5.1チャンネル化とAVアンプ(第2報)            


−予想を上回る高性能なAVアンプ−   

5.1チャンネル化とAVアンプ(第2報)       倉島 収(千葉県K.449)


1、はじめに、
 

  自宅の書斎の2CHのオーデイオシステムがかなり老朽化しており、また最近になって従来のレーザーデイスクが完全にDVDに置き換わったり、さらに高規格CDのソフトが普及を始めたことなどの最近のオーデイオ界の変化に対応するため、自宅のオーデイオ・ヴィジュアル・システムの改善に関する検討を進めてきた。そして昨年の秋ぐらいから新製品の動きなどを調べて、書斎のスペース環境に最適なものを模索してきた。その検討結果は、このホームページの「自宅での5.1チャンネル化への方針について」で詳しく経緯や機種選定などについて述べている。

 今回の新システムの最大の特色は、最終的に本格的な 5.1チャンネル化を行うため、現在ヤマハの最も大型のAVアンプであるDSP-AZ1 を導入したことにある。また、サラウンド化のためのスピーカシステムについては、二つのフロントスピーカは従来の気に入っているヤマハNS-1000Xを取りあえず流用し、新たにセンタースピーカと二つのリアスピーカとして、パイオニアの新製品S-A6CL兇よびS-A4-LR を導入したものである。

 その結果、これまで「ソフト紹介」などを行ってきた2チャンネルの従来システムは全く変更することなく使用でき、場所を取るメインスピーカを兼用するだけで、新しい5.1チャンネルのサラウンドシステムが導入されることになった。幸いスピーカ相互の相性も良いようで、これで暫く様子を見ることにしている。


2、新システムの特徴、

 私のこの新システムの一番の特徴は、独立した二つのシステムとして使える点にあると考えている。新しいAVアンプは、接続できる入力端子が多くかつ入出力の切替も容易であり、BSデジタルチューナー、CSデジタルチューナー 、D-VHSなどのVTRが3台も接続できるなど、既存の全ての入出力機器の接続が出来、使い出すと極めて便利であろうが、一つのシステムとして常時AVアンプの稼働が必要となる。しかし、私の場合には最も重要なエアチェックの「留守録」が、頻繁にしかも長時間にわたり行われるので、VTRとデジタルチューナーをi-Linkで直結させており、この2機種だけで「留守録」が手軽に出来ることが必要であり、従来システムはどうしても欠かせない状態にあった。

  新しいAVアンプの優れた点は、アナログとデジタルの入出力回路が独立していることにあり、その結果D-VHSのデジタル音声出力を直接AVアンプに光ケーブルで入力でき、そのままデジタルで再生できるようになった。エアチェックでこれが5.1CHのソース(放送用のAAC音声フォーマット)であれば、AVアンプにAAC用のデコーダーが内蔵されているので、そのまま5.1CHとして再生されることになる。D-VHSでデジタル録音した音声も、2CHや5.1CHとを問わず、同様に再生が可能の筈である。私のシステムではこれらの点が極めて重要であり、接続の可能性を確かめるため、時間をかけて新システムを検討する必要があった。

 新しいヤマハのAVアンプの特徴は、DSP音場プログラムを豊富に備えている点にある。最近のDVDでは、ドルビーデジタルやDTSなど映画用に開発された5.1CHの音場プログラムで再生される場合が多いが、ヤマハのAVアンプには、これらの他に2CHのステレオ音楽ソースでも、大ホール、小ホール、残響の多い教会、広大なアリーナなどの特徴のあるホールの音場プログラムを自由に選択でき、5.1CHのシステムで再生することが出来る。われわれのクラシック音楽ソースは、圧倒的に2CHのステレオ音楽ソースが多いので、2CHの2スピーカシステムでは再生が不可能な音場再現に一歩踏み出せる可能性が開けてきた。例えば、つい最近聴いてきたウイーンのシュテファン教会内で静かに響いていたパイプオルガンの壮大で清澄な響きに近い音が、ソースさえ優れていれば自宅でも残響を取り込んだ立体的なオルガンの響きとして再現できそうな感じがしている。これはどんなに優れた大型の2スピーカシステムでも再現できない性質の音であるが、5.1チャンネルではそれほど高級なシステムでなくても、現実に近い響きの再生が可能となりそうな期待がある。


3、いろいろなCDソースの試聴、

 新しいシステムになって、次のようないろいろなCDソースが再生できるようになった。新しい高規格CDは、やはり千差万別ではあるが、新しい録音はさすがに音域が広く彫りの深い音がしており、概して音量を上げても音が固くならず自然な響きをもっていて、これまでのCDとは一線を画すようなものが多いと思われる。

DVD−ビデオ(2ch);従来の音楽LDをDVD化したものなど。

DVD−ビデオ(2ch、5.1ch);新しい録画では、音声としてリニアPCM(ステレオ)、ドルビーデジタル、DTSなどが組み込まれている。映画ばかりでなく、クラシック音楽ソースとしてオペラやコンサートライブのソフトも最近増加してきた。

DVD−オーデイオ;2chのPCM信号(192khz、96khz、48khz)などの高規格CDと称するもの。まだ、5.1CHのクラシック音楽の録音は入手していない。

