モーツアルトに関するQ&AシリーズNo2 


−質問2−モーツァルトのセレナーデ類で、チェロはBassoで済まされることが多く謎ですが、屋外での演奏や行進しながら演奏する場合、チェロは立ったままあるいは行進したまま演奏を行えるのでしょうか?−   

質問者は初めてご投稿のたぬきさんです。


−質問2−モーツァルトのセレナーデ類で、チェロはBassoで済まされることが多く謎ですが、屋外での演奏や行進しながら演奏する場合、チェロは立ったままあるいは行進したまま演奏を行えるのでしょうか?−

    (回 答)


 初めてご投稿のたぬきさんに、回答致します。 
 セレナーデは、そもそもは恋人の窓辺で歌う「愛の歌」でしたが、18世紀後半になりますと、貴族などの楽団の娯楽音楽として愛好されてきました。モーツアルトが作曲したセレナーデ、デイヴェルテイメント、カッサシオン、などと呼ばれる一連の曲はその種の娯楽音楽の形式になっており、管と弦を含んだオーケストラのもの、管だけのもの、弦だけのものがあり、チェロはご指摘のとおり弦楽器のBassoとして作曲されていました。戸外でも屋内でも演奏機会があり、楽団が入場する際の行進曲なども作曲されています。

 ご質問は行進曲の際に、楽団が行進しながら演奏した筈だが、その時チェロはどうしたのと言うことかと思います。チェロは重い楽器で仮に歩いて弾いても効果がないのは分かり切った話ですが、ここでは18世紀に戻って確かめてみたいと思います。あの映画「アマデウス」では戸外のオーケストラ演奏はありましたが、ピアノ協奏曲で全員が座って弾いていましたので、参考になりません。唯一頼りになるのは、1991年に発売された「ヘルブルン宮のセレナード・コンサート」というアマデオのLD(PHLK-5003)で、正装した音楽隊が行進をした後にセレナードK.286を演奏した記憶がありましたので、調べてみました。この映像は、パウムガルトナーが解説をし、カラヤンのお兄さんがザルツブルグのカメラータ・アカデミカを振った確かな記念すべき演奏です。

 この映像は、ヘルブルン宮殿の本館から噴水のある庭園の会場まで、写真のとおり4つの小さなオーケストラが短い距離を演奏しながら行進し、4カ所に分かれたオーケストラによりエコーのような演奏をもくろんだセレナードK.286を演奏する趣向です。


この時の行進曲K.290は、それぞれのオーケストラが弦三部と二つのホルンの構成で行進しながら演奏をし、チェロやコントラバスは、野外演奏場所の自分の席で、行進をしてくる同僚たちを迎えるように、全員が立って演奏しておりました。といってもこの情景を思い浮かべることは困難ですので、やや写りは悪いですが、写真を撮ってみました。


 最初の写真は、行進しながら演奏している楽団で、弦楽器の他に管楽器のホルンが確認できます。次の写真は、行進する楽団を一列に並んで待ち受けているチェロやコントラバスの部隊で、一緒に演奏しておりました。最後の写真は、指揮者のいるメインのオーケストラで、他の3つのオーケストラは、指揮者の姿を見ながら演奏するようです。

 この様に、夏の夜、松明を掲げて、噴水で涼しさを感じながら、カツラをかぶって正装した自分のオーケストラに、好きな曲を演奏させ楽しんだ貴族達は、実に優雅であったと思います。




  (以上)(04/07/24)






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