のアンサンブルが素晴らしく見事なアンダンテ楽章であった。




         続くメヌエット楽章では、グラーフは実に良いテンポで堂々と厚みのあるメヌエットを進行させていた。このメヌエット部分の壮麗さと対照的にトリオでは二つのクラリネットの美しいデユオにフルートが加わってセレナードを思わせる流麗な素晴らしい響きを聴かせていたが、繰り返しの後、再びメヌエット部分が力強く再現されていた。
          フィナーレは早い出だしの第一主題で軽快に始まるアレグロで、フルオーケストラで明るく躍動するように進行していた。グラーフはこの速い動きを軽く手を動かすだけで進めており、最初の主題から派生した第二主題についても、同じテンポで軽快に進め、フルートとファゴットの美しい対話を経て盛り上がりを見せて提示部を終え、再び丁寧に繰り返しを行っていた。展開部では冒頭主題の旋律を繰り返し展開していたが、高弦と低弦とが追いかけ合い鋭く対立しながら波を打つように力強く進行していた。再現部では始めの通り第一主題・第二主題と型通りに疾走するテンポで軽快に進めており、グラーフは今度は繰り返しを無視して、一気に駆け抜けるようにこの楽章を完成させていた。




        グラーフの交響曲は今回が初めてであるが、全楽章を通して聴いて彼の演奏は、テンポ感が合っており、彼が尊敬していたベームの演奏に似た伝統的でかつ壮麗で豊かな感じがする素晴らしい演奏であると思った。モーツァルテウム管弦楽団も彼に良く従って、伝統的な響きを聞かせていた。グラーフの後継の指揮者ユベール・スダーンは1994年から2004年に音楽監督を務めており、私がザルツブルグで聴いたのはスダーンの時代になってからであった。この間に、このオーケストラはスダーンによるピリオド奏法的なスタイルにすっかり変わっており、今回このDVDで聴いたような豊かな響きは聴くことが出来なかった。

   このオール・モーツァルト・コンサートは、ベームやヴェーグなどにより築かれたザルツブルグの伝統を引き継いだオーストリアの指揮者グラーフにより行われた、ザルツブルグ音楽祭におけるコンサートであり、当時のザルツブルグの古き良きスタイルを偲ばせる貴重なコンサートの映像となったのであろう。偶発的にこのDVDを入手して、お気に入りとなりアップロードを急いだのであるが、これは思わぬ収穫であった。

(以上)(2011/12/04)


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