−常磐線の沿線で初めてオペラを観て−

−ガンバレ柏交響楽団と合唱団−



常磐線の沿線で初めてオペラを観て−ガンバレ柏交響楽団と合唱団−

  倉島 収(千葉県柏市)




 柏の合唱団に属している知人から電話があり、3月29日(日)の夕刻に発表会があるので体が空いていたらお願いしたいという。早速、プログラムをFAXしてもらい内容を確かめた。プログラムはオペラの合唱曲だけだと思っていたら、ワグナーの前奏曲、「闘牛士の歌」、「乾杯の歌」、ナブッコから「金色の翼に乗って」などの合唱曲の他に、メインの「カヴァレリア・ルスチカーナ」の全曲が上演されてその合唱曲も歌うようであった。オーケストラは柏交響楽団、合唱は柏市民コンサート合唱団であり、指揮者:山館冬樹、演出:田中孝男、ナレーション:矢島正明となっていて、場所は柏市民文化会館大ホールであった。常磐線の沿線に住み着いて30年になるが、私の記憶では柏のホールでオペラを上演するのは初めてではないかと考え、話題の一つになりそうだと思って2500円であるが、出席することにした。

 この日は折から千葉知事選挙があり、高速道路が1000円になる最初の日曜日でもあり、桜シーズンの開始の好天気に恵まれていたが、この日はどうしてか風は冷たかった。混雑が予想されたので、早めに出掛けて車を駐車場に入れて、柏公園の桜を見に一巡りしたが、生憎写真のようにまだ一分咲きと言うところか。気の早い人々が、お花見で大騒ぎしていた。






   天気の良い日に恵まれたせいか会場は満員の盛況であり、臨時に作られたオーケストラピットにはフルメンバーが揃っており、ナレーターの解説により、第一部の第一曲「ニュールンベルグのマイスタージンガー」の前奏曲が厳かに壮大に始まった。柏交響楽団は77年創設で定期演奏会はこの会場で第50回を数えているが、恥ずかしながら初めてであり、どんなワグナーの音が出るかいささか心配であった。しかし、指揮者の山館冬樹氏の手により細部の不揃いは別として、ワグナーらしい堂々とした音量に満ちており安心をした。第二曲から舞台上に男声合唱団約30人を中央に、左右に女性合唱団約60人が左右に分かれて陣取り、ソリストたちが最前列に並んで、三曲のオペラからの標記の合唱曲が開始された。ソリストたちは、プログラム解説では千葉にご縁のある方たちのようであったが、それぞれ元気よく歌われ、100人近い合唱団が特訓のせいか東京で聞いたとしても恥ずかしくない立派な出来であり、常磐線族としてはとても嬉しかった。この合唱団でオペラの経験のある方はお一人だったそうであるが、合唱団の皆さんは凄い経験をなさったと思う。今回の体験をもとにして、また頑張っていただきたいと思った。






 休憩後の第二部の「カヴァレリア・ルスチカーナ」は、やはりこの地域では初めてのオペラとしての公演のようであり、主役の5人以外に近くの住民や通行人などが必要であり、合唱団の選ばれた方々は大変であったであろう。考えてみると私もプレートル(82)とイタリアオペラ(76)の2種のドミンゴのものと、カラヤン・スカラ座(68)とムーテイ・ボローニア(96)のものなどの4種類のいずれも古いアナログテープの映像を見てきただけで、オペラとしてのライブの舞台は、恥ずかしながら、これが初めてであった。  前奏はヴァイオリンで優美に開始されたが、私は左側の前の席だったのでハープの美しい伴奏が良く聞こえ、恋の歌のあとのクライマックスもまずまずの出来であった。導入の合唱も自然であり、サントッツアやルチアの様子や衣装なども田舎風の雰囲気が良く出ており、トウリッドウとの二重唱も上手く歌われていた。残念なのはオーケストラは頑張っているのであるが間奏曲の響き不足であり、無い物ねだりは良くないが、パイプオルガンの施設が欠かせないことをいみじくも明らかにしてくれた。続く合唱と乾杯の歌もワイン一瓶で雰囲気を出しておりまずまずの印象で、また耳を噛む場面も適切な解説のお陰で良く理解されたと思う。かくて「さよならお母さん」となって上手く盛り上がりを見せて、悲鳴が聞こえる中でこのどこでもありそうな悲劇は終了した。



 思い掛けずに地元柏市でオペラを観る機会を得て、ご案内の合唱の部も、初めてのオペラの部も、交響楽団や合唱団の皆さんのご努力のお陰で、初めてにしてはまずまずの立派な成果を残されたと思う。これからの楽団や合唱団の発展を心から望む次第である。
 これだけ出来るなら、もっと入場料を高くして、どんどん実施してはいかがだろうかと思われた。そうすれば関係者も育ち、評判が高まって柏の行事として定着すれば、良い会場も期待できるようになるであろう。むしろ問題は会場の聴衆であり、開演中も子供の声や泣き声が聞こえるなど行儀の悪さが目に余った。若い母親の幼児のしつけの問題であろうか。常磐線沿線も文化都市と言われるようになるまで時間が必要であるが、この夢にも少しづつ近づいて、芽が出てきたように感じた一日であった。


(以上)(09/03/30)


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