−−私のビデオコレクションから−−その4−−


−過去1年間のベスト・ソフトの紹介と例会発表を終えて(末尾に追加)

−6月例会の報告(第239回/2005年6月12日事務局レターより)−

私の04〜05年のベストアルバム〔その4〕(末尾に追加)

フェラインの6月例会発表(05年6月12日;カーサ・モーツアルトにて)

  −−私のビデオコレクションから−−その4−−

 倉島 収(千葉県mozartian449)


1、プログラムのねらい、


 私がエアチェックした最新のビデオソフトの中で良いものを例会でも見て頂けるように日頃準備しているが、今年もその例会の順番が廻ってきた。例会講師の突然の予定変更などに備えて、穴埋め替わりの積もりであったが、今回で4回目になるのでフェライン例会に定着したプログラムになったようである。昨年まではビデオテープにダビングしていたものを使用していたが、今回はデジタルテープからDVDにダビングして自作したDVDを使ってみた。慣れないうちはDVDレコーダ操作の作成手間がかかるが、S-VHSのテープより画質も音質も劣化が少なく、発表時に非常に扱いやすいので、DVD化はこれから欠かせないと思われる。

 丁度1年分の録画ストックの中から3時間の持ち時間用に番組を設定する必要があるが、会員の好みが多様であるので、何がよいかいつも迷うのであるが、私の独断と偏見で選ばせてもらっている。オールドファン用の「懐かしい名演奏」、コンサートなどではなかなか聴けない「珍しい曲の演奏」、有名オペラ歌手などによる「最新の素晴らしいコンサート」など映像でなければ良さを味わえぬものを、いつも意識して選定している。また、音楽以外のモーツアルトに関するドキュメンタリー的な音楽番組なども選定の対象にしている。今回はクラシカジャパンで5月にモーツアルト特集が組まれ、BBCの「ポートレート・モーツアルト」が初めて放送されたが、内容が高度だったので採用することにした。しかし、最後の番組をアシュケナージ指揮・N響・神戸合唱団の阪神淡路震災の10周年の「レクイエム」にするか、ヤーコプス・シャンゼリゼ劇場の「フィガロの結婚(抜粋)」にしようか迷った末の選択であった。結果的にこれらの選ばれた映像は、私のこの1年間のホームページのベストソフトを紹介するものになっているとお考え頂きたい。例会資料もホームページのものをコピーして編集するだけであり、良いソフトをDVDにしておくと緊急時でも間に合わせることが出来そうである。

   今回の第一曲は、録画ソフトのデータベースを見ながら考えた末に、最近の華麗な映像・珍しい曲の代表として、 アルゲリッチとリコ・パウル・グルダによる三台のピアノ協奏曲イ長調K.242を取り上げてみた。この演奏はフリードリッヒ・グルダの没後5周年のメモリアルコンサートの第一曲であり、グルダを音楽に導いてくれた恩人と仰ぐアルゲリッチとピアニストになった二人の息子による豪華な演奏であった。三人も役者が揃うと、この曲は途中からオーケストラが目立たなくなるほど、三台のピアノが良く語り出し、各楽章のカデンツアなども賑やかであった。特にフィナーレのカデンツアは、21番のピアノ協奏曲の第二楽章の主題で始まり、グルダが作曲した子供たちの主題が思いを込めて三人三様の変奏で弾かれるという長いカデンツアであり、メモリアルコンサートとしての意義を示した珍しい演奏であった。




 第二曲には、04年・05年の両モーツアルト週間でコンサートアリアや珍しい「悔い改めたダヴィデ」K.469などを歌ってすっかり好きになってしまったクリステイーネ・シェーファーのモテット「踊れ、喜べ」K.165とハ短調ミサ曲K.417より「エト・インカルナタス・エスト」を歌った最高の映像がえらばれた。このコンサートは、ハイテインクとベルリンフイルによる99年ヨーロッパコンサートの第一曲であり、場所はポーランド・クラクフの聖マリア教会で収録されたものである。教会で聴くモーツアルトのソプラノの素晴らしい宗教曲は、ソプラノの澄んだ声といいオーケストラやオルガンの深い響きといい格別な味があり、またこの古い教会の国宝とされる様々な彫刻類や絵画のクローズアップが実に素晴らしく、日本では味わえない、映像でなければ見られない貴重なソフトであると思われる。



 第三曲はウイーンフイルの首席フルート奏者ヴォルフガング・シュルツのフルートとウイーンフイルハーモニア三重奏団による非常に珍しいオペラ「魔笛」のフルート四重奏の編曲版8曲を聴いていただいた。04年6月のトッパンホールでのフルート四重奏のコンサートのNHKハイビジョン放送から抜粋したものである。「フィガロ」や「後宮」を木管に編曲したオーボエ奏者ヴェントによる編曲であり、パパゲーノ、夜の女王、パミーナなどの極上のアリアのメロデイをまずフルートで楽しみ、更に技巧溢れるフルート変奏でも楽しめる立派な編曲となっていた。シュルツのフルートはやや荒さが見られたが、仲間のウイーンフイルハーモニア三重奏団との呼吸はピッタリで、実に楽しめる演奏会になっていた。

