モーツアルトの臨終時の想像画のいろいろ、

−どなたか写真-(1)と写真Bの絵の詳細を知りませんか。−

モーツアルトの臨終時の想像画のいろいろ、 

−どなたか写真-(1)と写真Bの絵の詳細を知りませんか。−          倉島 収(千葉県K.449)


 1、このたび、私のメル友である中村保子さんから、写真ー(1)(右図)を探しているというメールが年末に舞い込みました。彼女によると、

「インターネット上の何処をどう探しても見つからない一枚の絵についてお尋ねします。モーツアルトが死の前日に義兄フランツ・ホーファーや友人達とともにレクイエム「ラクリモサ」を自室の片隅でリハーサルしている絵画です。
 神々しい姿のモーツアルトが、白いガウンで椅子に背を預け、弱々しくタクトを持ち、その後ろにコンスタンツエらしき女性、チェロ弾きやヴァイオリン、クラヴィアなどが描かれています。
 この絵の詳細が知りたく、色彩のコピーがあれば、どうしても模写してみたい気持ちに駆られています。この絵のことをご存知でしたら、お教えください。白黒の写真は入手していますが、詳細は分かりません。」


2、最初のメールには、肝心の写真が貼付されていなかったので、それをお願いするとともに、私は、調べてみる価値があるかどうか迷って、次のように回答した。

「モーツアルトが亡くなる寸前のベッドの上の姿の想像画は、モーツアルトの純正画が14点しかないのに較べて、沢山あるのはご存じですね。モーツアルトのレクイエム伝説が19世紀の画家の関心を呼び、創作意欲をわかせる良いテーマであったに違いありませんし、売れ筋だったのかも知れません。
 真正でないものですので、今までその周辺の絵について、私の関心外のことでしたが、インターネットの時代ですので、本格的に調べようと思えば出来ると思い、次のようなことを考えてみました。やる価値がありそうかどうかは、貴女の判断です。

1)、貴女の白黒の絵を、スキャナーで読みとり、メールで送って頂く。その際、絵の作者、年代、その絵を掲載していた本の名前、作者、年代を調べる。
2)、小生の手持ちの本を調べて、その周辺の絵を全て、同じように調べてみる。数冊調べただけで、3種類の絵がありました。いずれも、白いガウンのベッドの上ですが、解説がなければ、ホーファーがいるかどうかは分かりません。私も自分なりに調べてみようと言う気になってきましたが、時間がかかりそうです。
3)、この段階で、絵が確定すれば、その絵についてモーツアルト仲間に詳しい情報を求める。
4)、この段階で、私の資料でチェック出来なくとも、1、の貴女の情報だけで、その絵についてモーツアルト仲間に詳しい情報を求める。」


3、2のメールに対して、是非、調べて頂きたいという趣旨の写真ー(1)を添付したメールの回答が寄せられ、次のようなその絵のコメントも付いていた。

「これは、やはり、画家達の、レクイエム伝説の一連のロマンチシズムの頂点の「絵」のように感じられまして、真正なものではないと思いつつも見入ってしまいます。しかし、モーツアルトにとりつかれている私にしてみれば、一瞬でもこの事実があったら、という、何か愛情のようなものを感じて見入ってしまう絵です。この絵の下には
『Mozart conducts a rehearsal of his Requiem in this romanticized image of his last day.」mozart project k626』と書かれています。

 これはどのような図版に載っているのでしょうか?よろしければお教えください。その他の絵は、高橋英郎様の編集による、私の生涯ダイアリーの中に載っておりますが、何処でも見かけるものばかりです。」


4、この「モーツアルトの臨終」(31.9KB)は、私も見たことがあり、お正月の休みにご期待に添うべく手持ちのモーツアルト文献を調べてみたが、残念ながらどうしても発見できなかった。私の持っていた高橋先生の小さな写真の多い本は「モーツアルト365日、−日めくりモーツアルト−、91年白水社」であり、それ以降の類似本は購入していなかった。 

 お正月の間に私が調べた臨終の絵と見なされるものは、以下の(2)〜(6)の通り5葉である。
 スキャナーで読み、大分圧縮してあるので、見づらいかも知れないが、他の絵との識別は出来るはずである。これらの写真の情報交換には、写真を番号で確定する必要があり、メールでは容量が大きいので、取りあえず共通情報としてどなたでも直ぐ見れるように、写真をホームページにアップすることにした。