SACD(オーデイオ);従来のCD規格のものと、高規格の2chSACD、5.1chSACDなどが1枚のCDにハイブリッド化されたものが次第に増加してきた。

通常のCD;通常の2chステレオの音声をドルビープロロジックなどの音源プログラムで5.1ch化すると擬似サラウンド化され、2chでも響きが広がって豊かな音に聞こえる。

 なお、現在のAVモニターは、パナソニックの32インチの横長の平板型ブラウン管のハイビジョンTVを使い、スペースの関係で左脇に置いている。画像の緻密さには問題がないが、音源がサラウンドになると、もっと大きな画面で中央に設置した方が良いと感ずることが多くなった。最近になって、プラズマタイプのモニターや液晶型のものが出回ってきており、もう少し技術的に改善され値段が安くなってから、新しい大型のモニターに変更しようとスペースを空けて暫く待とうと考えている。


4、最近のAVアンプ、

 以上の通り、現在は主として、高規格CDやDVDビデオ(5.1ch)などの新しいソフトの効果を確かめながら、新システムを楽しみつつある。一方、新しいAVアンプのメインの2CHだけでも音出しが可能であるので、従来のプリアンプとメインアンプの音と直接比較している。2CHのAVアンプでは、音の馬力や迫力にやや欠ける面があるものの、最新のアンプ技術により音の透明感が増し楽器の分離がよりクリアになった気がしており、より響きの深い細やかな音が再生できるようになって来ている。これは過去10年以上にわたるアンプの技術革新の成果であろうと考えていたが、この様な実感を裏付けるかのように、最近発売された「AVレビュー」誌2003年4月号No108に、最近のAVアンプのサウンドは「ピュアーオーデイオに限りなく近づいている」と言うような記事が紹介されていた。

 この記事によれば、従来のAVアンプの力点がAVに付随する各種のデコーダやDAコンバータなどの高度化に置かれていたが、最近ではアンプ部のS/Nの向上、解像力の高精度化、スピーカに対する駆動力の強化など従来のプリメインアンプ技術がそっくりAVアンプの方に向けられていると言うことである。メーカーサイドでは、AV需要に対応して、最近はアンプというとAVアンプのことを指すように体制が変化し、プリメインの技術者がAVの方にすっかり動員されているようだ。実際、新しいAVアンプには8CHのサラウンドにも対応できるように、最大出力で6*200Wと2*100Wの8組のプリメインアンプが組み込まれている。その結果、最近のプリメイン部は小型化・モジュール化が進み、AVアンプのレヴェルアップが著しいと言うことであった。2CHだけでは従来システムより出力が低下しても、5.1CHで聞くと全体の出力は増加するので、かえって聴感上の響きはより豊かになる。

 この様に新システムでは、新しいAVアンプによる音質の向上がある上に、ドルビープロロジックなどの音源プログラムによりサラウンド化することが出来、マルチチャンネルによる音像効果が著しいので、古いステレオ録音でも新システムで聴き直すと、驚くほど音が改善され新鮮に聞こえる。そのため、これまでの膨大なストックを改めて聴き直してみる必要があり、嬉しい悲鳴を上げている。これらの試聴結果は十分に聴きこなしてから、いずれまた落ち着いた段階で改めてご報告したいが、これから先が大いに楽しみである。

 ここでは、ここ数週間で感じてきた古い2CHのCDソースのサラウンドによる改善効果についてひと言ふれておこう。はじめにまずパイプオルガンの響きが概して良くなっている。CDによっては残響音が豊富なものがあるが、新システムではその響きを音源設定で変更することが出来、聴く部屋にあったバランスの良い音にすることが出来る。
 古楽器系のチェンバロを伴った室内楽では、チェンバロの音がクリアになり、ソロ楽器も目立つようになった。バッハのブランデンブルグ協奏曲などピノック、コープマン、ホグウッドなどの一連のコンチェルトなどのCDは、従来も良い録音のものが多かったが、響きが豊かに改善されて聞こえる。宗教曲などの合唱の部分の再生は難しかったが、良い録音のものはソロ・合唱・オーケストラのそれぞれが独立しているように聞こえ、改善される場合が多い。オペラでは良い録音のものは舞台を意識させるような臨場感が付加されるような感じがする。
 概して余り残響を取り入れていない録音の方が、改善効果があるようであるが、もっともっと聞きこんでみなければ、一般論として報告するのは難しいかも知れない。


5、むすび、

 私はここ10年来、映像を通じてクラシック音楽を聴く世界に埋没しており、映像も音質も出来るだけ良いものにしたいと考えてきたが、経済性の面でいわゆるハイエンドを追求するピュアオーデイオの世界は、私とは異質のものであると思ってきた。私の求めるものは10畳間の狭い書斎で、コンサートで得られる豊かな音場に限りなく近いものが経済的に得られればよいというささやかなものであった。今回の5.1CHのサラウンド化に伴なって2CHのステレオの音質向上に加えて、サラウンド音場による音の響きの改善が得られ、少しでも目標に近づいてきたことは誠に喜ばしい。高規格CDの自然な豊かなサウンドは当然としても、ソースが圧倒的に多い2CHのステレオで改善効果が目立つことは真に有り難い。今回の久し振りのハードウエアの更新は、予想以上の成果があったと考えており、このところご機嫌な日が続いている。

(以上)(2003/04/04)



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