 休憩後の第四曲目は、エアチェックビデオではなく市販のDVDによる映像であったが、04年の9月にロヴェレート音楽祭に行ったときに足を伸ばして見てきた中部イタリアのヴェネト州のヴィチェンツイアにある1584年完成の古代エジプト風の「テアトロ・オリンピコ劇場」でのチェチーリア・バルトリのライブコンサートの映像であった。一緒に劇場を見に行った仲間からこの劇場を使った実際の演奏風景があれば見たいと頼まれていたからである。この日はこのDVDからモーツアルトのリート「鳥よ、年ごとに」K.307、「フィガロ」の追加アリアK.579、「恋とはどんなものかしら」K.492.11の三曲を聴いていただき、この劇場の全体の作りや見事な彫刻類や壁画類などをクローズアップで写す場面を、ヘンデルの歌曲「刺は捨ておき」(オラトリオ「時と悟りの勝利」及びジョルダーニの「カロ・ミオ・ベン」の2曲の伴奏で見ていただいた。実際のコンサートとなると豊富な照明が劇場に陰影をもたらし、演奏者ばかりでなく彫刻や壁画などもクローズアップできめ細かく映し出されるので実に美しく、実際に見てきた印象よりも遙かに綺麗に映像化されていた。バルトリの得意な曲を歌う声のつやと表情が良く撮れており、クローズアップが多いこのDVDはまさに感動ものであると思われた。

 最後の映像は、今年の5月の連休中に収録した最新のBBC制作の「ポートレート・W.A.モーツアルト」である。この映像は、現役で活躍する指揮者のコリン・デーヴィス、女流ピアニストのイモージェン・クーパー、フォルテピアノのロバート・レヴィン、メゾソプラノのチェチーリア・バルトリ、演出家のジョナサン・ミラー、劇作家・脚本家のピーター・シェーファーなどの有名人に上手く語らせながら、幼い頃から死ぬまでの史実を映像と語りで表現し、そして美しい代表的な音楽をバックにして、新たな視点で彼のたどった生涯を描いたドキュメンタリー風な作品である。モーツアルト学者でもあるレヴィンが主体となって解説し、ザスローやランドンなども解説陣に加わる豪華版であり、モーツアルテイアン必見の新しいタイプのポートレートであると思われた。


 せっかくエアチェックしてHPで報告しても、見ることが出来ないと会員から責められることが多いが、年に一回ではあるが、小生の選んだ飛び切り素晴らしいソフトとしてご紹介するものであり、モーツアルト好きには堪らない映像ばかりであると考えている。会員の皆さんからどのような評価を受けるか、楽しみに思っている。

(以上)(05/06/23)


2、05年例会発表プログラム、−私の04〜05年のベストアルバム(その4)−

     1、最近の素晴らしい映像・珍しい曲目、

アルゲリッチとリコ・パウル・グルダによる三台のピアノ協奏曲イ長調K.242、
クリスチアン・アルミンク指揮、新日本フイルハーモニー(5-4-2)、

(05年02月20日NHK3CH、芸術劇場の放送を、DVDレコーダーのHDDにSモードでデジタル録画、自作DVD化)

−三人のピアニストによる豪華・絢爛たるピアノと、亡き父と恩師を偲んだ素敵なカデンツアが珍しい−


2、懐かしい人の最上のビデオ、

クリステイーネ・シェーファーのモテット「踊れ、喜べ」K.165と「エト・インカルナタス・エスト」K.417より、
ハイテインク指揮ベルリンフイル、1999年ヨーロッパコンサート、クラクフ、(4-12-2)、

(04年11月22日クラシカジャパンの放送を、パナソニックDVDレコーダー(E250V)のSモードでHDDデジタル録画、自作DVD化)

−声にまろやかさやゆとりさえ感じさせるヴェテランソプラノ・シェーファーの味−


3、珍しい編曲演奏のビデオ、 「魔笛」のフルート四重奏編曲版、

−シュルツのフルートとウイーンフイルハーモニア三重奏団による演奏会−04年6月4日トッパンホール(4-10-2)、

(04年8月19日NHKハイビジョン・クラッシック倶楽部を、D-VHSのLS-3モードでS-VHSテープにデジタル録画、自作DVD化)