写真ー(2)、「モーツアルトの最後のひととき」、s-de30-002.jpg(49.7KB) 、

「モーツアルトの最後のひととき」(F.シャムスの原画に基づくリトグラフ、エドウアルト・フリードリヒ・ライボルト作、ウイーン、1857年、ウイーン楽友協会所蔵、)
出典1;アマデウス、TBSブリタニカ、1987、p62、(上記は出典1による)
出典2、;モーツアルト91、集英社、p74、(ただし、絵の左右が異なっている。19世紀の石版画、ウイーン市立歴史美術館蔵、とされている)
出典6;音友社のファブリ・カラー版「大作曲家の世界2」のモーツアルト編(エドアルド・レシーニョ作のp70-71)、
出典7;フリッツ・ヘンネンベルク著、大作曲家「モーツアルト」茂木一衛訳p218、(1993年音友社)
出典8;人間の歌モーツアルト、高橋英郎著p308(1977年白水社)(この本では、写真-(2)の解説として、隣はジュスマイヤー、左端が泣き伏すゾフィーとされている。)



写真ー(3)、「モーツアルトの最後の時」、s-ja01-001.jpg、(49.1KB)

「モーツアルトの最後の時」T.W.シールズの絵に基づく写真版、パリ、1882年、ウイーン楽友協会所蔵、)出典1、p63、 



















写真ー(4)「死の床でレクイエムを作曲するモーツアルト」、s-de30-001.jpg(49.7KB)、

「死の床でレクイエムを作曲するモーツアルト」(william James Grant作、19世紀中期))
出典3;MOZART、Johannes Jansen、Taschen、1999、) 


追記
  西村書店の「モーツァルトの人生」P-216に、同じ図版の絵があり、やや大きく、折あとのような縦の疵がついていない。次のような記載があった。

「レクイエムを作曲するモーツァルト」。ウイリアム・ジェームス・グラント作、1854年。ザルツブルグ、カロリーノ・アウグステウム博物館所蔵。」

この絵に関する情報がより正確になったと思われる。(以上)







写真ー(5)、「モーツアルトの臨終」、s-de30-003.jpg(49.7KB)、

「モーツアルトの臨終」

出典4;モーツアルト事典、冬樹社、1982、p53、

出典5;音楽の手帳、モーツアルト、青土社、1979、p153、

出典9;伝記モーツアルトーその奇跡の生涯ーブリギッテ・ハーマン著池田香代子訳p491、(1991年偕成社)(この本では、「死の床のモーツアルト。その回りをコンスタンツエ、幼いカール、音楽仲間が取り囲んでいる。悲しい場面を描いた、後世のロマン的な絵。」とある。  






写真-(6)、題名不明、18世紀の作品、作者不詳。s-ja04-003.jpg

出典6;音友社のファブリ・カラー版「大作曲家の世界2」のモーツアルト編(エドアルド・レシーニョ作のp70-71)、

この絵は、上記の本の「ロマンテイックな死」と言う文章の中で、モーツアルトのレクイエム伝説に関する記述と、「これは私の葬式の歌だ」とする有名なイタリア語のニセ手紙の記述の傍に掲載されていた。


追記
  西村書店の「モーツァルトの人生」P-201に、同じ図版の素晴らしいカラーの絵があるので、少しスクロールして、比較していただきたい。出典も解明されている。



5、以上がこの調査のこれまでの経緯である。これらの写真の中では、写真ー(3)が写真ー(1)と似た構図であるが、モーツアルトの描き方が異なっている。これらの写真をご覧頂いて、写真ー(1)の詳細とカラーコピーを入手する方法、或いは原画の保存場所などの詳細ををご存じの方はおられないだろうか。


もし、この絵に関する何らかの情報をお持ちの方は、私か中村さんに、下記によりメールを頂ければ、誠に有り難い。このHPを見て関心をお持ちの方、どうか宜しくお願い申し上げます。

中村保子;<mozartk466@isis.ocn.ne.jp>

倉島 収;<mozartian449@ybb.ne.jp >


(以上)(2003/01/13)


絵に関する追加資料


1、写真-A、シカネーダ邸でのモーツアルト歓迎宴、A.ボルクマンの絵に基づく木版画、ベルリーン、1879年(ウイーン楽友協会所蔵)、出典1、p57、 



 今回の絵を探す作業をしているうちに、中村邸のカーサ・モーツアルトに飾ってある美しい油絵のコピー画(写真-A)が、TBSブリタニカ 「アマデウス」記念出版(出典1)に、標記の解説とともに紹介されているのを発見した。また、いろいろな文献をチェックするうちに出典7;フリッツ・ヘンネンベルク著、大作曲家「モーツアルト」茂木一衛訳p210、(1993年音友社)にもこの絵が引用されていた。


 これらよると、中村邸にある絵がA.ボルクマンの原作の絵であり、その木版画がウイーン楽友協会に所蔵されていたことが分かる。それを写真で撮ったものが出典1などに掲載されていたことになろう。この論理で行くと、中村保子さんの気に入った写真ー(1)は、原画からの写真版であるか、コピー画の写真版かのいずれかになるであろう。

 


2、この作業中にもう一つ、モーツアルトがどこかのお屋敷でチェンバロを弾いている絵(写真-B)を発見した。これは、出典6の音友社のファブリ・カラー版「大作曲家の世界2」のモーツアルト編(エドアルド・レシーニョ作のp58)に、写真-2とともに掲載されていた。今回のイタリアの旅行でペルージャの画廊(写真参照)で偶然発見し、団員の井本敏子さんが入手した絵と構図がそっくりであり、調べたところ絵の上下が少し切れているが、同じ構図の絵であることが判明した。ペルージャの画廊の飾り棚でこの絵を見つけたときには、過去にどこかで見て印象があったので、良い絵だと直感したのではないかと思う。

 この本によると、この絵は「モーツアルトがスピネットで<ドンジョバンニ>を聴衆に聞かせている図」とされ、エドウアルト・ハーマンの絵をもとにしたアルフレート・コルニリエの版画と明記されており、井本さんの絵の下に書かれていたフランス語の記述と一致している。とても上品な絵なので、やはり由緒ある作品であろうと考えていたが、やはり引用の価値がある優れた作品のようである。しかし欲を言えばきりがないが、中村邸の絵のように、今度はこのハーマンの原画が何処に行けば見ることが出来るかということが新しい話題になっている。

 本に引用されていることから、やはり本に引用した経緯をたどって調べるのが手っ取り早いと思われる。それは井本さんが調べることになるであろうが、一方では今やインターネットの時代であるので、もし、臨終の絵と同様に、この絵を知っている訪問者がおられたら、情報を提供していただければ誠に有り難いと思う。(写真−B参照。)

  (以上)(2003/01/13修正追記)




17-6-1)「モーツァルトの人生」カンタグレル著(西村書店)−何よりも絵画図版が凄く楽しみ−(2017/05/29)


   「天才の自筆楽譜と手紙」と言う副題のついた美しい豪華本が西村書店より発売された。ビジュアルな18世紀当時の絵画の図版などが素晴らしく豊富で、大きなカラーの絵画の図版として掲載されており、その迫力にしばし圧倒される。先にこのHPでも、モーツァルトの亡くなる寸前のいろいろな想像画を話題にしたことがあったが、その時のファイルのコピー絵画を更新したくなる図版が、幾つか含まれていた。 以下のレクイエムの図版を参照していただきたい。

  これらの写真の中で、写真-(4)と(6)が、新しい本に掲載されており、そのうち(6)は、カラー写真であり、美術館の原本の写真コピーのように思われ、新たに確認できた。(写真-(4)はカラーで全く同一のものと確認できたので、掲載は省略した。)

写真-1、 19世紀にヘンリー・ネルソン・オニールが思い描いた「モーツァルト最後の時」、 リーズ市美術館所有、 (西村書店、「モーツァルトの人生」P-201を複製)

先のレクイエム図版において、「写真-(6)、題名不明、18世紀の作品、作者不詳」とされていたものが、この図版であろう。














写真-2、  「貧者の葬列」、フランスの手彩色版画、1800年頃。

    この版画は、モーツァルトのつつましい葬式を象徴する絵とみなされ、ベートーヴェンは、複製を家においていたとされる。

(西村書店、「貧者の葬列」P-202を複製)












  レクイエムの図版ではないが、「貧者の葬式」もよく見る図版であるが、白黒の小さい画面ばかりで、カラーの本格的な図版で見たのは初めてで、ここに記録しておきたいと思う。

  また、見たことはあるが出典がハッキリしないモーツァルト像や家族の絵画なども興味が尽きず、幾つか例示しておこう。この本のカバーのモーツァルトの14歳の頃の絵も1790年ころのモーツァルトの絵画もどこかで見た記憶があったが、原本の大きな写真コピーは初めて見たので、ここに添付することにした。

写真-3、 ルイ・ガブリエル・ブランシェによる 「14歳のモーツァルトの肖像」、1770年、個人蔵。

  (西村書店、「14歳のモーツァルトの肖像」 P-68を複製)


写真-4、ヨーゼフ・グラッシが描いた「1990年ころ のモーツァルト」。モスクワ、グリンか音楽博物館 所蔵。

(西村書店、「1990年ころのモーツァルト」 P-174を複製)




   最後に初めて見た写真-5の「家族の演奏」(モーツァルト、その父と姉)は、良く似ているような気がしたので、掲載することにした。アウクスブルグの博物館に、2016年に訪問したが、残念ながらこの絵は見ることは出来なかった。また写真-6の「結婚した頃の二人の写真」(西村書店、P-78)もどこかで見た記憶はあるが、カラーは初めてなので、ここに掲載しておこう。

 

写真-5、1770年、アウグスブルグ、モーツアルト記念館所蔵。(西村書店、P162を複製)

   これらの写真は、とても見甲斐があったので、前記ファイルの末尾に、そっくり掲載することにした。インターネットの時代なので、気がついて面白いという方がおられることを期待したい。


(以上)思いついて、新しい記述を追記してみた。(2017/05/29)


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