−シュルツのウイーン風のヴェテランの味とモーツアルトを楽しませる壺を心得た演奏−


======休   憩========


4、テアトロ・オリンピコ劇場(ヴィチェンツイア)での珍しいライブ映像、

チェチーリア・バルトリのヘンデルの歌曲1曲、モーツアルトのリートK.307とフィガロの結婚のアリア2曲K.579&K.492.11、

(市販のDVD DECCAUCBD-1020より抜粋)

−1584年完成の古代エジプト風の古典劇場でのライブ映像で、演奏も良いが現代でも通用する劇場の造りが見事である−


5、ポートレート「ヴォルフガング・アマデウス・モーツアルト」、

−BBC放送による大作曲家シリーズ(1時間番組)−、監督;フランチェスカ・ケンプ、制作1997年、

−美しい現地の映像や名曲をバックに、モーツアルトの生涯を著名なモーツアルト学者に語らせ、音楽の素晴らしさを現役の演奏家に語らせた新たな視点の音楽番組である−

  (05年5月1日クラシカジャパンのモーツアルト特集の放送を、D-VHSのLS-3モードでS-VHSテープにデジタル録画、自作DVD化)

                         (以上)(05/06/08)



3、6月のフェライン例会の発表を終えて、

 6月のフェラインの例会で、昨年に引き続き、「私のビデオコレクション−その4−」と称して例会発表を行った。一応、過去一年間のいろいろな分野のベストの映像のつもりで独断と偏見で選定したものを4〜5編選び、最新の素晴らしいもの、懐かしいもの、珍しいものなどに分けて見て頂くことにしている。私がHPで紹介した文章を資料として配付しているので、内容説明は程々にして、皆さんにはその場では特に映像を見ることに集中して頂くようにお願いしている。

 第一曲のアルゲリッチとリコ・パウル・グルダによる三台のピアノ協奏曲イ長調K.242は、終わってから皆さんから拍手を頂くほどの良い反響が得られた。NHKの教育テレビと最近深夜のBS2放送で2度放送されていたので、このメモリアルコンサートを知っている方もおられた。グルダについては、田辺先生から例会で一度お話を聞いており、パウルの方は大分前からピアニストとして活躍していたが、リコというピアニストが誕生していたのは知らなかった人が多いと思われた。衰えを見せぬアルゲリッチの逞しい姿を画像で見て、最近デユオやアンサンブルでも活躍しているアルゲリッチを見るにつけ、この人はライブで活躍する人であると思われる。

 第二曲のシェーファーのモテット「踊れ、喜べ」K.165と「エト・インカルナタス・エスト」は、やや画質がS-VHS並で悪かったものの、曲が最高であり、演奏もヴェテランの声を味わうことが出来、更に、予想通り聖マリア教会でのコンサートの評価が高く、結果的に今日のソフトの中で最高の評価を頂いたように思う。バーンスタインのハ短調ミサ曲のLDにこの2曲が含まれ教会で歌われていたが、シェーファーは調べてみると、このLDで歌っていたアーリーン・オジェーのお弟子さんであり、第二楽章などで少しテンポが速かったものの、歌い方がそっくりであると感じた。聖マリア教会はクラフクに行くと必ず訪問する名所の教会のようであるが、この教会に行ったことのある方が何人かおられ、私はまだ知らないので驚かされた。 

 第三曲のシュルツのフルートとウイーンフイルハーモニア三重奏団による演奏会は、昨年からたびたびNHKのハイビジョンとBS2放送 で放送されているので、主婦の女性の方々には朝の番組で聴いておられた方が多かったようである。この番組ではフルート四重奏曲第一・三番と「魔笛」が演奏されており、なかなか聴くことの出来ない「魔笛」を取り上げたものであるが、なかでもパパゲーノの2曲のアリアや夜の女王のアリアは、楽しく編曲されていたように思う。偶然であるが、この番組の「クラシック倶楽部」のテーマ音楽がフルート四重奏曲第一番の冒頭部であったので、アンコール的にこの部分を聴いていただいた。

 第四曲はバルトリの歌ったイタリアの16世紀に建てられたテアトロ・オリンピコ劇場(ヴィチェンツイア)での珍しいライブ映像であったが、DVDで発売されている98年6月の映像であるので見たことがある人が多いように思った。私が実物を見た旅行から帰ってから気がついたように、この映像の劇場が16世紀の凄い劇場であったことを知らない方もおられたようであった。この映像は劇場の造りもさることながら、バルトリが最も得意な愛唱曲集とも言えるものであり、DVDの映像がクローズアップが多い最新画像なので、バルトリの若き日の最盛期を写したものといえるが、これだけクローズアップされると女性歌手は大変であると思わざるを得ない。

最後は1997年にBBC放送により大作曲家シリーズ(1時間番組)として制作されたポートレート「ヴォルフガング・アマデウス・モーツアルト」であったが、1時間の中にモーツアルトの天才性や生涯と名作などを紹介するので盛り沢山に過ぎ、更にいろいろな有名な先生が次から次へ顔を出すので 分かりづらいという評価であった。私自身も最初にさっと見たときは、何を言わんとしているのかよく分からなかった記憶があり、何度も見返して逆に新しい発見があるというタイプのかなりレベルの高い番組であった。しかし、モーツアルトを愛する有名人の語りを聞け、モーツアルトの協奏曲の素晴らしさがオペラのアリア作曲の技法から来ていること、ウイーンでピアノ協奏曲が受けたときには、自ら作曲家・演奏家・即興演奏家とマネージャーを兼ねたフリーの興行師であったこと、バッハ・ヘンデルの作品から多大な影響を受けたが、自らはロマン派の作曲家たちに多大な影響を与えたことなど実例をあげた面白い解説があったと思う。良く理解できなかったのでDVDをコピーして欲しいと数人から頼まれているが、他人用のDVDコピーは問題があるので、今回作成したDVDを会員間で回覧して貰うつもりである。

(以上)(05/06/24)






●6月例会の報告(第239回/2005年6月12日)

私の04〜05年のベストアルバム〔その4〕 お話…倉島収氏(本会副会長)


倉島副会長の大変貴重なコレクションのご披露は今回が4回目。同氏のご自慢は先ず第一からビックリするようなものばかりでした。

1.最近の素晴らしい映像・珍しい曲目。アルゲリッチとリコ・パウル・グルダによる三台のピアノ協奏曲ヘ長調K242、クリスチアン・アルミンク指揮、新日本フィルハーモニー。
2.懐かしい人の最上のヴィデオ。クリスティーネ・シェーファーのモテット「踊れ、喜べ…」K165と「エト・インカルナス・エスト」K427(K6-417a)より、ハイティンク指揮ベルリンフィル、1999年ヨーロッパ・コンサート、クラクフ。
3.珍しい編曲演奏のヴィデオ。「魔笛」のフルート四重奏編曲版、−−シュルツのフルートとウィーン・フィルハーモニア三重奏団による演奏会、04年6月4日トッパンホール。
   ………休憩をはさんで。………
4.テアトロ・オリンピコ劇場(ヴィチェンツィア)の珍しいライブ映像、チェチーリア・バルトリのヘンデルの歌曲1曲、モーツァルトのリートK307とフィガロの結婚のアリア2曲K579(追加曲)及びK492より。
5.ポートレート「ヴォルフガング・アマデウス・モーツァルト」、――BBC放送による大作曲家シリーズ(1時間番組)。

スペースの関係上すべてを細かくご説明することはできませんが、これだけの盛り沢山の内容に同氏のモーツァルト名曲に対する熱情こもった心意気には、出席者一同ご満悦という以上に、只々敬服の至り何も言うことなし…の心境でした。これら五本のセットを選出されるのにかなりご苦労されたのでは?とても当方には真似が出来ません。

この内の1.のアルゲリッチとグルダ兄弟の三台のピアノ協奏曲K242については、当筆者も05年2月20日NHKの3chにて鑑賞した記憶あり、三台のピアノ共に呼吸の合った見事な演奏振りと感心していたことを思い出しました。

2.のクリスティーネ・シェーファーのクラコフのセント・マリア教会内における、モーツァルトのモテットK165とハ短調ミサK427(K6-417a)の歌唱もすべてを忘れてウットリと聴き入っておりましたが、K165の第二楽章のテンポがいくらか速めのように感じられました。しかし、やはり教会音楽はこのように聖堂内で聴くのがベストですね。

3.のヴォルフガング・シュルツ氏のフルートによる魔笛の編曲版、ソプラノに変ったフルートは、正にモーツァルトの名曲を人々にじっくり楽しませる壺を心得た演奏そのもの。フルートの澄み切った明るい響きには何ともいえない味わいがありました。

4.のテアトロ・オリンピコ劇場でのチェチーリア・バルトリの感性豊かな歌いっぷりには完全に心を奪われて聴き入ってしまう有様。特にK492のフィガロの結婚の中の有名なアリア"恋とはどんなものかしら"では彼女がすっかりオペラの主人公、ケルビーノ自身になりきっていたのでしょう。

5.のモーツァルトのポートレートは正に映像による"モーツァルトの生涯"そのもの。当時の歴史的足取りをも含めて色々と学ぶことが出来たのは最大の収益。彼のポートレート以外に現地の様子や、演奏会風景等を織り交ぜてバラエティに富んでおり、一時間内に見事に収めたダイジェスト版として当筆者もどこかの店で何としてでも入手したいもの。

6.最後に聴かせて頂いたジョルダーニのカーロミオベンは、筆者も持っておりますが(歌手名不明)、人々の心の中に何かを強く訴えるような感情のこもった歌いっぷりは何時聴いても飽きません。(H.K)



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